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【2009年07月01日】

ファハルド初優勝

0906アンドラのファハルド

 ジェロニ・ファハルドが、ついに世界選手権で勝利した。
 ファハルドはバルセロナの東、ジローナの出身で、ガスガスの本社に近いことから、長くガスガスの申し子として育てられてきた。
 そのファハルドがベータに移籍したのが2007年。それから1年半後、世界選手権の中でも飛び抜けて標高が高いアンドラ大会で、念願の初勝利を手にした。
 2位はアダム・ラガ、3位にトニー・ボウ、トラブルつづきだった藤波貴久が4位となっている。




 ガスガスとファハルドの関係は、モーターサイクルに進出する以前から始まっていた。当時、ガスガスがプロデュースしたトライアル自転車である目メガモのライダーとして、日本の世界選手権にも参戦したことがある。
 オートバイでの世界選手権参戦は2001年から。最初の1年は無得点のママシーズンを終え、翌年の2002年、アメリカ大会で13位と12に入り、初ポイントを獲得した。この年の最終戦、もてぎの世界選手権に初めてやってきたが、層の厚い日本勢の前に、両日ともに20位で終わっている。
 2003年、トニー・ボウがデビューしたその年は、ファハルドに取ってもいつまでも若手として勉強している場合ではないという緊迫感があったのではないだろうか。ボウがデビューしたその開幕戦で、ファハルドは7位と初めての一桁入賞を果たしている。
 以後は安定して一桁入賞をするようになり(2005年の日本大会では直前に負傷の影響で土曜日に12位、日曜日はリタイヤとなった。これは特別)、2005年のフランス大会では一躍2位で初表彰台の獲得となった。その後もトップ勢のわずかな乱れに乗じて表彰台を奪う活躍を見せる。そして2007年から、古巣のガスガスを離れてベータのライダーとして新しいスタートを切った。
 現在、世界選手権を走るライダーの中で、優勝の経験を持つのは6人。そのうちの5人が世界選手権タイトルの持ち主だ(藤波はアウトドアのみ、カベスタニーはインドアのみ、ボウ、ラガ、ランプキンは両方のチャンピオン経験者。残るひとりは、モンテッサ時代にはランキング3位にもなったマルク・フレイシャ。通算5勝を挙げている)。ファハルドは、これからチャンピオンを獲得する者として、優勝経験者リストに名を連ねた。

0906アンドラのファハルド走り

 それにしても、今回のファハルドは圧勝だった。どんなライダーでも好不調の波はある。調子のいいときに、どれだけ勢いを持続させて勝利に突っ走れるかが、トライアルの最初の勝負だが、ファハルドはその難関を勢いよく突き破ってしまったようだ。1ラップ目は2位に7点差で、ほぼダブルスコアに近い大差(それもラガとボウのふたりに対してだから、脱帽)。2ラップ目はラガに2点差で減点4だったが、そのうちの1点はほぼクリーンセクションの最終セクションでちょっとした油断でついたものだったから、ほぼパーフェクトといっていい戦いぶりだった。
 トータルではラガの21点に対して15点で6点差。しかし中には、その油断の最終セクションでの1点もあるし、なによりタイムオーバーの3点も含まれている。やはり今回のファハルドは、ラガやボウの超トップライダーに対しても、倍ほどもポテンシャルを持っていたというべきだろう。

0706アンドラの藤波

 藤波は、第5セクションまでは調子がよかった。第5セクションでは、他の誰もが登れなかった岩盤を、一度マシンを止めて90度向きを変え、なんとか押し上げるという独特の攻略法をあみだして3点で抜けた。この日の藤波は、スタート前にクラッチの不調に悩み、さらにスタートしたらそのクラッチの別部分が壊れ、朝から修理に追いまくられるという不運に見舞われた。さらに第1セクションではパンク。集中したいライダーにとって、なんとも手痛い状況になってしまった。
 しかし不調のクラッチは、結局完全な藤波セッティングまでには復活せず、残念ながら今回の藤波は不完全燃焼。ここまで調子のいいファハルドと戦えたかどうかはともかく、このところの藤波の調子なら、ラガとボウとは対等に戦って、表彰台争いをしたにちがいないのだが、残念なことだった。
 藤波の4位に対して、僅差で5位と6位に甘んじたのがイギリス勢の二人。ランプキンとダビルだった。逆に言えば藤波は、あと2点ほどよけいに減点していたら、彼らにも先へいかれて再び序盤戦の悪夢と同じく、5位や6位に低迷していたことになる。

0906アンドラのボウ
アンドラのボウ

 ところで今回、ラガとボウの間には激しい火花が飛ぶシーンがあった。1ラップ目を同点で終えた二人だから、当然勝負の火花は飛び交っているのだが、話はちょっとちがって、第9セクションでのボウの5点のことだ。ここはトップ4人は誰も減点をしていない。ボウが5点をとるわけがないセクションだった。
 いつものようにフロントを高くあげて岩を超えてきて、そのまま“フロントをつった”状態からフロントをそっと地面におろしたボウだったが、そこにテープがあった。テープの上にタイヤが乗る分には問題なし。しかしその衝撃で、テープは切れてしまった。これは残念。不運の5点である。
 しかしオブザーバーは、このテープの切断に気がつかなかった。これに気がついたラガ選手、正義感からオブザーバーにこれをお伝えしてしまった。それで、一度はクリーンとパンチされたボウの9セクションは、5点とパンチしなおされることになってしまった。

09アンドラのラガ
アンドラのラガ

 これに怒ったのがボウだった。日本の感覚からすると、ボウが怒る筋合いではないかと思われるが、あちらでは人の失敗を横から指摘するような行為は断じてしない。そのかわり、誰かが抗議していても加勢することはない。ここがしっかり独立して、自分の戦いをするのがトライアルだという思いが強いのだ。
 2005年だったかの女子デ・ナシオンで、フランスチームのトライを5点だと指摘した日本チームに対して、フランスのチームを率いていたティエリー・ミショーさんが烈火の如く怒りまくったことがあった。怒られた日本女子は災難で「5点だったから5点といっただけなのにー」となるのだが、ヨーロッパ的には「我々の採点が5点だろうとクリーンだろうと、ライバルのあなた方が口を出すことではないのだっ」となる。どちらが正義なのかは、考え方とお国がちがうからわからない。
 結局、正式抗議を出すと息巻いたボウだったが、チームの説得で気持ちはおさまった。テープを切ったのは確かなので、その点ではスコアが訂正される可能性はないこと。今回はラガがボウよりよいポジションを得たが、まだ選手権ポイントは12点差あって、残り2戦であることからその優位は圧倒的であることなどが説得材料だった。
 ボウにすれば、これがクリーンだったなら(5点でなかったなら)、ラガに勝利していたばかりか、もしかすると気分もよくなってファハルドにも肉薄できた可能性もあり、くやしさ満点というところなのだろう。
 こんなことが起きるのも、またトライアルだ。

 ジュニアクラスは、アルフレッド・ゴメスが勝利。ユースでチャンピオンになってジュニアに昇格してすぐに勝利したゴメスだが、その後はなかなか勝ち星に恵まれないでいる。今シーズンは、これが2勝目。
 ユースクラスは、マキシム・ワレンハインが勝利。ジョナサン・リチャードソンは3位となった。


RESULTS

Pos.Rider/Machine123456789101112131415LapTPToralClean
1Jeroni Fajardo000050200000010831524
Beta SPA00002010000000140
2Adam RaGasGas0000502000052101502123
GasGas SPA00001000000500060
3Toni Bou1001500050011101502319
Montesa SPA00001011000005080
4藤波 貴久0000305101051502104316
Montesa JPN001150500005230220
5位以下
Pos.RiderMachineNationL1L2T/OC
5Dougie LampkinBetaGBR212304416
6James DabillGasGasGBR261804411
7Albert CabestanyShercoSPA262235112
8Marc Freixa GasGasSPA342145914
9Daniel OliverasGasGasSPA47270747
10Michael BrownShercoGBR46370836
11Loris GubianGasGasFRA586491311
ジュニア
Pos.RiderMachineNationL1L2T/OC
1Alfredo GomezMontesaSPA310426
2Matteo GrattarolaShercoITA11101223
3Francesc MoretGasGasSPA10801820
4Ross DanbyGasGasGBR13802116
5Alexandre FerrerShercoFRA17502219
6Guillaume LanielGasGasFRA18402218
7Alex WiggBetaGBR81502322
8Jack ChallonerBetaGBR18902718
9George MortonBetaGBR181102915
10Laia SanzMontesaSPA211904014
11Benoit DabnicourtBetaFRA202014110
12Jochen SchaferGasGasGER27220499
13Emil GyllenhammarGasGasSWE361505114
14James FryShercoGBR29202519
15Mardon MoiBetaNOR34190538
16Emil GyllenhammarGasGasSWE29202519
17Ivan PeydroGasGasSPA34190538
18Simone StaltariGasGasITA29251558
19Jochen SchaferGasGasGER29350647
20Martin HemmerBetaNOR45311776
21Guillaume JeanBetaFRA39381785
22Seoung Won AnShercoKOR433718110
23Jean Philippe LerdaGasGasFRA44345835
24Lewis NolanShercoMAL5145111055
25Harry HarveyGasGasGBR595531171
26Ewoud LalkensGasGasNED655601210
27Johannes GschaiderBetaAUS736801410
GJonathan AlmarchaGasGasAND58630
ユース
Pos.RiderMachineNationL1L2T/OC
1Maxime WarenghienShercoBEL110224
2Ben MorphettBetaGBR040423
3Janathan RichardsonShercoGBR410522
4Luca CotoneBetaITA260820
5Carles TraviesaGasGasSPA530820
6Francesc CiuranaBetaSPA6401016
7Hakon PedersenShercoNOR10101118
8Tanguy MottinGasGasFRA5801320
9Gianluca TournourGasGasITA9801716
10Matteo PoliBetaITA10701713
11Pere BorrellasGasGasSPA11701817
12Roman TessariolGasGasFRA11701815
13Marc HorrachGasGasSPA11902014
14Ismael CatalinGasGasITA14532214
15IB AndersenGasGasNOR18502312
16Jonathan WalkerGasGasGBR81442617
17Matteo CominoliBetaITA17932912
18Marcos MendezShercoSPA121933414
19Kristoffer LeirvaagShercoNOR151833610
20Aaro CastellsGasGasSPA26210479
21Julien RousselleGasGasBEL19263487
22Eric StorzShercoUSA27346675
23Pedro SousaGasGasPOR343216825
24Diogo VieiraGasGasPOR41358845
25Nicolai DammyrShercoNOR544611010
26Joanne ColesGasGasGBR4640181021

投稿 : 2009年07月01日 08:37

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