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稲刈り

2010稲刈りその1

戦闘開始!

 11月になって、遅ればせながらお米の収穫をしました。藤波選手とか、ご実家がお米農家だったりするから、こんなのを読まれたりすると恥ずかしいんだけど、なにごとも初めての人ってのはいるもんだから、大目に見ていただきたいです。
 素人の稲作は、たまたまやってきていた若者たちの手を借りて、まずはとどこおりなく、どたばたのうちに終了しました。


 たぶん(藤波選手のおうちのある)四日市のあたりでは、9月ごろに稲刈りをやってしまうんだろうけど、東北地方のこのへんでは、収穫も、もうちょっと遅めです。だいたい10月にはいると、そこここで稲刈りの準備が始まり、○○さんちはいつやるんだい? うちは今度の週末にやろうと思うんだが、なんて話になります。専業農家だったら天気のいい日を選んでいつでもいいんだろうど、このへんの人たちは、みんなお勤めをしています。農家に変身するのは会社に行く前と帰ってきたあと、それと週末。忙しい。会社勤めしながら農業やってたらもうかるかといえば、機械も買っちゃうし、肥料や油代もかかるし、肝心の米価は安くなる一方だし、いやはや、農家ってのはたいへんな商売です。トライアル雑誌屋もたいへんだけど、減反だのなんだの、お国からああせいこうせい言われているのに、お国からはどんどん見放されている感があって、ぼくだったら暴れちゃうかも。
 ぼくの場合、自然山通信の赤字を農業で埋め合わせしようという野望はまったくなく、お米作りとはどんなものかやってみたかっただけなのでございました。区長さんに田んぼを借りて、なにからなにまでお世話になってしまった。お世話になっているのは、稲作に限ったことじゃないけども。
 区長は酔っぱらうと、無農薬で田んぼをやっているニシマキと紹介してくれるけど、農薬のやりかたもわかんないもんでやってないんであって、信念のある無農薬じゃないっす。無農薬って、響きはいいかもしれないけど、上流から流れてくる農業用水に残留農薬はないのか、土はどうなのかとチェックしていくと、そうそう簡単じゃなさそう。無農薬の農作物はけっこう多いけど、うそがないことを祈るばかりです。

2010稲刈りその2

どうやって束にするのがよかんべかなと、初心者の素人が悩んでいるの図

 とまぁ、えらそうなことを語っている場合ではなくて、ぐずぐずしているうちに秋も深くなっちゃった。みんなは機械で刈るから、稲があんまり大きくなると刈りにくい。でもこちとら、機械を持ってないから手で刈るしかない。手で刈るなら、多少ばらつきがあっても、人間が合わせていけるからなんとかなる。田植えしたのも人間だから、ラインもそろってないし、そもそも機械じゃ刈れない田んぼになっちゃってるんですね。
 お天気がいい日がいいし、いつにしようかしらん、なんてやっていたら、ちょうど、夏に演劇合宿にきた連中が、またやってくるという。小さな舞台をやるらしくて、その練習とかもあるんだけど、練習ばっかりじゃなく、いろんなことをやってみたいという。じゃ、稲刈りをさせてあげましょう、とお誘いして「やりたい、やりたい」とお返事をもらいましたとさ。
 農家のみなさんは、なにを好き好んでひとの田んぼの稲刈りなんかやりたいかね、ということになるんだろうけど、ぼくも含めて、田んぼなんかやったことない若者たちだから、楽しいのである(ぼくは人んちのお手伝いで、稲刈りはほんの何度かやったことあるけど)。しかも、みんなでやるんだったら、だんぜん手刈り。機械を持ち込むと、やっぱり機械が主役になって、共同作業の雰囲気じゃなくなっちゃうから。
 手で稲刈りをするんだと触れ回っておいたら、S商店のTさんが「よし、おれもやるか」なんて言っている。じゃ教えてください、とお願いすると、農家の出の奥さんのM子さんが「父ちゃんはなんにも知らねーんだから、あてにならねー」と水をさす。このへんでも、みんながみんな田んぼをやっているわけじゃなくて、農作業をまったくやったことない人だっていらっしゃるのだ。
 カマは、これまた区長からお借りした。刈ったお米は田んぼに木を立ててはせがけしたいと思ったけど、これまたおんぶにだっこでお願いしていた区長の手が空かずに棒が出てこなかったので、田んぼの横に立ってる区長んちのビニールハウスの骨格にかけていくことにした。だから必要な道具は、カマだけだった。
 稲刈り経験2回のぼくが、こんなふうにやるのだとえらそうに教えて、みんなに始めてもらった。誰がどの列を刈るのかとか、そういう段取りはなし。大将の「かかれ」の号令とともにときの声をあげてつっこんでいく戦国時代の歩兵さんたちみたいな状況だ。
 そしたら、Tさんがやってきた。「どうだ、うまくやってるか? ケガすんなよ」と上から目線なれど、ちゃんと作業服を着込んでやる気である。Tさんにも、刈っていただく。
 そしたら、M子さんがやってきた。「あらまー、なにやってんだ?」。M子さんは手厳しい。そんな手つきじゃだめだ、持ち方が反対だ、切り方がまちがってると、Tさんもぼくもダメ出しされて、先生面の面目は丸つぶれ。二人とも田んぼにきちゃって、S商店は開店休業なんで、M子さんは「おれはさっさと帰るからね」と念押ししながら、若者たちに稲の刈り方を教えてやっている。M子さんは今でこそ商店のおかみさんだけど、それまでは農家の娘だったから、こういう作業はお手のものだ。M子さんに教えてもらった若者たちは、さすが若いもんは覚えが早い。おじさんたちの手つきが5分や10分じゃ改善されないのを尻目に、どんどんじょうずになっていく。やっぱり、新しいことを覚えるなら、若いうちだねぇ。

2010稲刈り完了

稲刈り終わったぞといばっているみんな。ここへちょうどTさんが戻ってきて「なにかっこつけてんだ?」と笑われた

 それでも若者が8人もいると「おれは刈るのがいい」「おれは束ねるのがプロになった」と、いろんなやつが出てきた。刈る、束ねてかける。ワラで束ねるのも、それなりにコツのいるお仕事だから、どっちかプロになればたいしたものだ。おじさんは、さっぱり上手になれない。
 そんなわけで、稲刈りはざっと10人がかりで、お昼までには終了した。頭数がいるってことは、すごいことだ。今、お米を作っている人は、もう一度手作業で稲作をやろうとは思わないみたいだけど(だって、たいへんなんだもの)、手作業で稲作をやっていた時代の「結い」には懐かしい思いがあるらしい。隣近所と協力して、今日はこっちの田んぼ、明日はあっちの田んぼと作業をし、あぜに並んですわってみんなでお昼を食べるのは、とっても楽しかったようだ。
 機械化によって忘れられたもの、と単純に言ってしまえるものではないと思うけど、楽しいことは今の世の中ででも、きっと楽しいのにちがいないと思うのだけどね。

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