新興の、Xispaの2010年モデルが日本に届いた。最初に到着したのは125ccモデルだ。真っ黒のつや消し(フレームにはやや艶がある)の外装、シェルコによく似たシルエットなど、基本的な構成は2009年モデルと変化がない。
2010年モデルとしては、リヤホイールの変更に加えて、全体的な信頼性改善が施されている模様である。価格は60万円をわずかに越える設定となっている。
チスパとシェルコは、スペインでの裁判の様子を見るまでもなく、たいへんよく似ている。ただしまるっきり同じかというと、リンクのあるシェルコに対して、こちらはリンクレスを採用している。サスペンションユニットはベータのREV-3が使っていたものと同じパイオリ製を使う。このユニット、パーツで購入するとたいへん高価なもので、コストダウンが至上コンセプトのように伝えられるチスパだが、実はお金をかけるべきところにはお金がかかっているようである。
2010年モデルの変化は、リヤホイールにホンダRTLが使っているような、エア漏れがないとされる形式のリムが採用されたことだ。ただしリムにサイズ以外の刻印はなく、ホンダが使っているDID製ではないようだ。小気味よいほどに徹底したジェネリックぶり。
タイヤは、これもRTLの10年モデルと同様にダンロップが装着された。ミシュランは軽量のライトを世に出したが、ライダーの反応はいろいろで、そのへんもあってダンロップの採用となったのかもしれないし、価格的なこともあるのかもしれない。ダンロップの進化は目覚ましく、特に減ったときのグリップの向上が顕著だということだから、ミシュラン一辺倒のトライアル界も、少しずつ変化があるかもしれない。
キャブレターはPWKによく似た(というか、はっきり書いてしまうとコピー)OKO、28φ。ジェット類はPWKのものがそのまま使えるということだから、セッティングにも苦労はない。もっといえば、キャブレターをそのまんまPWKのものと交換してもまったく違和感はないが、そういうお金のかけかたをするのは、チスパのコンセプトとはちょっとちがう。
エンジンは、シェルコそのものといった外観。登場前は、実はシェルコの工場から横流しされているのではないかというまことしやかなデマもあったが、加工精度などが微妙にちがうので、シェルコのそれとは別に製造されたものということがわかる。
加工精度というのは、最後の仕上げがちょっとだけ粗いので、各部にバリが残っていることがあるということで、他のマシンより(特に日本基準で作られたホンダやモンテッサ)ちょっとだけ慎重に慣らしをし、ひんぱんにミッションオイルを交換してあげることで解決する程度だという。
マシンの仕上がりは、ごくごくふつうのトライアルライディングに使うのには、おそらくなんの不具合もない。長期の耐久性はまだ2年目のメーカーだけに未知数のところはあるが、初期トラブルも致命的なもの(実績のあるメーカーでも、過去には大きな初期トラブルをずいぶん出しているもの)はほとんどなく、小さなトラブルは確実に解決されてきているということだ。
出力特性としては、今回のマシンは排気量の小さな125ccだが、意外というか、シェルコよりも低速が力強い印象。太い排気音がことさらにそう感じさせているのかもしれないが、低速域では現在の125ccラインナップの中で、もっともたくましい印象。
そしてなにより、魅力は価格。さまざまな理由でどんどん高価になっていくトライアルマシンだが、チスパはTY-S125F並の低価格を実現した。それでも高いという人はいるかもしれないけれど、ちゃんと遊べるトライアルマシンがこの価格で手に入るというのは、手放しで喜ぶべきことだと思われる。
フロントフォーク、サイレンサーにはカーボン製のプロテクターが装備されているが、これは標準装備で届けられる。バイクカバーも付属しているということで、その価格以上にお得感は強い。
税込み価格
R125 645,750円
R250 656,250円
R280 672,000円
問い合わせ:アクセルレースサポート(xispa.jp)
2010年モデルは、初期型である2009年モデルから大きな変化はなく、たとえば破損の心配をする人が多かったラジエターキャップの位置の変更など、信頼性の向上ということに重点が置かれている。
全体的には、カラーリングがホワイトベースになっているのが特徴だ。
250と290はフロントフォークのインナーチューブがブラックコーティングされていて、クロームメッキの125と見分けがつくが、250と290はほとんど区別がつかない(リヤフェンダーにプリントはある)。
マシンの特性は、定評ある伝統のエンジン特性と、素直な操安特性はさすがにベータ。世界選手権を見ても、すでに旬をすぎたドギー・ランプキンが意外な活躍を見せたり、ガスガスから移ってきたジェロニ・ファハルドが好調を見せたりしているのを見ても、ライダーのやる気を促進させる性格なのはうれしい。
ベータのマシンとしては初めて70kgを切った軽量ぶりも、その乗り味に拍車をかけている。
サスペンションなども09モデルからは見直しがなされていて、トライアルに詳しい人なら、その進化は一目瞭然で歓迎すべき項目となっている。
意外な好評を見せているのが125。もともとベータの125エンジンは、他の125に比べると低速重視の傾向があり、いわゆるトライアルライディングには快適だったのだが、世界選手権のユースクラスでの活躍に伴って、高速域でのパワーを充実させてきたのが現在のEVO 125。10年モデルは09モデルよりも、気のせいか低速域が充実している感じ。入門者は、こういったよくできた125マシンで正しい技術を磨くのも大切なことだ。
4ストロークマシンは、世界選手権や全日本選手権での目立った活躍はないものの、その静かなエキゾーストノートや、乗りやすいエンジン特性、開ければ必要にして充分以上のパワーを発揮するなど、完全に羊の皮をかぶった狼ぶり。おとなしい印象は、静かに仕上げられたサイレンサーによるものかもしれないが、こういった上品な仕上がりも、これからのトライアルマシンには必要かもしれない。
フレームは基本的には2ストロークと同じ。エンジンマウントなどを4ストローク用に変更して使用している。重量は2ストロークに比べて数kg増しとなっているが、これはエンジン重量の差が出ているものだ。
■Evoシリーズ ラインナップ
Evo2T 290 892,500円
Evo2T 250 882,000円
Evo2T 125 829,500円
Evo4T 300 1,050,000円
Evo4T 250 997,500円
(価格には販売店までの送料10,500円が別途必要)