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【2010年04月26日】

藤波、ポルトガルで優勝!

10ポルトガル優勝の藤波

 4月25日、藤波貴久がポルトガル大会の2日目に優勝した。2008年のアメリカGP以来、約2年ぶりの勝利となった。
 土曜日に優勝したのはトニー・ボウ。こちらは15セクション2ラップをオールクリーンという文句なしの勝利だった。
 土曜日の藤波は4位、日曜日のボウも同じく4位で、2日間を通じてもっとも選手権ポイントを稼いだのは両日共に2位のアルベルト・カベスタニー。
 ランキングポイントは、ボウがトップで、2位にラガ、藤波は3位に浮上している。
 今回はセクションが簡単だったため、高度の神経戦となった。ジュニアやユースでは、誰が勝ってもおかしくない接戦となった。

*詳報はのちほど




【土曜日】

1004ポルトガルのボウ
土曜日はオールクリーンで圧勝したトニー・ボウ


 ポルトガル大会は、開幕戦スペイン大会の1週間後に開催された。スペイン大会の会場だったバイオーナは、大西洋に面したスペインの西の端、ポルトガルのすぐ北に位置する。今回の会場となったパコス・デ・フェレイラは、ポルトワインで有名なポルトガルの北の町ポルトに近い(サントリーの甘いワイン、赤玉ポートワインは、ポルトワインの名に由来したものだが、ポルトワインはボルトガル産のワインと決まっていて、1973年にポートワインはスイートワインと名称変更されているらしい。赤玉ポートワインという名前を知っているのは古い人間ということか。以上、余談)。スペイン大会の会場からポルトガル大会の会場までは距離にして150km。このため、火山の影響で飛行機が飛ばないという天災も、トライアルにはそれほどの影響がなかったのは幸いだった。
 セクションは、いたって簡単だった。しかし簡単なのに、そこここで5点になる恐れがあった。とにかくセクションが長いのだ。おそらく、FIMが開幕直前に1分ルールに変更したため、セクションの変更が間に合わなかった、あるいはその通達が行き渡っていないのが原因だと思われる。なんせ世界選手権だから、世界の国々のすべてに通達を徹底するのはむずかしい。その結果、今回みたいにとうてい1分では走りきれないセクションが用意されるなんてのは、世界選手権ではよくあることだ。
 かつて、停止すると1分というルールが作られたことがある。止まって越えている難所を止まらずに越えるのはさらに至難だ。FIMはそのルールを施行した上、セクション難度を落とす意向だったのだが、開けてみたらセクション難度はちっとも変わっていなかった。なのでセクションをまともに走れるのは、一握りのトップライダーだけとなってしまった。こうして、トップライダーのテクニックはどんどん向上していって、下位クラスとの差が開いてしまった一因となっている。というのは余談でした。
 今回のセクションに限っては、難度そのものは高くなかったから、ポイントの難度はちょっと高めて、セクションの長さをちょっと短くするという方向で修正が行われた。一時は「セクションが改善されなければボイコットも辞さない」なんて動きもあったが、土曜日の朝、試合は無事に開催されることになったのは一安心だった。ただ、ライダーの気持ちの中では、今回の一連のルール変更にはかなりの不満があるようで、日本GPまでになんらかの改善が示されなければ、日本への遠征はできない、なんて声もあるようだ。特にライダーや関係者にとって納得できないのは、トライ前の下見の際にセクション内に立ち入りができないという点だという。
 さて土曜日の大会。この日は、トニー・ボウが問答無用の王者だった。15セクション2ラップ、30セクションをすべてクリーン。こうなってしまうと、ライバルは手も足も出ない。
 1ラップ目、オールクリーンのボウを相手に、2位につけたのは再び(開幕戦に続いて)藤波だった。藤波は第4セクションと11セクションで1点、第5セクションで3点、計5点で1ラップ目を終えた。ボウと5点差だから、この時点ではまだ勝負はわからない。3位は藤波と同点の5点でファハルド(クリーン
差で藤波が2位)。これに続いて4位につけたのが、インドアで頭角を現し始めたイギリスのジェイムス・ダビル。藤波に1点差の6点だった。しかも第3で1点、第10で5点で6点だから、藤波よりクリーン数はひとつ多いくらいだ。ダビルに続いたのが、カベスタニーの7点に、ラガの8点だった。
 2ラップ目、ボウの集中力は揺るぎない。結局オールクリーンのまま突っ走った。文句なしの勝利。チャンピオンだから開幕戦をトップバッターとして走り、開幕戦を勝利したからこの大会もトップバッターとして走った。誰よりも先に走る苦労は大きい。特にラインのないようなセクションだと、トップバッターのハンディは限りなく大きい。ポルトガル大会はドライの岩場だったからその点は少しラッキーだったが、そんなハンディを跳ね返してのオールクリーンは、ボウの実力が、やはり並外れていることを示している。

1004ポルトガルのラガ
2ラップ目に猛追してラガ

 文句なしの勝利を得たボウに続く2位となるのは誰か。藤波か、はたまたダビルか、カベスタニーかラガか……。ここでがぜん調子を上げたのが、元インドアチャンピオンの二人、カベスタニーとラガだった。ふたりはそろって減点1。2ラップ目に限っていえば、ボウのオールクリーンに匹敵する好成績だ。
 これで藤波は、2ラップ目に減点2点以内なら、2位が決まる。3点なら、クリーン数差の勝負となる。しかし1ラップ目に3点となった第5セクション、藤波は最短距離を走る大岩に挑んで、5点となった。これが決定打だった。さらに1ラップ目と同じく11セクションで1点を追加してしまった藤波は、開幕戦と同じく、4位に転落することになった。
 1ラップ目3点、2ラップ目5点の第5セクションは、しかし藤波以外はクリーンを出している者が多い。ここを1点か2点に抑えられれば、あるいは11セクションの1点がクリーンなら、少なくとも表彰台は確実だった藤波だが、2戦続けて、惜しいところでの4位となった。
 1ラップ目3位だったダビルは5位、6位にダビルの大先輩、ランプキンが入った。


 この日、世界選手権の優勝者はオールクリーンだったが、ジュニアではふたりのオールクリーンが出た。アルフレッド・ゴメスとパトリック・スメイジ。二人の勝負は、ルールに則り、競技時間が短かったゴメスの勝利となった。クリーン数も1点の数も、なにからなにまで減点の数が同じ場合は、早くゴールしたライダーが勝利となるきまりだ。1位から8位までが一桁減点をマークしてしまうような大会では、ライダーには競技時間を短くするノウハウも必要なのかもしれない。


 ユースもまた、競技時間の短いライダーの勝利となった。ただしこちらはオールクリーンではなく、減点3同士。これで、ポル・タレスの2連勝となった。


【日曜日】

1004ポルトガルの藤波
2年ぶり。うれしい勝利となった藤波

 セクションは5ヶ所で修正が計られた。すべて、難度をあげるための修正だが、本質的には大きな変化はない。ただしもちろん、世界選手権だから、簡単といってもふつうに考えて簡単すぎるような設定はない。トップライダーなら、クリーンができて当然というレベル。ちょっとした不運で足が出てしまうことなど、いくらでもあった。ただし、5点を取ってしまっては、勝ち目はほとんどなくなる。
 第6セクションで、ラガが5点になった。ランプキン、ファハルドも5点となっているから、けっして簡単なセクションではなかったのだが、これでラガの勝機は限りなく小さくなった。
 次に5点の悪夢に襲われたのが、ボウだった。ボウはこの日も一番スタートだ。真っ先にトライした第9セクション。クリーンを狙ったボウは、岩盤から落ちて5点。この5点は、大きな5点となった。ボウ以外のみんなは、クリーンを狙うことなく、1点をついてこのセクションを切り抜けていった。結果、ここでボウとその他のライダーには、4点の点差が開いてしまった。

1004ポルトガルのカベスタニー.jpg
いよいよ本領発揮か、シェルコ2ストロークに乗るカベスタニー

 1ラップ目、トップはカベスタニー。カベスタニーの減点はたったの2点。そして2番手につけたのが藤波。藤波の減点は1点が3つの、3点だった。そして3位が、同点でラガとボウ。ふたりは5点と1点がひとつずつで、藤波に3点差の6点だった。
 1点を争う勝負。ラガもボウも、まだ勝負はあきらめてはいないが、彼らが勝利を得るのは、カベスタニーと藤波が5点近い減点をとった場合に限られる。可能性はゼロではないが、藤波もカベスタニーも、5点をとる気はさらさらない。あとは、ひたすら集中力の勝負だ。
 第3セクション、カベスタニーが1点をつく。これで藤波とカベスタニーは同点だ。こうなると、勝負は早くゴールした者が勝ちとなることも考えられる。いきおい、トライのペースが早くなっていく。
 第9セクションでは、みな1ラップ目と同じように1回の足つき。しかしここで、ボウは勝利へのかけに出た。クリーンを狙い、そして1ラップ目同様に、5点となった。結果的には、ここをクリーンしてもボウの勝利はなく、逆にここを1点で抜けていればボウは3位に入れていたのだが、それはあくまで結果論だ。

1004表彰台の藤波
表彰台での藤波

 カベスタニーと同点に追いついた藤波は、9セクション以降をすべてクリーンで駆け抜けた。同点なら、競技時間が短いほうが勝ちを握る。カベスタニーより遅いスタートだった藤波が、カベスタニーを抜いてゴールした時点で、藤波の勝利は確定的となっていた。2ラップ目、藤波の減点は1点のみ。これは、この日のベストラップだった。
 実際には、カベスタニーはさらに10セクションで1点を失っていて、藤波とは同点ではなく、1点差になっていた。いずれにしても、藤波の勝利。これは、藤波の、約2年ぶりの勝利となる。2年前、藤波は初めてゼッケン1をつけたボウを破って、1年半ぶりの勝利を得たのだった。
 2ラップ目の藤波の1点に続いたのはラガ。ラガは2ラップ目に2点の好スコアをマークして、藤波とカベスタニーには届かなかったものの、真っ先に5点をとりながらもそこからよく持ちこたえて表彰台を守りきった。
 ボウはクリーン27。これは優勝した藤波を上回って、この日のベストスコアだった。5点がふたつ、1点がひとつ。これだけのクリーンの山を築きながら、ボウは4位に終わった。
 ポルトガル大会、土曜日、日曜日を通じてポイントを集計すると、トップは両日で2位となったカベスタニーだった。優勝と4位となった藤波とボウが2位、両日共に3位のラガが4位となった。
 これだけの神経戦の中、カードを飛ばすなどのミスがあったファハルドは、ランプキンに破れて6位。開幕戦で3位となった好調ぶりから一転、表彰台を逃している。


 ジュニアクラスでは、アメリカのスメイジが土曜日に続いてオールクリーン。今度はたった一人のオールクリーンで、文句ない勝利となった。土曜日に勝利したゴメスは、1ラップ目はオールクリーンを達成したが、2ラップ目に5点二つで7位まで転落している。


 ユースはカルレス・トラビエッサが勝利。2連勝したポル・タレスは、1ラップ目の5点が響いて4位となっている。


ポルトガル大会の模様:FIM提供

リザルト

○土曜日

Pos.Rider
Machine Nat.
SectionsLapTatalClean
123456789101112131415TotalTime
1Toni Bou00000000000000000030
Montesa SPA00000000000000000
2Albert Cabestany00101000005000070826
Sherco SPA00000000010000010
3Adam Raga011105000100000901024
GasGas SPA00001000000000010
4藤波 貴久000130000010000501125
Montesa JPN00005000001000060

SENIOR・5位以下
マシンL1L2T/OC
5James DabillGaGBR6801426
6Dougie LampkinBeGBR12401623
7Jeroni FajardoBeSPA51101623
8Loris GubianGaFRA131002317
9Daniele MaurinoGaITA122003214
10Matteo GrattarolaShITA231704019
11Michael BrownShGBR202204215
12Daniel OliverasShSPA302905916
13Alex WiggBeGBR392306211
JOUNIOR
1Alfredo GomezMoSPA000030
2Patrick SmageShUSA000030
3Francesc MoretMoSPA200228
4Alexandre FerrerShFRA050529
5Ivan PeydroGaSPA140526
6Pere BorrellasGaSPA320526
7Guillaume LanielGaFRA230525
8Jack ChallonerBeGBR250727
9Jonathan RichardsonShGBR7301026
10Benoit DagnicourtBeFRA8201024
11Jan PetersBeGER3801123
12Maxime WareghienShBEL6701325
13Matteo CominoliBeITA6801421
14Matteo PoliBeITA12401622
15Emil GyllenhammarGaSWE12601823
16Tanguy MottinGaFRA14602022
17Jiri FikejzBeCZE13802121
18Luca CotoneBeITA41802223
19Hakon PedersenShNOR81802621
20Laia SanzMoSPA171303017
21Jean-Phillippe LerdaGaFRA221103318
22Ben WibberleyGaGBR172304015
23Pedro SousaGaPOR30270579
GGianluca TournourGaITA67
GMaia PedroGaPOR7568
YOUTH 125
1Pol TaressGaSPA030328
2Carles TraviesaGaGBR030328
3Jack SheppardBeGBR220428
4Cedric TempierShFRA420624
5Jesus MartinGaSPA630925
6Kristoffer LeirvaagShNOR630923
7Romain RIgaudGaFRA7401122
8Giacomo SaleriBeITA12101325
9Ismael CatalinGaITA4901324
10Aaro CastellsGaSPA11401524
11Diogo VieiraGaPOR231704017
12Miguel Jose NogueiraGaPOR636901320



○日曜日


Pos.Rider
Machine Nat.
SectionsLapTatalClean
123456789101112131415TotalTime
1藤波 貴久00100000101000030426
Montesa JPN00000000100000010
2Albert Cabestany00010000100000020525
Sherco SPA00100000110000030
3Adam Raga00000500100000060826
GasGas SPA00010000100000020
4Toni Bou001000005000000601127
Montesa SPA00000000500000050

SENIOR・5位以下
マシンL1L2T/OC
5Dougie LampkinBeGBR9201124
6Jeroni FajardoBeSPA8601424
7James DabillGaGBR14501921
8Loris GubianGaFRA141102519
9Daniele MaurinoGaITA222004215
10Michael BrownShGBR281804616
11Matteo GrattarolaShITA282805615
12Alex WiggBeGBR332405714
13Daniel OliverasShSPA392206115
JOUNIOR
1Patrick SmageShUSA000030
2Guillaume LanielGaFRA150628
3Emil GyllenhammarGaSWE420626
4Benoit DagnicourtBeFRA250727
5Luca CotoneBeITA430725
6Jack ChallonerBeGBR630925
7Alfredo GomezMoSPA01001028
8Francesc MoretMoSPA8201026
9Maxime WareghienShBEL7301024
10Alexandre FerrerShFRA6601226
11Pere BorrellasGaSPA6801421
12Matteo CominoliBeITA10501522
13Jan PetersBeGER61001623
14Jonathan RichardsonShGBR11601725
15Tanguy MottinGaFRA12601821
16Matteo PoliBeITA15401923
17Ivan PeydroGaSPA17402123
18Hakon PedersenShNOR■14602519
19Laia SanzMoSPA181102916
20Jiri FikejzBeCZE191303217
21Ben WibberleyGaGBR222104311
22Jean-Phillippe LerdaGaFRA223105312
23Pedro SousaGaPOR302305311
GGianluca TournourGaITA87
GMaia PedroGaPOR61-
YOUTH 125
1Carles TraviesaGaGBR100129
2Ismael CatalinGaITA330627
3Romain RIgaudGaFRA150626
4Pol TaressGaSPA520727
5Jack SheppardBeGBR620827
6Giacomo SaleriBeITA8501322
7Jesus MartinGaSPA41101522
8Kristoffer LeirvaagShNOR61001625
9Cedric TempierShFRA61502122
10Aaro CastellsGaSPA17802521
11Diogo VieiraGaPOR321304515
12Miguel Jose NogueiraGaPOR706401320

投稿 : 2010年04月26日 12:23

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