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2005年12月30日
MFJロードレースアカデミー
先日のMFJの表彰式の際、2006年の活動方針として「MFJロードレースアカデミー」というのが発表されていた。ロードレースのことだから半分聞き流していたけど、リリースを読み返してみると、いろいろ興味深いものがあった。
まず、概要をご説明します。
参加資格は12歳から15歳で、ポケバイやミニバイク、モトクロスなどのレース活動を経験した者。9ヶ月間の間に22日の講習を受け、受講料は30万円。車両の貸与やメンテナンス、宿泊、MFJ共済会掛け金を含んでいる。
マシンはCBR150、NS50、NSRmini。
3月11日のオリエンテーションから始まって、春休み合宿、5月の連休、6月、7月と土曜、日曜をメインに日程を組んでいって、夏休みには3泊4日の夏休み合宿がある。
12月の末には、卒業検定などがあって、国内ライセンスを取得するという構図になっている。
このスクールを紹介することがメインテーマではないのだけど、興味がある人は0285-45-8465(MFJロードレースアカデミー事務局(ライディングハート内)にご連絡ください。ライディングハートは五百部徳雄さんの会社で、このアカデミーの校長先生も五百部さんです。
アカデミーと聞いて、トライアル屋が連想するのは「シェルコ・アカデミー」だ。シェルコからはひんぱんにこのスクールについてのプレスリリースが届くし(日本語にして紹介していないのは、自然山通信の怠慢。ごめんなさい)、ヨーロッパにいくと、アンドリュー・コディナが「今度はブラジルのライダーがアカデミーにやって来る。まぁ、そんなに若くないし、将来が期待できるわけじゃないけど、世界的に広がってるということだよ」なんて話をしてくれる。アンドリューの話を聞いていると、シェルコアカデミーは世界的視野に立っているけど、日本だけが蚊帳の外みたいな気がして、ちょっとさびしかったものだった。
モータースポーツには、教育部門が不足しているとMFJが気がついたのはおととしくらいのことだった。モータースポーツは、どんなきれいごとを並べたって安全なものではない。死ぬこともある(なんだってそうだけど)。しかしそんなに危険なことをしている割に、一番とっつきの教育部分になんの統一も統制もなく、これでよいのかということに(いまさら)なったということだ。
今回のMFJアカデミーもその発展なのだけど、教育には、社会的な責任と、もう一方で、次世代の有力ライダーを育てる目的とがある。このアカデミーは、定員20名だし、入門教育というより、英才教育型になるのかもしれない。「卒業したら地方選手権に出場可能なレベルに育成する」とある。シェルコアカデミーも、もちろん英才教育型だ。
内容的には、MFJがシェルコのアカデミーを研究したのではないかというくらい、よく似た感じ。マシンは貸与され、集中的にスクールをやる。でも研究しないでも、だいたいこのへんに落ちつくということかもしれませんね。
22日間で12泊、マシン貸与。30万円にまとまると安くはないけど、1回あたりに割ってしまうと、たいへん割安感がある。こんなに安くていいのかなぁ。意外に、東南アジアの富豪の息子たちが受講にやってきたりして……。
トライアルは、シェルコ・アカデミーの例を見ても、こういうスクールが比較的やりやすい環境にあると思える。ロードレースはサーキットが必須だし、モトクロスもモトクロスコースが必要。トライアルも走るところが必要だけど、1979年の世界チャンピオン、バーニー・シュライバーの名著によると「3メートル四方の駐車場があれば、かなりのトレーニングが可能だ」とある。確かに世界のトップライダーは、狭い狭いトレーニングエリアでも、いろいろ工夫して練習している。万一駐車場しか走るところがなければ、それでもトレーニングをするだろう。トライアルは、工夫次第でどんなところでも訓練ができるところがおいしい。
ブラック団を結成して世界のトップライダーを次々に輩出した黒山一郎さんは、今、次なる活動として次世代のトップライダーを育てる計画を練っているという。数年前から計画中だから、動き出すのがいつになるのかは微妙だけど、こうした活動こそ、MFJの名のもとに動ければ、かっこよいのですけどもね。
今、微妙な言い方をしました。MFJがやるべきだとは書きません。MFJの名のもとに、と書いてます。MFJの財政や財源を考えると、トライアルのスクールを大々的にやる素地は、はっきりいってないと思われる。ただMFJも、トライアルに力を入れると世間に認められるという背景があれば、力を入れないわけにはいかない。トライアルがいろんな場面で無視されちゃうのは、まだまだトライアル自体が、世間に認められていないということなんだろうなぁ。その点は、自然山通信含む、トライアルみんなの力不足でもあります。
なにを書いてるのかわかんなくなったけど、MFJがロードレースアカデミーを開校すること、それに対してトライアルアカデミーの可能性について、つらつら考えてみたことでありました。
写真は、例によってまったく関係ないけど、山村レイコさんちの庭にあったお風呂場の取り壊し作業中の一コマ。
投稿者 nishimaki : 10:21
2005年12月27日
アジア選手権
24日のMFJランキング認定表彰式で、恒例のMFJ会長のごあいさつ。今年は、ちょっとおもしろい発表があった。表彰式では、まずまっさきに会長さんのごあいさつがある。ここで、MFJの活動報告と、次年度への計画などが披露される。
ごあいさつは、ライセンス会員が何人増えたとか減ったとか、そういうのもある。MFJにとってはとても重要だろうけれども、もうしわけないけど、たいしておもしろいものではない。もちろんMFJの重要な活動だから、この報告は不可欠だ。
次なるは、これからどうするのだという話。「活性化に務めてまいります」という抱負は定番の未来のビジョンだけど、これは政治家が「検討して善処し実現に務めます」みたいなもんで、あんまり現実感がない。
今回「おっ」と思ったのは、日本がリーダーシップをとって、アジア選手権の開催に尽力する方針であるという主旨説明だった。残念ながら、会長のビジョンにあるのはロードレースだったけれど、手をつける順番はどうでもいいような気がする。
たとえば、トライアルにもヨーロッパ選手権というシリーズがある。世界選手権に比べると、当然レベルはちょっと低くて、その分参加しやすい。世界選手権がアメリカ大陸に進出する以前は、世界選手権はヨーロッパ大陸でのみ開催されていたから、世界選手権とヨーロッパ選手権の区別はなかった。日本のプロ野球の一軍と二軍みたいな感じで認識されることが多かった。事実、ヨーロッパ選手権には、世界のトップライダーは参加できない。ヨーロッパ選手権に参加できるのは、世界ランキング15位以内になったことがない者に限るという条件がある。世界選手権に対して、よい意味での二軍としてのポジションがある。
ところがただのサブリーグではない。なぜヨーロッパ選手権という名前がついているかというと、それがヨーロッパ人種の選手による選手権だからだ。FIMのカテゴリー分けによると、日本はアジアに分類される。さらに中東の地域もアジアである。おととし(シリーズとしては2004年)、香港でインドア世界選手権が開催された時、アジアで最初のインドア世界選手権と思ってしまったけど、カタールで開催されたことがあったから、香港ははじめてではなかった(これは、藤田秀二さんが指摘してくれていた)。ヨーロッパ選手権には、実は本来、ヨーロッパ圏外の人は参加できない。
ヨーロッパの人は、いい意味で融通を利かせる人々なんで、これまでも黒山健一がヨーロッパ選手権に参加、その年のチャンピオンとしのぎを削ったこともあった。でも、やっぱりアジア人だから、ランキング2位にはならず、結局賞典外だった。今もFIMの親分たちに日本人とヨーロッパ選手権について問いただすと「日本人がヨーロッパ選手権に参加するのは大歓迎だ。もちろん賞典外だけど」と答えてくれる。
では、日本人にとって世界選手権のサブリーグはなんなのか。そのものずばり、アジア選手権を開催するしかない。不孝なことに、今現在アジア選手権が開催されていないのは、アジアのスポーツ協会がそろってさぼっていたとしかいいようがない。
もちろん、今のアジアを見渡してみても、日本の選手と渡り合える選手を擁する国なんかない。アジア選手権が開催されても、日本人選手がぶっちぎりになるだろうし、わざわざ遠征していくことを考えると、なかなか普及しないかもしれない。でも、あらゆるスポーツで、こういう地域ごとのシリーズ戦は不可欠だ。アジア選手権は、日本のモータースポーツの将来を築く上でも、きっと重要になってくる。
ここで余談。最近、日本の歌手が韓国や中国にでていって人気を博すことが多いという。でもわざわざアジア進出なんていわなくたって、日本は立派なアジアである。最近思うのは、日本はいまだに鎖国が続いているということだ。だから自分たちがアジア人であるという認識がないんじゃないか。でもこれは単にことばの使い方の問題かもしれない。話をもとに戻します。
ここで、日本を発信元として、すでに大きな実績を作っている仲間がいる。バイクトライアル(自転車トライアル)だ。キーマンは世界バイクトライアル連盟の会長にして、長く日本のバイクトライアル協会の会長を務めた平野博さん。平野さんは日本に世界選手権を誘致し、長年に渡って開催を続けている。さらに平野さんは精力的に活動を続け、シンガポールなどでも国際大会を開催した。今バイクトライアルでは、これを拡大して、アジア選手権を定着させるべく活動を続けている。
当面は、日本はアジア全体の技術レベルを引き上げる役となるのかもしれないが“外国”で試合をする経験が圧倒的に少ない日本人にとって、食生活や人間のかたちがそれほど変わらないアジアの中で“海外試合”を経験するのは、けっしてむだにはならないはずだ。
バイクトライアルは、オートバイに比べてマシンも小さいし、環境的にも試合の開催は容易に思えるかもしれない。しかしなんにしろ、大きな大会を開催するのは簡単じゃない。バイクトライアルは“小さな政府”ならぬ“小さなスポーツ協会”で運営されている。オートバイのトライアルも、バイクトライアルの小さい運営を見習えるといいと思うんだけど、どうかなぁ。
MFJ会長が「私の夢物語」と言うとおり、アジア諸国がFIMの加盟団体となり、まずアジアで国別対抗戦ができればすばらしい。もしかして、会長の夢にトライアルが入ってないなら、ぜひその夢は、まずもっとも小さな運営が可能なトライアルで実現させてほしいと思うのですが、だめかな?
投稿者 nishimaki : 16:13
木田と本田美奈子。
モトクロスに、木田くんというジャーナリストがいます。「○-○」←こう書くと似顔絵になるという便利な人。彼の息子は、確か元くんというんだけど、アメリカにいくと「Gen Kida」となり、読みが「元気だ」になるというのがお父さんの自慢だった。ちがったかな?
木田くんは、ニシマキに負けず劣らず大人になれないやつで、なかなかのトラブルメーカーでもある。トラブルは、なんの弁解もなく木田のお手つきの場合が多いのだけど、その正義感ゆえに巻き起こすトラブルも多い。つまりいっしょに仕事をしたりするとめんどうが起きる可能性大なのだが(あー、自分のことを書いているようだ)、まちがいなく愛すべきモトクロスバカのひとりである。
そんな木田(いつのまにか敬称がとれちゃったけど、ぼくにとってそのほうが言いなれちゃってるので、ごめん、許せ)の日記サイトがこちら。『木田○-○淑のモトクロスな日々』。彼は全日本の会場で、MXingというフリーペーパーを配っている。木田というのは、今や年に一回、MFJのランキング表彰式の会場でくらいとなってしまったけど(今年はSUGOの世界選手権でも会ったけど、あちらは仕事の真っ最中だから、こういうときにはあんまりお話できない)、表彰式で会えば、一応景気を聞くことにしている。モトクロスの会場で新聞を配るという涙ぐましい活動は、どう考えても景気とは関係ない。そして事実、彼はモトクロスにいき続けることをいつも人生の目標としている。
そんな木田の日記を見ていたら「できること」という書き込みを見つけた。木田が本田美奈子。を取材した当時(その頃は名前に「。」はなかった)、ぼくはまだロードレースの周辺にいたから、木田が彼女を取材したこと、そして本田美奈子。が鈴鹿のピットロードで8耐に出場するヤマハのチームを応援していたことも思い出した。そのことを表彰式で木田に話すと、たった一度しか会ったことがないアイドルのことなのに、やつはなんとなく涙ぐみそうだった。
でも、木田がすごいのは、ここから先だ。みんなに「なにかできることをやろうぜ」と呼びかけると同時に、自分から行動に出てしまった。骨髄バンクに登録したのだという。このへんも彼の日記に詳しいけど、骨髄バンクに登録したら、あっという間に提供の依頼があったらしい。そして、来年早々、骨髄を提供するために彼は入院するんだそうだ。
もちろん善意の行動だから「登録はしたけどやっぱりいやです」というのはありだし、事実木田はタイに取材にでてしまうから、早急な対応はできなかった。それに対して、なにか責められることはいっさいない。
そんな話をしてくれて木田はぽつんと言うのだった。「タイにいくから入院が来年に延びたんですけど、その間に相手が死ななきゃいいなぁ、死なないでくれよって、なんだか気になっちゃって」。誰が木田をドナーとして求めているかは、わからないお約束だ。その誰かが、木田がタイにいっている間に不孝にしてなくなっても、木田のせいではない。でも、すでに木田は、最後の命の炎をともしながら、木田の救いを待っている人がいるのを知ってしまっている。ドナー登録するということは、きれいごとではなく、こういう重荷まで背負い込むってことなんだなぁと、あらためて思ったのだった。
で、木田とは表彰式のあと、赤坂で軽く飲んだ。永田町に焼き鳥屋なんかないので、赤坂まで歩いて、クリスマスイブの赤坂で、男二人が焼き鳥をつつくのもなかなか寒い光景だったけど、モトクロスのデ・ナシオンで起こったこと(たいしたことじゃない)とか、なかなか貴重な意見交換をしたのだったけど、こどもの国線の最終電車に乗り遅れて30分歩く羽目になったのはよけいだったなぁ。
投稿者 nishimaki : 15:09
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2005年12月19日
スケートと日本人
フィギアスケートの浅田真央の一件は、なかなかおもしろい。
一番おもしろかったのは日本のスケート連盟会長の城田さんの意向。「ルールはルールだから」「今権利がある選手たちが大事だから」。とても日本的な発言だなぁと思うのであります。
国際スポーツ連盟のチンクワンタさん(チンクワンタってイタリア語で50という意味だけど、日本でも五十嵐さんとかいるし、イタリアにもそういう名前があるのかな)は「ルールはルールだし、日本から出場の特別申請が出ていないから浅田の出場はない」としながら「個人的にはオリンピックに出場するのをみてみたい」とした。これはまた、たいへんにイタリア的だと思う。
そして、こういう話題は、なんとなーくトライアルにも同じようなことがあるような気がするのだ。
スケートをする選手が、若すぎるとなにか問題があるのかないかは、ぼくにはよくわかんない。問題があるというなら、あるんでしょう。たとえばブラック団出身の日本のトップライダーたちは、小川友幸ほどではないにしても、みんな腰の故障をかかえている。これをして“骨の発達が未成熟の頃、激しい練習をしたからだ”という人もいらっしゃる。真偽はわからない。でももしもそうだったら、スケートじゃなくトライアルじゃなくても、ほとんどのスポーツはあんまり小さい頃には本気でやらないほうがいいのかもしれない。
と思う一方、オリンピックや世界選手権からの締め出しが、若年者のからだを守ることとイコールにはならないと思う。オリンピックを目指せば練習はより激しくなるとは思うけど、オリンピックにでなくたって、腰を壊すような練習はできる。5歳で中学校には通えないけど、中学から習うはずの英語は、幼稚園からでも勉強できる(英語はからだを壊さないというつっこみは受付けないことにします)。
トライアルでいうと、こういう制度の犠牲になっていたのは、いつも成田匠だった。世界選手権に出場したい成田は、まず国際A級にならなければいけなかった。さらに1年間A級で戦うことが義務づけられていた。それには、たぶん相応の理由があったんだと思われるが、成田匠が一刻も早く世界で活躍するのを見たいぼくらにとっては、こんな規則はただのいやがらせにしか思えなかった。
この“いやがらせ”は、それからすぐに改正されて、黒山健一以降のライダーは、A級昇格と同時に世界選手権に参加している。
成田匠の不幸は、その後95年のトライアル・デ・ナシオン出場際にもあった。日本チーム上位進出の夢を担って、全日本の1戦を欠場した成田はこの年のチャンピオンの道が断たれてしまった。終わってみると、TDN3位の功績よりも、ランキング2位に落ちついた実績だけが残った。今でこそ成田には、その頃かたちにならなかった“ファンの支持”がしっかりついているけれど、現役ライダーがほしいのはリザルトや契約金など、かたちになる結果だから、少し残念な結末だった。
デ・ナシオンの話はここではあんまり関係なかった。すいません。話がそれたけど、規則や世の中は、ときにライダーにいやがらせをするもんだ。ルールが絶対で、ルールを守らないとあらゆるところでおかしなことになっちゃうのはよくわかる。でも日本じゃない国は、それぞれいろんなところで融通が利いて、ルールはこんなだけどこうしたほうが世のため人のため、おもしろいからと別の道をとることがよくある。
スケート連盟の“50”さんは「日本は浅田を出させろと要望を出せ」と言いたかったんじゃないかな。日本人って、こういう主張がとにかくできない人たちなんだ。法律は人間が作ったものなのに、その法律にがんじがらめになって、不自由な決断、制限のある行動を余儀なくされているとしたら、なんともお気の毒だ。
日本のトライアルがFIMに対する姿勢と、日本のスケート連盟が世界のスケート連盟に対する遠慮や正義感は、なんだかとても共通するものを感じる。そしてそれは、日本の外交にも共通するものを感じる。やっぱり日本人の特性なのかなぁ。
ということで、例によって写真は本文とはまったく関係なく、成田空港へ行く道中のインボーブリッジ。PhotoTrialが届いたので、通関をしてきたのだ。さてみなさん、Phototrial、まもなくみなさまのお手元にお届けできます。
投稿者 nishimaki : 20:59
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2005年12月06日
ど・ビギナーで教室を
12月4日、茨城県真壁トライアルパークで、ど・ビギナートライアル大会でした。
この大会、当日エントリーという気安さもあり、2000円という参加費の格安感もあり、お天気に恵まれれば、200人を超える参加者がきてもおかしくないマンモス大会。
実際のところ、オープンクラスのセクションはどこが「ど・ビギナー」なんだというようなレベルの高いもんです。でも、高いところから落っこちたりするような危険度はないから、たいていの初心者ならもがけば3点で抜けられる。もがかないで3点で抜けられるようになったらずいぶん進歩だと実感できるでしょう。ビギナークラスは、段差なし。アクセルワークだけで乗りきれるセクションってことになってて、こちらはNBでポイントをとるにいたらず、の人たちがオールクリーンできる設定です。でも油断したりするから、それはそれでオールクリーンはむずかしい。黒山健一が、オールクリーンは実力でできるもんじゃないとよく言ってますが、初級者でも、そういう気分を味わえるところはすごい。
ところで、ぼくはもう何年も、ど・ビギナー大会のときにトライアルマシンに触ったことのない人を対象にトライアル教室というか、トライアルマシン体験会をやらせてもらっている。「ど・ビギナー」という名前に反して、その中身がずいぶん高尚で、その反面、ほんとうのど・ビギナーは対象からはずれちゃってるんじゃないか、ちょっとでもいいから、ど・ビギナーに視線を向けてみてくれないでしょうか、というぼくのわがままに、ど・ビギナー主催の萩原さんが「そんなら勝手におやんなさい」とやらせてくれてるってわけだ。
借り物のオートバイで、はじめてトライアルマシンに触れる人を相手にするのだから、たいしたことはできません。ほんとうなら、トライアルマシンに触れる前に、林道ツーリングにでも出かけてもらってきて、ダート路面に慣れてきてもらったほうがいいんだけど、最近の日記に書いたみたいに、今のライダーはダート路面に慣れ親しむ環境を失っている。「トライアルに来る前に、たっぷりダートを走ってこい」というのは、ダートがたっぷりあった時代のおじさんたちの妄想になりつつあるわけだ。
このメニューを始めたのは、伊藤家の入門編ビデオを作った頃だった。内容も、そのビデオに即して進めている。でも何年もたつうち、ビデオは成長しないけど、こっちはいろんなノウハウを身につけた。スタンディングスティルひとつを学ぶにしても、学び方次第では夢が大きく広がることも、いくらでも応用が利くことも、やっているうちにわかってきた。その都度、いろんな人がやってくるから、その都度ちがう反応を示してくれたりもする。それで、また新たな課題が生まれたりする。
トライアルは毎回ちがう表情を見せる自然セクションとの闘いが魅力だけど、人に教えるという作業も、似たような楽しさがある。次はどんなふうにてこずらせてくれる人が来るんだろう、なんてね。今度はどんなセクションを走らされるんだろうとわくわくするのと、似たようなもんだ。
今回は、福島県から来たご夫婦がお客さんだった。もうひとりおじさんがいらっしゃる予定だったけどドタキャンなさった。このご夫婦は、前回チーズナッツでひととおりメニューをこなしてしまったので、ふたりしかいないんだったら、セクションは知っちゃおうかな、なんて考えていた。でもやっぱり甘かったなぁ。奥さんにとって(からだも大きいし元気な奥さんだったから、行けるかもしれないと思ったんだけど)真壁の地形は、やっぱりおっかないもんだったらしい。前回チーズナッツの駐車場はだだっ広くて、少々失敗してもなんてことない(気がする)。真壁だと、意地悪そうな岩があちこちに牙をむいている(気がする)。
で、やっぱり今回も、なるべく平らところでとことことトライアルマシンのお勉強をした。彼ら、旦那の出張で、まもなく帯広に引っ越しちゃうんだそうだ。奥さまは専業主婦だっていうから、帯広へ引っ越して一段落したら、なんでもいいからマシンを買っちゃいなさい、旦那が仕事している間に家のまわりでもガレージででもできる練習はあるから、そこから始めましょうと焚きつけておきました。帯広方面のみなさん、その先はよろしくお願いします。
そうこうしているうちに、ひとりで走る自信がない人のための「カルガモクラス」から、ふたりこっちに転校してくることになった。カルガモとはいえ、コースを移動するだけでも、真壁はちゃんとしたトライアルの領域だ。ふたりともマシンを持っているのだからいっぱしのライダーなのだろうと思ったけど、ひとりは12歳でモンテッサの250を持て余しぎみ、小学校のときにちょっと乗ってたけど、ブランクがあるってことだ。もうおひとりは、どうやらバイク仲間にそそのかされて(笑)連れて来られたみたい。マシンも自分のじゃないってことだ。そういう状況で真壁ってのは、ちょっとたいへんですね。どうやら最初のセクションを走って転んだ時に肋骨をぶつけたみたいで、それもあって、すでに戦意は消失していなさった。
スタンディングスティルは、なんで立ち続けることができるのか、そのためにライダーはなにをやるのか、なんて解説をしてあげたら「こういう地味な練習がしたくてトライアルをやりたいと思った」のだとおっしゃる。お世辞だったとしても、ちょっとうれしい。
ぼくの周囲の遊び人ご一同は、派手なことが好きだ。ぼくも、地味なのより派手なほうがいい。だけど、地味に基本を勉強すれば、その先が早いという種類の人たちもずいぶんいる。世の中は、派手なことがいつもいいわけじゃないってことに気がついたのも、こういう活動をさせてもらっての大きな収穫だった。
正直なところ、小学生や中学生には、技術を習得する近道があると思ってます。子どもたちは、ぼくらが3年かかって習得することを、3日くらいでマスターしちゃうから。だけど今回のけんたくんみたいに、ブランクからいきなり大きなオートバイに乗り換えたりすると、なかなかたいへん。そうそう、藤波だって、50から125に乗り換えた時には、しばらく山ごもりをしなくちゃいけなかったんだものね。
トライアル技術の習得って、階段だと思ってます。素質のあるやつや若いやつは、二段飛ばしでも五段飛ばしでも、どんどん階段を駆け上がっていってください。そのかわり、間にある階段を、抜いたりしないでくださいね。ときには階段と階段の間にもう一段、特別の階段を置いて、ゆっくりゆっくりあがっていったほうが、確実に上れる人たちがいるんだから。
いつの日か、バリアフリーのトライアル入門コースを作りたいのでありました。
(写真は、例によってやっぱりぜんぜん関係のない、小学校でのオートバイ教室)
投稿者 nishimaki : 13:09
2005年12月05日
藤波結婚式
入籍から1年半ののち、ようやく藤波が結婚式を挙げた。自然山Webのニュースにも書いたけど、秋山直子さん(以下、失礼ながら直ちゃん)が美しいので、写真を見せたくて自分の日記にも書いちゃいます。
もともと直ちゃんはモデルの仕事などをしていた方だから、撮られるのは慣れている。こういう衣装に身を包んだ世界チャンピオンはたいへんな緊張ぶりで、闘う藤波の顔つきを知っている出席者一同はおかしくてたまりませんでしたが、さすがに直ちゃんはいつもと変わらぬすてきな笑顔で、いつもより何千倍もの美しさでありました。
そういえば直ちゃんは、いつもトライアルの現場では「わたしはいいです」とカメラから逃げることが多い直ちゃんだったけど、それはつまり、プロとして写される準備がされていない、ということだったのかもしれない。ともあれ、この日は直ちゃんが写真に撮られるべき日だったってわけだ。
結婚式だから、直ちゃんのお友だちも列席されている。お父さんお母さんは、すでに全日本の会場やもてぎにいらしたことがあるので、トライアルの現場にいる人々のことをある程度ご存知だと思うけど、お友だちはトライアル仲間たちをどんな人々だと思ったろう。強いていえば、一番藤波年代に近い「ライダー仲間」の席が“新郎の学生時代のお仲間”という感じで結婚式らしい一軍だった。でも藤波チャンピオンを支えたマシンをつくったチームスタッフや開発陣はといえば、いわゆる仕事仲間でもなく友人でもなく、でもある意味それ以上に近い存在だ。黒山一郎さんはトライアルの試合をよく戦争にたとえるが、その例にならえば、彼らはまさに戦友であり、そこから生まれた友情によってつながっている。若い女の子にはむずかしい関係かもしれないですね。
あぁそうか。結婚式って、新郎新婦の友人にとっては、出会いを期待しちゃえるところだったりもするわけだけど、もしかして直ちゃんの友だちが貴久さんのお友だちとの出会いを期待していたとしたら、こりゃたいへんに失礼しました。
それにしても、なんだかとても素晴らしい結婚式だった。藤波貴久のことを、ぼくはいわゆる幸せ者だとは思わない。この人は、自分の幸せをきっちり自分でつかみ、つくっている。藤波が幸せ空間にいるのではなくて、藤波がいるから幸せ空間ができるような気がする。今のトライアルはチームで戦うスポーツだから、ライダーにこういう求心力がないと、成績も出ないのかもしれない。
直ちゃんのことを美しい美しいと言ってばっかりだったので、こちらのカップルも紹介しておきます。このおふたり、もう三人の孫がいるじいちゃんばあちゃんだけど、ちょっと前、世界選手権のパドックを歩いている直ちゃんと博美さんは嫁と姑ではなくて姉妹じゃないかと思ったもんだった。あんまりお世辞じゃないんだけど、ニシマキは口が悪いもんで、たまに本当のことを言っても、ちっとも信じてもらえない。
おじいちゃんはライディングウェアで山を走り回っている時の印象とあんまり変わんないけど、おばあちゃんはお美しかったです。
ところで、結婚式参列者には、2006年の藤波貴久カレンダーが配られたけど、これは、FUJIGAS.NETのWebshopでも買えます。結婚式に参列されなかったみなさんは、ぜひこちらで手に入れてください。今シーズンの象徴的な失敗シーンの画像もあって、こういう写真をカレンダーにしてしまう心の広さも、藤波らしいところです。
今見たら(5日20時)、まだお店にカレンダーは並んでいなかったけど、まもなく店頭に出るはずなんで、見てみてください。
投稿者 nishimaki : 19:35