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緊急時非難準備区域解除

2011年9月29日の雲

2011年9月29日の不思議な雲。村役場の車が、郡山へ”帰って”いく

 いいニュースなんだか悪いニュースなんだか、すべてのことが混沌としている。ひとつずつ検証してから書こうとすると、いつになるやらわからない(そんな書きかけがいくつかたまってる) 。日本政府と大きな企業がぐるになって垂れ流しをやってるんだから、垂れ流しの日記を書いていけないことはないのでしょうけども。
 今日(9月30日)、緊急時避難準備区域が解除される。原発が冷温停止の目安となる100度以下になったので、もとの生活に戻ってもらおうということらしい。
 茶番だなぁ。

 3月11日に地震があって、翌日には原発がおかしなことになって、それから1ヶ月間、このあたりは「屋内退避指示」ってことになった。外に出ると放射能にやられるから、家の中でじっとしていなさい、という指示だ。
 屋内退避だから、額面通りに受け取ると、外に出られない。だから避難もできない。そんな中、住民は続々と避難をして、ついには川内村も全村避難ということになった。でもこれ、川内村の自主避難だったんだね。県や国は屋内退避なんだから屋内退避で大丈夫という態度だった(と村長は言う)。
 4月22日(4月11日と書いていたけど、まちがい)に、屋内退避エリアはそのまま緊急時避難準備区域というエリアになった。ややこしいご時世に、言葉遊びしてる場合じゃないと思うんだけど、緊急時避難準備区域というのは、緊急のことがあったら(原発が大爆発するとか、ですね)さっさと避難できる準備をしておきなさいというエリアだ。具体的には、とっとと圏外(30km以遠)に逃げられること。なのでひとりで逃げられない寝たきりの人とか子どもとかは、最初から圏外に避難してなさいということになる。
 あれから5ヶ月弱、緊急時避難準備区域が解除されて、いったいなにが起きるのか。周囲には、ばんざいの空気はまったくない。だって、事態はなにも変わっていない。
 原発は、本当に進展しているの? 100℃って、誰も原子炉の温度なんて測りにいけないんだから、地震と津波に耐えた温度計が遠隔で示す数字を読んでるだけだろうし、ときどきいわれるように、燃料が地中に潜ってしまっていたら、原子炉あたりは核燃料の影響を受けずに冷えてきている可能性もある(100℃くらいあるってことは、まだ燃料はそのへんにあるってことかもしれなくて、その点では安心なのか)。
 まぁいずれにしろ、原発の安定というのは、核燃料が放射能を発しなくなって、人間が溶けた燃料を目視できるようになってから言ってほしい。ぼくらの世代では無理なので、孫やひ孫の世代にお願いしたい。ちゃんと見張っててくださいね。遺言です。
 そんなわけで、このあたりの放射線は、上昇することはあんまりないけど、ほとんど減ってもいない。3月中旬に比べるとずいぶん下がったとも言えるけど、5月すぎくらいからは数値は横ばいだ。半減期の短いものはあらかたなくなっちゃって、今残っているのは半減期が長いものばかりだから、これも予定通り。
 原発が安定していなくて、放射線値も下がってなくて、おまけに除染もやってない。帰りなさいといわれても、これでは誰も帰れない。
 逆に、今までだって帰る意思がある人は帰ってた。だって自主避難なんだもの。いつ帰るのもご自由だったはずだ。ところが「村に住んでます」というと、役場の人はあんまりいい顔はしない。その理由ははっきりしないけど「村長が逃げようといったのに、こいつはさからってる」ということか「みんなで逃げていたほうが一致団結して、交渉が有利なのになぁ」ということなのか、あるいは「まだまだあぶないんだから、逃げてればいいのになぁ」という純粋な親切心なのか、わからない。でも役場の人たちの顔色は、村はあぶない、という雰囲気になっていた。お国に「緊急時避難準備区域」なんて区分けされちゃったら、そういう気にもなるかもしれない。
 そのうち、東電からの補償が提示されて「さっさと村に戻った人は20万円、長いこと避難してた人は30万円、全然避難してなかった人は10万円」という金額が出た。村が「逃げてりゃいいのに」という顔をしたのはこれを知ってたからかとも思う。でもそんなはした金(でもないけど)に左右されるんじゃなく、避難をそんなふうにお金で区分けするなんておかしいと、東電に文句を言ってくれたらいいのにと思うんだけど、行政というところはそういうよけいなことはしないことになっている。
 一口に緊急時避難準備区域といっても、置かれた環境はさまざまだ。川内村は20kg圏内の警戒区域と緊急時避難準備区域ですべてだから、対応は比較的シンプルなはず。お隣の田村市なんかを見ると、警戒区域も緊急時避難準備区域も、それ以外のなんでもない(とされているところ)ところもある。南相馬市もそんな感じ。大熊町や富岡町は、逆に警戒区域しかない。住民サービスもなにも、対象がいろいろだとめんどくさいもんだから、大熊や富岡より川内はめんどくさくて、川内より田村市や南相馬市のほうがめんどくさいはずだ。

避難区域へのお届もの

お友だちからサンマが届いた。上からのぞいた原子炉じゃないよ

 川内村が、田村市や南相馬市とちがうのは、役場そのものが避難しちゃってるということだ。役場は緊急時避難準備区域にあって、これは南相馬市と同じだけど、南相馬市の役場は現地にとどまっている。個人的には、3月15日の時点での村長の全村避難の決断は正しかったと思うんだけど、それっきり帰ってこないという意思は誰のものなのかが、よくわからない。
 役場が地元にないということは、こんなに決定的なことなのかと、いまさらながらに思う。川内村の仮設住宅は、一番人気が郡山のビッグパレットにあるもので、これだと、役場まで歩いていける。さまざまな手続きが、とてもスムーズだ。
 今、村にある役場は、建物は役場だけど、毎日交代でふたりばかりが出勤してくる。住民票をとるにも、翌日発行になる(郡山で発行して翌日届く)。役場としての機能は、ほとんど失われている。それでも、当初は役場は本当に空っぽだった。役場のあたりはいろいろ人の出入りが多いけれども、突然この地域の消防本部となった公民館や広域消防署に出入りする人たちがほとんどで、役場を訪れる人はごく少ない。
 もし役場が村に帰ってきたら、緊急時避難準備区域の解除を待たずに、村人は村に帰ってきたんじゃないかと思ってみる。原発が落ち着いていないとはいえ、今人がいるところの線量0.2(役場)〜1.0(山の上の方。ただし、ところどころ4.0とか5.0のところもある。単位μSv/h)の川内村から、それより線量が高い郡山市に避難しているのだから、村の人たちは放射線(だけ)がこわいわけじゃないのは明らかだ。
 じゃ、これから起きる原発の爆発(とか)がこわいんだろうか。いやー、これから原発が爆発したら、郡山市だってただじゃすまないだろう。郡山市に避難しているのは、現実的にはあんまり意味がないんじゃないかと思うわけだ。これは、だれしもが思っている。
 それでも、お国が決めたこと、村が決めたことだからと、みんな言いたいことを飲み込んで生活している。それが、このあたりの人たちの長年続いた生き方なんだと思う。おそらく、50年前に原子力発電所導入がまな板に乗ったときにも、同じような選択をしたんじゃないかと思う。
 変わるとしたら今しかないという気がする。変われるかなぁ。とりあえず、緊急時避難準備区域が解除になった明日、このあたりはなにかが変わっているのだろうか?

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