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LastUpDate:09.03.24 12:23
オリツィオとチスパ
スペインのチスパからプレスリリースが届いた。チスパが、専属ライダーを得たというお知らせ。そのライダーは、イタリア人のみケーレ・オリツィオだった。
残念ながら、世界選手権への参戦ではなく、イタリア選手権への参戦になるというが、チスパがメジャー選手権に参戦する、第一号となる。
オリツィオの戦いとともに、マシンのポテンシャルの証明という点でも、このパッケージは注目だ。
*一部改訂
オリツィオは、スコルパに乗ってイタリア選手権や世界選手権に参戦していた。
イタリアには何人かの著名ライダーがいるが、オリツィオは、そんな中では世界選手権への参戦頻度が高いライダーだった。そしてイタリア人の中では、ポイントを獲得することも比較的多いライダーだ。
去年あたりは、イタリアの世界選手権トップランカーはダニエレ・マウリノのその地位をキープしているが、オリツィオはふらりと世界選手権イタリア大会に現れたかと思うと、イタリア人最上位のポジションを得たりする。まじめに世界選手権挑戦を続ければ、中堅ライダーとしてのポジションは得られるのではないかと思えるのだが、どうもイタリア人にはそういうメンタリティはないようだ。
さてオリツィオとチスパ。イタリア選手権でどんな戦いを見せるか。グラタローラやレンツィ(世界選手権では完走することも珍しいが、イタリアではいまだトップを守るひとり)、マウリノやイオリタ、あるいはボシスを相手に、まずは表彰台に乗ることができれば、人車ともにそのポテンシャルをとりあえず実証することになるのではないだろうか。
と、このことを伝えるチスパからのリリースは「イタリアのミケーレ・オリツィオがイタリアのチスパインポーターとの契約で、イタリア選手権に参戦が決まった」と、それだけの簡潔明瞭のちょっと物足りない内容。イタリアのチスパインポーターは、実はスコルパのインポーターでもある。つまりオリツィオは、インポーターからの指示で、マシンをスコルパからチスパにスイッチしたということのようだ。チスパは、情報を流すとき、内容なしで写真だけを送ってくることが多い会社みたい、どうも。
(2009年03月18日)
カベスタニーがランク2位!
3位でランキング2位のカベスタニー
インドア最終戦。ここで、思いがけないことが起こった。ランキング2位を守っていたアダム・ラガが、まさかの5位に転落。アルベルト・カベスタニーに逆転されてランキング3位となった。カベスタニーは3位入賞を果たしてランキング2位を獲得した。
この、終盤のランキング争いの陰には、藤波貴久の活躍があった。藤波は最終戦を4位で終え、ランキングも4位。しかし今シーズンの藤波は、2位と3位が1回ずつを得て、去年よりは上向きの成績でアウトドアシーズンを迎えることになった。
オールクリーン!のトニー・ボウ
すでにタイトルを決めているトニー・ボウは圧倒的に強かった。クォリファイを2位で通過した藤波を相手にダブルレーンで勝利すると、そのまま残る6つのオブザーブドセクションをすべてクリーン。もとからインドアでの強さは圧倒的だったトニー・ボウだが、その強さはますます磨きがかかっている。
この大会から、ボウと藤波は2009年のアウトドアシリーズで使う新型のワークスマシンで戦っている。ニューマシンの仕上がりは上々のようで、その結果が、今回のオールクリーンに結実したとも言える。
ともあれボウは、自身の3連覇のシーズンの結末を、圧勝で飾ってみせたのだった。
今シーズン初表彰台のファハルド
ボウに続いて2位に入ったのは、ファハルドだった。EVOのデビューシーズンのエースライダーとなったファハルドは、今シーズンはこれが初めての表彰台だ。
クォリファイでは5位と、さすがにクォリファイ敗退はまずないにしても、ちょっとあぶなげなファイナル進出だったが、そこからのがんばりはすばらしかった。今シーズンのインドアのルールでは、クォリファイの重要度は昨年までに比べて低くなっているようだ。そして今回のファハルドは、今年のインドアルールを最大限に生かして駒を進めてきた。
最初のダブルレーンでは、6位でファイナルに進出したダニエル・オリベラス(2009年はガスガスに乗る)と対戦して勝利。ここから先は、クリーンの連続だった。第3と第4では、クリーンしながらタイムオーバーで1点ずつを失ったが、結局ファハルドは、一度も足をつくことなくこの日のすべてのセクションを走りきってしまった。ボウの前に勝利はなかったが、大快挙の2位入賞となった。
ラガのいない今年初の表彰台
問題は3位争いだった。クォリファイが終わって、第4セクションまでが終わったところでは、ラガとカベスタニーが同点で並んでいた。このふたりはまた、ランキング2位争いの渦中にいた。ただしラガがポイントでラガを2点リードしていたから、この最終戦でカベスタニーが3位、ラガが4位なら、ランキングは変わらず、ラガが3位のままだ。この期に及んでの逆転は、それを望むカベスタニーも、ほとんどあきらめていた。
ダブルレーンでボウと戦って2点を失った藤波は、第3セクションでラガが2点を失ったことでラガといったん同点に。しかし第4セクションで藤波は、減点1のタイムオーバー1点で、ここまでで4点減点。ラガは第4セクションを1点で切り抜け3点。折り返した時点では、ファハルドが2点、カベスタニーとラガが3点、藤波が4点とたいへんな接近戦となった。
僅差で4位となった藤波
第5セクション以降は、ますますのクリーン合戦となった。はじめてのファイナル進出でおっかなびっくりのオリベラスはちょっと番外だが、その他の5人はもはや1点も許さないという勢いで走り続ける。
第6セクション、最初に失点があったのが、ラガだった。これでラガの同点の相手は、カベスタニーではなく藤波となった。残るは最終第7セクションだけだ。
今年のルールでは、同点の場合は、最終セクションの走行タイムの速いほうが上位となることになっている。まず、4セクションまでで5位となっていた藤波が、ラガに先がけてトライする。ボウにはダブルレーンで負けているが、藤波もまた、スピードには定評がある。藤波は最終セクションをクリーン、タイムは38秒だった。このあとを走ったカベスタニーは、ここをクリーンすれば最終戦を3位で終えられる。ランキング2位はともかく、ランキング3位なら手に入りそうだ。ここは手堅くクリーンを狙う。
そのあとのトライが、ラガだった。ラガは、最終戦で表彰台を取りこぼしたくない。だから藤波に負けるわけにはいかなかった。藤波に勝つには、最終セクションをクリーンするだけでは足りない。38秒を切って走る必要がある。ラガは、藤波のスピードに果敢に選んだ。
その結果、ラガはこの日、トップ5の中では唯一の5点となってしまった。これでラガは万事休す。藤波との敗北は、3位カベスタニーとラガの間に、藤波が割って入ったということだった。
ランキングポイントは、これでラガとカベスタニーが同点。同点なら、優勝回数が多いほうが勝ちだが、今年は唯一1回だけ、カベスタニーがボウを破って勝利している。ということで、2009年のランキング2位は、カベスタニーということになった。
新色マシンのラガ
数年前まで、インドアといえばラガという感じで、圧倒的に強さを発揮したラガだが、その目玉は今やボウに持っていかれて、今年のラガはついに未勝利、2位も2回のみというかつてない結果に落ち着いてしまった。インドア的な技術でいえば、ボウについていけるのはラガが最右翼にいるのはまちがいないのだが、トライアルでは技術だけでないものも多く必要になる。今年のラガは、課題が多そうだ。
なおラガは、金色と黒を基調としたニューカラーのマシンを走らせた。どうやらこれが次期モデルの標準カラーとなるようだ。
Photo:Jake Miller (F.I.M.media)
| Qualificarion Lap(予選) |
| 1位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ | スペイン | 3 |
| 2位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ | 日本 | 15 |
| 3位 | アダム・ラガ | ガスガス | スペイン | 16 |
| 4位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | スペイン | 17 |
| 5位 | ダニエル・オリベラス | ガスガス | スペイン | 20 |
| 6位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | スペイン | 20 |
| 7位 | アルフレッド・ゴメス | モンテッサ | スペイン | 22 |
| 8位 | マイケル・ブラウン | シェルコ | イギリス | 22 |
| Final Lap(決勝) |
| 順 | 名前 | ダブルレーン | 2 | 3 | 4 | 小計 | 出 走 順 組 替 | 5 | 6 | 7 | 合計 |
| 1 | ボウ | -- | -- | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 2 | ファハルド | 0 | -- | -- | 0 | 0+1 | 0+1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 3 | カベスタニー | -- | 2 | -- | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 |
| 4 | 藤波 | -- | -- | 2 | 0 | 0 | 1+1 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 |
| 5 | ラガ | -- | 0 | -- | 2 | 0 | 1 | 3 | 0 | 1+0 | 5 | 9 |
| 6 | オリベラス | 2 | -- | -- | 1 | 5 | 5 | 13 | 5 | 2+1 | 3+1 | 25 |
| Ranking(ランキング) |
| 1位 | トニー・ボウ | 38 | 3年連続チャンピオン |
| 2位 | アルベルト・カベスタニー | 25 | 優勝1回 |
| 3位 | アダム・ラガ | 25 | 2位2回3位2回 |
| 4位 | 藤波貴久 | 22 | 2位1回3位1回 |
| 5位 | ジェロニ・ファハルド | 18 | 2位1回 |
| 6位 | マイケル・ブラウン | 8 |
| 7位 | ドギー・ランプキン | 4 |
| 8位 | ロリス・グビアン | 1 |
| 8位 | マテオ・グラタローラ | 1 |
| 8位 | ダニエル・オリベラス | 2 |
| 8位 | アルフレッド・ゴメス | 1 |
(2009年03月17日)
ボウ、チャンピオン決定
2月26日、2009年インドアトライアル世界選手権は第4戦がおこなわれ、ここまで2勝しているトニー・ボウが3勝目。4戦中3勝2位1回で、ランキング2位にアダム・ラガにポイント差8点をつけて、最終戦を待たずにタイトルを決定した。
藤波貴久は3位入賞。開幕戦の2位に続いて、2回目の表彰台をゲットした。
最終戦はスペインの首都マドリッド。今年は大会のキャンセルが相次ぎ、全5戦でのシリーズとなった。ボウ以下のランキングはラガ、カベスタニー、藤波が2点差で並んでいるが、インドアのポイント制を考えると、順当に走れば、それぞれのランキングもほぼ確定的かと思われる。
ボウは、クォリファイから絶好調だった。今回はイタリアとあってマテオ・グラタローラをゲストライダーとして7名がクォリファイに参加した。6人のノミネートライダーの中では最下位が指定席のマイケル・ブラウンだが、さすがにグラタローラが相手では、ブラウンに分がある。6名のファイナル進出は、ノミネートライダーの6名が勝ち取った。
| Qualificarion Lap(予選) |
| 1位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ | スペイン | 2 |
| 2位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | スペイン | 4 |
| 3位 | アダム・ラガ | ガスガス | スペイン | 4 |
| 4位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ | 日本 | 5 |
| 5位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | スペイン | 6 |
| 6位 | マイケル・ブラウン | シェルコ | イギリス | 10 |
| 7位 | マテオ・グラタローラ | シェルコ | イタリア | 25 |
いつものように、クォリファイの順位ではじめの4セクションの出走順とダブルレーンの対戦相手が決まる。最初の対戦はブラウンとカベスタニー。これはカベスタニーが(順当に)勝利した。次が、藤波とラガ。今回、クォリファイで絶好調のボウに続いて2位となったのは、ラガでもカベスタニーでもなく、ファハルドだったのだ。
ラガと藤波の勝負は、ラガが勝った。藤波は今シーズン、ダブルレーンに関しては1勝3敗。速さでは定評がある藤波が、今シーズンはなかなかだぶるレーンで勝てないでいる。しかし今回は、スピードそのものの遅れではなくて、スタートの合図をまちがえたことだった。いつものスタート合図を待っていた藤波は、タイミングをとる間もなくラガがスタートしていくのを見送ってしまった。あわてて追いかけて、もうちょっとで追いつくかというところで勝負は終わった。もうちょっとコースが長ければ藤波が勝ったかもしれないし、少なくとも同時にスタートしていれば、藤波の勝利はまちがいないところだった。
このあと3つのオブザベーションセクション。今回は、比較的簡単な、というか、がんばればクリーンができる設定だった。少なくともバルセロナのように、高いステップをいけるか落ちるかというような設定でなかったのは確かだ。
| Final Lap(決勝) |
| 順 | 名前 | ダブルレーン | 2 | 3 | 4 | 小計 | 出 走 順 組 替 | 5 | 6 | 7 | 合計 |
| 1 | ボウ | -- | -- | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0+1 | 1 |
| 2 | ラガ | -- | 0 | -- | 0 | 0 | 0+1 | 1 | 0+1 | 0 | 2+2 | 6 |
| 3 | 藤波 | -- | 2 | -- | 0 | 0 | 0+1 | 3 | 1+0 | 0+1 | 5 | 10 |
| 4 | カベスタニー | 0 | -- | -- | 0 | 0 | 5 | 5 | 0 | 0+1 | 5 | 11 |
| 5 | ファハルド | -- | -- | 2 | 0 | 0 | 5 | 7 | 2+1 | 5 | 5 | 20 |
| 6 | ブラウン | 2 | -- | -- | 5 | 1+1 | 5 | 14 | 5 | 5 | 5 | 29 |
ブラウンは5点がふたつで4セクションまでで14点。クォリファイで好調だったファハルドは、5点がひとつで7点(ダブルレーンでボウに敗北して2点をくらっている)。カベスタニーは5点ひとつで5点。藤波以上は5点がなく、ラガと藤波は4セクションでタイムオーバーの1点をとったのみ。ダブルレーンでの藤波の2点失点を抜きにすれば、両者の勝負は互角だ。
ボウは、すべてのセクションで減点なし。オールクリーンで勝負の後半戦を迎えた。チャンピオンがかかった大事な1戦とはいえ、もはやボウにプレッシャーなどはないようだ。
5セクション以降は、4セクションまでの成績順でトライする。3セクションまではクォリファイの成績順だったから、ブラウン、カベスタニー、藤波、ラガ、ファハルド、ボウの順だった。今度はブラウン、ファハルド、カベスタニー、藤波、ラガ、ボウの順となる。
5セクション以降は、ブラウンはオール5点。やはり、難度はちょっと増している。ファハルドは、5点がふたつ。クォリファイとファイナルとは、やっぱり勝手がちがうようだ。
カベスタニーは藤波に2点差で終盤戦に入ったが、後半戦では1点だけ追いついた。結果、1点差で表彰台を逃している。
カベスタニーに辛くも競り勝った藤波は、2点差のラガに、なんとか追いつき追い越し、2位表彰台を獲得したいところだった。しかしそうはならず。さらに2点引き離されて、3位を決めた。しかし開幕戦以来の表彰台である。
さて優勝争いは、これはもう争いにもならず。結局ボウは、最終セクションで僅かにタイムオーバーを喫して1点を取っただけで、ダブルレーンでも負けず、足も出さなかった。トータル減点は、この1点のみ。その王者ぶりには、手も足も出ない。
ラガも、5点がひとつもないという優秀な結果で試合を終えたのだが、ボウとは5点差。ついに、ラガがひとつも勝てないまま、インドアシーズンを終えてしまった。これも時代の流れだろうか。
| PointStandings(ランキング) |
| 1位 | トニー・ボウ | 30 | チャンピオン決定 |
| 2位 | アダム・ラガ | 22 |
| 3位 | アルベルト・カベスタニー | 20 |
| 4位 | 藤波貴久 | 18 |
| 5位 | ジェロニ・ファハルド | 12 |
| 6位 | マイケル・ブラウン | 7 |
| 7位 | ドギー・ランプキン | 4 |
| 8位 | ロリス・グビアン | 1 |
| 8位 | マテオ・グラタローラ | 1 |
さて、残り試合はあと1戦。2回めのスペインであるマドリッドが最終戦となる。ボウとランキング2位のラガの点差は現時点で8点。優勝して得られるポイントも8点だから、最終戦でラガが優勝しても、優勝回数でボウのランキング上位が決まる。つまり、チャンピオン決定だ。
2位以下は2点差でラガ、カベスタニー、藤波と続く。しかしインドアのポイントは1位から 7位まで、8点、6点、5点、4点、3点、2点、1点となっている。2点差を縮めるのは至難である。つまり、現実的には最終戦でランキング順が変動することはまずないのではないかと思われる。となると、王者ボウがさらに王者ぶりを示すか、あるいはラガや藤波がシーズン初優勝を果たすか、カベスタニーが2勝目をあげるか、はたまたファハルドが……、という興味になるが、さて、どうなるだろうか。
気になるのは、藤波にひじの故障が伝えられることだ。インドア第2戦あたりから故障が出ていたが、徐々によくなってきているという。ただし、間もなくアウトドアシリーズがスタートする。症状の状態と、アウトドアの開幕に万全の調子で望めるのか、ちょっと気になるところではある。
(2009年02月27日)
新しいFIMサイト
FIMサイトが新しいURLでリニューアルオープンしている。
トライアル情報も網羅されていて、なんとうれしいことに、インドアトライアルのダイジェスト映像も見ることができる。
言語はフランス語(公用語)と英語。
●FIM
インドアトライアルは、第1戦から第3戦まですべてがダイジェストで紹介されている。1位から3位までのトライ映像を見ることができるので、第1戦では藤波貴久のトライも収録されている。
あっという間のダジェスト映像だが、ヨーロッパのインドアトライアル風景の雰囲気を垣間見ることはできるだろう。
トニー・ボウが英語で優勝の喜びを語っているのはちょっと驚き。2009年のトニーは英語もしゃべるのかな?
(2009年02月21日)
グレーブス復活?
日本のモーターサイクル・オフロード史に革命的な衝撃を与えたグレーブス(Greeves)、すっかり歴史の中に葬られてしまったメーカーだが、ところがどっこい、イギリスからは、このグレーブス製のトライアルマシンがニューモデルとして登場するというニュースが入った。
グレーブスは、イギリスのクラッシックメーカーで、軽量のオフロードスポーツバイクを世に出して、ライディングにも革命を与えた逸品。スティーブ・マックイーン主演の名作映画「On Any Sunday(邦題:栄光のライダー。センスのない邦題だと思う)」でマックイーンやマルコム・スミスが楽しそうに走っているのがグレーブスだ。
ちょっと前のガスガスやシェルコのフレームワークに似ている気もするが、こちらはなんとアルミ製。リンクレスサスを使用し、ミッションは5速。
ひところ、トライアル界は4ストローク化の流れが顕著だったが、このところ、2ストロークのニューモデルがそこここから登場しているところが興味深い。
まずは280ccが開発されたが、125、250、280、310の各排気量を開発していく予定という。
マシンの実際については、いまだ不明点も多い。イギリスでのお値段も、まだ不明だ。
マシンを紹介しているグレーブスのサイトはこちら
(2009年02月13日)
ボウ頭ひとつリード
インドアトライアルの中でも特別な戦い、バルセロナ大会が2月8日に開催された。今回で32回めを迎えるという伝統の一戦だ。会場のサン・ジョルディ・スタジアムも、インドアトライアルの中では格別に大きい。
この一戦でトニー・ボウが勝利。3戦中2勝で、ラキングポイントは一歩リードして残り2戦の終盤戦に突入した。
表彰台は逃さないが勝利のないアダム・ラガは同点ながらランキング3位。第2戦で勝利したアルベルト・カベスタニーがランキング2位。藤波貴久は今大会で5位と低迷して、ランキングを4位に落としている。
Photo:Pep Segales(SoloMotoOffRoad)
バルセロナ大会は、試合の流れも特別だ。いつもは7人8人の参加者の中から、ファイナルに進出する6人のライダーを選出するクォリファイラップをおこなうのだが、今回は最初からノミネートされた6名のみが登場、1ラップのみでの戦いとなった。セクション数は、いつもより多い。
ゾーンは3つにわかれていて、ダブルレーン(1対1の競走)を含む最初の4セクションは、ランキング順でトライする。最初にトライするのがマイケル・ブラウン(シェルコ・イギリス)、次がランキング5位のジェロニ・ファハルド(ベータ・スペイン)。次にスタートするのが意外にもランキング4位のアダム・ラガ(ガスガス・スペイン)。そしてランキング3位が藤波貴久(モンテッサ・日本)、アルベルト・カベスタニー(シェルコ・スペイン)、トニー・ボウ(モンテッサ・日本)とトライしていく。
5セクションからは、4セクションまでの順位でトライ順が決まり、8セクション以降は7セクションまでの順位でトライ順が決まる。トライ順3回組み替えという長丁場だ。
最初のメニューであるダブルレーンは、ランキング順にブラウンvsファハルド、ラガvs藤波、カベスタニーvsボウで対決する。相手が誰でも負けると減点2点をもらってしまうダブルレーンは、試合の最初に設けられているだけに、気合いが必要だ。
今年の2戦のダブルレーンで珍しく負けを続けてしまった藤波だが、3度目の正直の今回は負けなかった。セクションとしてちょっとむずかしい今回のダブルレーンセクションを、足つきや転倒がないようにじっくり攻めるラガに対して、果敢にアタックした藤波。結果として足つき1回の減点をとってしまったが、ラガに勝利。まずまずの滑り出しだった。
カベスタニー、ラガが2点(負けた減点)、藤波が1点(足つき減点)とダブルレーンでライバルが失点する中、減点ゼロはふたりだけ。ボウはいつものとおりという感じだが、もうひとりがファハルドだった。軽量のEVOを愛車とするファハルドは、ようやくその真価を発揮できるところまでマシンになじんできたようだ。
第2セクションを登ったのはカベスタニーとファハルドだけ。たった2セクションだが、ファハルドが減点ゼロでトップ、2点のカベスタニー、5点のボウ、6点の藤波、7点のラガ、8点のブラウンとつづく。難関セクションつづきだから、ひとつ上がれればアドバンテージも大きい。
結局2セクションから4セクションまでの序盤グループでは、ブラウンが5点三つ。ボウとファハルドは5点ひとつで同点トップ。ほかの3人はそれぞれふたつの5点を喫した。ブラウンの最下位は決定的となり(お気の毒だが、ブラウンの6位低位置は今年は確定的。しかし、たくさんのものを吸収するにちがいない)。そしてボウとファハルドの好調が前半戦で明らかになっていった。ボウとファハルドが6点、ラガ、カベスタニー、藤波が12点でそれぞれ同点。
ミドルゾーンではブラウンがオール5点。ボウがタイムオーバー1点のみのオールクリーン。トップと6位のポジションが明らかになっていった。ラガとカベスタニーはクリーンふたつ、ファハルドと藤波はくりーんひとつ5点ふたつで、ここでファハルドが2位争いの混戦に加わった。逆に藤波は、2位争いにやや遅れをとっての5位に落ち着いてしまった。第6セクションをクリア目前で5点を喫してしまったのがくやまれた。
8セクションでボウとラガがクリーン。これでラガが2位争いをちょっとリード。最終セクションは難セクションで、藤波とラガは2点+タイムオーバー2点で4点、カベスタニーは1点+タイムオーバー2点で3点、ファハルドは2点+3点でせっかく走ったのに5点になってしまった。ボウは、ここをあっさり5点として試合を終えた。それでも勝利は圧倒的だった。
結局、ダブルレーン以外の9個のセクションを、いくつ抜けられるかで勝敗が決まった。ボウは7個、ラガが6個、カベスタニーとファハルドが5個、藤波が4個。まさに、あがるか落ちるかのトライアルだった。
| Trial(今回は予選なし) |
| 順 | 名前 | ダブルレーン | 2 | 3 | 4 | 小計 | 出 走 順 組 替 | 5 | 6 | 7 | 小計 | 出 走 順 組 替 | 8 | 9 | 10 | 合計 |
| 1 | ボウ | -- | -- | 0 | 5 | 1 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0+1 | 7 | 0 | 0 | 5 | 12 |
| 2 | ラガ | -- | 2 | -- | 5 | 5 | 0 | 12 | 0 | 0 | 5 | 17 | 0 | 0 | 2+2 | 21 |
| 3 | カベスタニー | -- | -- | 2 | 0 | 5 | 5 | 12 | 0 | 0 | 5 | 17 | 5 | 0 | 1+2 | 25 |
| 4 | ファハルド | 0 | -- | -- | 0 | 5 | 0+1 | 6 | 0 | 5 | 5 | 16 | 5 | 0 | 2+3 | 26 |
| 5 | 藤波 | -- | 1+0 | -- | 5 | 5 | 0+1 | 12 | 0 | 5 | 5 | 22 | 5 | 0 | 2+2 | 31 |
| 6 | ブラウン | 1+2 | -- | -- | 5 | 5 | 5 | 18 | 5 | 5 | 5 | 33 | 5 | 0+1 | 5 | 44 |
| PointStandings(ランキング) |
| 1位 | トニー・ボウ | 22 |
| 2位 | アルベルト・カベスタニー | 16 |
| 3位 | アダム・ラガ | 16 |
| 4位 | 藤波貴久 | 13 |
| 5位 | ジェロニ・ファハルド | 9 |
| 6位 | マイケル・ブラウン | 5 |
| 7位 | ドギー・ランプキン | 4 |
| 8位 | ロリス・グビアン | 1 |
(2009年02月10日)
カベスタニー、勝つ
インドア世界選手権、その第2戦は、南フランスの港町、マルセイユで開催された。
優勝は、アルベルト・カベスタニー(シェルコ・スペイン)。シリーズの開幕戦、イギリスのシェフィールドでは5位というあるまじき低位置に甘んじたカベスタニーだったが、一転、元インドアチャンピオンとしての実力を発揮して自分のポジションを取り戻した一戦となった。
シェフィールドで2位になった藤波貴久(モンテッサ)は、アダム・ラガ(ガスガス・スペイン)と僅差の3位争いを繰り広げたが、敗れて4位。開幕戦での好調を維持することはできなかった。2位はトニー・ボウ(モンテッサ・スペイン)。
今回は、ゲストライダーとして08ジュニアチャンピオンのロリス・グビアン(ガスガス・フランス)が参加した。
Photo:Mario Candellone
カベスタニー
クォリファイ(予選)を最初に走るのは、ゲストライダーのグビアン。ジュニアチャンピオンのグビアンは、今シーズンはガスガスを選んだ。ノミネートされている6人に対抗するにはまだまだ経験不足だが、こういったゲストの実績を積んで、インドアのテクニックを磨いていくのが先輩たちのやりかただ。
前回、ゲストのドギー・ランプキン(ベータ・イギリス)にファイナル進出の道を断たれてしまったマイケル・ブラウン(シェルコ・イギリス)は、今回はグビアンを下してクォリファイラップ6位となり、無事ファイナル進出を果たした。
クォリファイでトップとなったのはボウ。開幕戦では防衛の緊張でガチガチだったトニーも、1勝を挙げてチャンピオンとしての落ち着きを取り戻したようだ。
トニーに2点差でクォリファイトップを譲ったのはラガだった。ラガの減点は7点。そのまた1点差でクォリファイ3位となったのがカベスタニーだった。カベスタニーは、開幕戦に続けて表彰台上位につけたい藤波を下して、ファイナルでの上位スタート順(遅いスタート)を得たのだった。ファイナルでのスタート順は、クォリファイでの成績によって決められる。
ボウ
ファイナル。最初のセクションはスピードレースである“ダブルレーン”。対決の組み合わせは、クォリファイ1位と2位、3位と4位、5位と6位となっている。今回でいえば、ボウとラガ、カベスタニーと藤波、ファハルドとブラウンということになる。そして去年までは、ダブルレーンでの敗退は減点1点だったが、今年は2点減点となった。スピードレースの勝敗が、より大きなウェイトを占めることになった。そして、このスピードレースで開幕戦から2敗を喫してしまったのが、藤波だった。藤波よりクォリファイで順位がひとつ悪かったジェロニ・ファハルド(ベータ・スペイン)は、ダブルレーンの相手がブラウンだから、こういっては悪いが勝利は容易。クォリファイの通過順位が悪い方が、逆によい展開を得るという、これもインドアトライアルの勝負の妙かもしれない(もちろん、スタート順が早くていいことはほとんどない)。
ブラウンと藤波、そしてラガが2点減点をとって始まったマルセイユ大会ファイナルラップ。マルセイユのセクションは、高いばかりのスペイン風インドア大会とはちがい、イギリスのそれに近い、一発で5点になるポイントも少ない代わりに、タイムが厳しかったり出口まで気が抜けなかったり、難度が高いセクションが多い。
こんな中、やはり本領を発揮していったのが、チャンピオンのボウだった。ダブルレーンの第1、第2、第3と次々にクリーンし、前半最後の第4セクションでクリーンしながらタイムオーバーの1点。小計1点で試合を折り返した。
これに続くはカベスタニーで3点。第3で1点、第4でタイムオーバーの2点減点のふたつのみ。対してラガはダブルレーンでの2点に加えて、第2、第3、第4のすべてで減点をとって、今回は優勝争いからは一歩退いてしまった感じだ。そしてラガに1点差につけたのが藤波。しかし藤波と同点には、ダブルレーンでブラウンに勝利したファハルドがつけていた。3位争いはし烈だ。
ラガ
第5セクションからは、第4までの結果でスタート順を入れ替える。カベスタニーが暫定2位につけたので、ラガとカベスタニーのスタート順が入れ替わっての後半戦となった。
後半戦、ここまで好調だったボウが、わずかに調子を乱してきた。第5で1点、第6で減点1点にタイムオーバー1点、さらに第7で減点1。それぞれ、致命的減点ともいえないが、それも相手次第だ。
絶好調男に変身したのがカベスタニー。5、6とクリーンして、第7で1点。すべてタイムオーバーなし。完璧だった。
これでボウは、たった1点差で2連勝を阻まれることになった。
「トライアルっていうものは、たった1点差でも勝ちは勝ち。おんなじように、ほんの僅差で負けることもある。今日みたいにね。今日は残念だったけど、それでも最悪じゃない。だって、ぼくはまだランキングトップだ」
チャンピオン、ボウの自信をのぞかせた敗退の弁だった。
藤波
藤波は、今回は上位を狙って気持ちを乱してしまったと語る。上位を狙うことで体がかたくなり、バランスを崩したりして減点するだけでなく、ときにスムーズなライディングを失って、セクション内での時間も失ってタイムオーバー減点も喫してしまう。自ら悪循環を招いてしまっての表彰台脱落だった。
しかしもしも、上位を狙う緊張なく、自然にトライができていたら、今回のカベスタニーとボウに届くかどうかはともかく、少なくとも3点差のラガには届く可能性が充分にあったのではないか。表彰台になかなか届かなかった去年のシーズンから一転、表彰台にのるのが当然の実感があるのが現在の藤波だ。それだけに、表彰台脱落は、くやしい。
次のシリーズ戦は、2月8日にトライアル王国スペイン・バルセロナで開催される。
| Final Lap(決勝) |
| 順 | 名前 | ダブルレーン | 2 | 3 | 4 | 小計 | 出 走 順 組 替 | 5 | 6 | 7 | 合計 |
| 1 | カベスタニー | -- | 0 | -- | 0 | 1 | 0+2 | 3 | 0 | 0 | 1 | 4 |
| 2 | ボウ | -- | -- | 0 | 0 | 0 | 0+1 | 1 | 1 | 1+1 | 1 | 5 |
| 3 | ラガ | -- | -- | 2 | 0+1 | 2 | 1+1 | 7 | 1 | 1+1 | 1 | 11 |
| 4 | 藤波 | -- | 2 | -- | 1 | 1+1 | 1+2 | 8 | 0+1 | 3+1 | 1 | 14 |
| 5 | ファハルド | 0 | -- | -- | 1+1 | 1+2 | 0+3 | 8 | 5 | 5 | 5 | 23 |
| 6 | ブラウン | 2 | -- | -- | 3+2 | 5 | 5 | 17 | 2+2 | 1+1 | 2+1 | 26 |
| Qualificarion Lap(予選) |
| 1位 | トニー・ボウ | レプソル・モンテッサ | スペイン | 5 |
| 2位 | アダム・ラガ | ガスガス | スペイン | 7 |
| 3位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | スペイン | 8 |
| 4位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ | 日本 | 10 |
| 5位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | スペイン | 15 |
| 6位 | マイケル・ブラウン | シェルコ | イギリス | 21 |
| 7位 | ロリス・グビアン | ガスガス | フランス | 27 |
| PointStandings(ランキング) |
| 1位 | トニー・ボウ | 14 |
| 2位 | アルベルト・カベスタニー | 11 |
| 3位 | 藤波貴久 | 10 |
| 4位 | アダム・ラガ | 10 |
| 5位 | ジェロニ・ファハルド | 5 |
| 6位 | ドギー・ランプキン | 4 |
| 7位 | マイケル・ブラウン | 3 |
| 8位 | ロリス・グビアン | 1 |
(2009年01月27日)
007の乗るモーターサイクル
現在公開中の007、その22作目「QUANTUM OF SOLACE(邦題:慰めの報酬)」に、気になるモーターサイクルが登場している。クラシックな軍用バイクに見えないこともないし、トライアルマシンにも見える。さてこのマシンはなんだろう。
ジェームス・ボンドはイギリスの秘密情報部員だから、イギリスの情報通に聞いてみた。それはトライアンフでもアームストロングでもなく、モンテッサだった。
ジェームス・ボンドから情報活動に使うマシンについて相談を受けたのは、モンテッサのイギリス代理店キャロライン・サンディフォードだった。
マシンはボンドの要望にあわせてペイントされたが、それ以上のことは、サンディフォードも知らされていないという。できあがったフィルムを見れば、ペイントだけではなく、さまざまな改造も施されているようだ。
これは、プロモーション映像ではよく見えなかったマシンの概要、こんな感じだった。
長距離走行を可能にする大きなタンクが装備されているのは確認できるが、ターボチャージャーやミサイルの発射装置などが装備されているかどうかは写真からは判断できない。
リヤホイール形状から察するに、ホンダのワークス仕様ではないようだ。
このマシンを駆るジェームスは、垂直の壁を軽々と走破していく。ジェームスがどんなふうにトライアルテクニックを磨いたのかは、イギリスのトライアル情報通でもわからなかった。
(2009年01月24日)
スコルパ倒産?
1月19日、スコルパは自社のWEBサイト上で、スコルパ社がフランス政府の保護下に入ったことを報告した。
的確な訳がむずかしいことと、フランスでは日本とちがう経済システムがあるだろうことを考えれば、これをどう理解するのかはむずかしいが、いわゆる会社更生法の適用を受けたということのようだ。
サイトではまた、2009年モデルのオーダーは順調に入っていることと、これに対しての生産体制も従来と変わりないことが報告されている。
ヨーロッパでは、企業の倒産はけっこう多い。かつてイタリアで圧倒的シェアを誇っていたファンティックなども、何度も何度も倒産のニュースが流れ、聞く方もいいかげんに慣れっこになってしまった頃、本当につぶれてしまって以後復活はしていない。
近年でも、誤情報や単なるデマをあわせて、いろんなメーカーがつぶれただのつぶれそうだのという噂がとびかっている。うわさには火種のあるものもあるが、根も葉もないものも多い。今回は、当事者であるスコルパからの情報発信なので信憑性は明らかであるとともに、こういった情報を正確に発信することで、根も葉もないうわさが飛び交うことを防止する効果も狙っていると思われる。
実はスコルパには、去年あたりから経済的によい話はなかった。バックオーダーをかかえる125Fの生産がうまく回っていないこと(現在、公式サイトでは125Fはカタログからはずれている)、ガスガスから移籍してきたスタッフが、最近になってガスガスに舞い戻っていること、資金援助をしてくれるスポンサーや新オーナーを捜していたことなど、断片的な情報があったことは事実だ。
しかし、このご時世、生産業が経済的に苦しいのはスコルパに限ったことではなく、それがどこまで深刻なものなのかは、経営陣の見知るところだった。
経営が政府の保護下に入ったことで、致命的な事態は避けられたわけで、あるいはスコルパにすれば、苦しい時間からの脱却の宣言なのかもしれない。
スコルパの日本代理店エスジャパンの秋山宜仁氏も、スコルパとは密接な関係を続けているヤマハ発動機の木村治男氏も、異口同音に「スコルパの経営が難しい状況なのは世界的経済危機を受けて、以前から認識できていたことで、活動計画には影響がありません。これを機にスコルパが経済的に立ち直ってくれて、125Fが安定供給されることを切望します」とコメントしている。
黒山健一、野崎史高を擁するヤマハトライアルチームの活動はもちろん、今年度からIAS入りをする西元良太を始め、スコルパで全日本選手権に参戦するライダーにも、特に影響はないということ。このうえは、フランスのみなさんにがんばっていただいて、スコルパの早い復活と、スコルパブランドの安定供給を願うことにしよう。
(2009年01月20日)
藤波が開幕戦で2位
2009年のインドア世界選手権が始まった。開幕戦はイギリス・シェフィールド大会。今回からインドアの試合ルールが変更になり、決勝ラップを6人で戦うことになった。
藤波は予選ラップを5位で通過したが、決勝で実力を発揮。最終セクションまでトップを狙う位置につけた。最終セクションでボウがクリーン、3年連続タイトルに向けて幸先のいいスタートを切った。
1点差でボウを追っていたラガが最終セクションで3点を失い、ラガに1点差で3位につけていた藤波が最終セクションを1点でまとめたことにより、藤波が2位、ラガが3位となった。ゲストライダーのドギー・ランプキンは4位と存在感を示した。
Photo:Jake Miller
シーズンのはじまりはイギリスのシェフィールド。ドギー・ランプキンの地元でもあり、セクションコーディネイトをマーチン・ランプキンがおこなうことでも知られている。
そのドギーは、今年はインドアのノミネートライダーからはずれている。インドアのトップライダー、アウトドアのトップライダーというノミネートの条件からはずれてしまったためだ。今回は主催者の推薦枠でゲストとして参加したが、ドギーがインドアを走るのはこれが最後になるのではないかということで、集まったファンも声援に熱が入った。
アダム・ラガ
インドアトライアルは、今年大きな制度変更を迎えた。一番の大変化は、ユーロスポーツ(ヨーロッパの衛星放送)がインドアトライアル全戦を中継すると決めたことだ。これにより、まず中継に適したタイムスケジュールがとれるよう、試合のスケジュールの見直しがおこなわれた。
これまで、ファイナルラップ(決勝)を走るのは3人だった。しかし3人では少なすぎるという番組サイドからのアピールがあったとかで、今年からはファイナルを6人全員で走ることになった。
全戦に参加するノミネートライダーは6人。インドアの上位、アウトドアの上位(どちらもほとんど同じ顔ぶれだが)から選抜されたのは、トニー・ボウ、アダム・ラガ、藤波貴久、アルベルト・カベスタニー、ジェロニ・ファハルドの5人。これに、マイケル・ブラウンが加わって6人となっている。ノミネートライダーを誰にしようという論議では、当然5人の次に来るべきライダーの名が挙がったが、それはマルク・フレイシャ。藤波以外の5人がずらりとスペイン勢となってしまうこともあって、イギリスの若手ライダーが投入された(なぜダビルではなかったんだろう?)。
従来、クォリファイラップ(予選)はライダーがひとりずつ出てきて、持ち時間の中でクォリファイラップのすべてのセクションを一気に走るシステムがとられていた。ひとりずつの走りをじっくり見られるのも利点だし、一気に走ることで、ライダーにとっても体が冷えたり温まったりということがない点で利点だった。
主役級の活躍、ランプキン
今年はこれが一新。複数あるセクションに、全員がそれぞれトライするという方式になった。ヨーロッパのトライアルではなじみが薄いが、日本の草大会などでよくある“同時オープン”だと思えばいい。誰がどこのセクションからトライするかは、主催者によって決められていて、好きなセクションからトライできるわけではない。
ただし、クォリファイラップをどう運営するかは、それぞれの主催者に一任されているということなので、次回以降もこのルールでおこなわれるかどうかは不明。中継されるファイナルラップの時間が決まっているから、クォリファイラップの消化時間が不確定では困るという点からも、今回のこの形式は現実的なものではないかという気はする。
そしてファイナルラップ。クォリファイラップで出た順位に基づいてスタート順が決まり、今度は1セクションずつ6人がトライしていく(今回のように6人以上の参加者があった場合も、ファイナルラップには6人のみが出場する)。
このまま最後まで走るかと思いきや、半分ほど走ったところで、ファイナルラップのそこまでの順位でスタート順の変更。その順で、最後までトライが続く。
トニー・ボウ
ルールでもうひとつ変更があったのは、ダブルレーン(よーいどんで二人で平行して走るトライアル競走)で負けたほうの減点数。これまでは1点だけだったが、今回からは2点となった。重労働のダブルレーンに勝利して、えられるアドバンテージが1点だけというのは、ちょっと少ないご褒美だとは、前から感じさせられていたことだから、これは納得いく変更だった。
さてクォリファイラップ、ゲストライダーゆえ、第1セクションを真っ先にトライしたドギーが、なかなかよい走りを見せる。ドギーといえばシェフィールドの長年のスターだったから、この活躍にはお客さんも大喜び。声援を浴びて、ドギーの走りも往年の輝きを取り戻してくる。
冷めた見方をすれば、今回のインドアはスペイン勢がよく走っているスペインの素材ではなく、切り出した丸太なども含まれるイギリス風味のインドアセクション。セクション製作もマーチン・ランプキンだから、イギリス人の好みのセクション設定に味つけられていたともいえる。スペイン勢は年末ぎりぎりまでスペイン選手権でインドアトライアルをやっていたから、インドアはもう慣れっこ。これに対してそんなチャンスのない藤波やドギーは大きなハンディを持つわけだが、シェフィールドはスペイン勢以外のライダーが気勢を上げるチャンスの大会なのかもしれない。
一方、ボウはがちがちに緊張していて絶不調。らしくない失点もあって、クォリファイトップの座はアダム・ラガに明け渡してしまった。
ラガに続いて、3位に入ってくるべきが藤波だった。しかし藤波は、この日頭からフロアに落っこちるという大クラッシュを経験。激しいむち打ちのような症状となり、ライディングにも影響が出るダメージを負った。
ところが、ボウ同様に緊張でライディングに輝きがなかった藤波にすれば、この事故で緊張がほぐれて、よい感じでセクションを回れるようになった。首が回らないのは確かに大きなハンディだが、それ以上に自分の緊張が勝負に影響をもたらすというところに、メンタルスポーツとしてのトライアルの特質がある。
| Qualificarion Lap(予選) |
| 1位 | アダム・ラガ | ガスガス | 6 |
| 2位 | トニー・ボウ | モンテッサ | 9 |
| 3位 | ドギー・ランプキン | ベータ | 11 |
| 4位 | ジェロニ・ファハルド | ベータ | 11 |
| 5位 | 藤波貴久 | モンテッサ | 12 |
| 6位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 17 |
| 7位 | マイケル・ブラウン | シェルコ | 20 |
これで藤波は、ダブルレーンを残して3位のポジションをキープしていた。10点。ドギーが1点差まで迫ってきているが、ボウとも1点差と悪くない位置だ。ところが最後のダブルレーンで、藤波は負けた。ダブルレーンの相手は、ドギーだった。
藤波がダブルレーンで負けることはめったにないのだが、やはり首の影響か、それとも地元で気合いの入ったドギーが速かったのか、これでドギーは、ファハルドと同点ながら3位でクォリファイを通過し、藤波は5位ということにあいなった。去年までなら、5位となったところでインドアの戦いは終了する。“なんともくやしいダブルレーン”なんていうタイトルが浮かぶところだが、今年は5位でもファイナルに進出する。
そしてファイナルラップ。ボウの緊張はまだ続いている。ラガとのダブルレーンでは勝利したものの、ボウ以外の全員がクリーンした第3セクションで5点をとるなど、本調子とはほど遠い。とはいえラガもラガで、ダブルレーンでボウに負けたり、第1セクションで5点をとったり(第1セクションはそれなりにむずかしかった)失点があり、第4セクションを終えたところで、ボウとラガは7点で同点だった。
| ファイナルナップ |
| 順 | 名前 | ダブルレーン | 2 | 3 | 4 | 小計 | 出 走 順
組 替
| 5 | 6 | 7 | 合計 |
| 1 | ボウ | -- | -- | 0 | 1+1 | 5 | 0 | 7 | 0 | 0 | 0 | 7 |
| 2 | 藤波 | 2 | -- | -- | 5 | 0 | 0+1 | 8 | 0+1 | 0 | 0+1 | 10 |
| 3 | ラガ | -- | -- | 2 | 5 | 0 | 0 | 7 | 0+1 | 0 | 2+1 | 11 |
| 4 | ランプキン | -- | 0 | -- | 5 | 0 | 0+1 | 6 | 5 | 0 | 5 | 16 |
| 5 | カベスタニー | 0 | -- | -- | 5 | 0 | 5 | 10 | 5 | 0 | 5 | 20 |
| 6 | ファハルド | -- | 2 | -- | 5 | 0 | 5 | 12 | 5 | 2+1 | 3+2 | 25 |
ここに伏兵がいた。ボウとラガを脅かした伏兵は、残念ながら藤波ではなく、なんと引退興行でもあったドギー・ランプキンだった。ドギーはダブルレーンでファハルドに勝利し、5点ひとつ1点ひとつで6点。なんとここまででトップである。
4セクションを終えたところでスタート順の組み替え。ドギーが一番最後からトライするという、イギリスファンの溜飲を下げる展開となった。
しかし、ここでようやくエンジンに火が入ったのがボウだ。最初の4セクションを3位で終えたボウは、藤波に次ぐ4番手でスタート。最初にトライしたファハルドが5点、続くカベスタニーも5点。3番手の藤波はクリーンをしたものの1点のタイムオーバー減点。さらに続くボウはクリーン、ラガがクリーンのタイムオーバー1点で、最後にトライしたドギーが5点。
勝負は、いつものトップ3に絞られてきた感があった。続くセクションでは、ファハルドが3点をとった以外はみなクリーン。勝負は最終セクションにもつれ込んだ。
藤波貴久
最終セクションは水のセクション。ファハルド、カベスタニーが5点。これで5位、6位が決定だ。続いて藤波はタイムオーバーをしながらもクリーンで、減点は1。トータルの減点は10点となった。この時点で、藤波の3位以上げ決定した。
次はボウ。後半2セクションを連続クリーンしたボウは、最後のこのセクションも見事にクリーン。トータル減点は7点。この時点でラガは8点をとっていたから、ボウの勝利が決まった。
続いてラガのトライ。すでに勝利はなく、1点なら問題なく2位が確定するラガだったが、どうしたことか走りが乱れた。2点減点の上にタイムオーバーで、あわせて3点。トータルでも11点の減点となり、なんと最後の最後に、優勝争いから3位にまで転落することになった。
この大会のフィナーレを飾ったのは、地元のスター、ドギー・ランプキン。最後は5点だったが、インドア世界選手権での4位入賞は、ドギーにとってもイギリスのファンにとっても、印象深いものとなったにちがいない。
ランキングは、これも今年から変更になったようで、1位から6位までに、8、6、5、4、3、2点と与えられる。次回は1月24日のマルセイユ大会となる。
(2009年01月06日)