【2011年06月23日】
スペインもボウ
世界選手権第3戦スペイン大会は、6月19日、スペイン北部のポブラドーラで開催された。多くのライダーやメーカー、チームが拠点とするバルセロナ周辺のカタルニア地方からはずいぶん遠いが、やはりスペイン勢にとっては地元でのグランプリにはちがいない。
前回フランス大会の2日目に優勝したトニー・ボウは、今回もトップスタート。濡れて滑る川筋のセクションは、トップスタートには大いに不利なコンディションだった。
しかしボウは、1ラップ目から他を寄せつけずに最高のパフォーマンスを見せて、後半追い上げたアダム・ラガに10点の大差をつけて勝利した。
2位には、1ラップ目の4位から浮上したラガ、3位にアルベルト・カベスタニー。藤波貴久は1ラップ目序盤の絶好調から後退して4位。ファハルドが藤波からやや離されて5位。
藤波は、ラガやボウがちょん足を出していく中、最後までクリーンをし続けた。藤波が初めて足をついたのは第9セクション。ここで2点を失った藤波だが、それでもボウと同点。9セクションで5点を取ったラガや、ここまで3点のカベスタニーに、わずかながらのリードをとっていた。
序盤は乾いたスペインらしい地形だったが、川に入ってからはつるつるに滑る石ばかりで、非常に神経を使うセクション設定となっていた。藤波をはじめとして、トップライダーはそんなコンディションの中で、なんとかラップ減点を一桁にまとめようというのだから、たいしたものだ。
藤波の好調は、しかし9セクション以降、徐々に陰りを見せていった。9セクション以降、13セクションまで、1点と2点が並んでいる。5点はないものの、これでトップをボウに明けわたすことになった。藤波はフランス大会で4位だから、ライバルはみな藤波の前を走っている。ふだんはライバルの点数を聞いたりしない主義の藤波だが、今回はライバルの動向が、あらかた見えている。ボウにトップは譲ったが、まだ2位は安泰という感じではあった。
しかし最終の15セクションで、藤波は前転をしてしまう(FIM発信の動画にある)。ぽんぽんと飛び降りる設定だが、わずかに飛び足りなかったのだという。これで藤波は、カベスタニーに2位を譲って、ラガに1点差の3位で試合を折り返した。
2ラップ目、第1セクションはトップライダーにはクリーンセクションとも言えるものだったが、ふたりが5点となった。それが、ボウと藤波だった。しかも二人とも同じように、巨大丸太に昇った瞬間にフロントタイヤを滑らせて滑落している。ボウは、それでもこの5点がこの日唯一の5点で、気を取り直してトライを進めていけたので、トップの座は揺るぎなかった。対して、この5点でとどめをさされてしまったのが、藤波だった。
1ラップの減点予想は、だいたい5点ちょっとと読まれていた。結果的に、ボウが3点と6点、ラガは1ラップ目は不調だったが2ラップ目は5点ちょうど。カベスタニーは2ラップとも11点。5点が目標で、少し失敗をして10点ほどというのが、トップライダーの想定減点だった。
その5点を、第1セクションで使ってしまった。しかも1ラップ目最終セクションと2ラップ目第1セクション、2連続の5点だ。これは手痛かった。
2ラップ目、第1セクションの5点はあったが、やはり一枚抜きんでていたのは、ボウだった。ボウは第1の5点の後、たった1回足をついただけで、2ラップ目を走りきった。1ラップの時点で2位のカベスタニーに8点差をつけていたから、2ラップ目が6点ということは、この時点で勝利が確定だ。
ラガは、1ラップ目が14点とやや減点が多かったから、自力優勝はむずかしかった。しかし2ラップ目、1点を5つだけという素晴らしいスコアで、ボウにちょうど10点差まで追い上げた。藤波とカベスタニーに逆転して、2位表彰台獲得だ。
カベスタニーは、ずっと2位を守って走っていながら、最後の最後、最終セクションで5点となって、ラガに3点差の3位となった。なんとももったいない。
藤波は、後半は集中力も途絶えて、表彰台を狙うよりも、4位以下に落ちないために、走りをコントロールするようになった。3位カベスタニーには10点以上、ファハルドにはやはり10点ほどの差があったから、届く可能性の少ない3位を望んで無理をして5点を増やすより、ファハルドとの間隔を確保したほうが得策と考えたのだ。ファハルドも好調にはほど遠かったが、今回はファハルドの不調が藤波に幸いした。
6位はダビル。4位藤波にダブルスコアでの6位だから、ちょっと離されすぎ。以下、7位グビアン、8位チャロナーの順となっている。イギリス勢では、ルーキーのチャロナーの頑張りが光っている。
前回ラガのサポートに徹したランプキンは、今回は出場したものの序盤で大クラッシュ。マシンのダメージが大きかったので、そこでリタイヤしてラガのサポートに早変わり。日本ではよく問題になっているが、試合を終えたライダー他のライダーをサポートすることの是非が、スペインでも新たな問題として問われ始めたという。その対象がイギリス紳士のドギー・ランプキンというのが、ちょっと皮肉。
ジュニアクラスは、またもアルフレッド・ゴメスが快勝。去年は序盤の好調から、後半戦で崩れてチャロナーにタイトルを持っていかれたが、今年はこのまま、もしかしたら無敗のままタイトルを獲得できるかもしれない。
ユースクラスは、ジャック・シェパードの連勝がストップ。フランスのセドリック・タンピエが勝利した。
なお世界選手権は、このあとアンドラ、イタリア、イギリス、日本×2、ポーランドと予定されていたが、ポーランドが大雨災害のため中止になった。次週のアンドラ大会が終わると、残りはいきなり終盤戦ということになる。有効得点制(獲得ポイントの低い2戦分がポイントから引かれた状態で集計される)でタイトルが決まるジュニアやユースは、イギリス大会あたりでタイトルが決まる公算が高い。
■世界選手権
■ジュニアクラス
■ユースクラス
投稿 : 2011年06月23日 15:47





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