日本のトライアルニュースです。全日本選手権はじめ、いろんな情報を紹介していきます。自然山誌面では紹介できずにいたのですが、全日本での国際A級やB級での戦いも、紹介していけたらと思ってます。どこまで情報を集められるか、これからの自然山通信にご期待ください。
LastUpDate:08.05.16 14:47
今年のもてぎはこんな感じ
2008年世界選手権日本大会、そのセクション配置図が発表になった。
全体のレイアウトは、昨年とほぼ同じながら、まったく新しい場所にセクションが開拓されたり、観戦ルートも今までとは一味ちがうものが用意されていたりして、興味深い。
まだ具体的な設営はこれからだから、最終的には当日を見てのお楽しみということになるだろうが、まずは現状の情報で、今年のセクションの概略を説明します。
第1セクションと最終セクションは、定番のこの位置。スーパースピードウェイの特設ゾーン。スタートとゴールにも近いし、観客席からもトライを見ることができる。お勧めはしないけど、歩くのがとことんいやな人は、パドックとここだけを見るだけでおしまいにしてもいいくらいだ。
第1セクションを終えたライダーは、ダートトラックコースの南側の、ダートトラックの森ゾーンへ移動する。去年はこのエリアにずらりとセクションが並んでいたが、今年は南コースと呼ばれる駐車エリア付近に集中して3ヶ所。南コース駐車場にクルマをとめるであろう多くの人は、パドックへ寄らずに、そのままこのエリアに観戦に出かけるという手もある。特に、ちょっと遅刻して会場につくことになっちゃった、なんて場合は、まずこのゾーンへ駆けつければ大丈夫だ。
第5セクションは、ダートトラックの森ゾーンの仲間になっているが、実はひとつだけ独立した新設セクション。カートランドの入り口あたりに設営される。どんなのができるか楽しみだが、4セクションまで見たあと、5を飛ばして6あたりに先回りして、先行したライダーをもう一度見るという観戦方法もある。第5がすげーおもしろいかもしれないから、この方法がいいかどうかはわからない。でもトップライダーを追いかけて全セクションを歩くと、ほんの数人のトライしか見られないことになるから、どこかでこういうテレポーションをしたほうがいいかとは思う。
第6から第9までのハローウッズの庭ゾーンは、今回のハイライトともいえる。今までオートバイの立ち入りがご法度だった自然公園のハローウッズの森に、セクションと移動路が設営された。トライアルが自然と共存するモータースポーツである実証だ。名物の滝の流れるセクションと岩盤は今年も健在だが、観戦ルートがハローウッズの山を越えるようにできているから、今年は山の上から見下ろすような観戦も可能だという。かぶりつきもいいけど、上から見下ろすと、いくつかのセクションを並行して見ることもできるかもしれない。ハローウッズの観戦ルートには、ハローウッズならではのしかけもある。子ども連れなら、トライアル観戦から、そのままハローウッズの森遊びに移行してしまうかもしれないけど、それはそれでよいではないかという気にさせるのが、今年のもてぎセクション群だ。
コースはそのままハローウッズの森を抜けて、ハローウッズの沢へ向かう。ここはまったく新しいセクション群で、第1回目のCゾーンのような構成になるのだろうか。Cゾーンはなかなか観戦には気合いがいるコースだったが、今回はハイキング気分で移動ができるはずだ。
そして最後はハローウッズの岩盤ゾーン。これもいつも人気の定番ゾーンだ。沢ゾーンはトライアル的にはとても興味深いが、移動するのがいやになっちゃったりしていたら、ハローウッズの庭ゾーンから森を散策しながら岩盤ゾーンに抜けて、そこでじっくり観戦し、表彰式を見に観客席へ戻るという観戦プランも悪くない。2日間あるから、翌日は前日に見なかったところに観戦ポイントをシフトすれば、もてぎのセクションを満喫できる。あるいは、1ラップ目を庭ゾーンから岩盤ゾーンと移動して、そのまま沢ゾーンに移動すれば、ユースやジュニアの選手の2ラップ目に遭遇できるタイミング。そのままトップライダーまで見続けて、12セクションから最終セクションに移動すれば、トップライダーの最後のトライに間に合うかもしれない。
掲示板に質問があったので、タイムスケジュールについて付記しておきます。世界選手権のタイムスケジュールは、最終ライダーが11時で、2分にひとりスタートとなっています。45人参加なら、最初のスタートは9時半ということになります(100人も参加者がいると、最初のスタートは8時代になる)。
1ラップ目の持ち時間は3時間半、競技全体の持ち時間は5時間半。最終スタートライダー(もてぎの土曜日はボウと決まっています。日曜日は土曜日の結果順なので、今はまだ未定)が1ラップを終えるのは14時半頃(30分までのタイムオーバーは失格にはならないし早く帰ってくることもありなので、あくまでも目安)、最終ゴールは16時半頃ということになります。
選手それぞれのスタート時刻は、今はまだ決まっていません(前日に発表されるのが通例)。
さて、どんな観戦プランがおいしいか。マップを見ながら、あれやこれや考えるのも、トライアル観戦のお楽しみだ。では、たっぷりお楽しみください。そして当日会場のどこかでお会いしましょう。
黒山、2連勝
全日本選手権第2戦は、九州鹿児島の錫山トライアルランドにての開催。
鹿児島のトライアルパワーの総力を結集して開催されているこの大会は昨年に続いての開催となる。
大会は、なんとか試合中には大雨が降ることなく、しかしときどき降る小雨が路面コンディションを悪化させてライダーを苦しめた。
国際A級スーパークラスは黒山健一が小川友幸に3点差で勝利。開幕2連勝を飾った。
セクションは、配置は昨年とほぼ同じ。設定は微妙に変化があったようだが、全体的には昨年同様といっていい。コンパクトな会場の中に、さまざまなコンディションのセクションが含まれて、トライアルの醍醐味をくまなく味わうことができる。観戦には最適、しかも、ライダーからも走りごたえがあるということで、好評の会場である。今回は、奥の沢に向かう観客通路に、ていねいな遊歩道が建築されていた。主催側の努力には敬服。
それが功を奏して、国際A級スーパークラスの恒例となっている第1セクションでの長い待ち合い合戦はなかった。待ち合い合戦が楽しい理由もあまりないが、セクションは変化があったほうが、ライダーには緊張感が生まれる。ロケーションに限界もあって、セクションに変化をつけるのはむずかしいものだ(この点、何年も同じ会場で開催されている関東大会は、コースの設定もセクションの設定も、毎年変化がつけられていて感心する)。
真っ先にトライしたのは三谷英明。三谷は去年は国際A級を走ったから、スーパークラスの走りごたえは知らないはずだが、果敢にトライして1点。続いて坂田匠太が華麗にクリーンする。「去年もここだけはよかった」とマインダーのお父さんが苦笑いするも、その走りは全ライダーの中でもひときわ美しかった。黒山健一や小川友幸はもちろんくりーんしているわけだが、黒山は一気に登ろうとした岩の手前で一瞬躊躇し、ラインを変えてクリアするなど、少しだけひやっとするところもあった。坂田のトライは、完璧だった。
坂田のあと、小森文彦が1点で通過、田中善弘が2点で走り抜けたあと、黒山、小川友幸、野崎などがクリーン。開幕戦では滑り出しのセクションをことごとく失敗したイタリア帰りの小川毅士が、タイミングをまちがえラインを修正しながら時間ぎりぎりでクリーン。このセクションで5点となってしまったのは二人、井内将太郎と尾西和博、そして本来ならトップに切り込んでいくはずの田中太一だった。
2セクションは滑る泥と大岩。ここは井内と尾西が3点で抜け、田中善弘が2点、田中太一が1点で通過した。黒山、小川友幸、野崎、小川毅士の4人はクリーンだ(トライアルに詳しい人にはいまさら説明の要はないけれど、トライアルのトップクラス、国際A級スーパークラスには小川友幸と小川毅士、田中太一と田中善弘と、小川さんと田中さんがふたりずついる。さらに、小川友幸のマインダーは田中裕大、小川毅士のマインダーは田中裕人と、田中さんがいっぱい。さらに尾西和博のマインダーは小川伸字さんと小川勢力もまけていない。このうち、裕大と裕人は兄弟だが、その他の小川さんと田中さんに血縁関係はない。昔々、トライアル界には山本昌也さんという5年連続チャンピオンがいた。今回MFJのお仕事でセクション査察をしていたのがその昌也さんだが、ライバルに山本弘之さんがいて、当時のトライアル委員長は山本隆さんといって、その息子の明さんも国際A級だった。トライアルには同姓が多い。黒山健一の周囲には一郎さん、二郎さん、和枝さんと黒山さんが多いが、これはみなご家族だから、偶然ではない)。
第3セクションは、国際B級には最難関セクションとなったが、スーパークラスには逆にクリーンの出しやすいセクションとなった。田中太一、田中善弘、尾西がこの日初クリーン、もちろん黒山、小川友幸、野崎、小川毅士もクリーンだ。
一転、トップライダーが減点を刻みはじめたのは、次の第4セクションからだった。第4は豪快なヒルクライム。途中に段があって、ここで失速して登れない。段を避けた野崎が3点、うまく段に添わせた小川が1点で通過したが、さらに黒山が見事なクリーン。その他はみな5点となって、クリーン合戦はここまで。黒山が1点だけリードを奪うことになった。
ほぼクリーンセクションだった第5セクションをはさみ(それでも、1ラップ目に野崎は5点となった)第6セクションは沢を降りていった大岩盤。つるつるの一枚岩盤を登っていくダイナミックなセクションだが、小川友幸に言わせると、ここもクリーンすべきセクションとのことだった。しかし実際には黒山も小川友幸も、ここをクリーンできたのは3ラップ目のみ。そしてこの二人以外は、野崎と小川毅士と三谷英明が1回ずつ、田中太一が2回アウトしただけ。錫山の森の奥のダイナミックセクションは、やはり手ごわかった。
第7セクションは、さらに険しかった。1ラップ目に井内が3点で抜けたときには明るい兆しもあったが、井内はときどきこんなふうに超難セクションを真っ先に抜け出てくる。その後、野崎と黒山が1点で出るも、抜けられたのは1ラップ目のみ。この第7に関しては、1ラップ目にクリーン、2ラップ目に3点で抜けた小川の一人勝ちだった。
二人のトップ争いに関してみれば、大きな勝負どころはこのふたつといってよかった。小川は2ラップ目の第6セクションを1点で抜ければ結果論として優勝だった。しかし小川はこの時、クリーンをしようと考えた。
「追う者の心理として、1点で確実にというより、クリーンをして挽回したいと考える。試合をリードされてしまうと、こういうミスが出る」
黒山は小川との戦いを「小川さんが本調子だったかどうかはわからないし、なんというかわからないけど、お互いに、かなりレベルの高い戦いができたと思う」と振り返った。ふたりとも、5点はふたつずつ。クリーンが24で同じ。スコア的にも、ほぼベストに近い。こういうときに勝てたというのは、黒山の今シーズンを占う点で、大きな意味を持ってくるにちがいない。
さて、序盤に調子よくクリーンを重ねた小川毅士は、1ラップ目を終えたところで野崎にたった1点だけリードしていた。この日は、いつもの3位争いのメンバーである田中太一が不調で、1ラップ目は田中善弘にポジションを奪われて6位に甘んじてしまっていた。毅士にすれば、野崎を攻略して3位を獲得する大きなチャンスだった。しかし2ラップ目以降、野崎の減点に対して毅士はスコアを押さえることができない。前回、序盤に緊張して不本意な失敗を繰り返した毅士だったが、今回はそこはクリア。されど表彰台は、今少し遠い。
野崎は、3位争いの勝利より、トップ争いができなかったことを課題とする。3位が指定席となって、その座を狙われるようではいけないのだ。しかし今回の野崎は、ほんの1週間前にぎっくり腰をやってしまって、歩けない状態。下見をするたびに苦痛が走った。2ラップ目以降は、下見をせずに腰を温存することで、腰が痛いなりの自分のペースを築くことに成功した。そんなわけで、本調子とはほど遠いが、その状態で3位を得たというところには、一応満足していると語った野崎だった。
野崎が3位に滑り込んだというなら、田中太一は5位に滑り込んだといったほうがいいかもしれない。結果的には20点近い差をつけはしたが、1ラップ目の5位は田中善弘に奪われていた。ウェットコンディションに苦手意識がある模様で、その克服には乗り込み以外にも課題がありそうだ。トップ4人が3ラップともクリーンした第1セクションで2度の5点があるなど(第1だけで見れば、太一のスコアは最下位に近い)、太一の実力からは考えられない失点が多いだけに、その復調は簡単なような気もするし、それだけにむずかしいのかもしれない。
6位にはなかば指定席的に井内将太郎が入った。体格の通り、線の細いライディングを見せるときもあれば、一転、持ち味の豪快な走りを見せたり、強引にマシンを押しだすパワーも発揮する。ポテンシャルが全セクションで発揮されれば結果も変わってくるのだが、次のトライはどんな井内がみられるかにわくわくできるのも、今の井内の魅力。
その井内と1点差は田中善弘。昨年までの成績からすると上出来。だがもともと善弘は、藤波貴久をライバルとし、黒山や小川友幸と育った天才ライダーだ。今はサンデーライダーとして試合を楽しむが、やはりライディングセンスは並ではない。チームを変わって、その実力が垣間かたちになるようになってきた。善弘の辞書には神経戦という単語はなさそうなので、ラップを通して追っかけをしてみたい選手のひとりでもある。
8位から11位までは、4人が同点という結果になった。今回は尾西和博に元気がなく最下位。前回最下位に甘んじた小森文彦が9位につけた。トップの緊迫した戦いとは別に、彼らのセクションとの闘いも、現在のスーパークラスのハイライトのひとつかもしれない。
さてトップ争い。両陣営は、今回は減点数を把握して戦っていた。3ラップ目の第2セクションで黒山が1点とってからは、両者の差は3点。3点差は一発5点があればひっくり返るから、まったく油断はできない。しかしきっちり走れば、トップの二人にとって、森の2セクション以外は充分クリーンが可能だ。森での戦いを終えたところで、決着は7割方ついていたといってもいい。
黒山は語る。
「開幕戦で優勝はしたけれど、実は大事なのは、今回だと考えていました。第1戦で優勝しても第2戦で取り返されたらランキングは振出しに戻る。ここで勝って始めて、ランキング争いをリードできると。だから今日は勝たなければいけないという気持ちで、ずいぶん緊張していました。案の定前の晩は寝れなくて、夜中の3時に二郎くんを叩き起こして冷蔵庫のコンセントを抜かせたました。冷蔵庫のブーンという音が気になって、寝れんかったくらいです。2ラップ目くらいまで、緊張はとけませんでしたね。さすがに3ラップ目になると、時間が少なくなって忙しくなったので、それどころではなくなりましたけど。それと、雨の試合でしばらく勝てていなかったので、雨の中で勝てたというのがうれしかった。そういうわけで、優勝したという以上に、今日はいろいろとうれしい要素のある勝利でした」
次は黒山の地元猪名川。前回から一転、チャンピオンのライディングを取り戻した小川友幸が、勝利の方程式を取り戻すことになるのか、それとも黒山がこのまま独走するのか、あるいは他の誰かが出てくるのか。近畿大会は、お楽しみだ。
●国際A級●
野本佳章が、国際A級初優勝を果たした。
野本は1988年生まれ。お誕生日が2月5日だから、20歳になったばっかりだ。2004年に国際B級ランキング2位で国際A級に昇格。昇格第1戦で6位になって気を吐いたが、以後の飛躍は4年目の今回を待たなければいけなかった。毎回、光るところを見せるも、試合を通じて好結果を残せず、ポイント圏外に順位を飛ばすことも多かった。2005年は緒戦の6位が最上位で7戦中3戦でポイント獲得。2006年は7位が最上位で、8戦中3戦でポイント獲得。2007年になって、ようやく全戦でポイントを獲得したが、最上位は8位と、デビュー大会の成績を上回れないでいた。2008年も、開幕戦真壁は9位。その才能は開花しないままだった。
この日の野本は、いつもとは戦い方がちがっていた。1ラップ目は11点を失点して11位。このまま終わればいつもの野本ペースだが、2ラップ目を1点ふたつの2点で回った。これで一気に4位にポジションを回復した。そして本領発揮が3ラップ目立った。野本は、この日唯一オールクリーンでラップを回り、2ラップ目までトップにつけていた本多元治に1点差で初優勝を達成したのだった。
実は野本は、実の兄をつい先日不慮の事故で亡くしたばかり。突然の家族の死に、家族全員が沈みきっていた中での九州大会参戦。「おれがなんかしなければ」という思いがあった。兄のために、家族のために、眠っていた才能がはじけた。
「今まで、調子がいいときも悪いときも、運のせいにしていた。調子がいいときは運がよかったと考えたし、悪いときも運が悪かったと片づけていた。でもこういう状況になって、運だなんだといっていられなくなった。なにがなんでも自分で結果を引き寄せないといけないと思い、クリーンを自分で勝ち取った。兄の死を機が、大きな転機でした」
西元良太の初勝利に続いて、MFJのトライアルアカデミーで講師をしている二人が相次いで初優勝をとげたことにも触れて、アカデミーの活性化にも期待する。野本が勝ち方を覚えてしまったら、ライバルには手ごわい存在になるにちがいない。
国際A級、2位から15位までの各選手。左上から2位本多元治、3位柴田暁、4位西元良太、5位佃大輔、6位岡村将敏、7位斎藤晶夫、8位小野貴史、9位永久保恭平、10位西和陽、11位宮崎航、12位砂田真彦、13位尾藤正則、14位徳丸新伍、15位藤巻耕太
それにしても、初優勝が二人続いた今年。チャンピオン成田匠と、小森文彦、三谷英明のふたりが国際A級スーパークラスに移行したから、確かに勝ちやすくなってはいるのだが、去年までの4位以下がそのままスライドして表彰台を争っているという展開とはちがう。目の上のたんこぶである大ベテランがライバルでなくなったことで、勝利がより現実になってきたのがモチベーションに影響を与えているのではないか。ちょうど、世界選手権のユースやジュニアクラスの新設が、若手ライダーの掘り起こしに貢献しているように、国際A級クラスも若手が才能を磨き上げるクラスになると、今後に期待ができるクラスにつながっていくだろう。
●国際B級●
復活組ではかなりの大御所、上福浦明男が開幕戦の逆転負けから一転、見事な逆転勝利を飾った。
上福浦にとっての鬼門は、滑りやすい登りのターンにはい回る木の根っこだった。ここで1ラップ2ラップともに5点。さらに深い森の第6や第7にも5点があって、1ラップ目も2ラップ目も10点オーバー。1ラップ目を10点、2ラップ目を6点とした前回優勝の小野田理智に10点近い差を開けられて3位のポジションにつけていた。
しかし3ラップ目、上福浦はそれまでの課題を克服した。小野田の走りを観察し、参考にもした。鬼門の第3セクションは、初めて3点で走り抜けた。そしてここ以外のすべてのセクションをクリーンし続けて、3ラップ目は減点3。3ラップ目に減点を増やしたライバルを尻目に、見事な勝利を飾った。
「1ラップ目は、狙ったことがことごとく裏目に出て、前半戦は苦しかった。2ラップ目は別の攻略法にトライして、それが3ラップ目にようやく結果となって挽回できました。そういう試合への取り組みをしながら走れたことが、今日の大きな収穫で、それが楽しかった。仕事を持って、充分な練習ができない人は多いと思いますが、勝ち負けではなく、自分のトライアルがうまくいくかどうかが大事なんじゃないか。チャレンジした結果が5点だったり3点だったりするわけで、それを受け入れて楽しむことが大事なんじゃないでしょうか」
勝利の感想を尋ねれば、トライアルについても重みのあるコメントをしてくれた。
今回10位には、地元鹿児島の西和陽が入った。地元ゆえに地形やコンディションには慣れている強みはあるが、国際A級はそれだけで上位に入れるほど層が薄くない。1ラップ目は5位、2ラップ目は8位。この結果が、他の全日本にも好影響をもたらすか、さて。
国際B級、2位から15位までの各選手。左上から、2位小野田理智、3位松浦翼、4位大西貢、5位安岡護、6位中山徹志、7位前間元気、8位松本龍二、9位大田裕一、10位遠藤博文、11位橋口智彦、12位平井賢志、13位中田幸祐、14位木下裕喜、15位後藤研一
3位には、前回6位で素晴らしいデビュー戦となった松浦翼が入った。超ベテランの二人に続いて若手勢のリードをとっている。
松浦について、これまで全日本での出走記録はなかったが確証がなかったので「無得点圏から一気に6位」と書いてしまったら、竹屋泰さん(A級竹屋健二選手のお父さん)から「初挑戦で6位なんだからはっきりさせてちょうだい」とにこにことしかられた。すいません。なんでも、トライアルを始めてからまだ3年目だそうだ。急成長の松原には、今後も注目だ。竹屋さんの指導の賜物か(と書いておくから許してくださいと約束したのでした)。
3位松浦は熊本、4位大西貢は愛媛、6位中山徹志は長崎、7位前間元気は福岡と、5位に入った安岡護(兵庫)をのぞいては九州四国のライダーが大活躍。特に九州がすごい。今回は九州大会だからというのもあるかもしれないが、ランキングを見るとランキング3位松浦(熊本)、4位前間(長崎)、5位中山(福岡)、6位大田(鹿児島)と、九州勢が安定して上位を占めているのがわかる。九州トライアルは、いまが旬?
現場からの速報レポートは
http://www.shizenyama.com/i/
でお伝えしました。
現場からの速報なので、事実誤認などもあるのですが、訂正修正はせず、そのまま残してあります。
SUGOI藤波貴久
藤波貴久がテレビ東京の番組に登場するという情報。
4月4日20時〜22時
テレビ東京「SUGOI日本人」
世界ですごい!と言われている人を紹介する番組。
超有名な日本人”を徹底検証!新感覚の人物・エピソード当てバラエティー。
詳細はテレビ東京「SUGOI日本人」サイトをご参照ください。「爆走フルスロットル!命知らずの空飛ぶライダー」だそうです。
TX・TVO・TVA・TSC・TVh・TVQで同時放送とあるが、詳細はテレビ東京WEBサイト「SUGOI日本人」などをご覧ください。
TDNノミネート決まる
2008年トライアル・デ・ナシオン(TDN)に向けて、男子チームの日本代表選手のノミネートライダーが決まった。男子チームは、昨年と同様の顔ぶれが、日本代表として選ばれている。
女子についても調整が進んでいるが、現時点ではまだ発表にいたっていない。
ノミネートされた4名の選手は次の通り。
・藤波貴久(2007年世界選手権ランキング第3位)
・小川友幸(2007年全日本チャンピオン・2008年ランキング2位)
・黒山健一(2007年全日本ランキング2位・2008年ランキング1位)
・野崎史高(2007年全日本ランキング3位)・2008年ランキング3位
女子日本代表は、西村亜弥がめでたくもご懐妊のため戦線離脱。高橋摩耶も、2008年は全日本参戦をお休みしている。新たなメンバーの登場で、日本女子チームの厚みができるのも期待されるところだ。こちらは、選手会よりの発表を待ちたい。
男子も女子も、代表選手としての正式決定は選出委員会での選考を待つことになるが、2007年からはノミネートされたライダーを選出する段取りとなり、選手は事前から遠征準備ができるようなシステムとなっている。
トライアル・デ・ナシオンについては自然山通信TDNアーカイブもご覧ください。
トライアルが、変わる?
トライアルの運営方法が、変化を模索している。全日本は、すでに中部大会でスペシャルセクションという見やすい観戦を主な目的としたシステムを導入しているが、これとは別に、今年の中国大会(第5戦9月7日開催)で、実験的に今までとはまったく異なるタイムスケジュールで大会を運営することになった。
時期を同じくして、スペイン選手権でも、従来とはまったく異なるぎょうてんの大会運営がされている。どちらも、その目的はお客さんに見やすい(スペインの場合はテレビ中継などの可能性も含んでいる)大会運営だ。
全日本選手権開幕戦の土曜日のライダースミーティングで、MFJトライアル委員長の西英樹氏より、中国大会で実験的な運営をしてみたいので賛同してくれないかという提案があった。この提案は次の通り(概略)。西さんは中国エリアのトライアル委員長でもある。全日本選手権の前日にシニアとレディースの大会を開催してみたり、試みには熱心。「なにか変えていかないけん」が西さんの合い言葉だが、日本全国を変えるのは抵抗があっても、自分のところならそれが比較的容易ということで、中国大会での実験運用を検討することになった。
・IBクラスは午前7時半(現在の標準より30分程度早い)に第1ライダーがスタートするが、1分1台ではなく、1分2台のスタートとなる。60台参加とすると、最終ライダーのスタートはだいたい8時ちょうど、ゴールは12時ちょうど。
・IAクラスとIASクラスは、12時半に第1ライダーがスタートする。こちらも1分2台。IA、IASあわせて40台の参加があるとすると、最終スタートは12時50分ほどで、最終ゴールは約16時50分となる。
・IBクラスの表彰式は、IBクラスがゴールしたあとにおこなわれる。
この運営方法の実験の目的は、普及促進を目的とした観客へアピールできるトライアル競技への見直しとされている。セクションの下見に費やす時間が長いこと、それが時間が足りなくなってエスケープするなど、お客さんをがっかりさせる事態にもつながること、各クラス混走のために渋滞が発生することなどが、現状の懸案としてあげられている。
選手側の反応は、IBクラスが蚊帳の外におかれるような寂しい感じがある、という意見があった一方、お客さんに見やすい大会運営の模索は必須であり、新しい実験はどんどんやっていくべきである、という受けとり方が多かった。ちなみに真壁大会のタイムスケジュールを見ると、IBの最初のスタートが8時で、最終スタートが9時ちょっとなので、IBの面々は30分〜1時間早起きを強いられることになる。
蚊帳の外という感覚は、表彰式が上位クラスと別に行われるのと、早い時間には観客がいないという思いがあるようだ。現状では、IBの2ラップ目にはそろそろIASがスタートしていて、IBライダーも大観衆の前でトライすることができる。
自然山通信の感想としては、早起きしなければいけないのは大いにつらいが、これまで朝のうちしか観戦できなかったIBクラスを全試合にわたって追いかけられるのはたいへん興味深い。IBクラスはこれからの才能の宝庫の上に、ベテラン勢のがんばりもあって、多彩な顔ぶれを楽しむことができる。仕事ではIASを追いかけたいが、個人的にはIBを追ってみたいと思うことも多々あったから、この運営方法は大歓迎だ。ただ、IAクラスを追いかけられないのは従来同様で、中国大会では突然IBクラスに手厚いレポートが書けるかもしれないけど、IAクラスはIBとIASのついで、という扱いになってしまうかもしれない。IA専用の取材陣が置ければいいのだが、そんな取材体制がとれているところはどこにもないので、IAの方々にはごめんなさいです。つまり自然山的には、この運営方法で蚊帳の外におかれてしまうのは、IAクラスです。
従来から思っていたことがある。トライアルの試合は、なぜこんなに朝が早いのかと。競技時間が長いから、必然的に朝が早いのは理解できるのだが、もっともスタートが遅いIASでも、12時を少し回った頃には1ラップ目がだいぶ進んでいて、それも真壁大会のように競技時間が慌ただしいことになると(それが選手の時間の読みまちがいなのか運営面の問題かはここでは棚上げするとして)、お昼にきた観客は大急ぎの試合展開を見なければいけなくて、現実問題として、トライアルの醍醐味に入っていくのは不可能だろうと思う。
F1やモトGPを見ると、あれはテレビ中継とのかねあいもあるのだが、午後2時頃にスタートする。それまでは前座レースをやったり125や250のレースをやって、目玉レースはゆっくり(といっても家をでるのは早朝になるだろうけど)やってきたお客さんにも間に合うようなタイムスケジュールだ。午前中に、一番の目玉の試合の大半が決着しているなんてスポーツイベントは、トライアル以外にあるだろうか? その解答のひとつが、全日本中部大会のスペシャルセクション(通常の2ラップのあと、IASは難度を増した見ごたえのある3セクションを走る)であり、今回の中国大会の実験的運営システムだ。
こういった取り組みについては、全日本が国際組織であるFIMのルールや運営とかけ離れてしまっていいものかという議論が必ず出る(15セクション2ラップの世界選手権に対して日本の標準は10セクション3ラップなので、現状でFIMを踏襲しているとも言いにくいのだが)。ところがときを同じくして、世界選手権参戦ライダーの大半が出場するスペイン選手権で、世界選手権とはがらりと異なる運営方式を採用した。
ライダーは、土曜日にセクションの下見ができるが、スタートしたら下見ができない(!)。そして第1セクションをトライしたら、もう一度第1セクションをトライして、第2セクションへ向かう。第2セクションも2回トライする。そして第3へ。第5セクションを終えたところと、第10セクションを終えたところでタイムコントロールがあり、決められた時間を超過していると、ペナルティが科せられる。もちろん15セクションを終えたところでもタイムコントロールがある。持ち時間は3時間15分。今までは2周していたのを1周しかしないが、15セクションを2回やるのは変わらない。従来は5時間半だったから、かなり忙しいトライアルになる。
始まる前は、ライダーはみなブーイングだったそうだが、ヨーロッパは(スペインは)やると決めたら多少不完全なものでもやってしまって、あとからかたちにしていく技を持っている。いまやようやく日本でも浸透してきたユース125クラスも、最初はなんだかわからないまま始まったものだった。で、順応性が高いのもあちらの人たちの特徴だ。あちらの人たちとは国籍はちがうが、世界チャンピオンをとったくらいの人だから、藤波貴久も順応性は高い。「やってみたら、意外に悪くなかった」とは藤波の感想だ。
スペイン選手権とも全日本選手権ともちがうが、日本にはお巡りさんの大会もある。全国の警察が戸道府県ごとにチームを作ってトライアルやジムカーナ、その他いろいろ、白バイ隊員としての技術を競うのだが、そこにトライアルもある(マシンがないため、存続の危機だそうだが)。このトライアルが、下見は前日のみというルールでやっている。しっかりセクションを記憶しておくのも、白バイ大会ではトライアルの技術のうちなのだ。これは余談でした。
さてスペイン選手権では、やはり全日本と同様いくつかのクラスがあるが、この運営方法をとるのは、藤波らが走るトップクラスのみだそうだ。彼らのクラスはいわばIASクラスで、IAやIBは従来通り15セクションを2ラップして、下見をするのもご自由だそうだ。そしてその一番最後を走るライダーがだいたい10セクションあたりについた頃、スペインのIASクラスはスタートする。IASはひとつのセクションを2回ずつ走るから、IAに追いつくことはない。昨今、ユースクラスの人気でトップクラスがユースなどの2ラップ目に追いついて渋滞を発生することが少なからずあったが、これは新運営方式で一気に解決だ。
反面、下見がまったくできないというのは、危険でもある。下見をするなというのは、日本のようにライダーやマインダーのセクション改変を問題にしたのではなく、テレビカメラがセクション内にいる人間を排除したかったからだと思われるが、テレビ放映も重要だが、危険なのではちょっと困る。
3時間15分の持ち時間では、現実的に下見をしている時間はないので、どうしても下見の必要がある場合はライダー判断で自由に下見をさせてもいいのではないかというのは藤波案。持ち時間は、マシントラブルがあったら万事休す、あと少々余裕があったほうがいいが、それでも不可能な持ち時間ではなかったということだ。マシントラブルへの対処については、時間が少なくなっただけ、いよいよチーム力の発揮するところとなるため、これまで以上にチームのパワーが結果に影響するのではないかというのが、藤波の観測でもあった。日本では、マインダーのいるライダーといないライダーの格差が問題になっているが、マインダーがいるのが標準となったスペインでは、その先のチーム力の問題が発生しようとしている。
スペインの国内選手権での運営だから、そういうてんでは全日本での運営実験とまったく同じ試み(内容は異なるが)ということになるが、ところがなんせスペインであるから、これが好評をとるようなら、あるいは近い将来、世界選手権がこの運営方式になるかもしれない。
こちらも自然山の感想としては、今まで見たくても見るチャンスの少なかったユースやジュニアの選手をじっくり見られるようになって、歓迎すべき運営方法だと思うのであった。
なお全日本では、下見の方法が厳しくなっていた。土曜日にセクションを見るのは(セクションに入れるのは)、エントリーしたライダーのみ。当日も、スタートするまではセクションには入れない(もちろん、観客エリアからの下見はご自由だ)。前日も当日も、マインダーのセクション立ち入りはご法度(お助けのため、オブザーバーに許可を求めてはいるのは許される)。
マナーが悪いから、規則がどんどん厳しくなっていく、というのはとある競技役員さんのつぶやきだが、規則に違反しなければ(=ペナルティをもらわなければ)できることはすべてやって勝利をめざすのは競技人ととしての本能という気がする。わかりやすい規則が充実していくのは、これも歓迎すべきことではないだろうか。
黒山、大差で開幕戦勝利
全日本選手権第1戦は茨城県真壁トライアルランドでの関東大会。ゼッケン1番をつけて初めて試合に望む小川友幸の戦いぶりに注目が集まったが、開幕戦を制したのは黒山健一だった。それも小川にダブルスコアに近い大差をつけての圧勝だった。2007年は、スーパークラスのエントリーが激減した年だった。開幕前に尾西和博が負傷し、シーズン中盤には坂田匠太が負傷、また独特のキャラクターが人気だった渋谷勲がシーズン途中で戦線を離脱した。2008年は仕切り直し。イタリアから小川毅士も帰ってきて、国際A級からは三谷英明と小森文彦もこのクラスにステップアップしてきた。参加11名は、久々の盛況といえる。ただし国際A級チャンピオンを獲得した成田匠は、さすがに愛車SY125Fでスーパークラスのセクションに立ち向かうわけにもいかず、といって国際A級クラスでの継続参加は認められず、今シーズンは全日本選手権はお休みという結果になった。全日本にはできるだけ足を運ぶということだから、運がよければ、成田匠と一緒に観戦、というトライアルの楽しみも可能かもしれない。
さて、当日の真壁はあたたかかった。日中、風はちょっと冷たかったが、お天気もよく、風もすぐに止んだ。去年は雨、おととしは寒く、グリップが低下してセクション難度はことさらに高かったが、今年は狙い通りの設定となったのではなかったろうか。各クラス、トップクラスには失敗が許されない神経戦で、下位ライダーにもなるべく危険がない設定となっていた。
ただし、マインダーのいないスーパークラスはやはり悲惨で、果敢にチャレンジする三谷英明の大転倒シーンもあった。A級上位の者はスーパークラスに自動的に昇格というシステムは理にはかなっているが、参戦体制などを整えないと、やはり敷き居は高いようだ。三谷と小森は、規則的には昇格の必要はないのだが、A級クラスにとどまって毎年チャンピオン争いをしている実情をふまえて、後進に道を譲るべくスーパークラスへの参戦を決意したという。本心としては、あまり積極的な決断ではなかったようだ。
去年は、第1セクションでトップライダーがなかなかセクションインをせず、お客さんを延々と待たせていいものかという論争がわいたが、今回は人数が多く、三谷などが率先してセクションに入って言ったためもあって、ぴくりとも動かないという状況はいくぶんは改善されていたと思う。しかし結果的には、スーパークラスには大量のタイムオーバー減点が出た。お互いに牽制するのも勝負のおもしろさだとは思うが、トライアル勝負をしらないお客さんにもトライアルを楽しんでもらいたいと思えば、せめて現場で今なにが起こっているかの解説くらいは必要と思うし、牽制したあげくに20分前後のタイムオーバーに苦しむという試合運びは、結果表を見て首をかしげてしまうのは事実。しかしこれもまた、勝負ではある(もっとも、タイムオーバーはスーパークラスだけではなく、国際A級にも国際B級にも出ていた)。
第1セクションは、真っ先にトライした三谷英明が1点で通過。しかし小川毅士や田中太一は5点となるなど、あらためて三谷の才能を思い知らされる。結果的には9位となってしまった三谷だが、スーパークラスにあって、三谷の走りのキャラクターは独特。いろいろな個性が競い合うのは、やはり楽しいことだ。
この第1セクションで、小川友幸は1点。この日の小川は、ゼッケン1番のプレッシャーなのか、ちぐはぐな走りを続けて、チャンピオンらしい堂々たるところは見られなかった。存在感は昨年以前とはまったくちがって大きくなっているのだが、今回はなにか歯車が噛みあわなかったと思うしかない。第3セクションで黒山が足付減点を冒したあげくにタイムオーバーで5点になると、トップに立ったのは小川だったが、本人はここでトップに立ったのは意外以外のものではないらしく、この日のできとしては、2位を取るのも奇跡的なことだったという。
黒山は、序盤こそいくつかのミスがあったが、小川のことを気にするからいけないのだと、去年の課題を思い起こして試合をリセット、以後は17セクションにわたってクリーンし続けるという圧倒的強さを見せつけた(1ラップは11セクションだが、ラップオールクリーンは残念ながら達成せず)。 その減点は、ちょん足を2回ついた以外は5点が3つ、バランスを崩したマシンを支えられずに落としてしまったのが2回と、もう1回は本人はやや不本意、カードに触ったという採点での5点だった。いずれにしても、ライディングの内容的には、パーフェクトに近い。
黒山は、小川の前でスタート。小川には、時間的な余裕があった。これが小川をまた危機に立たせた。第7セクション、土の斜面を黒山だけがきれいにクリーン。続いてトライした野崎史高が、滑り落ちてくるときにつかまった立ち木が根こそぎ抜けてしまってセクションが壊れてしまった。その修復を待っているうち、小川の大量タイムオーバーが決定づけられた。
当の野崎も、このときに燃料ホースに穴を開けして待ってその修復に時間をとられ、小川をしのぐ大量タイムオーバーを喫してしまった。
この二人には先行して走っていた田中太一も、時間ぎりぎりの中で前輪をパンクさせ、セクションをいくつかエスケープして時間の帳尻を合わせることになった。田中も、今回は5点が多く、なかなか自分のペースに試合をもってこれなかったひとりである。タイムオーバーについては、今回、スーパークラスのライダーは井内将太郎を除いては、全員タイムオーバー減点をとっている。
現在の全日本が使っている集計ソフトは、1ラップ目のタイムオーバー減点を入力できない(このソフトが作られたときには、1ラップ目の設定タイムがルールになかったのだ)。なので本部が発表する途中経過もタイムオーバー減点が加算されておらず、試合展開は選手たちを含めて、なぞのまま進んでいくことになった。しかしそんな中でも黒山のアドバンテージはほぼ確実。3ラップとも減点は一桁だし、タイムオーバーはくらったものの小川や野崎よりもオンタイムに近いのもわかっていた。なにより、本人が勝利を実感していた。
肩の手術からの復帰が長引いた(お医者さんの見立てでは予定通りだった)のもあったが、2007年はそれまで勝ちすぎた反動が出て、勝利から見放されていた黒山健一。ここにきて、再び強い黒山健一が戻ってきた。
2位争いは、結局小川のものとなった。野崎や田中にしてみれば、小川が調子を乱している今回は2位を狙えるチャンスだったが、同じように試合運びを乱してしまった。野崎は走りの自己評価は高かったが、第7セクションの転倒でマシントラブルと大量のタイムオーバー減点を一度にもらったり、いくつかのセクションでカードに触ったなどの減点ももらった。こういった細かい試合運びをつめていくのが、今後の大きな課題だと語る。
今回は上位勢の乱れに乗じて、中盤までは井内や尾西の活躍も光っていた。しかし結局、1日を走り終えるとそれぞれあるべき位置につけてしまう。1日をトータルで戦うのがトライアルだから、序盤の数セクションでは結末は占えないのだが、限定条件ではあっても、上位陣との差がつまってきたのは興味深いことだ。
井内将太郎は、今年は新車のベータを操っている。田中善弘は、ホンダRTLにマシンを変えた。これがなにかを変えたのか、最下位が定位置だった昨年までの善弘とはちがっていた。変化はどんな場面でも必要なことなのかもしれない。
■国際A級
成田、三谷、小森がこのクラスからいなくなって、国際A級は若者らしいクラスになった(念のため、小森はまだまだ充分若い)。スーパークラス経験者は、本多元治、岡村将敏、佃大輔くらいのものだ。
今回は、西元良太が大きな成長を遂げた。これまで見るからにメンタルの弱さを背負ったトライアルをしていた西元が、大きな自信を身につけて走っている。シーズンオフにたっぷり練習をしたというが、動じない集中力はどうやって身につけたのだろう。表彰式で渡されたマイクに向かってのスピーチもなかなかのものだった。
1ラップ目こそ、小野貴史がトップを奪ったが、5点ひとつで勝負は簡単にひっくり返る。小野は2ラップ目にひとつ、3ラップ目にひとつ5点があった。この間、西元はなんと2、3ラップをオールクリーンしている。これにはライバルは手も足も出ない。タイムオーバーは2点もらったが、西元の勝利は揺るぎなかった。自転車トライアルでは世界チャンピオンになっている西元の、これが全日本初勝利だった。
2位は本多元治。3ラップ目の1点は西元に次ぐベストラップだが、1ラップ目に6点をとった時点で結果的には勝利には届かなかったということだ。3位岡村、4位小野とベテラン勢がかためるが、5位齋藤、6位宮崎、7位柴田、8位永久保、9位野本と、この後ろは若手がずらり。そしてなんと12位には、B級から昇格してきたばかりの藤巻耕太が入っている。藤巻のマシンは昨年同様に125cc。昇格緒戦でポイントをとるのも素晴らしいことだが、藤巻にはまだまだ大きな可能性が秘められているようだ。
■国際B級■
毎年8名のA級昇格者を輩出する国際B級クラスは、年が変わると新たな才能が芽を出してくる。経験の浅い若者がベテラン勢にもまれながら、徐々に力をつけてくるのをながめるのが、このクラスを観戦する楽しみだ。
そんな中で、今年は大物の参戦があった。上福浦明男。1989年にはトライアル・デ・ナシオンの日本代表にも選出された日本のトップライダーだ。その後事業に専念していたが、最近は地元中国大会にのみ参加していた。今年は可能な限りシリーズを追いかけたいとしている。若者にとっては、大きな目の上のたんこぶの登場だ。安定したセクション走破力を発揮して、1ラップ目もトップにつけ、勝利はかたいと思われていた。
ところが結果は、上福浦は2位だった。勝ったのは小野田理智。10年ほど前に若手ライダーとして、技術を切磋琢磨していた有望株のひとりだが、小野田もまた、長いブランクのあと、昨年最終戦で全日本に復帰、古いマシンで3位に入って周囲をわかせたものだった。
今回の注目株は熊本の23歳、松浦翼。前年の無得点圏から一気に6位入賞は、なかなかの快挙だ。もちろん去年昇格を逃した前間、大田、木下、荒木などの若手の活躍も目が離せないところだ。
ところで、今回はこのクラスに紅一点の女性ライダーがいた。今まで紅一点といえば関東の高橋摩耶だったが、高橋は全日本を欠場、変わって登場したのが関西の長谷山ちえみ。スーパークラス田中善弘と同じくチーム波田の所属。IBクラスのポイントランカーである西村亜弥がおめでたになったので、日本代表選手としても期待がかかる存在だ。初めての全日本はなかなか体当たりだったようだが、走破力が高そうな印象で、今後が楽しみでもある。
トップ争いもおもしろいが、100人近い参加者を集める全日本選手権、それぞれいろんなドラマをもって会場にやって来る。ひとつひとつの物語を見つけられれば、全日本はさらにおもしろい。
全日本開幕戦
3月9日、2008年全日本選手権シリーズがスタートする。第1戦は関東大会。茨城県桜川市真壁の真壁トライアルランドで開催となる。
大会事務局より参加ライダーのスタート&ゴール時刻の一覧表を提供いただいたので紹介します。
セクション地図は事前の公開はできないとのことでした。
2008MFJ全日本トライアル選手権シリーズ第1戦関東大会
スタート・ゴール時間表
| エキジビジョン125 | ||||
|---|---|---|---|---|
| ゼッケン | ライダー | スタート | 1L終了 | ゴール |
| 1 | 大神 和輝 | 8:00 | 11:30 | 13:30 |
| 国際B級 | ||||
| ゼッケン | ライダー | スタート | 1L終了 | ゴール |
| 81 | 横山 秀明 | 8:01 | 11:31 | 13:31 |
| 80 | 川原 徳親 | 8:02 | 11:32 | 13:32 |
| 79 | 山森 篤志 | 8:03 | 11:33 | 13:33 |
| 78 | 浦山 和巳 | 8:04 | 11:34 | 13:34 |
| 77 | 串馬 啓之 | 8:05 | 11:35 | 13:35 |
| 76 | 森脇 祥元 | 8:06 | 11:36 | 13:36 |
| 75 | 大久保 賢一 | 8:07 | 11:37 | 13:37 |
| 74 | 末松 宣隆 | 8:08 | 11:38 | 13:38 |
| 73 | 伊藤 紀夫 | 8:09 | 11:39 | 13:39 |
| 72 | 宮本 亘 | 8:10 | 11:40 | 13:40 |
| 71 | 小野寺 次郎 | 8:11 | 11:41 | 13:41 |
| 70 | 香川 義幸 | 8:12 | 11:42 | 13:42 |
| 69 | 古市 浩哉 | 8:13 | 11:43 | 13:43 |
| 68 | 山本 涼太 | 8:14 | 11:44 | 13:44 |
| 67 | 早乙女 護 | 8:15 | 11:45 | 13:45 |
| 66 | 宮嶋 清次 | 8:16 | 11:46 | 13:46 |
| 65 | 窪谷 貴正 | 8:17 | 11:47 | 13:47 |
| 64 | 井原 英二郎 | 8:18 | 11:48 | 13:48 |
| 63 | 上嶋 和幸 | 8:19 | 11:49 | 13:49 |
| 62 | 中村 吉則 | 8:20 | 11:50 | 13:50 |
| 61 | 堀内 明夫 | 8:21 | 11:51 | 13:51 |
| 60 | 若林 敬 | 8:22 | 11:52 | 13:52 |
| 59 | 長谷山 ちえみ | 8:23 | 11:53 | 13:53 |
| 58 | 佐藤 優樹 | 8:24 | 11:54 | 13:54 |
| 57 | 山口 晃一 | 8:25 | 11:55 | 13:55 |
| 56 | 中村 雄輔 | 8:26 | 11:56 | 13:56 |
| 55 | 長谷川 一樹 | 8:27 | 11:57 | 13:57 |
| 54 | 松岡 一樹 | 8:28 | 11:58 | 13:58 |
| 53 | 中田 幸佑 | 8:29 | 11:59 | 13:59 |
| 52 | 松浦 翼 | 8:30 | 12:00 | 14:00 |
| 51 | 山本 久敏 | 8:31 | 12:01 | 14:01 |
| 50 | 茂木 一 | 8:32 | 12:02 | 14:02 |
| 49 | 河合 浩司 | 8:33 | 12:03 | 14:03 |
| 48 | 石川 康 | 8:34 | 12:04 | 14:04 |
| 47 | 佐々木 治 | 8:35 | 12:05 | 14:05 |
| 46 | 清水 稔久 | 8:36 | 12:06 | 14:06 |
| 45 | 郡司 義宏 | 8:37 | 12:07 | 14:07 |
| 44 | 中田 雅之 | 8:38 | 12:08 | 14:08 |
| 43 | 石本 幸雄 | 8:39 | 12:09 | 14:09 |
| 42 | 市川 学 | 8:40 | 12:10 | 14:10 |
| 41 | 山口 雄治 | 8:41 | 12:11 | 14:11 |
| 40 | 斉藤 隆志 | 8:42 | 12:12 | 14:12 |
| 39 | 木村 大輔 | 8:43 | 12:13 | 14:13 |
| 38 | 川島 秀孝 | 8:44 | 12:14 | 14:14 |
| 37 | 荒生 和人 | 8:45 | 12:15 | 14:15 |
| 36 | 紺野 賢二 | 8:46 | 12:16 | 14:16 |
| 35 | 樋上 真司 | 8:47 | 12:17 | 14:17 |
| 33 | 吉平 正男 | 8:48 | 12:18 | 14:18 |
| 32 | 橋場 祐次 | 8:49 | 12:19 | 14:19 |
| 29 | 山口 朋久 | 8:50 | 12:20 | 14:20 |
| 27 | 加藤 有浩 | 8:51 | 12:21 | 14:21 |
| 26 | 松本 龍二 | 8:52 | 12:22 | 14:22 |
| 25 | 岩崎 直樹 | 8:53 | 12:23 | 14:23 |
| 24 | 遠藤 博文 | 8:54 | 12:24 | 14:24 |
| 20 | 木戸 孝則 | 8:55 | 12:25 | 14:25 |
| 18 | 岩見 秀一 | 8:56 | 12:26 | 14:26 |
| 15 | 上福浦 明男 | 8:57 | 12:27 | 14:27 |
| 14 | 安岡 護 | 8:58 | 12:28 | 14:28 |
| 13 | 薄井 修 | 8:59 | 12:29 | 14:29 |
| 12 | 大西 貴 | 9:00 | 12:30 | 14:30 |
| 10 | 小野田 理智 | 9:01 | 12:31 | 14:31 |
| 9 | 高田 貴是 | 9:02 | 12:32 | 14:32 |
| 8 | 藤原 竜 | 9:03 | 12:33 | 14:33 |
| 7 | 宮下 祥次 | 9:04 | 12:34 | 14:34 |
| 6 | 荒木 隆介 | 9:05 | 12:35 | 14:35 |
| 5 | 木下 裕喜 | 9:06 | 12:36 | 14:36 |
| 4 | 大田 裕一 | 9:07 | 12:37 | 14:37 |
| 2 | 前間 元気 | 9:08 | 12:38 | 14:38 |
| 1 | 中山 徹志 | 9:09 | 12:39 | 14:39 |
| 国際A級 | ||||
| ゼッケン | ライダー | スタート | 1L終了 | ゴール |
| 48 | 佐瀬 貫太 | 9:10 | 12:40 | 14:40 |
| 47 | 坂井 裕輔 | 9:11 | 12:41 | 14:41 |
| 46 | 江副 哲史 | 9:12 | 12:42 | 14:42 |
| 45 | 高橋 健啓 | 9:13 | 12:43 | 14:43 |
| 44 | 成田 亮 | 9:14 | 12:44 | 14:44 |
| 43 | 波田 親男 | 9:15 | 12:45 | 14:45 |
| 42 | 西 和陽 | 9:16 | 12:46 | 14:46 |
| 41 | 西村 尚己 | 9:17 | 12:47 | 14:47 |
| 40 | 尾藤 正則 | 9:18 | 12:48 | 14:48 |
| 39 | 徳丸 貴幸 | 9:19 | 12:49 | 14:49 |
| 38 | 佐々木 一晃 | 9:20 | 12:50 | 14:50 |
| 37 | 小野瀬 宏宇 | 9:21 | 12:51 | 14:51 |
| 36 | 池田 史郎 | 9:22 | 12:52 | 14:52 |
| 35 | 村田 慎示 | 9:23 | 12:53 | 14:53 |
| 34 | 鈴木 暢斗 | 9:24 | 12:54 | 14:54 |
| 33 | 高橋 由 | 9:25 | 12:55 | 14:55 |
| 32 | 川島 光世 | 9:26 | 12:56 | 14:56 |
| 31 | 藤原 慎也 | 9:27 | 12:57 | 14:57 |
| 30 | 三塚 政幸 | 9:28 | 12:58 | 14:58 |
| 29 | 高橋 伸一郎 | 9:29 | 12:59 | 14:59 |
| 28 | 沢上 祐介 | 9:30 | 13:00 | 15:00 |
| 24 | 荒木 隆俊 | 9:31 | 13:01 | 15:01 |
| 22 | 藤巻 耕太 | 9:32 | 13:02 | 15:02 |
| 21 | 滝口 輝 | 9:33 | 13:03 | 15:03 |
| 20 | 平田 貴裕 | 9:34 | 13:04 | 15:04 |
| 16 | 小谷 徹 | 9:35 | 13:05 | 15:05 |
| 15 | 砂田 真彦 | 9:36 | 13:06 | 15:06 |
| 14 | 永久保 恭平 | 9:37 | 13:07 | 15:07 |
| 13 | 佃 大輔 | 9:38 | 13:08 | 15:08 |
| 12 | 徳丸 新伍 | 9:39 | 13:09 | 15:09 |
| 11 | 斎藤 晶夫 | 9:40 | 13:10 | 15:10 |
| 10 | 岡村 将敏 | 9:41 | 13:11 | 15:11 |
| 9 | 小野 貴史 | 9:42 | 13:12 | 15:12 |
| 8 | 柴田 暁 | 9:43 | 13:13 | 15:13 |
| 7 | 野本 佳章 | 9:44 | 13:14 | 15:14 |
| 6 | 西元 良太 | 9:45 | 13:15 | 15:15 |
| 4 | 宮崎 航 | 9:46 | 13:16 | 15:16 |
| 2 | 本多 元治 | 9:47 | 13:17 | 15:17 |
| 国際A級スーパー | ||||
| ゼッケン | ライダー | スタート | 1L終了 | ゴール |
| 14 | 三谷 英明 | 9:50 | 13:20 | 15:20 |
| 13 | 小森 文彦 | 9:51 | 13:21 | 15:21 |
| 10 | 小川 毅士 | 9:52 | 13:22 | 15:22 |
| 9 | 尾西 和博 | 9:53 | 13:23 | 15:23 |
| 8 | 坂田 匠太 | 9:54 | 13:24 | 15:24 |
| 6 | 田中 善弘 | 9:55 | 13:25 | 15:25 |
| 5 | 井内 将太郎 | 9:56 | 13:26 | 15:26 |
| 4 | 田中 太一 | 9:57 | 13:27 | 15:27 |
| 3 | 野崎 史高 | 9:58 | 13:28 | 15:28 |
| 2 | 黒山 健一 | 9:59 | 13:29 | 15:29 |
| 1 | 小川 友幸 | 10:00 | 13:30 | 15:30 |
■有限会社自然山通信
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- 黒山、大差で開幕戦勝利
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