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ど・ビギナーbyタイガーカブ

07どビギナーのニシマキ

 四十雀に参加するのに手入れをして以来、トライアンフ・タイガーカブが機嫌がいいので、調子に乗ってど・ビギナートライアル大会にもこれで参加することにしました。
 スコルパSY250Rに乗っていたときに参加させてもらって、セクションがとってもていねいに作られているのに感激して、その後もてぎでの大会運営を共同で行うようになって、すっかりスタッフの一員になっていましたけど「出場したい」言っていったら快くお許しをいただきました。
 SY250Rのときはできもしないのにオープンクラスのラインを走ってぼろぼろになったけど、今回はきちんとビギナーラインを走ってみようとココロに決めています。この大会のセクションはほんとにうまく作られているんだけど、それがどんなものか、やっぱりときどきは大会に参加して確かめてみようと思ったというのが、大義名分です。


 この大会、高い段差はありません。オープンクラスでも、せいぜい20〜30cmくらいの段差があるくらい。ビギナークラスは、もっと低い。ただ、きちんと作り込まれているから、かなり難度は高い。ビギナークラスの場合は、ちょんとオートバイ心のある人なら「なんだー、簡単じゃないか」と思える程度。で、走ってみるとばたばたと足が出る感じです。先へ進めなくて5点になるということはあんまりないと思う。オープンクラスの場合は、けっこう熟練者が「なんだー、平らだし、簡単じゃないか」といいながら、ばたばたと足をついてしまう感じの設定です。
 セクションは広々としているので、勝手に高い岩に向かっていく人もいます。そういう人には歓声が飛んだりしますが、自然山通信初めて10年。最初は歓声をあげていた素人ニシマキも、トシもとったし、今じゃ、勝手に高い岩に向かっていくのはトライアルにあらずと思ってます。トライアルは、規制された中で、一番簡単で確実なラインを発見して、そこを確実に走破するのが勝負です。「トライアル」の訳語は試験なんだけど、これを挑戦だと訳してしまった人がいたのかもしれませんね。
 どんなふうにトライアルを楽しもうと勝手なんだけど、概して、無謀な挑戦をしているとうまくならずに、ライディングがどんどん荒くなってく傾向があるってのも、最近わかってきました。ある程度うまくなったら、それにあわせてセクションのレベルも上げていく必要があるんだけど、それと無謀な挑戦とはちがうからね。
 藤波貴久が世界選手権のもてぎ大会を走る場合、彼の技量とセクションレベルはどんな関係だったかというと、きっとぼくとど・ビギナーのビギナークラスの関係にごく近いのではないかと発見したわけです。オールクリーンができる設定だけど、ミスは出る。ミスをどう減らすかの勝負。トップライダーはこういうのを神経戦といって嫌いますけど、そういうのがトライアルってもんだと、思っています、最近は。
 前置きが長くなった。そんなわけで第1セクションについたら、まぁむずかしそうに見える。ぼくのトライアンフ・タイガーカブは、少なくとも1968年以前に製造されたイギリスのトライアンフ製のOHV単気筒(もちろん空冷)200ccエンジンを積んでいる。アーサー&アラン・ランプキン製作所の向かいにあるジョン・ランプキン・ベータUKの川向こうに住んでいるキース・フォースマンさんが、タイガーカブをトライアルマシンに仕立ててくれました。作ってくれて日本に送って、ざっと80万円くらいだったと思う。新車のトライアルマシンを買うのと同じくらいだったと記憶しております。
 イギリスマシンだから、ブレーキは左足で操作。始動はプライマリーキックじゃないから、いちいちニュートラルに入れないといけない。ブレーキはもちろんドラムブレーキ。きかない。そして、昔のマシンにしたら軽いんだけど、重たい。しかも、なんだかホイールのセンターがずれていて、まっすぐ走らない。走らせたら最後、行きたい方向は(ヘタクソなぼくの場合)ライダーの意思6割、あとの4割はオートバイが決める。
 この岩を越えたらどんな衝撃が来るだろう、このターンは素直に曲がれるのだろうか、などなど、不安なことだらけ。セクションは長くないけど(といっても、最近の初心者トライアル的には充分に長いらしい。セクションは必要なだけ長くあるべしだと思うけどな)、そのかわり一回とちったら、それを引きずったまま出口まで駆け込まなければいけない。けっこう必死。
 朝寒かったから、まぁいいかと思ってコートを着たまま走ったけど、5〜6セクション終わる頃にはすっかり暑くなった。まぁ当然でしょう。ちなみにこのコートは、ベルスタッフではなくてバブアというブランド物。英国貴族がハンティングなんかに着ていくコートで、汚し放題で着るのがおしゃれというところが気に入っている。油が引いてあるから、そうそう洗濯もできないのですが。
 でもまぁ、必死の思いでマシンを曲げて、10cmの段差を大岩に挑むドギー・ランプキンのような覚悟で飛び越え、第8セクションまではクリーンが続いておりました。どのセクションも楽勝ではなくて、油断したらあっという間に減点しそうなところばっかりだったけど、でもこの調子ならオールクリーンで優勝するのも夢じゃないなと思った矢先。泥のターンで足をついてしまいました。なんだばかやろー、みたいなへぼな失敗。クラッチミートしたのにマシンが出なかった。このワイヤークラッチは、右と左でタッチがちがうんですね。くそっ。
 そしたらその次のセクションで、また失敗。全日本なんかで、前の失敗を引きずるってことがあるけど、ちょうどあんな感じですかね。きちんと分析してみると、下見がいいかげんになった。おいしいラインだけ下見して終わってる。最初の頃は不安で不安でしょうがなかったから、おいしいラインの下見を終えて、もしこのラインに入れなかった場合はどうしようとすべり止めラインをいっぱい下見していた。だからちょっと失敗があっても落ち着いていられたけど、クリーン連発してセクションをなめてきた。ベストラインしか下見してないから、ちょっとラインがずれると、いきなりあわてることになる。慌てるこじきはもらいが少ない(放送禁止用語なのか?)と言われたけど、この場合は減点が多いのであった。
 最終セクションでどうしようもない足つきが2回あって、1ラップ目の減点は4点。うーむ。
 2ラップ目はコートを脱いでいった。そしたら後半になって、少し寒くなってしまったんですけど、世の中、うまくいかないということだ。
 第3セクション、高橋摩耶さんがオブザーバーやっているところでスタック。ぶざまにマシンを押しだして3点。あちゃー。よし、クリーンしたぞと思った瞬間に後輪が小石につかまってました。
 第4セクション、田中裕人さんのセクションでも、やっちゃった。ベストラインに曲がるのがきつそうだったので、もう一本外側の木と木の間を抜けてみたらその先にラインはなかった。足をついて無理に曲げたほうが減点は少なかったと思うのは、後の祭りというわけです。
 1ラップ目に足をついた第9はクリーン。足つくセクションじゃないんだもの。でも10セクションのターンは、やっぱりだめだった。2ラップとも足をついたのは、このセクションだけ。くやしいから、終わってから復習にいったけど、4回目でようやくクリーンできた。なんでもなさそうに見えたんだけど、まだまだ修業が足りません。
 10セクションで2点ついて、2ラップ目7点。全部で11点がぼくの成績でした。ひそかにライバルにしていたNK女史などは、1ラップ目の途中カードを盗み見したときには減点がちょろちょろあったので安心していたら、4点と4点で8点だったそうな。完敗。
 あのマシンで11点はご立派と主催の萩原さんにおほめの言葉をいただいたので、とりあえずよしとしておきました。オールクリーンで優勝しようと思った、などというのは、ここだけの秘密。
 会場では、ベータの試乗会をやっていた。トライアンフに乗りたい人もいるかなと思ったけど、寄ってくる人は多いけど、お化けでも見るような感じで「乗りますか?」と聞いても「とてもとても」と逃げていく。ベルドンにいった齋藤さんが乗ってくれたけど「こりゃトライアルはできない」という感想でした。
 ぼくの場合は、近代的マシンでオープンクラスは少しむずかしい。でもビギナークラスはちょっと簡単め。トライアンフでビギナークラスというのは、緊張感と難易度がとてもいい感じで、わりとお気に入りでした。
 次は、このマシンでまだ一度も完走していない、ツーリングトライアルにも出かけてみたいところだなぁ。
*写真は問題の10セクション。1ラップ目。このあと足をつくんで、フォームがすでに破綻しています。

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