トライアル・自然山通信
【2005年08月22日】
熊本のインドアトライアル……
8月20日熊本県荒尾市三井グリーンランドで『Eternity and the Moment』が開催された。広島県福山市ケニーズクラブの河村国男さんが企画したもので、従来のデモンストレーションやトライアル大会とはまったく異次元の企画だということだったので、期待してでかけてみた。
その河村さんから、とっておきのニュースということで連絡があった。新日本プロレスの中邑真輔選手を招いて、インドアのトライアルショーをやるという。場所は熊本県。
山ほどのトライアルイベントを開催するのも、楽しいトライアルをみんなに知ってほしいという河村さんの一途な思いからだ。みんなに知ってもらうには、とにかくみんなの目に触れるところでトライアルをするべし。そしてテレビやメディアで、トライアルを放送すべし。河村さんの思いが一気に具現化するような構想だ。
河村さんとプロレスには、直接接点はなくて、間には数々のコンサートなどを企画する若いプロデューサーがいらっしゃるそうだ。トライアルにも、若いパワーが必要だと河村さんは力説する。日本にもホリエモンのような若いパワーが必要なように(なのか!?)、トライアルもおっさんたちで未来を論じるだけでは限界があるのだ。
でこのイベント、入場料はS席30000円、A席15000円、B席10000円。1000円〜3000円ではない。一桁ちがう。「プロレスの世界ではこれがふつうらしい」と河村さん。こんなトライアルショーは、少なくともトライアル関係者は、誰も見にいけない。でもトライアルをみんなに知ってもらうためには、トライアル関係者が観戦する必要はない。3万円でトライアルを見にきてくれる人がいるなら、それは大歓迎ではないか。しかも、チケットは告知開始から売れに売れて、30000円の席は完売、全部で、2000枚がはけたという。一番安いチケットばかりが売れたとしても二千万円の売り上げ。トライアルの常識を徹底的に打ち破っている。びっくり。
河村さんからのイベント情報続報は、さらにびっくり。ショーを演じるライダーだけでなく、一般のライダーも参加して、賞金マッチをおこなうという。しかも優勝賞金は50万円だそうだ。しかも10位まで2万円の賞金が出るという。参加資格はうまいへたは問わず、トライアルマシンをやっていることと、A席15000円の入場券を購入することの2点。
すごいイベントのような気もするし、なんだかあやしいイベントのような気もするし、悩んでしまう催しである。みんなそう思ったらしくて、なかなか参加者が集まらなかったみたい。というわけで、当日は、工藤やすゆき、井内将太郎、小谷徹、黒山二郎ら、そうそうたるメンバーをはじめとして、日ごろから河村さんと懇意にしている人々など、20名弱が参加した。
この賞金マッチ、スタジアムトライアルではなくて、減点ルールでもない。ゲームだそうだ。審査はゲストの黒山健一がおこなうらしい(黒山健一は審査委員で、ライディングはいっさいせず)。なにをやるのか、ルールもさっぱりわからないまま、もしかしたらだまされたのかもしれないけど、おもしろいかもしれないから行ってみようと、南は奄美列島の喜界島から、東は京都まで(横浜から参加のニシマキさんは、オートバイを持っていくのが面倒だから取材だけしますと宣言していたのに、オートバイは用意してやるからと河村さんに説得されてからだだけ参加した)、会場へ集結。
会場は、熊本県大牟田郊外にある三井グリーンランドである。当日朝大牟田駅に着いてみると、グリーンランド行きのバスを待つ人がうろうろ。若い女の子や家族連れがいっぱい。みんなトライアルをとプロレスのファンかいなと思ったら、三井グリーンランドとはこの周辺では有名な遊園地で、夏休みで土曜日のこの日は、遊園地日和だったということだ。
会場となっているレインボードームなるエリアに行ってみれば、そこは大きな屋根のあるスペースで、インドアではなかった。観客席はない。あれ? 2000枚のチケットを買ってくれた人はどこから見るのだろう? しかもここ、隣の昆虫博物館ムシキングワールドと隣接していて、会場を歩く人からもデモンストレーションセクションが丸見え。イベントが始まったら、シャッターでも降りてくるんだろうか? 30000円の席とただ見が同じということもないだろうと不思議に思っているうち、イベントが始まった。
細い一本橋を渡ったり、黒山健一誘導のもと、目隠しで走ったり(これは異次元感覚で、とてもおもしろかった)サッカーボールをゴールに蹴り込んでみたり、いくつかのゲームがおこなわれたが、クリーンするのがえらいわけではないというし、みんな、よくわかんないままにゲームにトライしていった。賞金マッチはいわば前座で、本番は中邑真輔を招いてのショー。これに出演するのは尾西和博、白神孝之、岡本勝太、向井直樹。それに紅一点のERIKA(本名小玉絵里香)の5名。スーパーAやウイリーキングや選手会会長が盛り上げに一役買うという、ものすごい構図である。
前座賞金マッチが一区切りした頃、中邑御大が現れた。巨大なリムジンでの登場だ。さすがにプロレスの王者はスケールがでかい。全日本チャンピオン黒山健一も、会場にこんなリムジンで現れるべきではないかと提案したら「トライアル会場に入れないじゃないですか」と一蹴された。ごもっとも。
やがてショーが始まった。スモークが焚かれたり爆竹が鳴ったり、興行プロデューサが手がけるイベントだから、なにごとも派手である。いまだきつねにつままれている前座賞金マッチ参加者一同も、せっせと拍手を送る。工藤やすゆきも小谷徹も、彼らの演技に拍手を送った。
結局、2000枚のチケットを買ってくれた人々は、どうやら現れなかった模様。大の中邑ファンが、チケットだけ買って現場には来なかったということだろうか。ショーを見物していたのは、たまたま遊園地にやってきていて、たまたま雨が降ってきたので雨宿りに屋根のある場所に退避してきた人が多かった。中には中邑選手の熱心な追っかけや、熱心なトライアルファンもいたようだったけど、それはごくわずか。いずれにしても、総観客数は2000名にはとうてい及ばない。
それでも、初めて見るトライアル走行に、家族連れはけっこう大喜びだった。オートバイが大きな段差を駆け上がったりするアクションは、むずかしいことをいわずとも、一目瞭然ですごいことなのだ。司会進行はさすがにイベントプロモーターの用意した人材で、歯切れがよかった。この点では、ライダーのほうがショー素人だったかなという印象。
しかし中では、岡本勝太のショーマンぶりが見事だった。岡本は国際A級で下位を争い、全日本選手権では正直まったく目立たない。その岡本が、ショーの間は生き生きとショーを演じて走り回った。もちろん、尾西や白神と比べれば、できる技術は劣るのだが、トライアル素人に見せるべきは純粋なライディングテクニックの高さではなく、持っているテクニックをいかにアピールしたかについて、この日の岡本は日ごろのセクションでは感じられなかった才能を見せてくれたと思う。岡本に次いでショー上手だったのは、向井だったように思う。
イベント中、ステージでライダーの走りをじっと眺めていた中邑選手は(自転車トライアルのデモで、尾西に飛び越えられるという役回りもした)、イベント後「知り合いにトライアルを楽しむものもいるのだが、実際にトライアルマシンが走っているのを見たのは初めてで、非常に興味深いスポーツだと再確認。こういうスポーツが、もっとみんなに認知されるようになれば」とコメントをしてくれた。
ちなみに賞金マッチで50万円を獲得したのは喜界島からお越しの桜井さん。並み居るトップライダーをさしおき優勝だから、トライアル技術だけを審査していたのではないことはわかる。でも、なにを審査していたのかは、よくわからないまま。中国のA級ライダー西和陽選手も20万円を獲得。「これがわかっていたら、北海道大会にもエントリーしたのに」とくやしそうだった。でもおめでとうございます。ニシマキは河村さんによると最下位で、15000円払っただけの、前座のさらに露払いとなった。
今回のイベントは、すべてにおいてさっぱり意味がわからないイベントだった。河村さんの意欲あふれるトライアル活動には、今後も注目していきたいが、ニシマキ個人的には、しばらくは河村さんの言うことは充分警戒して聞くことにしたい。「知り合いを誘ってこい」と河村さんに言われていたが、知り合いがみんな九州行きを断ってくれたのが、せめてもの幸いだった。世の中にトライアルを知らしめていく活動は、やはりとてもむずかしいことなのだと、河村さんの努力の結果、明らかになった。この絶望感を、ぜひ次回のイベントで払拭してもらいたい。
投稿 : 2005年08月22日 18:46
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3月号、いよいよ新しいシーズンが始まります。3月号の発送は、2月27日と28日の両日にわたっておこないました。
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実は、今月号は自然山通信13年目の創刊記念号でした(印刷屋さんに渡してから、それに気がつきました。とほほ。なので、4月号に、13年目の思いをまとめたいと思います)。
■2010年2月号300円
早いもので、2010年の最初の1ヶ月がすぎ、自然山通信は2月号を発売させていただきました。2月号は(珍しく?)2月1日にお手元に届いたと思います。もし年間購読の方で、まだ到着していない方がいらしたら、ご連絡ください。すぐ再送させていただきます。
今月も、2010年モデルのインプレッションはつづきます。日本に本格上陸のチスパ125とガスガスシリーズに乗ってみました。25周年を迎えたど・ビギナートライアルは、主催者萩原さんやスタッフ、参加者の寄せ書き寄稿。そのコメントの影に、トライアルの本質が隠れています。
黒山和江ちゃん参戦記は、ロッキートライアルの巻。
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2010年モデルのインプレッションや25周年を迎えたど・ビギナートライアルについてなど。黒山一郎さんの、愛娘和江ちゃんのマシンの整備日記は、マシン整備の手引きとしても必読。
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2010ニューモデルインフォメーション、OSSA、SHERCO、SCORPA、BETA、HONDA/全日本トライアル選手権R7東北最終戦・黒山健一パーフェクト盤石の有終の美。他
■自然山通信09年11月号300円
全日本トライアル選手権R6中部・堂々、黒山健一がまんの貫禄勝ち他レポート。いつでも買える、誰でも乗れる‥‥‥ヤハマトリッカー改・YSP京葉/多摩テック、有終の美‥‥‥/四十雀トライアル/深山トライアル/寺井一希インタビュー
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全日本トライアル選手権R5中国/FIM SPEAトライアル世界選手権R9スペイン/R10フランス最終戦/ライア・サンツ最終戦を残してタイトル獲得/2009FIM世界選手権ランキング
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