2008年04月18日
相模川のお掃除
5月18日日曜日、相模川の河川敷で、一斉清掃をやります。いつもは自前のゴミ袋を持っていってそのへんのゴミを拾って持ち帰る活動をしていますが、この日は大々的にやります。トライアルの仲間(いつも、とても少なくて、申し分けない思いです)、モトクロスの仲間、釣りの仲間、四駆の仲間、ラジコン飛行機の仲間、いろんな仲間が同じ目的で活動して、四駆の連中は谷底に転がっているでっかいゴミをウインチで引き上げてきたりします。
集めたゴミは、行政が後日処理してくれるので、思いきり集めてきても大丈夫。
トライアルマシンでは冷蔵庫とかを運ぶことはできないけど、トライアル仲間にしかできないことがある。どうぞ(今度こそ)たくさんのトライアル仲間に集まってほしい。
知る人ぞ知る、相模川の河川敷、猿が島一帯。ここはさまざまな事情があって、オートバイでも釣りでも、自由に楽しめる空間になっています。いろんな河川敷が人工的遊園地になっていくなか、こういう環境はなかなか貴重。しかし同時に、野放図に遊び回っているだけでは、そのうち使えなくなってしまう危険性もはらんでいる。永年ここで遊んでいた人たちの中には「過去に何度もそういう話があって、その都度しばらくおとなしくしているとまた走れるようになった」とたかをくくる意見もあったりする。でも、いつまでもそんな甘い話は通じないと思う。
幸い、もともとは海のゴミを拾い集めている団体が音頭を取って、行政との間を持ってくれた。今回の一斉清掃も、ゴミを拾う慈善運動だから、誰にでも喜ばれると思うとちょっとちがう。ゴミを拾って持って帰るのは大歓迎だけど、それを一ヶ所にまとめて置いていくとなると、新たなる不法投棄だ。本来,行政には、こういうところのゴミを処理する義務はないのだ。
「みんなでゴミを集めておくから、行政の方で処理してくれませんか」
「ようがす。おやんなさい。あとはまかされた」
という話ができてないと、本人たちがよかれと思っても、ただの犯罪者になってしまう。むずかしい世の中といえばそれまでだけど、なんでも勝手に行動したらうまくないということですね。
それで今回、きちんと行政との話がついた一斉清掃が行われるわけです。
河川敷でトライアル遊びをしていると、ふつうは人が入り込まないような奥地にも分け入ることになります。そうすると、そこにもあるある、ゴミの山。自然山通信では、ここで世界一敷き居の低い(でもトライアル心は失いたくない)トライアル大会を開催していますが、そのセクション開拓は、ゴミの山との戦いみたいな感じになってます。新しいセクションを作ろうと思うと、たいてい誰かがゴミを捨てている。
しかしこういう奥地のゴミは、トライアルをやる人以外はなかなかその存在に気がつかない。一斉清掃のとき、トライアル仲間が集まらないとどうなるかというと、トライアル仲間にしか気がつかないゴミは、いつまでたっても処理されずに、そこにあるということになります。発見した人が片づけろとは言わない。あそこにゴミの山(一斉清掃の当日は、ゴミを発見するとうきうきしてきたりします)があるぞと、本部に報告して、オートバイに乗ってトラックや四駆の舞台を案内していけばいいのです。大きいゴミは、みんなで運ぶ。トライアル仲間は、奥地の状況に詳しいのだから、そういう偵察部隊としての仕事をもっときっちりできるのではと思います。
チラシにもありますが、一応ボランティア保険に加入します。お手伝いしてくれる人が、どんなケガをしちゃうかわかんないですから。でも、無報酬。得るものは、なにもありません。だから、無理して参加しろとは言えません。ニシマキ自身も、都合のつくときに参加するということで許していただいています。
でも、トライアルの仲間のこういう活動への参加が、どうもあまりにも少ないのは確か。「手伝いにいったけど、トライアル仲間がいなくてさびしかったし、ほかのみんなにばつが悪かった」という声も届きます。これはなさけないではないか。
神奈川県方面のみなさん、お願いだ。その日、たまたまなにも用事がなかったときだけでかまわないから、みんな河川敷に集まってください。手伝わないと、走らせてやらないぞと宣告されちゃう前に、ぜひお願いします。
●14:12
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2008年04月02日
御殿のようなホテル
自然山通信は、ヨーロッパ取材のとき、宿を予約することがほとんどない。日本から予約できるようなホテルは、たいてい豪華絢爛なところばかりで、値段は高いし、大会会場からも遠いことが多い。現地へいってから、これは安そうだぞと思えるところに飛び込んで交渉するのが、いろいろと都合がよろしい。
でもこういう宿選びをしていると、泊まれればなんでもいいということになっていくのも事実。寝るだけだから、そんなに困ってもいないのだけど。
ところが今回の開幕戦旅行では、ひょんなところから天皇陛下もお泊まりになったというお城改造のお宿に泊まってみることになった。
ベルギーの首都ブリュッセルの空港からクルマで30分ほど。かわいい湖のほとりに、そのホテルはあった。シャトー・ディ・ラック。湖のお城、という名前のホテルは、ジョン・マーチンさんが社長のホテル会社が経営している。マーチンさんの家系は、もともと飲料製造業をやっていて、昔はこのお城でも炭酸水を作っていたらしい。マーチンさんはイギリス系の人で、おいしいビールもつくっている。親戚には、ブランデーを造っている人もいて、そのブランドが、なんとレミー・マルタンという。レミー・マルタンとはフランス語読みをしているけど、レミー・マルタンのマルタンは、実はイギリス人のマーチンさんだったんだ。
なんでここに泊まることになったかというと、横浜は野毛に、野毛通信社というバーがある。そこのご主人が親川久仁子さんというんだけど、TL125バイアルスで早戸川を走っていた、女性トライアルライダーの草分け的存在だ。モトクロス王国ベルギーを訪ねてそのまま住みついて、結婚してお子さんがいる。現在はお母さんは日本、お父さんはタイ、息子はベルギーというグローバルな生活を送っているけど、その久仁子さんに「ベルギー経由でルクセンブルグにトライアルを見にいくんだぁ」とお話ししたら、息子に荷物を持ってってちょうだい、そんで、息子が働いてるホテルに一泊してみてちょうだい、ということになった。
税関チェックを終えてベルギーの空港の到着ロビーに現れると「SUGITANI・NISHIMAKI」と書いた紙を持ったお兄ちゃんが待っててくれた。空港ではよく見かけるシーンだけど、こんな出迎えをされたのは初めてだ。しかもついてみたら、五つ星ホテルではないか。そんなホテルに、ぼくたち、泊まったことはない。
このホテルは、1995年に天皇陛下をお迎えしたことがあるという由緒あるホテルで、クラシックな趣きとホテル目前に広がる湖の景観が素晴らしい。いつも思うけど、杉谷と二人で泊まるところじゃないんだよなぁ。
親川ジュニアはフレデリックくんといって、お父さんがベルギー人、お母さんが日本人だから、日本語は書けないけど流暢に話す。ベルギーは、今国家元首が不在というとんでもない政局を迎えている。その根源が、フランス語をしゃべる国民とオランダ語(フラマン語)を話す国民との確執なのだけど、フレデリックくんも学校ではフラマン語をしゃべるので、お兄さんとの会話はフラマン語、お父さんとはフランス語、お母さんとは日本語、一家みんなや、親戚が集まって話をするときには英語で会話をするというクロスオーバー環境で育ったらしい。
で、このフレデリックくん、なかなかのイケメンである。お母さんを訪ねて日本に来たときに、たまたま横浜でテレビ局のスタッフに目をつけられて、笑っていいともの美少年コンテストに出演させられたことがあるという。そして今は、このホテルのフロントにお勤めだ。
日本語が話せるイケメン美少年がお迎えしてくれる静かな湖畔のホテル。ぜひお訪ねください。お値段は200ユーロ(一部屋)くらい。泊まってみれば、そんなに高くないと思えると思います、きっと。写真は、イケメンのフレデリックくんと、ボーランド出身のアガタさん。ふたりとも25歳。
MARTIN'S HOTELS
Avenue du lac 87, B-1332 Gencal Belgium
Tel:0032-2-655-74-35
Fax:0032-2-655-74-26
http://www.martinshotels.com/
日本語版
E-mail:sales@martinshotels.com
・親川さんのベルギー情報
●13:51
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2008年03月31日
心神喪失
ある日の産経新聞の記事(ただしWEB)を読んで、つらつら考えてみる。
人を殺した人が“殺害時”に心身衰弱で、“死体損壊時”は心神喪失だったという鑑定が出たって話だ。科学的な事実はどうなのかわかんないけど、殺人を平常心でやる人なんているのかね。仮に、思わずかっとなって人をあやめてしまったとして、そのあと平常心で黙々とお片づけができる人なんているだろうか。どちらも平常心とはほど遠い気がする。そういう人のほうが、人としてふつうだと思う。なので、ふつうの人は、精神鑑定で「人を殺したときだけおかしな人になっていたから、殺人と死体損壊に対しての責任能力はない」と判断してもらえるってことになる。これなら、人を殺すのが怖くない。おっかない世の中だなぁ。
引用元をURLで示しておこうと思ったけど、WEBのニュースは消えてなくなっていることが多いので、プリントアウトをPDFにしておきました。こういうのは無断転載になるんだろうか、よくわかんないけど。
さてこの日記は、トライアル情報誌の自然山通信の名の元に書いてるから、一応トライアルに即してこのニュースを考えてみる。今トライアルでは(特に全日本とかでは)参加選手のマナーの問題が問われている。セクションをライダーやマインダーが加工してしまう悪さ、見えないところで燃料補給をしていたり、メカニック以外の人がマシン整備の手伝いをしているんじゃないかという疑惑、5点といわれて頭に血が上って執拗な抗議をするなどなど。
人を殺すのが「そのときだけ自分を失っていたから責任能力がない」のだったら、こういうのだって責任能力があるかどうか、疑わしい。「勝ちたい、クリーンしたいと思って、難所の地面を見ていたら、無意識に斜面を足で崩していた」「ライダーを勝たせたいという一心で、気がついたら大岩の前にきっかけ石を運んでいた」。くだらねーこと言うなと笑われてしまうだろうけど、日本の裁判所で同様の鑑定が殺人事件に影響を与えようとしているんだから、トライアルもそれにしたがった方がいいんじゃねぇか? もちろん逆説的なお話ですけどね、念のため。
最近は、セクション加工を防止するため、マインダー(マインダーとは広義の意味と解釈してます。試合のときはマインダーはメカニックという名称でライダーについて参加している)のセクション立ち入りは一律禁止となった。あぶないところでお助けをするときだけ、オブザーバーに許可を求めて立ち入りができる。規則は規則だから、トップライダーのマインダーは、そうとなればそれに従う。これまでマナーがなってないと言われちゃってけど、ルールは守る。競技だから。
ところがトップライダーでない、全日本のような大きな大会への参加に慣れてないライダーのお父さんたちの中には、ルールが守れない人たちもいる。第一セクションで目撃したことだから、その人もセクションをこなしていくうちにマインダーの心得を学習したかもしれないけど、息子のトライアルが心配で、テープの外でおとなしくしているなんてできない。マインダーのセクション立ち入りを禁止した規則は、きっとそもそもはセクションの加工(破壊と示されることが多いけど)の防止だったにせよ、今となっては立ち入りそのものが禁止行為だ。お父さん(お父さんかどうか、実はよくわからない。目撃したことだけど、ここでは一般論としてお父さんで話を進めます)はセクションに入って、ラインに悩む息子の相談相手になっているだけだから、いわゆる加工や破壊行為はしていない。でもだめはだめだ。
なぜお父さんはそんなことをしてしまうのかというと「全日本では(本当はトライアルでは、なのだけど)セクションにマインダーが立ち入ったらいけないんだよ」と教えてもらわなかったのかもしれない。全日本のそういうルールに不慣れなのかもしれない。でもその時のお父さんときたら、息子を思う気持ちがめいっぱいで、テープの存在に気がつかず、オブザーバーの「メカニックは外に出て」の指示も聞こえず、何度怒られても息子の元に駆け寄ってしまったのではないかと思う。まぁ、心神喪失、みたいなもんではないかと。
件のお父さんに責任能力がなかったかどうかは、この文脈で言うと裁判所の判断になるんだと思うけど、日本には古来からしつけという美しい風習がある。何度もオブザーバーに注意を受けるお父さんには、ばっさりイエローカードをつきだして5点を与えるべきじゃないかなと、ぼくはその時思った。
申しわけない。ぼくは常々、オブザーバーは取り締まり官ではなく、選手のパフォーマンスを見守る立会人なのだから、おいこらお巡りみたいになってはいけないと思っていた。だからイエローカードなんて制度は、トライアルにはなじまないのではないかなぁと思っていた。
実は今もそう思っている。思っているけど、イエローカードの存在が、オブザーバーが「イエローカードを出すよ」と選手をおどかす材料になるのだとしたら、反則があったときに有無を言わさずイエローカードを行使することで、お父さんにも薬になるし、ルールの理解も早いんじゃないか。たぶんお父さんの大事な息子さんは、ここで5点をもらってももらわなくても、まだ優勝するとかポイントを獲得するとかという段階にはいないから、勉強するなら早いうちがいい。早いうちに学習をしないで、優勝戦線に加わった頃にイエローカードをもらうと、痛手も大きい。
「このやろー、ぶっころしてやろうか」と思ってしまうことが、万一あったとして、そんなときに心神耗弱になってしまうような人ってのは、仮に責任能力がなかったとしても、二度と人前に姿を現さないでほしい。そんな人が町中をうろうろしてると思うと、おっかなくて歩いていられないからね。
(トップライダーのマインダーは、経験豊富だから、気が動転するなんてことは、まずない。彼らもときにイエローカードぎりぎりに思えることをやったりするけど、それはオブザーバーの裁量とルールを見切っているからできることだ。このアンパイアは外角低めが甘いなと思ったピッチャーが、そこに放り込んでストライクをとりにいくみたいなもんだ。人のいいオブザーバーはつけこまれることになりかねないけど、観戦していて気持ちがいいのは、にこやかながらてきぱきとした採点をしてくれるオブザーバーのいるセクションで、なんだか気がめいってくるのは、オイコラ型のオブザーバーのいるセクションだ。これは日本に限らず、世界中のセクションで共通する感想です)
●14:41
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2008年03月27日
ロシア航空のご飯とお役所の考察
去年、デ・ナシオンをさぼってしまったので、久々の国際線飛行機。今回は額面6万円のアエロフロート(ロシア航空)。杉谷もぼくも、20何年ぶりのアエロフロートでのヨーロッパ行きです。成田からモスクワまでででてきたご飯に比べると、モスクワ-ブラッセルででてきた飯は味がない傾向だったけど、大昔よりぜんぜんおいしくなっていた。それより、アエロフロートなのに、乗ってみたらボーイングだったのにびっくり。ソ連時代にはイリューシンとかばっかりだったけどね。
ということで、ベルギーから日記更新します。
MXingの木田くんが、先日の記事について触れてくれました。木田くんはほめてくれてると思うんだけど、要するに奥歯に物の挟まったみたいな書き方を指摘されてしまった。そのとおりだから、しかたない。
話を聞いた相手の名前を明記するのが記事を書くときの鉄則なんだけど、そういう、いわば公式コメントの場合は、さまざまな方面に気を配った発言をせざるをえない。それでは真相が見えてこない。「書かないでよ」というお約束のもとに、本音や真相を語ってもらうことはよくある。ほんとは、そんなの全部さらけ出してまな板に乗せて検討すれば、未来も明るくなるかと思うんだけど、関わる人と団体が多くなると、それもなかなかむずかしい。といようなもろもろが、奥歯にものを挟むことになっちゃうのだ。政治記事でも、なんとか大臣筋の情報によると、なんて話がよく出てくるけど、あんな感じ。でもトライアルの場合は、世界が狭いから、そんなふうに書いただけでも「こいつ、こんなことをしゃべりやがった」なんてばれてしまいそうで、こわい。いやはや、気にしていると、きりがないですけど。
それに、どこそこの地方の誰それの例だけどと、具体的な事例を書いたりすると、その一件について善悪白黒をはっきりしなくてはいけなくなるのもこわい。本質的にはまちがってるのかもしれないけど、現状はこれが最善ということはいっぱいある。ある一方から見ると、正しい方向に是正すればいいじゃんと思うのだけど、別の一方から見ると、そっちのほうがややこしかったりもする。むずかしいのは、あらゆる人にとって、自分の立場から以外の視点を持って物事を観察するってことだ。
書こうかどうしようか迷っているうちにそのままになってしまった件に、騒音測定がある。車検で騒音測定をしているという事実を作るのが重要で、静寂を守るかどうかは別問題と思える。車検のときだけ静かな騒音を演出するのは、結局意味がないのだけど、意味がないと思うのは一方から見た意見で、ある一方ではそれが重要という側面がある。これがあんまり衆目の知るところとなって、別のある一方にも車検の様子が知れるようになると、今度は全員失格になってしまうかもしれない。話が大きくなるとややこしいから、という発想は排除すべきだけど、現実にはそうとばっかりも言ってられない。
アンチドーピングも、全日本では1年に1度だけ、選手に通知をしたのちに検査を行っている。これじゃほんとの検査にならないんじゃないかと思ったりもするけど、検査をしているという既成事実が必要なのもある。本音と建て前の使い分けはずるいやり方かもしれないけど、使い分けもまた、必要だったりするわけだ。今のところ。
さて、前回の日記に書いた公認車両問題は、古いマシンを持っているユーザーが最大の被害者かと思いきや、古いマシンをサポートしなければいけないインポーターが、悲鳴を上げているのが現状だった。ユーロが高騰していてただでさえ緊迫財政なのに、過去に販売したマシンに経費がかかるとなると、その支出を取り戻すところがない。NBやNAのライダーが古いマシンで選手権に参加するのをあきらめてもらうか(IB以上のライダーは、公認車両にかかわらず選手権に参加できる)、MFJが公認申請料をとるのを免除してくれるかしてくれるとうれしいのだろうけど、どちらもそうそう簡単に方針は変わらない。いきおい「MFJはお金もうけに熱心である」という結論が出てくるのも気持ちはわかる。
ここで突然だけど、日本のお役所の話。国会中継を見たことがありますか? 最近の国会では、天下り団体が金の無駄遣いをしているのが指摘されっぱなし。
まぁすごい。天下り団体やお役所というところは、みんなが納めた税金で遊んでいるところ、みたいな勢いだ。無駄遣いをしているから、では税金は払わなくていいのかというと、税金を納めなくなったら彼らが遊べないだけでなく、日本の国歌もたちゆかなくなるわけだから、それもうまくない。大事なのは、税金を払わないことではなくて、その使い方の問題だ。
それにしても、どかんと無駄遣いをしておいて「必要なところに必要なだけ使った」みたいな答弁をする人たちって、すごい。なんとも厚顔。これは、お役所の人たちの特徴というか、特権なのかもしれない。
ひるがえってMFJ。MFJは財団法人だから、これらお役所や天下り法人とはちょっと性格がちがう(メーカーや警察関係からの転身者もいるから、まんざら天下りがないとはいえないけど)。それでもかつては、MFJもずいぶん厚顔のお役所だった。この10年ほど、いろいろ人や体制が変わって、厚顔でいたい人はやめていったりして、今は一見敷き居が低い組織に変身している。でも基本的に、MFJ事務局は立法府(MFJの場合は各委員会)がつくった規則を運用する行政府という面では昔と変わってない。そして、まちがったことを言わない、言えない組織でもある。
ちょっと話が飛ぶけど、もてぎのDE耐に参加することになったとき、ぼくが持っている競技役員のライセンスでこれに参加できるかどうかが問題になった。MFJのライセンスのくくりとしては、エンジョイライセンスを含む、すべてのライセンスで承認競技会に参加して共済見舞い金の制度を受けられることになっているんだが、どうやらDE耐の事務局では競技役員というライセンスでこの大会に参加することを想定していなかった。大会事務局としては、競技役員ライセンスもエンジョイ会員証と同じ効力がある(正確には運転免許証を添えられた場合)とMFJ事務局に太鼓判を押してもらえば安心なのだが、MFJ事務局のほうは、大会の規則書次第のところもあって、はっきりしたお答えができない。めんどくさくなって競技役員ライセンスを持ってるのにエンジョイ会員の申請をすることになったというオチだけど、なんだか年金を払ったのに支給が受けられなかったような納得できない感触をもったのは確かだった。競技規則に「競技役員資格でも運転免許があれば参加できる」と明記してあれば問題ないのだろうけど、そうでない限り、MFJ事務局が参加できるとは保障しかねるというのはわかるけど、気短に考えると責任逃れみたいな気もしてしまう。まちがったことを言わない、正しいことを発信するという姿勢は、ときにこんなことになる。これもまた、参加者間の公平性を考えた結果でもあるのだ。
長々個人的な話をしてごめんなさい。いずれにしても、税金は必要だ。ましてトライアルは、大きなメーカーからの寄付が少なくて、住民も少ないから税収入も少ない。単独では、とても経営ができない市場規模だ。全日本選手権も節約体制だからなんとかなっているにしろ(ほんとはそれじゃいけないのだろうけど)ともあれ、税収入はほしいところだ。
だから公認制度も必要となる。MFJは、公認制度について、安全性をうたったことはない。その目的は公平性だという。公平性についてはいろんな考え方があるけど、税金を払った車両と払っていない車両に乗っているライダーには格差をつけるべきだと思うと、納得しやすい。
おりしも、自転車トライアルでは、公認車両以外で参加するライダーは、参加の際に未公認車両で参加するための“税金”を払う必要があるという規則が制定された。自転車トライアルでは、公認メーカー以外の車両はリザルトにものせてもらえないという徹底ぶりで、それもどうかなぁと思っていたのだけど、未公認車両以外でも“税金”さえ払えば参加はできるというシステムは、これはこれでわかりやすい。
「お金がほしい」というと守銭奴みたいにとられてしまうかもしれないけど、お金は必要なのだから、公認制度で税金を徴収するのはトライアルには必要だと、MFJから説明があればわかりやすいんだけど、これが本音かどうかはともかく、MFJ事務局が公認制度の建て前としているのは、あくまでも参加ライダーの公平性なのであった。
本音と建て前を使い分けるのはむずかしいけど、それを理解するのも、またむずかしい。
●10:29
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2008年03月19日
相模川の道普請
久々の相模川のお話。
トライアルに限らず、いろんなカテゴリーのオフロードライディング入門者、四駆遊びの人たち、ラジコン飛行機を飛ばす人、釣りをする人、バーベキューを楽しむ人々。相模川のこのあたりには、たくさんの人たちが集ってくる。
そんな人たちがみんなで協力して、河原のデコボコ道をきれいにしましたという一日が、3月16日にあった。
相模川の河川敷、通称猿が島では、今河川敷工事が行われている。圏央道(さがみ縦貫道)のパーキングエリアがこの付近に建設されるに伴い、ここを流れる山際川の流路を変更するためのものだ。今まで入り口となっていたエリアが新しい河川となり、ここで遊ぶ人たちは別に設けられた出入り口から出入りをすることになった。
で、この新しい出入り口と、その周囲の移動路が、ひどくデコボコしていて、乗用車で来る人などには、なかなか険しいドライブを強いられていた。で、相模川利用者連絡会の釣り部会(相模遊水会)よた提案があって、みんなで道をなおそうとなったわけ。本来は、道路から降りてくる道のデコボコを、という話だったが、この部分は河川工事をしている奥村組さんがやってくれていたので、それ以外の細かい部分を勇士の人手行うという算段。水溜りや穴ぼこを、河原の玉砂利を小型の重機を使って運んできて埋めるというのが主な作業だ。
手仕事だから、恒久的な仕上げにはならないかとは思うが、みんなの気持ちがひとつになるというのも、こういう作業の大きな目的のひとつである。
とはいっても、残念ながらオートバイ関係でこの作業に参加したのはごく少数だった。予定が決まったのが突然だったのもあるし、告知をする場所も限られているのもある。トライアル愛好者に、無理してきてくださいとはいえないし、むずかしいところではある。
釣り人たちは乗用車で来る人が多いから、このエリアの道が悪いのは切実だが、オフロードライダーは道が悪くたって困らない(トランポが走る道はきれいなほうがうれしいのかもしれないけど)という方向性のちがいも大きい。
これに参加してくれた斎藤勉さん(川崎市)によれば、穴埋めに使っていた玉砂利は、セクションの障害物として手ごろなもので、これを使われちゃうと、ちょっと悲しいという思いもあったらしい。けれど、利用者がてをとりあって環境を維持していくには、譲るべきところもあるってもんだ。
それに、道に穴を開けてる主はトランスポーターやオフロードバイクでもあるわけだから、こういう作業はみんなでやらないと逝けないわけだ。
わざわざその日に来れなくても、たまたまきてくれている人が「手伝おうか」と寄ってきてくれれば河川敷の未来は明るいんだけど、よくわからない人たちがへんな作業をやっていて近寄りがたいからなのか、遊びにきたんだから作業なんかしたくないもんねーと思っているのかはわかんないけど、作業を横目に通り過ぎていくライダーがいるのは、ちょっとつらいもんでもある。
告知活動については、自然山通信も責任の一旦はあるわけだから相模川利用者連絡会と連携してうまい手を考えるとして、公共の場所で遊んでいるときには、自分のライディングにいっしょうけんめいになるばっかりじゃなくて、まわりにもまわりにも目を向けてほしいなと思うんだけど、むずかしいことかな?
●08:21
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2008年03月10日
公認する(そして検定合格)
日記をさぼってしまっています。ごめんなさい。
この日記がさぼるときってのは、書くことがなかったのではなくて、書くことはあるんだけど、どう書いていいのかわかんなくて、困っている間に時間がたってしまうことが多い。個人の日記なんだから(一応)、なんでも書いちゃえばいいんだけど、最近は日記に書いたことで大騒ぎになることも多いんで(しょこたんとか)、意気地なしには悩みどころです。
今回の、書くべきことは、MFJ公認大会においての公認車両問題です。
公認車両問題については、自然山通信の掲示板で、ずいぶん活発に議論されてました。大騒ぎと見る人もいるけど、多少感情的な意見もあれど、どれも理解できる意見だし、内容もなるほどと思えることが多い。いろんな意見が並んでいて、これが今のトライアルライダーが思っている実情が並んでいるんだと思うと、意義があると思います。
公認車両については、自然山通信2月号でちょっとだけ触れました。3月号では、現段階での現在までの公認車両のリストを掲載しました。自然山WEBでも掲載しようかと思ったけど、同時期にMFJのサイトに同じリストが掲載されたので、今は用済みになってます。従来は一覧されているものがなくて、規則書のリストに機関誌で発表された追加の車両を加えて管理していないといけなかったから、一覧表ができて、便利になった(もともとこれで当然だとは思うけど)。
で、公認車両とはなにか。MFJというくくりのもと、チャンピオンを争うなどの選手権に参加するには、マシンや装具のいくつかは、MFJの公認をとっている必要がある。トライアルではマシンとヘルメット。以前はタイヤも公認制度があったらしいです。ロードレースでは、レーシングスーツも公認制度がある。公認制度はなんのためにあるのか、ヘルメットやレーシングスーツは安全性の確保のためだと考えるのが納得しやすい。されど実際には、規則にのっとった構造などをしているかどうかを検査して公認しているわけで、もともとは安全のために作られた規則といっても、運用的には安全を保障するものではない。現実的には、参加者が公平となるように、みんなが同じ規格のものを使って競技をしましょうという主旨となっている。ついでにいえば、公認をするには公認申請料が必要で、それがMFJの収入になる。今回の問題で「MFJの金もうけ」というニュアンスの意見もあると思うんだけど、MFJの収入はライセンス発給代と公認代がほとんどなのだから、それはお気の毒だと思う。ガソリン税でマッサージ機を買っちゃうお役所よりは、MFJはフェアにやってらっしゃる。
今回の問題は、公認車両であるかをちゃんとチェックして、公認大会に参加するにはちゃんと公認車両を使っていただこうという、これまでも守られていたはずの規則を、あらためて徹底しましょうという申し合わせをしたところ、大騒動になってしまったわけだ。公認車両という規則があることは知っていたけど、どれが公認車両なのかがはっきりしなかったり、あるいはそういう制度を知らずに大会に出ていた人にとって「聞いてねーよ」ということになるんだろう(もちろん原理原則でいえば、規則書が配布されているのだから、見ない方がいけないんだけど)。もしかしたら、ほんとは公認をとっていないマシンなのに、なんとなく出場できてしまっていたケースもあるかもしれない。これまでOKだからといって、規則に反していることはやめようというのは、理屈の上では、当然だ。
しかし、規則が変わらなくて、これまで参加できていたマシンが、今年から参加できないと言われたら、やっぱりびっくりする。誰かがいじわるをしている気がするかもしれない。参加したい人を締め出してなにがおもしろいのかと思うかもしれない。でも、トライアルにはいじめっ子はいない。今回、参加できなくなった悲劇の対象は、最初に出した公認が切れてしまう、ちょっと昔のマシンたちだ。全日本選手権では、5年も前のマシンは、ほとんど見かけなくなっている。新しいもののほうが性能は優秀だし、仮に性能が一緒でも、古ければいろんなところが疲労していて、いいことはない。だからみんななるべく新しいマシンを使っている。ところが全日本選手権を走る国際A級、国際B級の面々は、公認車両にしばられることはない。彼らは競技規則さえ満たせば、自作のマシンでも参加ができる。
一方、ちょっと古いマシンが登場するケースの多い地方選手権や県大会などに参加する国内A級や国内B級には、公認制度がばっちり働く。昇格ポイントのつかない承認大会の場合は、公認非公認を問わずに参加できることが多い。だから今回の問題は、地方選手権や県大会に参加する国内A級と国内B級に限っての問題ということになる。大騒動になっているということは、それだけこの層が厚いということで、逆説的にいえば、悪い話でもないのかもしれない。
規則は守りましょう。もしも、規則が実情に即していないなら、規則を変える必要はあるかもしれない。でも、少し古いマシンが出場できなくなったからといって、公認制度全体がおかしいのかどうかは、微妙なところだ。それに、公認制度はロードレースもモトクロスも、モタードもスノーモービルも、あらゆるMFJカテゴリーに共通する制度だ(トライアルマシンがスノーモービルのレースに出られるという意味ではない)。仮にトライアルでは公認制度が不要だとしても、モータースポーツ全体で公認制度が不要とならなければ、公認制度は残される。技術委員会では、トライアルだけが公認制度について特別処置をとることは適切ではないという結論が出されている。つまり、公認制度を廃止するという選択肢はないように思える。ちなみに規則を作るのはMFJではなく各委員会となる。MFJは、規則を運用するいわば“行政機関”だ。
公認には、公認申請料がいる。インポーターとしたら、新車を公認申請をするのは納得できても、大昔に販売を完了したマシンに費用が発生するのは、なかなかつらいところ。それでなくても、昨今のユーロ高は輸入業者を思いきり痛めつけているのだ。
新型車についても、一筋縄ではいかない。現実には、公認車両であるかどうかはフレーム番号で識別するしかないのだが(排気量やボア×ストロークは年式が変わっても共通のマシンが多いと言う前提でのことだが)、輸入マシンの中には、同じ形式で公認をとり続けているものもあるようだ。一方、毎年公認をとっているものもある。この両者には、けっこう大きな負担の差が出てしまう。
こういったもろもろは、一部の人は知っていたのかもしれないけれど、みんながみんな熟知していたわけではない。えらそうなことを書いているけど、ぼくはなんにも知らなかった。今回のことで公認について規則書を見たら、ダンロップのD803が公認となっていて、ミシュランやIRCは公認リストに載っていなかった。となると、ミシュランで走っている選手は公認違反で失格になっちゃうのかと思ったが、トライアルではタイヤの公認制度がなくなって、最後に公認したダンロップだけがリストに載っているということのようだ。いろんなことが、解説してもらわないと、わからない。
競技会に出るのだから、規則書は熟読しなさいというのはよく言われるし、当然のことだ。ただ、いっしょうけんめい理解しようとしてもわかりにくいとしたら、わかりやすくなるように変化が見えるといいなと思う。MFJというところは、よくも悪くもモータースポーツのお役所的なところで、他のお役所を見てもわかるとおり、わかりやすくない。そして知らない方が損をするというシステムになっている。国民年金も、そういうシステムだった。
ユーザーの側にも、わかりにくいからといって、ちゃんと知ろうとしなかったという側面がある。今回、お気の毒に用意したマシンで選手権に参加できなくなった人も少なからずいるんだろうと思うけど、そんな人たちを救済するのは簡単ではないかもしれない。できたら救済してあげたいけど、百歩譲って救済できなかったとしても、MFJのいろんなことに対して、こんなことを機にしてでも理解と考える機会が増えるとしたら、せめてそれはそれでよい結果になると思うのだった。
*写真は例によって本件とはまったく関係なくて、イタリアのマリオ・カンデローネの奥さんであるアニエーゼが、日本語検定に合格して、その合格証書のコピーを送ってきた。イタリア人が日本語を勉強するというのはとてもたいへんだと思うのだけど、彼女はがんばったのだ。ぼくも、古くなったワープロをプレゼントして、これで日本語の発音と漢字についてお勉強しなさいとご指導したものだったけど、それが役に立ったのかよけいなお世話だったのかはよくわからない。マリオは日本に来たとき、そこここの日本女性に目を輝かせて「おれは絶対に日本人妻をめとるのだ」といっていたから、この証書を送ってきたときの返事に「よかったなぁ。これできみはJapanese wifeを手に入れた」と書いてやった。わはは。
●16:59
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2008年01月28日
先進の逆風
成田匠の、2008年の去就が気になっている。
気になったので、電話してみた。そういえば、あけましておめでとうのごあいさつもまだだったし、お互いに引っ越ししたのに、そういうごあいさつもまだだったので、そういうごあいさつかたがた、今年はどうするの?と聞いてみた。そしたら、今の時点でははっきりしたことが答えられないということだった。その言い方からすると、話が決まっていないのではなくて、もう大筋で決まっているのだけど、発表まではないしょね、という感じ。いずれにしても、小排気量での普及活動を推進することと、トライアル・アカデミーで後進を育成する活動については、2007年同様に進めていくということだ。
今ははっきりしたことがいえないというのは、全日本選手権への参戦体制ではないかと想像する。聞きたかったのも、そのへんだ。
2007年、成田は国際A級クラスのチャンピオンになった。それも、ヤマハTYS125F(スコルパSY125F)で250cc以上のライバルに挑んでの勝利だった。直接のライバルは小森文彦で、小森との最終戦での緊張感ある、それでいてさわやかな一騎打ちは印象深かった。そしてわずかの差で、タイトルを決定したのだった。
当初成田は、125ccで国際A級に参戦することが重要で、結果については多くを求めていなかったようだ。ところがいざ参戦を表明すれば、目標を聞かれる(ぼくらも聞いた)。メーカーや関係者からも、期待される。そしてその期待通りの結果を、成田は実現した。
ところが一方、国際A級スーパークラスという特別枠のライダーは、参加者の減少傾向に歯止めがかからない。もともと、成田をはじめとする世界選手権に挑戦しているライダーが全日本に出場した場合、国際A級の多くのライダーとのレベル差が大きくて、同じ土俵で競うのがむずかしい、それなら別枠を作って、世界で活躍するライダーがしのぎを削るクラスを作ろうじゃないかというのが、スーパークラス誕生のいきさつだった(と理解している)。
しかし今、藤波貴久はヨーロッパにい続け、全日本に帰ってくることはなくなった。世界選手権に挑戦しているのは、藤波以外には小川毅士だけで、黒山健一も小川友幸も田中太一も野崎史高も、みんな日本に帰ってきた。彼らの力量は今も世界レベルではあるが、世界に挑戦しているライダーは、いまやこの中にはいない。そして残念ながら、これから世界に挑戦するような若手も、今のところは見あたらない。国際A級で上位を占めたライダーも、スーパークラスでは土俵が厳しすぎて、またふつうのA級に降格して走ることが多い。スーパークラスの維持のために、A級上位のライダーはスーパークラスへの昇格を義務づけるべきという委員会の決定がされたのは、2007年初頭のことだった。その規約に最初に該当するのが、2007年国際A級チャンピオンの成田だった。
もちろん、成田はスーパークラスにふさわしいライダーであることはまちがいない。しかし今、成田は125ccの普及に精力を注いでいる。125ccでスーパークラスに参戦は、さすがに無理がある。2004年に成田はTYS125F改でスーパークラスに参戦したことがあるが、ベースマシンは125Fだったけれど、あれは排気量がざっと200ccのスペシャルマシンだった。国際A級スーパークラスは、125ccのままのTYS125Fで挑めるクラスではない。
成田は規則を承知で、国際A級クラスへの残留を申請したが、これはトライアル委員会で否定されている。事情は重々理解できるも、制定されたばかりの規則を初年度にして特別処置で覆していては、ルールの意味がなくなってしまう。
最悪、成田は2008年は選手権は浪人か、というところで、話は振出しに戻って、今は成田サイドからの正式発表(おそらくヤマハ発動機からの発表になるのだろう)を待つことになっている。
この一件については、国際A級に残留して125ccで可能性を示しつつ、250ccマシンに乗る若手ライダーの目標になるという成田の意図はとても素晴らしいものだと思えるし、同時にスーパークラスを盛んにするために、A級の上位はきちんと昇格してほしいという委員会側の意向もたいへんに理解できる。どちらがいい悪いという問題ではなく、成田はチャンピオンになったタイミングが悪くて、スーパークラスへの昇格を強いられる結果となった(2007年ランキング2位の小森文彦と3位の三谷英明もスーパークラスへの昇格をしているが、彼らはスーパーとA級残留を選べる権利を持っていて、チャンピオンの成田はスーパー昇格以外に選択肢はないのが今年決まった規約だ)。
成田匠は、近代日本トライアルの先駆者である。山本昌也世代と藤波貴久時代の間にあって、どちらの世代とも約5年のギャップがある。その中で、成田が切り開いた新しいトライアルの世界は数多いのだが、しかし、少なくとも当時のトライアルは、成田のその業績を認めてこなかった。そればかりか、ときには成田に逆風を送ったりもした。それはけっして成田にいじわるをしたわけではなく、当時のルールが、そういうふうになっていたからだ。ちょうど今回の昇格問題は、それらのまるで再来のようなできごとだった。
成田の時代は、MFJの選手権に出場するには、運転免許証が必須だった。つまり16歳以下のライダーは、どんなに努力をしても試合にでられなかった。だから成田も、16歳になってからMFJの選手権に参加した。
成田の実積があって、これからは免許のない若手の中にも優秀な人材が育つ可能性が実証された。それで、運転免許証が必要ないジュニアクラスというクラスが新設された。黒山健一や藤波貴久など、その後に世界へ羽ばたいていく逸材は、みなこの制度にのっとって免許のない時分から選手権に参加した。道は、成田匠のあとにできた。
1989年に、成田は国際A級に昇格する。国際A級ライダーには、世界選手権挑戦の権利がある。ところが、成田の場合はそれができなかった。A級昇格1年目は、修業のために全日本に専念しなさい、世界に出ていくのは、2年目以降にしなさいという規則が、その当時はきっちり生きていた。なんともおせっかいな規則だが、規則は規則だ。A級1年目で世界に挑戦したかった成田は、89年はきっちり全日本を走り、全日本チャンピオンを獲得した。
その後、藤波貴久は15歳のうちに全日本チャンピオンとなって世界へ挑戦したが、黒山健一は全日本選手権を走る以前に世界選手権に旅立った。ここでも、道は成田のあとにできている。
1990年のことだった。成田匠が世界選手権に参戦中、日本チームがトライアル・デ・ナシオンに参戦した。成田は世界選手権で上位入賞のきっかけをつかんでいて、世界の舞台でも周囲に脅威を与えはじめていた時期だった。日本のトップライダーであることは、誰もが認める。
ところがデ・ナシオンにやってきた日本代表は、成田を除いて構成されていた。ヨーロッパのトライアル人たちには、その理屈がさっぱりわからない。しかしこれも、理屈はしっかりしていた。当時のデ・ナシオンの日本代表は、全日本選手権の上位のライダーから選出すると、きちんと定められていた。全日本選手権に参戦実積のない成田は、この条件をクリアできなかった。
しかし、世界のトップを争っている選手が、日本代表選手として日本のために貢献できないのは、ヨーロッパの人のみならず、誰が考えてもおかしい規則だ。ヨーロッパだと、規則がどうあれ、結果オーライの方向で実行に移すことが多い。しかし日本は、ルールを尊重したのだった。
今では、デ・ナシオンの代表選手の選考は、世界選手権と全日本選手権の成績を鑑みて決定するようになっている。今のルールなら、あのときの成田は、デ・ナシオンに参戦できた。事実、1991年には、成田は日本代表としてデ・ナシオンを戦い、日本チームとして最上位の7位を獲得している。
1995年。成田に加えて、黒山健一と小川友幸が世界選手権挑戦を開始した。この年、ヨーロッパでは、この3人による日本チームが、デ・ナシオンで何位に入るだろうかという予想で盛り上がった。世界選手権にフル参戦しているメンバーが揃う日本代表チームは、これが初めてだったからだ。この時期、MFJは資金難をはじめ、もろもろの理由からトライアル・デ・ナシオンへの選手派遣を見送っていた。しかし選手は、今現在ヨーロッパにいる。派遣費用は、最低限ですむはずだ。そこで、有志がMFJを動かし、デ・ナシオン参戦の準備が始まった。しかし、デ・ナシオン当日は全日本選手権が開催されている日でもあった。
黒山と小川は、全日本にはフル参戦していないから、全日本を見送っても、実質的に痛手はない。しかし成田は、あと1戦好成績をおさめれば、全日本チャンピオンの可能性があった。当時はパスカル・クトゥリエがゼッケン1をつけ全日本のトップに君臨し、藤波貴久がこれに挑戦していた。藤波はまだ成田の敵ではなかったし、クトゥリエはもはや成田の敵ではなかった。しかし欠席してしまえば、彼らには勝てない。しかしデ・ナシオンも、成田抜き、黒山と小川ではチームとして成立しないのだ。
成田は悩んだ末、デ・ナシオンを選んだ。その結果、日本はスペインとイギリスに次いで、堂々3位を獲得した。その一方、成田は全日本チャンピオンの座を失うことになった。その結果、成田は日本での名誉ばかりではなく、契約金や賞金なども失うことになった。そして、デ・ナシオン3位入賞に対しては、期待していたほどの反響がなかった。報酬や反響がほしくて選択したデ・ナシオン参戦ではなかったが、成田がここで失った全日本チャンピオンの座は藤波が手中とし、その後の世界挑戦へのジャンプボードとした。
成田匠のやることは、いつも新しい。ワンピースのライディングウェアを全日本の場で本格的に着用したのも成田が先駆者だった。そしてまた、そのワンピースに相反するように、カジュアルなパンツを着用して物議を醸したのも、成田が先頭を切っていた。
間もなくでる、2008年の成田匠の選んだ道。成田は、いつでも逆風の吹く中を新たな世界に挑戦している。今度もまた、そんな選択をするのだろうか。
●14:32
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2008年01月08日
新しい数字
2008年。あけましておめでとうございます。ご承知のように、ニシマキには日曜日も正月も朝も夜もないので、新年になったからといって特別なにが変わるわけではないのですが、でも今年は近所の神社に初詣でなどでかけて、用意されていたお神酒などいただいて(お代わりもしたし)、しんしんと降る雪を踏みしめながら、新しい年を迎えた慶びなど感じてみました。
そういう清らかな気持ちとは別に、1年の区切りというのはいろいろあるもんで、そういえば原付きの税金って、いつが区切りだっけかな、まだ名義変更してないから、小鹿野町から税金払えっていわれるかもしれないなと思い、年の瀬に名義変更してきました。村のこっちからこっちに移動したので、住民登録を変更するという儀式もあったのですが。
ピンクのナンバープレートって、地域によっては横長で六角形のところも多い。あれはいやだなぁと思ってたけど、川内村のナンバープレートは長方形で、コンパクトでした。にこにこ。
帰ってきて小鹿野町のナンバープレートをはずし(小鹿野町の皆さん、短い間でしたけど、本当にお世話になりました)川内村のナンバープレートを付ける……。
つけようと思ったら、なんだか手に持った感触がちがいます。あれ?
鉄板とアルミ板のちがいでした。小鹿野のナンバーはアルミ。川内のナンバーは鉄板です。当然、アルミの方が軽い。
ぼくらの使用目的だと、圧倒的にアルミがいい。ほんとはチタンかなんかで軽いナンバーを作りたいくらいだ。原付きのナンバーは地方行政が各々作っているみたいだから、行政ごとに、大きいナンバーや小さいナンバー、軽いナンバー、重たいナンバーがあるんでしょうね。
ナンバープレート全国比較でもやってみようかと思ったけど、やたらとめんどくさい割に得られる情報がたいした意味をもたないということに気がついて、やめました。とりあえず、川内村と小鹿野町については、調査結果を発表しておきます。
川内村のナンバープレートを付けたトライアルマシンは2台。軽いナンバーを用意する必要はないと思われますが、小鹿野町のみなさんは、そんなわけでトライアルに適したナンバープレートを発行してもらっているのだから、ありがたく思ってくださいね。埼玉県小鹿野町では、オートバイによるまちおこし事業も展開してます。こちらもご注目ください。
小鹿野町ナンバーは、ほんとは返さなきゃいけないだろうけど、小鹿野町に暮らした記念としてかざらせてもらおうっと。
●12:20
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2007年12月22日
枝打ち教室
枝打ち教室ってのに行ってきた。これにいったからといって、枝打ちや伐採の職人になれるわけではないけど、枝なんてぶちぶち切ればいいんだろうと思っている素人は、ちゃんとお勉強したほうがいいと思ったのでした。さらに欲を出せば、山奥の植林地の枝打ちにオートバイに乗ってでかけられれば、ぼくらにとっては一石二鳥になるのではないかというもくろみもある。オートバイが野や山から締め出されるのは、意識的にしろ結果的にしろ、野や山のためになることを、ひとっつもやってないからじゃないかなと。
さてこの日、教材になってくれるのは植林して放置されているヒノキと、育ち放題に育ってしまったモミの木だった。手ほどきしてくれながら山を歩いてくれたのは、林業指導所の指導員の方だった。
枝打ちってのは、いらない枝を切ってやることだ。 枝には、必要な枝も不要な枝もあるようで、教えてもらったのは「力枝」ってやつだ。木を横から見ると、枝ぶりを三角形に整えるのが枝打ちで、その底辺の枝を力枝っていうらしい。意味はわかんないけど、上の枝を支えているように見えるじゃないか。枝打ちをさぼっていると、三角形の下側にも古い枝が残って、菱形になってくる。これがよろしくないのだそうで、力枝の下側の部分の枝を切ってやる。まぁ、床屋さんのようなもんだ。
枝の根本、幹から、ちょっとかさぶたみたいになっているところから、のこぎりで切る。達人がやると、のこぎりでぎりぎりやるより、ナタなどですぱっとやったほうが切り口が鮮やかで、しかも簡単ということになるんだが、素人がやると皮をよけいにはいでしまったりしてろくなことがないので、のこぎりでていねいにやっていくべしということだ。
重たい枝を、最初から根本で切ると、枝の重みで最後にべきべきと折れたりする。そうすると皮が剥けてしまったりするので、最初に根本から30cmくらいのところでいったん切って、それから根本で切断してやるという二度手間をすると、なおよろしい。枝がなくなればいいじゃないかということではない。人間の体を切り取るのも、手術で悪いところをとるのと、爆弾で吹っ飛ばすのとではまるでちがうのとおんなじだ。
高いところの作業は、安全帯を使うこと。職人さんたちはめんどくさいからそのまま登ってるけど、安全対策はセオリーですね。トライアルをするときはヘルメットをかぶりましょう、というのとおんなじ。
枝打ちは、幹まわりが6cmくらいの頃にはじめるのがよろしいそうだ。それ以下だと、枝がいっぱいあって光合成をしたほうがいいお年頃だったりする。あんまり太くなると、せっかく枝打ちをしても、もはや節が残ってしまうという事態になる。
枝打ちってのは、まず価値の高い木を作るというのが大きな目的。まっすぐで、節のない木材が、価値の高い木。お金になる木を生産するために、枝打ちは不可欠なのだ。
今、木の生産地では、手入れをされない山があふれている。杉なんかは、上のほうの枯れ枝を落とすと、重みで下の枯れ枝も落ちてくるから、枝打ちはらくちん(比較的)だそうだが、ヒノキは枝がしっかりしているから、上から落ちてきた枯れ枝が途中でひっかかって下に落ちない。森が、どんどんくらくなって、地面に日が当たらない。そして、荒れた森になっていく。
手入れの方法は枝打ちだけじゃない。植林された苗木は、収穫時には、だいたい1割くらいになるんだそうだ。残りは病気になったり育ちが悪かったり、幹がぐんにゃり曲がってしまったりして、商品にならなくなったもの。そういうのを伐採していくことで、森が明るさを保って、残った木が元気に育つ。元気に育った木は、高く売れる(といっても、ほんとにたいしたことはない)というわけだ。
とはいっても、だめな木を伐採していって、まったく空き地にしてしまうのもダメらしい。適度に木が残っている必要があるから、その場合は、ちょっとだめな木でも、そこに立ってる価値がある。
曲がった木や、枝打ちをされないままに太くなってしまった木も、曲がった先からは商品になるかもしれないし、枝打ちをすることによって発育を抑制しててきとうな太さのまま、存在できることになるので、どんな木に対しても、枝打ちしないよりしたほうがいいということだ。
でも。
枝打ちは、どんな植林地に対してもやったほうがいいのだけど、勝手にやっていいというものではない。当然だよね。なので、植林の持ち主とのコミュニケーションは不可欠になる。
枝打ちついでに、木にとって大きなダメージとなるのはどんなことか、聞いてみた。それがわかっていれば、森を走っていて、木に与えるダメージを考えることができるから。
「幹の全周を傷つけると、木は立ち枯れします。でもちょっと傷つけるくらいなら、ダメージがないとはいわないが、幹の皮の他の部分を使って、養分はいきわたる。根っこも1本傷つけられたら影響はあるけど、何本も根を生やしているから、現実的には問題ないはず」
トライアル場では、木の生死にかかわるような環境変化が起こっていることもあるけど(木の根のまわりが、ターンの練習ですっかり削れてしまっていたり)、森を散策する限りでは、木への影響はそんなになさそう。
「でもね、それは生き物としての木への影響であって、植林した木は商品ですから、幹に傷をつければ商品価値が落ちる。根に傷をつければ発育に影響が出て、それで商品価値が落ちるかもしれない。なにより、植林地は個人の山ですから、持ち主がどう思うかという感情的な問題は残ります」
ぼくらがオートバイに乗って遊ぶことを、自然破壊とくくられることは多いけれど、実は日本には自然のまま放置されているところなんてほとんどなくて、たいていは人の手が入っている。
枝打ちをさせてもらうにしても、オートバイで走らせてもらうにしても、まず、人間と人間がふれあうことを忘れちゃいけないですね。あたりまえのことだけど。
●09:32
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2007年12月10日
ど・ビギナーbyタイガーカブ
四十雀に参加するのに手入れをして以来、トライアンフ・タイガーカブが機嫌がいいので、調子に乗ってど・ビギナートライアル大会にもこれで参加することにしました。
スコルパSY250Rに乗っていたときに参加させてもらって、セクションがとってもていねいに作られているのに感激して、その後もてぎでの大会運営を共同で行うようになって、すっかりスタッフの一員になっていましたけど「出場したい」言っていったら快くお許しをいただきました。
SY250Rのときはできもしないのにオープンクラスのラインを走ってぼろぼろになったけど、今回はきちんとビギナーラインを走ってみようとココロに決めています。この大会のセクションはほんとにうまく作られているんだけど、それがどんなものか、やっぱりときどきは大会に参加して確かめてみようと思ったというのが、大義名分です。
この大会、高い段差はありません。オープンクラスでも、せいぜい20〜30cmくらいの段差があるくらい。ビギナークラスは、もっと低い。ただ、きちんと作り込まれているから、かなり難度は高い。ビギナークラスの場合は、ちょんとオートバイ心のある人なら「なんだー、簡単じゃないか」と思える程度。で、走ってみるとばたばたと足が出る感じです。先へ進めなくて5点になるということはあんまりないと思う。オープンクラスの場合は、けっこう熟練者が「なんだー、平らだし、簡単じゃないか」といいながら、ばたばたと足をついてしまう感じの設定です。
セクションは広々としているので、勝手に高い岩に向かっていく人もいます。そういう人には歓声が飛んだりしますが、自然山通信初めて10年。最初は歓声をあげていた素人ニシマキも、トシもとったし、今じゃ、勝手に高い岩に向かっていくのはトライアルにあらずと思ってます。トライアルは、規制された中で、一番簡単で確実なラインを発見して、そこを確実に走破するのが勝負です。「トライアル」の訳語は試験なんだけど、これを挑戦だと訳してしまった人がいたのかもしれませんね。
どんなふうにトライアルを楽しもうと勝手なんだけど、概して、無謀な挑戦をしているとうまくならずに、ライディングがどんどん荒くなってく傾向があるってのも、最近わかってきました。ある程度うまくなったら、それにあわせてセクションのレベルも上げていく必要があるんだけど、それと無謀な挑戦とはちがうからね。
藤波貴久が世界選手権のもてぎ大会を走る場合、彼の技量とセクションレベルはどんな関係だったかというと、きっとぼくとど・ビギナーのビギナークラスの関係にごく近いのではないかと発見したわけです。オールクリーンができる設定だけど、ミスは出る。ミスをどう減らすかの勝負。トップライダーはこういうのを神経戦といって嫌いますけど、そういうのがトライアルってもんだと、思っています、最近は。
前置きが長くなった。そんなわけで第1セクションについたら、まぁむずかしそうに見える。ぼくのトライアンフ・タイガーカブは、少なくとも1968年以前に製造されたイギリスのトライアンフ製のOHV単気筒(もちろん空冷)200ccエンジンを積んでいる。アーサー&アラン・ランプキン製作所の向かいにあるジョン・ランプキン・ベータUKの川向こうに住んでいるキース・フォースマンさんが、タイガーカブをトライアルマシンに仕立ててくれました。作ってくれて日本に送って、ざっと80万円くらいだったと思う。新車のトライアルマシンを買うのと同じくらいだったと記憶しております。
イギリスマシンだから、ブレーキは左足で操作。始動はプライマリーキックじゃないから、いちいちニュートラルに入れないといけない。ブレーキはもちろんドラムブレーキ。きかない。そして、昔のマシンにしたら軽いんだけど、重たい。しかも、なんだかホイールのセンターがずれていて、まっすぐ走らない。走らせたら最後、行きたい方向は(ヘタクソなぼくの場合)ライダーの意思6割、あとの4割はオートバイが決める。
この岩を越えたらどんな衝撃が来るだろう、このターンは素直に曲がれるのだろうか、などなど、不安なことだらけ。セクションは長くないけど(といっても、最近の初心者トライアル的には充分に長いらしい。セクションは必要なだけ長くあるべしだと思うけどな)、そのかわり一回とちったら、それを引きずったまま出口まで駆け込まなければいけない。けっこう必死。
朝寒かったから、まぁいいかと思ってコートを着たまま走ったけど、5〜6セクション終わる頃にはすっかり暑くなった。まぁ当然でしょう。ちなみにこのコートは、ベルスタッフではなくてバブアというブランド物。英国貴族がハンティングなんかに着ていくコートで、汚し放題で着るのがおしゃれというところが気に入っている。油が引いてあるから、そうそう洗濯もできないのですが。
でもまぁ、必死の思いでマシンを曲げて、10cmの段差を大岩に挑むドギー・ランプキンのような覚悟で飛び越え、第8セクションまではクリーンが続いておりました。どのセクションも楽勝ではなくて、油断したらあっという間に減点しそうなところばっかりだったけど、でもこの調子ならオールクリーンで優勝するのも夢じゃないなと思った矢先。泥のターンで足をついてしまいました。なんだばかやろー、みたいなへぼな失敗。クラッチミートしたのにマシンが出なかった。このワイヤークラッチは、右と左でタッチがちがうんですね。くそっ。
そしたらその次のセクションで、また失敗。全日本なんかで、前の失敗を引きずるってことがあるけど、ちょうどあんな感じですかね。きちんと分析してみると、下見がいいかげんになった。おいしいラインだけ下見して終わってる。最初の頃は不安で不安でしょうがなかったから、おいしいラインの下見を終えて、もしこのラインに入れなかった場合はどうしようとすべり止めラインをいっぱい下見していた。だからちょっと失敗があっても落ち着いていられたけど、クリーン連発してセクションをなめてきた。ベストラインしか下見してないから、ちょっとラインがずれると、いきなりあわてることになる。慌てるこじきはもらいが少ない(放送禁止用語なのか?)と言われたけど、この場合は減点が多いのであった。
最終セクションでどうしようもない足つきが2回あって、1ラップ目の減点は4点。うーむ。
2ラップ目はコートを脱いでいった。そしたら後半になって、少し寒くなってしまったんですけど、世の中、うまくいかないということだ。
第3セクション、高橋摩耶さんがオブザーバーやっているところでスタック。ぶざまにマシンを押しだして3点。あちゃー。よし、クリーンしたぞと思った瞬間に後輪が小石につかまってました。
第4セクション、田中裕人さんのセクションでも、やっちゃった。ベストラインに曲がるのがきつそうだったので、もう一本外側の木と木の間を抜けてみたらその先にラインはなかった。足をついて無理に曲げたほうが減点は少なかったと思うのは、後の祭りというわけです。
1ラップ目に足をついた第9はクリーン。足つくセクションじゃないんだもの。でも10セクションのターンは、やっぱりだめだった。2ラップとも足をついたのは、このセクションだけ。くやしいから、終わってから復習にいったけど、4回目でようやくクリーンできた。なんでもなさそうに見えたんだけど、まだまだ修業が足りません。
10セクションで2点ついて、2ラップ目7点。全部で11点がぼくの成績でした。ひそかにライバルにしていたNK女史などは、1ラップ目の途中カードを盗み見したときには減点がちょろちょろあったので安心していたら、4点と4点で8点だったそうな。完敗。
あのマシンで11点はご立派と主催の萩原さんにおほめの言葉をいただいたので、とりあえずよしとしておきました。オールクリーンで優勝しようと思った、などというのは、ここだけの秘密。
会場では、ベータの試乗会をやっていた。トライアンフに乗りたい人もいるかなと思ったけど、寄ってくる人は多いけど、お化けでも見るような感じで「乗りますか?」と聞いても「とてもとても」と逃げていく。ベルドンにいった齋藤さんが乗ってくれたけど「こりゃトライアルはできない」という感想でした。
ぼくの場合は、近代的マシンでオープンクラスは少しむずかしい。でもビギナークラスはちょっと簡単め。トライアンフでビギナークラスというのは、緊張感と難易度がとてもいい感じで、わりとお気に入りでした。
次は、このマシンでまだ一度も完走していない、ツーリングトライアルにも出かけてみたいところだなぁ。
*写真は問題の10セクション。1ラップ目。このあと足をつくんで、フォームがすでに破綻しています。
●08:37
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