タレスのJTGデビュー
長くうわさに上っていたジョルディ・タレスによる新しいトライアルマシンがデビュー、間もなく日本に入ってくる。
JTGという名称のこのニューマシン、スペイン読みで「ホタガス」と呼ばれているが、アルミフレーム、オフセットされたリヤサスペンションなど、その乗り味が楽しみなところ。
2012年世界選手権には、ジョルディ・タレスの甥っ子であるポル・タレスがジュニアクラスに参戦して熟成を進める予定という。
<Posted in 11.12.01( 11.12.06 Mod.)>
ジョルディ・タレスとJTG。ミラノショーにて
JTGは、7回の世界チャンピオンのジョルディ・タレスとミキ・アルパによって開発された。タレスはトライアルマシンを、アルパはエンデューロマシンを担当している。JTGは当初JotaGasと呼ばれていたが、Jordi Taress Gasかもしれない。Gasはガスガスとは(おそらく)関係なく、フジガスのガスとおんなじ、アクセルを開ける、燃料を送る、という意味だ。
フレームはベータと同様に燃料タンクを含んでいて、非常にスリムにできている。リヤサスペンションが片側にオフセットされて装着されているため、エアクリーナーボックスをマシンの中心部分に置くことができている。その容量はざっと3リットルということで、高いエンジン性能を発揮するレイアウトだ。リヤサスペンションユニットはオーレ製。
トランスミッションは5速。キャブレターはデロルトの26φを使っている。車重65kg。現行のトライアルマシンでも最も軽い部類となる。排気量は今のところ発表されているのはポルが乗る300ccバージョンをはじめ、280ccと250ccがリリースされる予定となっている。
日本ではエトス・デザインが輸入代理店となることが決まっていて、間もなく第一陣が入荷してくるということだ。
圧勝黒山健一V10達成
10月30日全日本選手権第5戦(最終戦)は、宮城県スポーツランドSUGOで開催。前回第4戦中部大会で小川友幸に連勝をストップさせられていた黒山健一が、今度はまったくあぶなげない試合運びとライディングで圧勝。2011年のチャンピオンを決めると同時に、自身10回目の全日本タイトル獲得となった。10回の全日本チャンピオンは、ロードレースやモトクロスを含めて、全日本選手権の新記録だ。
2位は小川友幸が、小川毅士をわずかに上回って入賞。ひどい腰痛で前日まで入院していたという野崎史高が4位となった。
国際A級は岡村将敏が10年ぶりの勝利、国際B級は中部でタイトルを決めていた小谷一貴が3勝目を挙げた。
<Posted in 11.11.02( 11.11.24 Mod.)>
最終決戦。とはいえ、年間を通した戦いとしては、ほぼ決着はついていた。今年のシリーズは全5戦。黒山健一は早々と3連勝して、勝ち星ではライバルを圧倒している。その3戦で、小川友幸が2位2回、3位1回。ポイント差は8点。小川が逆転チャンピオンとなるには、小川自身が優勝しなければいけないのはもちろん、黒山が5位以下にならなければいけない。ロードレースやモトクロスなら、トラブルや転倒による万が一のリタイヤということも考えられるが、トライアルではそういったどんでん返しはほとんどない。勝負は、7割方、第3戦での黒山3連勝達成で決着していたともいえる。
とはいえ、黒山は前回中部大会で小川に敗北を喫している。最後のSSで5点にならなければ勝っていたという試合だっだが、負けは負け。小川のお膝元である中部。そして黒山のバックボーンであるヤマハの本拠地である中部。中部決戦は小川の粘り勝ちとなった。このまま気を抜いて4位になってもチャンピオンとなれる黒山だが、それではチャンピオンとしての名がすたる。どうしてもここでは勝って優秀の美を飾らなければいけない。
第1、第2と走り進んでいくと、その時点で減点がないのは黒山と小川の二人だけになった。野崎史高は第1セクションで1点、小川毅士は同じく3点を取っている。もちろん数点の点差は充分に逆転の範疇だが、ぴりりとした緊迫感を周囲に与えているのは、黒山と小川の二巨頭となる。
2010年チャンピオン小川友幸
最初に足を出したのは黒山だっだ。第3セクションは、数年前には誰も上がれなかった岩盤上り。最近は、よっぽどでもアンダーガードを引っかけて高さを克服していくが、角がない丸い斜面は難物だ。野本佳章がスパンとクリーンしていった以外、小川毅士も野崎も、みんな5点。黒山は、その難所を1回の足つきで登りきった。そしてその後にトライした小川がクリーン。小川がこの試合のリーダーとなった。
ところが、小川のリードは一瞬。次の第4セクションは、濡れた泥と険しい岩が行く手を阻む。ここは野本も5点。小川毅士がなんとか3点で抜け出てきたが、途中のとがった岩に飛びつくポイントがむずかしい。黒山は、ここでも1点。この1点は見事だった。しかしここは小川にとってはチャンスだ。むずかしいセクションだが、ここをクリーンすれば黒山に対してリードを2点に広げることができる。しかし小川はここに飛びつけずに5点。5点になった後、もう一度やってみたがやっぱり登れなかっだ。小川の1点リードは一瞬にして4点ビハインドになった。
続く第5セクション。ここも難所だ。最後の急斜面登りが鬼門だ。ここもまた野本がクリーン。田中善弘も3点とがんばったが、小川毅士は5点となった。野崎は1点でここを抜けたが、実は野崎はひどい腰痛に悩まされていて、まったく本領を発揮できるコンディションではない。あまりの腰の痛みに入院して、土曜日の朝は病院で迎えたという。最終戦は欠場やむなしの方向だったが、だめもとで病院を抜け出して試合参戦している状況だ。腰が痛いだけでなく、足もしびれてしまって力が入らない。野崎のライディングを見ていると、マシンを右に傾けてしまって5点になるシーンが多い。左足に力が入らないので、マシンが曲がってしまうのだった。
ここまで、黒山のトライを見てからセクションに入っていた小川友幸だが、ここで黒山の前に出た。これで勝負が動くだろうか。しかし小川は、登りきれなかった。2セクション連続5点だ。最後にトライした黒山は、野本に続いて二人目のクリーンをたたき出した。小川との点差は、5セクション目にして8点に広がった。実は小川は、この頃リヤサスのトラブルに悩まされていた。トラブル自体は交換でなおるものだが、パドックから最も遠いエリアでのトラブルで、戻って交換している時間がない。だましながら、トラブルを起こしたさすに合わせたライディングを探りながらのライディングを強いられていた。
5セクションが終わって、黒山が2点、小川が10点。この時点で、野崎は12点、小川毅士は16点。今日は難所でのクリーンが印象的な野本は5セクションを終えて11点、3位につけている。もともと走破力には定評のあるライダーだが、細かいポイントでの失点が響いて成績をあげられないでいたが、どうやらいよいよからを破り始めてきたようだ。
柴田暁は、今回もいまひとつ本領発揮ではない。目標を優勝に置き始めて、それが逆に走りを守りに回らせているような印象もあり。第5セクション時点で20点。田中善弘と宮崎航は21点、斉藤晶夫が22点。去年のIAチャンピオン田中裕人は17点。ここまでで6位につける。晴れコンディションで、気持ちがよいそうだ。
黒山は、ライバルが失点していくのを尻目に、いよいよ独走ペースをつかんでいく。1ラップ目12セクションを走って、黒山の減点はたったの5点だった。すでに2位以下には大差をつけて、まず今日の勝負は確定的だ。
黒山に続いて2位で1ラップ目を終えたのは、意外にも野崎。リタイヤ覚悟で走っているにもかかわらずのこの途中経過に、野崎本人もびっくりだ。小川友幸は19点で野崎に3点差。さらに小川友幸に3点差で小川毅士。途中3位につけていた野本は1ラップを終えたところで小川毅士に7点差の5位となっていた。
2ラップ目。トラブルを修復した小川友幸がやや復調。しかしすでにすっかり勢いづいてしまった黒山を脅かす存在にはなれない。黒山は、1ラップ目に1点で抜けた難所の第4セクションで5点となって、それ以外はすべてクリーンして2ラップ目を終えている。
小川はこの第4セクション(2ラップ目の第4は、結局全員が5点となった)と、意外にも第7セクションで5点(このセクション、クリーンはともかく走破できたライダーは比較的多かった)。ふたつの5点で2ラップ目を10点でまとめた。1ラップ目に比べればほぼ半分の減点だが、それでも黒山の倍の減点。この時点で黒山の勝利は確定的となっていた。
1ラップ目に1位だった野崎は、さすがにそのポジションを維持することはできずに、2ラップ目に順位を落としている。逆に尻上がりに調子をあげてきたのが、小川毅士だ。小川毅士の2ラップ目は5点はひとつだけ。小川友幸にも勝る9点で2ラップ目をまとめた。1ラップ目に3点差だった両者の点差は、いまや2点に迫っていた。
残るはふたつのスペシャルセクション。どちらも難度は高い。ひとつめのセクションでは、次から次へと玉砕して、5点ばかり。腰の痛い野崎が気合いを込めて3点で抜け出て、次にトライするのが小川友幸。ところが小川は、難所のポイントのはるか手前の、急な下りでラインを乱して、セクションテープを切ってしまう5点。小川本人も苦笑いをしてしまうミスとなった。そして最後にトライしたのが黒山。黒山は見事な1点。今日の黒山の好調を象徴するような1点だった。
シーズンの最後に2位争いをした小川毅士
SSの二つ目。2011年全日本トライアルの最後のセクション。SS1に比べると難度は低いそうだが、むずかしいにちがいない。初めてここを抜け出したのは1点の小川毅士だっだ。これが、2位争いの最後のクライマックスになった。試合を終えた小川毅士は37点。対して最後のセクションを残した小川友幸は34点。3点なら同点で友幸の勝ち(クリーン数差)だが、友幸5点なら毅士が2位だ。
プレッシャーのかかる友幸のトライ。野崎がもがき苦しんで5点となった岩盤を一気に登って、クリーン。小川毅士2位の望みを断ちきって、小川友幸が最終戦を2位で終えた。
最後のトライは黒山。小川と同じラインを選択するが、その走りにはより余裕があるようにも見えた。そしてクリーン。SSの2セクションを両方5点でも優勝に変わりはなかった黒山だが、結果的にはSSを1点でまとめ、5点の小川友幸、6点の小川毅士、8点の野崎と、SSの減点が少ない順に結果表に並ぶことになった。
野本は野崎に8点差で5位。さらに6点差で柴田。ふたりとも、目指すところはもっともっと上位のポジションだというから、来年以降を楽しみにすることにしよう。
表彰式後にヤマハブースでV10報告会。こういう舞台に慣れていないマインダーの二郎くんとともに
黒山健一、2011年チャンピオン。これは、黒山にとって10回目のチャンピオン。10回の全日本チャンピオンは、MFJ史上新記録だ。
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□国際A級
すでに三谷英明がチャンピオンを決めているこのクラスだが、これも最終戦。三谷が全日本選手権でチャンピオンとなるのはこれが初めてだが、実は2005年にもチャンスがあった。最終戦までポイントをリードしていて、最終戦で若い坂田匠太に逆転を許したのだ。三谷によると、SUGOではいいことがないらしい。
三谷はいつものように、やるべきことを淡々とおこない、セクションをめぐっていく。それが結果的に勝利につながっていたのが、今シーズンの三谷の戦い方だった。
1ラップ目、その三谷にリードを撮ってトップにいたのは、滝口輝だった。わずか1点差ではあるが、ここは若手のがんばりに期待したいところだ。なにせ今シーズンは、若手が一度も勝てていないし、表彰台に乗ることからして多くない。
しかし滝口は、終盤の2セクションで連続5点。もちろん簡単なセクションではないが、ポイント圏内のライダーでこのふたつを連続で5点となっているのは滝口だけだ。滝口はこれで5位に転落。もしこの2セクションをクリーンしていれば、滝口の初優勝シーンが見られたところだった。
優勝は岡村将敏。なんと岡村の勝利は10年ぶりだという。ベテラン三谷がタイトルを獲得した2011年は、最終戦でもベテランが強かった。SUGOでいいことがないという三谷は、それでも2位に入った。
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□国際B級
国際A級と同じく、やはり中部大会でチャンピオンが決まった国際B級。チャンピオン小谷一貴は、しかし最終戦にも必勝機運で臨んだ。全5戦の2011年全日本選手権。ここまで2勝している小谷にとって、最終戦は勝率5割をめぐる自分との戦いだった。
深い森の中で5点となった小谷だったが、その後しっかりと気持ちを立て直して、以降は5点なし。2位山口雄治に5点差で最終戦勝利を飾った。
ランキング2位をキープすることになった鈴木克敏は、1ラップ目14位から2ラップ目に3位まで浮上するがんばりを見せた。4位朝倉匠も、1ラップ目12位から浮上してきている。5位には、1ラップ目の3位からは順位を落としたものの、倉持俊輝が初めてポイントを獲得している。1位から5位までが若手。6位に、ドラッグレースやダートトラックからトライアルに帰ってきた生田目俊之が入っている。
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ライア・サンツ、ガスガス!
左からラモン・プエンテ(ガスガス社ゼネラルマネージャー)、ライア・サンツ、サンティ・ナバロ(チーム監督)
ライア・サンツが、ガスガスと契約を交わした。9月21日にガスガス本社がリリースを出して発表したもの。ライアは2012年からは、ガスガスのライダーとして、トライアル、エンデューロ、そしてレイドと、3種目のモータースポーツに参戦することになる。
<Posted in 11.10.24( 11.10.24 Mod.)>
今回ライアが結んだ契約は3年間。契約を交わしたガスガスとライアは、すぐにダカールラリーの準備に入ることになるが、2012年度のトライアル活動への準備も、すでにスタートを切っている。
ライアは今25歳。これまでに11回のトライアル世界選手権女子チャンピオン、10回のヨーロッパチャンピオン(女子)、4回のトライアル・デ・ナシオン勝利(女子)、そしてダカールラリーの女子部門に優勝の功績を残している。これに2012年はエンデューロ活動が加わるわけで、この3部門にチャレンジする女子ライダーは、ライアが初めてということになる。
ライア・サンツは、2004年にベータからモンテッサに移籍。以後、7回の世界タイトルを獲得している(1回だけ、イリス・クラマーにタイトルを奪われている)。モンテッサとの関係は良好で、女子世界選手権に挑戦すると同時に、ジュニアクラスへの参戦も続けていた。過去には表彰台に登ったこともあるが、最近ではポイント圏外となることも多かった。モンテッサのライダーとして8年を経て、ライアは新たなチャレンジを開始することを決意したようだ。
チャンピオン小川友幸初優勝
10月16日、全日本選手権第4戦中部大会。今回もまた、ポイントリーダーの黒山健一と昨年チャンピオン小川友幸は大接戦だった。
勝負は、最後のスペシャルセクションで決着。わずか2点差で、小川友幸が今シーズン初勝利。そしてこの勝利は、小川友幸がゼッケン1番をつけて、初めてとなる勝利となった。
2位黒山に続いて3位に入ったのはひどい腰痛に悩みながらの野崎史高。4位に小川毅士となっている。
国際A級は三谷英明が優勝してタイトルも決定。ガスガス・ランドネを仕上げてきた成田匠は4位に入った。
国際B級は小谷一貴が優勝して、やはりタイトルを決定している。
リザルトは自然山リザルトコーナー(http://www.shizenyama.com/pages/results/)を
試合経過速報(まちがってる情報もあるかも)は自然山ツイッターをごらんください。
<Posted in 11.10.17( 11.11.02 Mod.)>
10月6日、全日本第4戦。まだ4戦目だ。今年はずっとこんなことを思い続けているけど、いつもなら終盤の終盤戦である中部大会が今年はまだ4戦目だ。これが2011年の現実だ。
毎年のように、スペシャルセクションが設けられた中部大会。去年あたりから、SS制度を導入する大会が増えているが、本家である中部のSSは本物感が強い。2ラップしたセクションの焼き直しではなく、わざわざ別にセクションを用意し(今年は残念ながら中止だった関東大会も、去年のSSは別セクションが用意された)お助け要員のアシスタントもSSだけはふたりつけられる。各IAS選手はすでに試合を終えたIA選手などに助っ人を頼み、難所のお助けに立ってもらったり際どいラインどりの指示をお願いする。さっきまで試合をしていたIA選手(でなくてもいいのだが)が腕章をしてアシスタントの任につくと、新たな勝負が始まるという雰囲気も盛り上がってくる。場内アナウンスも、1セクションごとにつく。SSならではの、こういう演出はやっぱりうれしい。
大会前日は雨。セクションを下見した各選手は、日曜日の戦いはなかなかむずかしいものになると予想していた。セクション設定の変更の申し出もあったようだが、基本、むずかしい設定には変わりはなかった。
第1セクション、久々に全日本に参戦してきた斉藤晶夫(今年就職して、今までのような参戦体制をとるのがむずかしくなっている。世界選手権も、土曜日だけ参戦して、日曜日は仕事に戻った)が3点で抜け、宮崎航、野本佳章が2点で抜けたのを見て、この先、クリーンが並ぶだろうと浅はかな予想をしてみたものの、地面のコンディションが崩れ、田中裕人、柴田暁、田中善弘と5点。小川毅士と野崎史高まで5点となってしまった。最初のセクションにして、オールクリーンの権利を持つのは早くも小川友幸と黒山健一のふたりになってしまった。
黒山健一。2011年の全勝優勝を逃す
続く第2セクションは、一見、泥の斜面を上り下りするだけだが、ふかふかの斜面はなんともむずかしい。ここでは、とうとうクリーンは一人も出なかった。野崎が3点、小川友幸が3点、そして最後に、黒山健一が1点で抜け出て、早くもいつもの勝ちパターンを作り始めたのかと思わせた。しかしそんな予想をするのは、まだ早かった。
第3セクションは、いつもおなじみの大岩セクションだが、これも今回はむずかしい。1ラップ目、結局ここは全員が5点となった。続く第4は、これまた一転泥のセクションで、次から次へと5点。小川友幸のみが3点で抜けた。ここまでの減点数は、黒山と小川がともに6点。3点ふたつの小川友幸より1点のある黒山がトップということになるが、細かい計算はまだまだ先の話だ。
第5セクション。ここもいつものセクション。そして難度が高いのもいつものこと。ここでも、次から次へと5点になっていく。最後の登りの、段々上の岩を登っていくところが特にむずかしい。跳ね返されてしまい、途中で動きを止めてしまう者がほとんどだ。小川毅士も野崎も、そして小川友幸も5点になった。こんな中、最後にトライした黒山は、するするっと岩を登っていって、見事クリーン。同点まで追いつかれはしたものの、やはり黒山強しの印象を与えたものだった。
第6セクションは、山を越えて水の流れる、これも見覚えのあるセクションだが、ここで小川毅士がこの日初めて5点を脱した。クリーンだ。ここまで、すでに25点の減点を重ねてしまって、優勝争いからはほど遠いが、トップ3、野崎、小川友幸、黒山はみな1点を失った。小川毅士と田中善弘のクリーンは貴重だった。
斜面の途中の第6、上段の大岩をぽんぽんと飛んでいく第7、豪快なヒルクライムの第8、第9と難セクションが目白押し。最初の難関は、第7のインの岩だった。みんながみんな落ちているわけではないので、手段がないわけではない。しかし誰にとってもむずかしい岩にはまちがいなかった。小川毅士、野崎がクリーン。田中善弘が1点で抜けている。小川友幸は、あぶなかった。登り損ねて、一度は観念したようにも見えたが、マインダー田中裕大の、まだいけるぞの声に踏ん張って、なんとか1点でこのセクションを走り終えた。
ここをきっちりクリーンして、点差を広げていくのが、いつもの黒山の勝ちパターンだ。ところがなんと、黒山はこの大岩の攻略に失敗。耐える間もなく落ちてしまった。これで黒山が17点、対して小川友幸が18点、接戦になった。野崎は24点、小川毅士が25点で続いている。
第8セクションはそそり立つヒルクライム。次々と玉砕していく中、野本佳章が1点で登りきった。小川毅士、野崎も1点。黒山が4ストロークツインカムエンジンのパワーを絞り出して登りきれば、小川友幸も華麗に登りきって、ここはイーブン。次の第9は、岩の上からのヒルクライム。最後の岩に登るポイントがむずかしい。ここも、次々に5点となっていく。小川友幸も、黒山も5点だ。ところが最後にトライした小川毅士が、美しくクリーンしていった。黒山22点、小川友幸23点、小川毅士26点、野崎30点。小川毅士が、一気にトップ二人に迫ってきた。
10セクションは湿った土の斜面。小川毅士2点、黒山が3点、ほかはみな5点。小川友幸も5点だ。黒山25点、小川友幸と小川毅士が28点で同点、野崎35点……。
11、12と黒山、小川友幸はクリーン。小川毅士は3点2点と減点して、せっかく追いついたトップ2を逃がしてしまっている。最終13セクションは黒山と小川友幸だけが3点で抜け、1ラップ目の減点は黒山が28点、小川友幸31点、小川毅士は3位を守ったが38点と、やや点差をつけられてしまっている。野崎はぎっくり腰を患っていて、本領発揮にはほど遠い。41点で4位だ。
2ラップ目。1ラップ目の減点を、どこまで減らせてこれるかが勝負だ。第3セクション、全員5点の難セクションは、まず黒山が1点で攻略した。しかし第3セクションは、またも小川友幸のみが3点で通過。1ラップ目に黒山のみがクリーンした第5は、今度は黒山が5点、小川友幸は3点で抜け出した。どちらも一歩も引かないつばぜり合いが続く。
10セクション。1ラップ目と反対に、黒山が5点、小川友幸は、今度は1点で抜け出した。これでトータルでも小川友幸が1点リードとなった。その後、12セクションで小川友幸が1点を失い、再び同点に。最終13セクションは仲よく5点となって、勝負は3つ用意されたSSで決せられることになった。このまま同点なら、クリーン数に勝るであろう黒山に勝機がある。
腰に爆弾を抱えながら小川毅士の追撃をかわした野崎史高
小川毅士は2ラップ目になかなか減点を減らせず74点。10点以上スコアを削ってきて69点とした野崎に3位を譲っている。しかしこの時点で、彼らに優勝の目はない。
「前回と同じく、接戦となっているのはわかっていた。ぼくもプレッシャーがあったが、ライバルも同じように意識をしているのがわかったので、プレッシャーをかけ続けられるよう、ずっと我慢して、我慢した」
小川友幸は、この日の戦いを、こんなふうにふりかえった。我慢が実って、同点まではこぎつけた。しかしまだ、勝利には詰めが足りない。
SSの第1は、積み上げた岩々を越えながら、最後に大ジャンプのアーチを描いてアウト。宮崎、野本が3点で抜ける中、柴田暁、小川毅士が5点となった。トップ3はそろってクリーンだ。
SSの第2。例年の、大ジャンプが最後に待っている泥の斜面。しかし今年は来れも設定がむずかしかった。ここも次々に5点となっていく。そしてここで黒山も5点となった。小川友幸は3点。これで小川友幸が2点リード。しかしこの頃、持ち時間がほとんどなくなっていた。減点数では小川友幸に分があるが、タイムオーバー減点如何では、まだまだ結末はわからない。
最終セクションは、巨大タイヤをぽんぽんと飛び移ってからの法面の斜面登り。最後の斜面は、表面が崩れていて、登坂は簡単ではなかった。タイムオーバーを考えて申告5点とするライダーが多くいる中、宮崎、柴田、田中裕人が5点となり、田中善弘が1点で抜けた。小川毅士は5点となり、なんとSSをオール5点としてしまっだ。
野崎は2点だった。最初の巨大タイヤに向けて飛んでいくポイントで足が出てしまった。その野崎の直後、今度は黒山も同じように足が出た。黒山の減点は1点のみだったが、これにタイムオーバーが2点加わった。トータル57点で、黒山はゴールした。残るは小川友幸のみ。
野崎、黒山と飛びすぎてしまった最初のポイントを、小川はていねいに抜けた。最後の登りもスムーズ。クリーンだ。2ラップとSSの3セクションのトータルで52点。しかし小川友幸は、タイムオーバーが3点となった。小川がセクションを抜けたとき、計時の時計の秒針が新しい1分を刻んでいた。ほんの数秒の差だったけれど、タイムオーバー減点が黒山より多いということになった。
1年ぶりの勝利。そしてゼッケン1番をつけての初めての勝利。小川友幸
おそらく勝っているだろうけれど微妙だと、ゴールでの小川友幸は、まだ喜びを顔に出せないでいた。セクションを抜けて、チームのみんなに勝利がほぼ確定的であることを教えられ、ようやくその表情に笑顔が見えた。
チャンピオン小川友幸の、これが初めての勝利だっだ。小川は2007年に全日本チャンピオンとなっているが、その翌年2008年には、ついに1勝もできずに終わっている。2010年、小川は再びチャンピオンとなった。その翌年の今年、開幕して3戦は、いずれも黒山が勝利した。残る2戦で勝てなかったら、いよいよ勝てないチャンピオンの不名誉な記録が決まってしまう。チャンピオンとしての小川友幸、待ちに待った1勝だった。
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□国際A級
チャンピオンを決定した三谷英明
今シーズンは、三谷英明が強い。ベテランだし、実力ある選手だし、IAS経験者だしで死角はないのだが、やっぱりあるはずの体力的衰えを試合運びなどでカバーしてきっちり勝利していく。こういうベテランに頭を押さえられていると、伸び盛りの若手もやりにくい。
三谷はこの勝利で今シーズンのチャンピオンを決定。意外なことに、三谷がチャンピオンとなるのは、ミタニ英明のトライアル史上、これが初めてだそうだ。
1ラップ目は砂田真彦が2位につけた。このまま優勝争いをするかと思われたが、残念ながら2ラップ目にスコアを伸ばせず後退している。
2位に入ったのは本多元治。今シーズン3戦目の出場で、それでもランキングで2位につけてきた。ベテラン、強し。
3位は開幕戦に続いて表彰台に乗った滝口輝。若手の筆頭株だが、なかなか表彰台の頂点に向かえないでいる。若手勢力が国際A級の中で圧倒的少数派となってしまっているのが、若手から元気を奪っている。2008年、2009年の国際A級は、今IASで戦う柴田、野本、斉藤、宮崎らが気分よくベテランを抑えていたような気がするのだけれど、気のせいだろうか。このまま全日本の国際A級はベテランライダーの天下というイメージが定着してしまうと、日本の未来が危ないから、なんとかしてほしいところ。でも少子化高齢化でトライアルも高齢ライダーがひしめき合ってきたから、ベテランの天下が定着したら、そちらのほうが多くに歓迎されるのかもしれない。なんて言わせていないで、若手の皆さん、どかんと突き抜けてください。
今回は、北海道大会に続いて、成田匠がガスガス・ランドネで参戦した。FRP製の燃料タンクが装着され、見た目もスリムに。登りの多い今回の会場では不利な面は多々あったが、堂々4位入賞を果たした。
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□国際B級
2勝目を挙げてタイトルを決めた小谷一貴
2位と1位しかない小谷一貴。チャンピオンシップにも王手をかける。
しかし小谷自身としては、この日はミスがあって、表彰台獲得はともかく、優勝はむずかしいのではないかと考えていた。それでも1ラップ目が終わってみると、小谷が26点でトップに立っていた。鈴木克敏が27点、朝倉匠が28点と1点刻みで続いている。
2ラップ目、小谷は崩れなかった。実は2ラップ目の減点そのものは、小谷よりも鈴木の方が4点少なく回ってきたのだが、鈴木には6点のタイムオーバー減点があった。それで2点差にて小谷の勝利となった。
鈴木も今シーズン3位3位2位と好調だが、第1戦を18位とはずしているのが痛かった。ここまでランキング2位につけていた山口雄治は今回11位。小谷にとってランキング争いのライバルが足踏みしたことで、ポイントの貯金は27点となった。これで最終戦は無得点でも、小谷のチャンピオンは変わらない。三谷英明とともに、2011年全日本チャンピオンの誕生だ。
3位は1ラップ目の7位から追い上げた武井誠也。鈴木のチームメイトでもある。北海道大会での13位に続くポイント獲得が3位表彰台となった。
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