トライアル・自然山通信
【2007年04月30日】
黒山健一全日本新潟で完全復活
4月30日、全日本トライアル第3戦関東新潟大会は、新潟県阿賀野市大日が原特設会場で開催された。
この大会、昨年末に肩の脱臼癖の手術をした黒山健一がようやく本調子を取り戻し、パーフェクトな試合展開で優勝。足つき1回と1分のタイムオーバーのみの2点で優勝。2位は苦しみながらも小川友幸、3位に野崎史高が入った。
国際A級は成田匠がTYS125Fで2連勝。
国際B級は滝口輝が初優勝した。
■国際A級スーパークラス■
序盤から、黒山健一の好調は明らかだった。これまでの2戦は、からだを後ろにいっぱいに残すライディングフォームには遠慮があった。肩に負担がかかるからだ。しかし今回はその黒山らしいフォームが復活。本人も、からだが完全に動く喜びを満喫しているようだ。気持ちの入り方も充分で、足をつきそうな気配がまったくない。
一方小川友幸は、第1セクションから足つきを喫して、この2戦にみられた堂々たる走りっぷりが影を潜めている。第2セクションでも1点を加えて、この日の戦況は苦しい。
2戦続けて2位となって、そろそろ表彰台の真ん中に立ちたい野崎史高は、黒山に匹敵する好調ぶりを発揮する。第6セクションまで、オールクリーン。野崎の視野にはいっているのは、小川ではなく、黒山だった。
山を一回りして、砂防ダムを使った第7セクション。ここは高さ4メートルほどもある堰堤を越えていくのが見どころだったが、ここで、なんと小川友幸が入り口の岩から滑り落ちて5点。野崎もここで1回足をついてしまう。見た目の派手さは出口の4メートル堰堤だが、難度が高いのは入り口の岩越えからの登りだったようだ。野崎の1点は、しかし予定通りでもあったが、予想外だったのはその先。堰堤に向かって加速した野崎は、ラインを乱して登るまでに至らず。トップ争いをする二人が、セクションの見せ場に到達できずに終わるという展開となった。黒山はここもあっさりクリーンして、着々と勝利パターンを作っている。
1ラップ目後半、今回は手ごわいセクションが多く、トライ時間が多目なので、渋滞も発生しがち。トップライダーもタイムオーバーぎりぎりで最終セクションをトライしたが、唯一野崎だけが1分のタイムオーバーを喫した。黒山ゼロ、野崎7(うち1点はタイムオーバー)、小川11というのが1ラップ目のスコア。4位は渋谷勲の11点だから、トップ3のスコアがいいのがわかる。その中でも黒山のオールクリーンは驚異だ。
2ラップ目、ようやく小川のエンジンがかかった。体調不良で試合を迎えてしまった小川は、目覚めの悪いままに1ラップ目を終えてしまっていた。ここでようやく目が覚めて小川らしいスコアが出るようになった。それでも、ライディングは安定感に欠け、ふらふらしながら足を出さずに走り抜いている状態だったという。
2ラップ目の小川は、11セクションをすべてクリーンした。これなら黒山とも勝負ができそうだったが、この時点での11点差はちょっと致命的だった。優勝は無理としても、負けても2位をキープするのが自分に課した至上命令。そのためには、野崎との4点差を逆転しなければいけなかったのだ。
2ラップ目、野崎はラインを乱してカードに触る5点があって、1ラップ目と同じ6点。これで2位の座は小川となった。しかし2点差の接近戦だ。
3ラップ目。黒山はクリーン街道一直線だ。しかしオールクリーンはねらうものではないといつも行っている通り、黒山もついに1回足をつくことになった。それが、1ラップ2ラップとクリーンセクションだった第6セクションだった。
「わだちができていて、ていねいにターンを刻んでいくか勢いにまかせていくかの選択だったが、ていねいに刻むほうを選んだ。それが結果的に裏目となった」
という黒山の解説だが、戦況としては、この1点はなんの問題もない。黒山は、最終セクションをトライする時点で残り20秒ほど。セクションアウトしたときにはほんの数秒持ち時間をすぎていて、タイムオーバー減点を1点追加することになったが、トータル減点はたったの2点。この日の黒山は、まったく手をつけられない状態だった。
2位は、ぎりぎりで小川が逃げ切った。野崎は、最後に勝負の集中力を切らしてしまった印象。今回の2位争いは小川の貫録勝ちというところだった。
ランキング争いは、いまだ小川が黒山に対して7点のリード。黒山は野崎を逆転して、ランキング2位を得た。
4位は渋谷勲。渋谷は第1セクションでダイナモの半月キーを飛ばしてパドックに帰って修理を余儀なくされたが、なんとかライバルに大きく遅れることなく戦列に復帰した。第2セクションでは3回とも5点となったり、意外な岩から落ちて5点となるシーンが散見されたが、今シーズン初めて4位を得た。
5位に甘んじたのは田中太一。新しいマシンの仕様の調教に苦しんでいる。体重も減らしてきたし、やるべきことはやってきたのだが、と現状の打破を模索することになりそうだ。
その太一と同点まで駒を進めてきたのが坂田匠太。坂田も着々とトップライダーに近づいているだけに、これからが楽しみだ。
井内将太郎が7位、田中善弘が8位。このふたりも、1ラップ目は田中太一を標的に入れる減点で回ってきたから、下位争いが定位置ということではけっしてない。繊細な井内と豪快な善弘のコントラストも、見ごたえがある。
■国際A級クラス■
ヤマハ(スコルパ)125Fに乗る成田匠が2連勝を飾った。マシンは圧倒的に非力だが、ボディアクションを最大限に使ってマシンを進めていく乗り方は、多くのライダーに参考になるのではないだろうか。
成田は1ラップ2ラップと調子に乗れず苦しんだようだが、3ラップ目に気持ちを入れ替えて、ベストスコアを出してトップに踊りでた。小森文彦は、またもしてやられたかっこう。
今回はホンダRTL勢とシェルコの白神孝之が成田に挑むも、誰もこれを破れずという展開だった。成田は確かにライダーとしても格はちがうが、125ccの走らせ方とともに、勝利に向かって戦い方を組み立てて、またその戦い方も状況に応じて組み立てなおすという姿勢も、多くのライダーの手本になるにちがいない。
■国際B級クラス■
大会直前に事件が発生。藤巻耕太が練習中に負傷してしまったのだ。肩の筋を切ってしまったような感じでとても走れず。リタイヤ届けを出して病院に直行することになった。今大会のみならず、少し時間がかかる負傷かもしれない。
藤巻の欠席で、前回初優勝した平田貴裕ががぜん優位となった国際B級クラスだが、平田にすれば、最大のライバルを失って、気持ちがそがれた感じ。そんな中、がぜん本領を発揮してきたのが滝口輝。国際B級は2年目だが、今年はいよいよトップクラスのライダーに成長してきた。うまさと若さと、意外に繊細でていねいなライディングも秘めている。藤巻と同じく、中学3年生。平田、藤巻に続く若手ライダーの台頭に拍手。
■エキジビション125クラス■
エキジビションの125クラスは今年から全日本に併催されているが、関東大会に続いて松岡一樹がエントリー。松岡以外にこのクラスに参加するライダーはいないが、国内A級でありながら全日本の雰囲気を実感できて国際B級セクションにトライできるのだから、全日本予備校としてはこんなに効果的なものはない。もし来年から全日本参戦を目論んでいる若手がいるなら、このクラスに参加しない手はない。いますぐエントリーしてください。
松岡の走っているのは国際B級とまったく同じセクションだから、国際B級の成績と照らし合わせてみると、彼の成長が見てとれる。
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投稿 : 2007年04月30日 18:18
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