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1504ソニーのGコンタックスレンズ

コンタックスGレンズをつけたα7

 コンタックスGシリーズという、今から思うとよくわからないカメラが登場したのは、確かもてぎで世界選手権が開催されて1年目か2年目のことだったから、2000年ちょっと前だったと思う。お仕事に使うには残念なところがいっぱいあって、すっかり使わなくなっていたのだけど、ソニーαが出てきて復活させてみると、なかなかそそられるレンズたちになった。レンズそのものの性能とか、数値的な性能はやっぱり残念なことも多い気がするけど、写真というのはそういう問題じゃなくてもいいと思うのだ。

1504ビオゴン28mmビオゴン28mmF2.8とα7

 ぼくが持っていたコンタックスG2というカメラはボディだけ売ってしまったし、もう思い出してもしょうがないのだけど、オートフォーカスでレンズにピントリングがなく、そのくせ絞りリングがあって絞り優先のオート露出をするというフィルムカメラだった。当時のコンタックスブランドはヤシカから京セラのものになっていて、フィルム圧板がセラミックス製だったりして、なるへそと思ったりしたもんだった。
 でも自分の目でピントが見えないという残念もさることながら、自分の手でピントを合わせられない残念が大きかった気がする。レンズをぐるぐる回してピントを合わせるというのは、ぼくにとって写真を撮るのと同義みたい。最近、そこに気がついた。
 それでボディにはほとんど未練はなかったけど、レンズは気に入っていた。お仕事でこれだという写真が撮れた覚えはあんまりないけど、人物の写真なんかを撮ると、大判カメラで撮ったような奥行きを感じたもんでした。このあたりは、一眼レフのコンタックスでもおんなじような感想を持ったので、やっぱりレンズの力なのかしらんと思っている。
 という実際のところも大事だけど、ぼくにとって重要だったのは、ビオゴンというレンズ構成だった。後ろのレンズが大きく飛び出していて、一眼レフには使いようがない形式のレンズで、この名前がついたレンズが使ってみたくて、京セラの罠にはまったというのがたぶん正直なところだった。
 当時のこのシリーズのレンズラインナップは6本。ズームレンズが1本、90ミリ、45ミリ、35ミリ、28ミリ、21ミリ、そして16ミリ。16ミリはホロゴンというこれまた伝説のレンズで、これだけドイツ製で、F8と暗いくせに、30万円するレンズだった。高くて、なかなか使いこなしはむずかしそうだし、登場する出番も少なそうで、第一お金がないのでこれは買わなかった。
 ズームレンズも買ってない。ロバート・キャパになったような(と書いてはみたけど、個人的にはキャパの写真はそんなに好きじゃない。戦争カメラマンでは一ノ瀬泰造が好き)気分で写真を撮りたいのに、ズームはないんじゃないの?と思うからだ。あと、45mmも持ってない。これは名レンズだったらしいので、買っておいてもよかったなと思う。一頃、このシリーズのレンズは大安売りだった。今じゃ少し値が戻って、それでも2万円か3万円も出せば買えるんだけどね。
 ということで、ビオゴンを2本とゾナー90mm、それと珍しさにやられて買ってしまったプラナーなのに35mm、この4本は、なんとなく売らずに持っていた。ソニーのカメラなんて買う予定じゃなかったから、なんで持ってたのか、今となってはなぞだけど、結果オーライだった。

1504ゾナー90mmゾナー90mmF2.8とα7

 このレンズをα7につけるには、マウントアダプターが必要になる。コンタックスGレンズにはフォーカスリングがないけど、ギヤをうまい具合に使ってマウントアダプターにフォーカスリングがくっついたものが売られている。このアダプターのおかげで、使い道がなかったコンタックスGレンズが今の時代によみがえっている。
 当初は、アダプターは1本あればOKだと思っていた。ボディにマウントアダプターをくっつけて、コンタックスGマウントのボディだと思って使えばいい。マウントアダプターは2万円弱ほどしたので、いくつも買っていられない。
 その、2万円弱のマウントアダプターをつけているのが、このゾナー90mmだ。これはKOPON製のマウントアダプターがついている。でもeBayで探すと、これのコピー品のようなものが4000円弱で売られている。ひとつ買ってみたらなかなか具合がいい。それで、あとふたつ買って、持ってるレンズを全部ソニーEマウント仕様にした。マウントアダプターをボディに残したり残さなかったりしてレンズ交換をしていると、ときどきマウントアダプターがついてないボディに、マウントアダプターがついてないレンズをつけてしまいそうになる。それがビオゴンだったりすると、ボディの奥深くにレンズを差し込んでしまって、レンズもボディも傷つけてしまう恐れがある。おっかない。中国製の怪しいマウントアダプターがあって、よかった。

1504ビオゴンとプラナー左プラナー、右ビオゴン

 ということで、こちらはビオゴン28mmとプラナー35mm。困ったことに、この2本はとても良く似ている。フードも同じものがつくようになっている。ライカのレンズは鏡銅に大きく焦点距離が書いてあるのがふつうだけど、これにはない。28mmはF2.8で35mmはF2.0だから、絞りリングを確認してレンズを識別しているというとほほなことになってしまう。でもプラナーとビオゴンでは、魚料理と肉料理くらい気分がちがうので、どっちのレンズをつけるかで写るものもちがってくる。と、信じている。
 とはいえ、ビオゴンとプラナーは逆さまにしてみるとちがいが一目瞭然だ。プラナーはうしろにレンズが飛び出してなくて、ビオゴンは容赦なく飛び出している。でもレンズが飛び出しているんで、おっかなくてきっちりキャップをしておかなければいけない。だから、うしろ側ではレンズの確認ができないのがふつうだ。

1504プラナーとビオゴン裏側左プラナー、右ビオゴン。ボディ側から見たところ

 α7で撮ると、21mmとか28mmは、周辺光量がけっこう落ちる。もともとそういうレンズでもあるんだけど、たぶんもともと以上に周辺が暗くなる。周辺の画像がちょっと流れたりもする。しかも周辺は少し赤くなる。とても困った状態なのだが、それでも全体にいい感じの絵にまとまるので、この4本のレンズはお気に入りです。あと写真の写りとは関係ないけど、カメラにつけたときの重さとか大きさとか、そういうのがとてもいい。カメラは官能道具だから、撮る人間をその気にさせてくれないと写真は写らない。実はこれも、最近になってようやく知った。
 昔のカメラは、それなりに使いにくくて、でも撮る人間をその気にさせるものばっかりだった。最近は押せば写る便利なものが多くなった。なのにぼくは、こういう便利なカメラで撮った写真が、ほんとうにクソカスばっかりだった。オートフォーカスも出たての頃はそれなりに使いこなしがたいへんだったので使いこなしの醍醐味もあったけど、どんどん使いやすくなってしまって、まったく写真を撮っているという実感がないカメラばっかりになった。相棒の杉谷は、ぼくの撮った写真をため息をつきながら見て、なんとか使える写真を選んで印刷に回していたものだった。自分でもいやになるくらい、なーんにも写らない時代は、10年くらい続いたもんだった。ぶっ壊れたカメラを使っているとかだったら納得できるんだけど、高いカメラを使ってだめなんだから、笑うしかない。
 そして今。オートフォーカスが使えないコンタックスG用のレンズは、使いにくいことこのうえないし、ソニーαの液晶ファインダーはまだまだ反応が遅いし暗いし、見にくいことこのうえない。だけど考えてみたら、昔のカメラのファインダーなんて、見えてるんだかどうだかわかんないくらいのしょうもないもので、それを一生懸命にらんで写真を撮っていたものだ。それを考えると今のα7のくそったれファインダーとマニュアルフォーカスの組み合わせは、なんともなつかしいと開き直れなくもない。

1504ビオゴン21mmビオゴン21mmF2.8と一眼レフのコンタックス用アクセサリーのフード

 最近のお気に入りは、おおげさなメタルフードをくっつけたビオゴン21mm。このフードは一眼レフのコンタックス用に京セラが出していたもので、これも使わないままに死蔵されていた。本来は55mmのフィルター径を86mmに変換する変換リングみたいなものなんだけど、純正ではフードが用意されていなかったから、これを見つけたときには大喜びだった。コンタックスGを使っているときには、このアクセサリーをこんなふうに使おうなんて思いつかなかったもんだ(もっとも、G2にこのフードをつけたら、おそらくファインダーの目隠しになってしまう)。
 にしても、こんな中国製のアダプターとか20年前のレンズを使っていると、まじめに仕事する気があるのかと思われてしまうけど、もう一度ロードレースやモトクロスを撮ることはまずないと思われるので(もしそうなったら機材も考えないと写せない)いまのところのぼくにとっては最新のオートフォーカスカメラより、こちらのほうが写るんだから、しょうがない。

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