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【2009年09月14日】

ボウ、4位で3連覇達成

09シリーズ表彰
09シリーズの表彰台

 2009年シーズンが終わった。
 トニー・ボウの圧倒的優位に支配された1年、結果を見ても12点のアドバンテージをとってのチャンピオン獲得だった。しかし最後は、ボウにとってはちょっとくやしいタイトル獲得劇となった。優勝できなかったばかりか、なんと表彰台から脱落、今シーズンワースト記録の4位に転落してしまったからだ。
 優勝はアダム・ラガ、2位に藤波貴久が入り、3位は後半戦に調子を上げてきたジェロニ・ファハルドが入った。




09フランスのラガ
優勝したラガ

 最終戦、フランス大会の会場はイゾラ2000。有名なスキーリゾート地で、標高は2000メートル以上。点在する大岩を巡ってセクションが設けられていた。水のあるセクションは全体の1/3にも満たなかった。
 スタート順は、前回の試合順(成績のいい者があとからスタート)となる。カベスタニー、ラガ、ファハルド、藤波、ボウの順番だ。前回はライバルの動向を知ることなくトライを続けた藤波も、今回はライバルの走りを見てからトライすることができる。
 セクションは険しかったが、それでトップライダーにとってはクリーン合戦。1ラップ目の減点を見れば、クリーンが出なかったセクションは14セクションただひとつ。ほかは、誰かが足をつけば誰かがクリーンするという状況で、こうなると、セクションの難度が低いというよりは、ライダーのレベルが高過ぎるといったほうがいい。
 藤波はスペイン大会に続いて調子は悪くない。前半に細かい足つきが何回かあったが、後半の難セクションもうまく点数をまとめて、減点ではラガに1点差のトップに立った。しかし、藤波には3点のタイムオーバーもあった。タイムオーバーを加算すると、藤波はラガに2点差の2位となる。
 タイムオーバーは、1ラップ後半に、ユースの2ラップ目に囲まれてしまったからだ。いつもなら、ユースのライダーは持ち時間に余裕を残していることが多いので、先を譲ってもらえることが多い。しかしこの日は、天候が変わりそうだということもあって、ユースはユース也に緊迫感を持って試合を進めていた。こんなところで無理に先へ進むと、若いライダーに悪い見本を見せることになる。
 藤波らがこんなことをしているうちに、すっかり姿が見えなくなったのが、ラガだった。いつの頃からか、ラガはトライを急いで、うんと先へ進んでいた。前回4位でスタート順の早いラガは、遅まわりをしたところでライバルの動向はつかめない。それなら自分のトライをライバルに見られない程度に先行した方がいいと思ったのかもしれないし、あるいは雨が降る前に試合を決定づけてしまおうと思ったのかもしれない。ラガには、フランス人のブルーノ・カモッジがマインダーについている(メーカー枠のサポートだが、実によく仕事をする。それで、大会によっては悶着が起きる。日本でもそんなことがあった)。さすがにフランス人だから、この山の気候についても詳しい。本人が詳しくなくても、教えてくれる同朋はいっぱいいる。母国での戦いが有利なのは、こんな点だ。そんなアドバイスにそって、ラガはずんずんとユースやジュニアのライダーの中に割って入ってトライを進めていった。
 こんな中、意外といっては失礼だが、好調だったのがドギー・ランプキンだった。手首を骨折、手術を回避してシーズンを戦うことを決断したランプキンだが、前回は11位と、やはり本来の調子にはほど遠かった。しかし今回は、第5セクションの時点ではなんとトップにつけるという活躍を見せる。苦しい戦いにはちがいないのだろうが、たぐいまれな精神力が、成績をも押し上げている。この時点で、ランプキンは1点、ラガが2点、藤波、ボウ、フレイシャ、グビアンが3点で並ぶという戦況だった。
 結局、1ラップを終えたとき、タイムオーバーがないのはラガ、カベスタニー、フレイシャらで、藤波の3点を最高に、ボウとファハルドが2点、ランプキンが1点のタイムペナルティ課せられることになった。
 2ラップ目、いよいよラガの早まわりは顕著になった。ただこの時点では、雨は時おり降ってまた止んで、セクションも完全なドライではないものの、なんとか乾いたときのコンディションを維持してトライができる状況だった。山の天気は気まぐれだから、あるいはこのまま降らずに一日が終わるかもしれない。そんな期待もあった。
 しかしギャンブルはラガの勝ちと出た。藤波が第9セクションに到着したとき、雨はいよいよ本格的に降ってきた。このとき、ラガはすでに14セクションに到着していたという。5時間の持ち時間のうち、どれだけ使ってトライしたかは、結果に記載がある。比較的早まわりだったのはグビアンで4時間39分、フレイシャとファハルドが4時間42分、藤波とボウは4時間55分、カベスタニーは4時間58分かけて試合を終えている。こんな中、ラガのタイムは4時間19分。40分近く早まわりだ。ひとり2分間隔でスタートしているから、40分早いということは、ジュニアのライダーもあらかた追い抜いてきた計算になる。
 それまで、雨は岩々の一部を濡らしていたが、ここへきて本格的にすべてを濡らし始めた。こうなると、岩の表面の苔などが本領を発揮してきて、半端ではない滑り方。藤波が第10で5点、ボウが11セクションで2点と、雨の影響はスコアにも表れ始めた。
 いよいよこうなってしまったら、いっそ完全に濡れてしまった方が、始末はいい。岩の表面に浮いた砂などが、きれいに洗い流されるからだ。藤波は、11セクションで約20分、岩が濡れるのを待った。ラガは、40分先行して、14セクションでやはり同じことをした。もちろん、待ったところでドライと完全に々コンディションになるわけではない。藤波らはまだ5つものセクションで雨と戦わなければいけないのに対し、ラガはあとふたつこなせば試合を終える。そしてラガは、13セクションまでをたった1点でまとめていた。1ラップ目の結果から、勝利もまずまちがいない。
 藤波は10セクションで5点となったことで、ラガに差を付けられたどころか、2位の座もボウに奪われるのではないかという戦況に陥った。しかしボウの鬼門は、このあとに待ち構えていた。10セクションまでをオールクリーンしてきたボウだったが、11、12と続けて2点をとると、13、14は続けて5点になってしまった。雨の影響とはいえ、藤波がこの4セクションを合わせて6点でまとめているのに対し、ちょっと点数のとりすぎだ。
 これでボウは、勝利はもちろん(結果的には、1ラップ目の時点でボウの勝利は消え去っていた)、表彰台からも滑り落ちてしまった。
 ボウのタイトルは、この大会でたった1ポイントだけ獲得すれば決定する。1ポイントといえば、15位。13人しか出場していないから、完走さえすれば3点が与えられる。ちなみに13位のフランス人、ニコラス・ゴンタルはクリーンが一つであとすべて5点。ボウはすべてのセクションで5点になっても、3回目のアウトドア世界チャンピオンの獲得は確実だった。
 もちろん、そんなみっともないタイトル獲得劇をボウが望んでいるわけがない。勝ってタイトル決定。チャンピオンになるすべてのライダーが、有終の美を飾ろうと思う。それが一転、今シーズン一度もとったことがない表彰台圏外まで順位を落としてしまった。ボウの悔しがりようはそうとうだったという。
 特に14セクションの入り口の岩は、ボウには鬼門だった。1ラップ目にも3点を喫している。藤波らは、ここは比較的簡単に抜けている。どうやらボウは、そのお得意の技が災いして、からだが動きすぎるのだそうだ。
「じっとしていればいけるのに、やつは動きすぎる」
 試合が終わっても(つまり3度目のチャンピオンを決定したのに)、ボウは藤波に14セクションの走破方法を執拗に聞いてきたという。
 くやしがるボウ、しかしチャンピオン獲得は動かぬ事実だ。ラガに12点差。11戦中、1位7回、2位1回、3位3回、4位1回。その強さは圧倒的だった。
 しかしラガも、タイトルには手が届かなかったが、強かった。優勝3回、2位2回、3位2回、4位1回。4位は膝の手術から復帰してきた緒戦だから、チャンピオンをとれなかったということをのぞけば、まず及第点の1年だったのではないだろうか。
 そして藤波。藤波もまた、チャンピオンになれず、1勝もあげられなかったという点を抜きに考えれば、実によい活躍をした。特に、圧倒的な逆境となったイギリス大会以降、日本大会からの踏ん張りは特筆ものだった。日本大会以降の6戦中、2位が5回。1度だけ4位があるが、これはリタイヤしてもおかしくないというクラッチトラブルに見舞われたからだった。5回の2位にも、もう少しで勝てた戦いがいくつもあった。最後には、ランキング3位のファハルドに11点差。まだまだ、強い藤波が健在であることをアピールした。しかし逆を言えば、あと少しで勝てるところにいるのに、1勝もできなかった。そこに大きな課題があるのではないか。2010年シーズン、藤波貴久はどんな戦いを見せるのか、そこで迎え撃つトップライダーの顔ぶれは、果たしてどうなっているだろうか。

○ジュニアクラス

 チャンピオン、アレックス・ウイグが有効得点制によってタイトルを決めているため、スペイン大会から世界選手権に参戦。王者のいないジュニアクラスでは、アルフレッド・ゴメスが3連勝と気を吐いた。もちろんそれでもタイトルはウイグのもの。ゴメスは日本大会での二度の4位が決定的となって、ウイグのタイトル獲得を楽にしてしまった。もちろんウイグも、9戦に出場して6勝という勝率の高さは賞賛ものだった。
 ランキング3位はイタリアのマテオ・グラタローラ。4位には2008年ユースチャンピオンのジャック・チャロナーが入っている。おそらく来年は、チャロナーあたりがタイトル争いの軸になるのではないだろうか。イギリス勢強し、である。

○ユースクラス

 ジュニアと同じく、そうそうにタイトルを決めたジョナサン・リチャードソンがジュニアクラスにステップアップして、大物のいなくなったユースクラス。今回はベルギーのマキシム・ワレハインが勝利して、ランキングも2位を獲得している。
 ユースクラスは4人が勝利した。他のクラスに比べて、まだまだ未完の大器が目白押しというのが、このクラスの特徴だ。
 もてぎで、ユースクラスのライダーの実力は垣間見ることができるが、もてぎに来ることができるのは、タイトルがかかっている有力どころか、と公費に余裕のある裕福ライダーだ。ヨーロッパに行くと、目がギラギラしたハングリーな若者がいっぱいいる。こういうトライアル・パワーを、日本のヤングライダーが知らないままうまくなっていくのは、なんとももったいないというか、お国の損失だと思うのだが、こればっかりは、自然山通信ごときがいくら遠吠えをしても、さっぱり通じない。残念無念。今、最も残念なのは、黒山や小川がデ・ナシオンにいかないことではなく、若いライダーが世界を目指さないことだ。

Pos.Rider/Machine123456789101112131415LapTPToralClean
1Adam Raga00200000010002050
GasGas SPA00100000000001020725
2藤波 貴久01101000000001043
Montesa JPN0000000005032101101822
3Jeroni Fajardo000031005010011122
Beta SPA000000100113101802218
4Toni Bou01100101001003082
Montesa SPA0000000000225501402420
4位以下
Pos.RiderMachineNationL1L2T/OC
5Albert CabestanyShSPA131102419
6Marc Freixa GaSPA102103117
7Dougie LampkinBeGBR92413417
8Loris GubianGaFRA13320459
9Daniel OliverasGaSPA331604912
10James DabillGaGBR313506610
11Alex WiggBeGBR41261689
12Michael BrownShGBR394018010
13Nicolas GontardGaFRA707501451
ジュニア
1Alfredo GomezMoSPA71001724
2Matteo GrattarolaShITA14301723
3Jack ChallonerBeGBR13702019
4Alexandre FerrerShFRA111543020
5Guillaume LanielGaFRA191403315
6Benoit DabnicourtBeFRA181703515
7Francesc MoretGaSPA321404611
8Ross DanbyGaGBR311915114
9George MortonBeGBR302205211
10Simone StaltariGaITA37240615
11Julien ArnaudGaFRA29373695
12Ivan PeydroGaSPA31400717
13James FryShGBR35360717
14Mardon MoiBeNOR37340716
15Laia SanzMoSPA46340805
16Janathan RichardsonShGBR47331816
17Jan PetersBeGER46370834
18Jean Philippe LerdaGaFRA46380844
19Jan JunklewitzShGER52390914
20Ben WibberleyGaGBR49440933
21Benjamin LiotaudMoFRA53420954
22Guillaume JeanBeFRA51480991
23Kyle MiddletonGaMAL584271070
24Lewis NolanShMAL535131070
25Maxime MathyGaBEL625401160
26Marie Pierre VaglioGaFRA626101231
ToPascal GeiserMoSUI55x21
ToCedric RobertMoSUI67x25
RJulien PerretGaFRA34x15
REmil GyllenhammarGaSWE
ユース(125cc)
1Maxime WareghienShBEL15401920
2Tanguy MottinGaFRA15602117
3Carles TraviesaGaGBR16602218
4Luca CotoneBeITA181002817
5Jonathan WalkerShGBR23602914
6Francesc CiuranaGaSPA23803112
7Jack SheppardBeGBR26603217
8Hakon PedersenShNOR201403414
9Pere BorrellasGaSPA28703515
10Ben MorphettBeGBR211143616
11Matteo PoliBeITA33120459
12Marc HorrachGaSPA301904910
13Matteo CominoliBeITA321565311
14Loic SpencleyGaFRA36190559
15Alexander BedleyGaFRA36200569
16Romain TessariolGaFRA35260618
17Guillaume PotShFRA33273637
18Gianluca TournourGaITA47250725
19Romain RIgaudGaFRA47242735
20Aaro CastellsGaSPA43320755
21Ismael CatalinGaITA342518779
22Medenic DelannoyBeFRA40380782
23Alexis JoutelShFRA49390882
24Stefano GarneroBeITA424210943
25Michael CauvetGaFRA51430941
26Julien RousselleGaBEL49471971
27Loic MoniniGaFRA564471072
28Pedro SousaGaPOR5048121102
29Diogo VieiraGaPOR595301120
30Vaclav BrujShSZE6050241341
DNSRebekah CookShGBR

投稿 : 2009年09月14日 18:08

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