原点はカブ
2月7日、広島県海の見える杏の里トライアル場で、スーパーカブ(およびそれに類するマシン)によるトライアル大会が開催された。
優秀なトライアルマシンがいきわたり、技術のあるライダーが台頭する一方で、トライアル全体が先鋭化しすぎて先すぼみとなっていくのを危惧したケニーズクラブの河村國夫氏が、オートバイ遊びの原点とも言えるスーパーカブに目をつけたものだ。
最初の大会は、12名のカブ使いが集まった。
<Posted in 10.02.09(
10.03.05 Mod.)>
スーパーカブは、たいへん優秀なオートバイだ。たいへん優秀だが、トライアルマシンとしてはお世辞にも優秀とはいいがたい。タイヤは小さいし、フロントフォークはテレスコピックでなく、路面のデコボコに合わせてあらぬ動きをするし、マフラーは地面すれすれ。ブレーキペダルはそのマフラーの、さらに下側を通っている。トライアルなんてできないと思うほうが、ふつうだ。
しかし、最近の人は知らないけど、今45歳より上のライダーにとって、生まれて初めて走らせたオートバイがスーパーカブだったという人は少なくないはずだ。30年も前、高性能なスポーツバイクが家にあるなんて人はほとんどいなかったが、日常の足にスーパーカブを所有している家は多かった。免許を取って、あるいは免許を取る前に、自分ちの庭先でおっかなびっくり乗ってみたのが、めくるめくオートバイ体験のはじまりだった。
走らせることができるようになると、いろんなことがしたくなる。そんなこんなで、どんどん要望は大きくなって、オートバイも優秀になって、今、みんなはトライアルをやっている。鬼のようにグリップするラジアルタイヤ、低速ではしっかり路面をつかみ、高速では一気に爆発的なパワーを発揮するエンジン。これを走らせ、岩から岩へ飛んでいくようなテクニックも、そんなに珍しいものではなくなっていった。
でも、そうなるとトライアルの敷き居は、どんどん高くなっていく。トライアルバイクを買っても、長いこと下積み時代を過ごして修業を積まないと、諸先輩といっしょに遊ぶことができないような感じもある。
トライアルはマシンの性能如何ではなく、ライダーのテクニックにある。どんなに優秀なマシンを用意しても、最後にはライダーの実力が高い者が上手に走る。でも、それがトライアルマシンでなく、うーんとポテンシャルの低いスーパーカブだったら……??
なにもスーパーカブで大岩を登ろうなんてわけじゃない。平らなところをくるりと回るくらいの楽しいトライアルを思い出そうじゃないか。その道具がスーパーカブならば、トライアルマシンを買えないでいる(買わないでいる)トライアル未体験のみなさんも参入してこれるかもしれない。
オートバイ体験はスーパーカブから。それはトライアルの世界にも当てはまるだろうか。
(写真は、ちょっと過激っぽい風景に見えますが、うけねらいで写真を送ってきたのだと思いたい)
2/103のTRライダー
Photo:Hell's Gate
イタリアに、HELL’S GATEというエンデューロがある。かなり意地悪なエンデューロであることは、そのタイトルの読んで字のごとし。HELL’S GATEとは、日本語訳をすれば地獄の門だ。
参加者は103名。そして優勝したのは、12回(インドアを含む)のトライアル世界チャンピオン、ドギー・ランプキン(ベータ)。2位にはいったのが、同じイギリスのグラハム・ジャービス(シェルコ)。しかし3位はいなかった。103人もスタートしたのに、ゴールしたのはたったの2名だったというわけだ。
同じくトライアル出身で、インドアエンデューロ世界選手権の覇者となったタデウス・ブラズシアク(KTM)は、クラッシュでリタイヤ。しかしトライアルライダー強しの印象は、いよいよ濃厚になっている。
<Posted in 10.02.08(
10.03.05 Mod.)>
簡単な結果(☆は世界選手権トライアル参加経験のあるライダー)
| Stage 1(Morning Enduro) |
| 1 | Taddy Blazusiak | KTM | 34.02:70 | ☆ |
| 2 | Graham Jarvis | Sherco | 34.30:22 | ☆ |
| 3 | Andreas Lettenbichler | | 34.41.15 | |
| 4 | Dougie Lampkin | Beta | 36.19.70 | ☆ |
| 5 | Cory Graffunder | Husqvarna | 36.40:89 | |
| 6 | Xavi Galindo | Husaberg | 36.48:86 | |
| 7 | Mikael Vukcevic | Sherco | 37.43:43 | |
| 8 | Chris Birch | KTM | 38.11:54 | |
| 9 | Daniele Maurino | Gas Gas | 39.47:82 | ☆ |
| 10 | Daniel Gibert | Sherco | 40:00.05 | ☆ |
| Main Event |
| 1 | Dougie Lampkin | Beta | 4 laps |
| 2 | Graham Jarvis | Sherco | 4 laps |
ボウ、バルセロナで勝利。藤波4位
1月31日、インドア世界選手権の中でも一番の盛り上がりを見せるバルセロナ大会。他のインドア大会は、金曜日とか土曜日の夕方からの開催となるが、このバルセロナ大会だけは日曜日の開催で、夜ではなく真っ昼間に開催される。会場の広さも含めて、いろんな意味で特別な大会だ。
今回は、インドアエンデューロ世界選手権との併催となり、スタジアムは朝から大にぎわいだった。
そんな中、トライアルの方はトニー・ボウが再び勝利を取り戻し、今シーズンの成績を2勝1敗とした。しかし2位はアルベルト・カベスタニーで、1勝2敗。藤波貴久は今シーズン初めてファイナルを走って4位にはいった。今回はアダム・ラガがセミファイナル敗退となり、ランキング3位はジェイムス・ダビルと入れ替わっている。タイトル争いは、ボウとカベスタニー以外に事実上、権利はなくなっている。
<Posted in 10.02.04(
10.03.05 Mod.)>
もちろん、多くのトライアルライダーにとって、バルセロナは地元での大会となる。ボウはバルセロナの近郊出身だし、その他のライダーも多くがカタルニア州の出身。バルセロナはカタルニアの首都だから、ここでの戦いは地元での凱旋ということになる。
加えて、藤波貴久やジェイムス・ダビルも、いまやスペインのカタルニアの住民だ。いやはや、トライアルをやるならカタルニアに住めが、よくも悪くも現在のトライアルの常識だ。ドギー・ランプキンもチャンピオン時代はカタルニアに住んでいたし、野崎史高もここに住んでいた。
さらにさらに、モンテッサはバルセロナにワークショップがあり、シェルコはバルセロナ近郊、ガスガスはバルセロナの隣の大都市ジローナにある(距離はともかく、東京に対する横浜的感覚かな)。ライダー、メーカーともに、ここで一旗揚げれば大きな注目を集める。しかしそれだけ、バルセロナ大会にあたってはライダーにはプレッシャーもかかってくる。
勝利を決めるまでの流れは、今回はマルセイユと同様。まだまだ今年のルールに賛成するライダー・関係者は少ないが、それでもルールとしては一応の定着をしているようだ。予選(クォリファイ。藤波はこれを1ラップ目と呼んでいる)は自動的にセミファイナルに進出する4名を選出する勝負で、これはユーロスポーツのテレビ中継ははいらない。しかし最後には、ここでの結果も勝敗に影響してくるから、手も抜けない。
今回のクォリファイは5つのオブザーブドセクションによっておこなわれた。ボウは問答無用のオールクリーン。カベスタニーがひとつ5点となり、このふたりの強さは今回も引き続き発揮されていた。一方下位グループでは、アレックス・ウイグとロリス・グビアンがともにオール5点。最下位決定戦でグビアンが5点となって、ウイグ7位、グビアン8位が決まったが、今回は参加者が8人だから、少なくともラストチャンス(敗者復活)には全員が参加できることになる(ワイルドカードで9人以上の参加者がいれば、ここで誰かが敗退していくことになる)。
さて残るは3位と4位を誰が勝ち取るか。このふたつのイスを、藤波とファハルドとラガが争った。藤波は5点がひとつ、2点が二つ、1点がひとつでトータル10点。ファハルドは5点が二つ、ラガは5点が3つあって、さらに細かい減点を加えて、ファハルド15点、ラガ17点。今回は、ラガがラストチャンスに回るということになった。今年は、トップライダーがラストチャンスで苦境に立たされるケースが、とても多い。
| Qualification |
| 1 | Toni Bou | SPA | Montesa-HRC | 0 |
| 2 | Albert Cabestany | SPA | Sherco | 5 |
| 3 | Takahisa Fujinami | JPN | Montesa-HRC | 10 |
| 4 | Jeroni Fajardo | SPA | Beta | 15 |
| 5 | Adam Raga | SPA | Gas Gas | 17 |
| 6 | James Dabill | GBR | Gas Gas | 20 |
| 7 | Alexz Wigg | GBR | Beta | 25 |
| 8 | Loris Gubian | FRA | Gas Gas | 25 |
ラストチャンスは、これも前回同様ダブルレーンから。ラガとウイグの勝負はラガの勝ち。ウイグはなんと転倒してしまった模様で、この時点でセミファイナル進出は絶望的な感じだ。ダビルとグビアンは、順当にダビルが勝利。グビアンは減点1を課せられた。
ダブルレーンに続いて、ふたつのオブザーブドセクションで決着をつける。最初のセクションは全員クリーンしたものの、ウイグがタイムオーバーで1点(インドアでは、タイムオーバーは30秒ごとに1点が加算される)。ラガとダビルが0点、グビアンが1点、ウイグが6点となって、ここまでは順当にラガとダビルがセミファイナル進出かと思われた。
最後のセクション、ウイグが5点。これでウイグは11点。ダビルとグビアンは、ともに1点をついた。ダビルは1点でグビアンは2点。なのでラガは、ここを1点で通過すればセミファイナル進出だ。なのに!
よもやここで敗退するとは思っていないラガだったが、ボックスにリヤタイヤをぶち当てた瞬間、リヤアクスルが折れた。ナットもはじけ飛ぶような壊れ方で、これではトライは続けられない。続けられたとしても、3点でも5点でも同じだった。ここで5点となったラガはラストチャンスのトータルが5点となり、グビアンに3点差でラストチャンス敗退となった。
この2戦は藤波だったが、どうも今年のインドアでは、ビッグスターの誰かが不幸の憂き目にあっている。ラガといえば、インドアで無敵を誇ったトライアルの大スターだ。そのスターが、お客さんやテレビを見る人にほとんど登場しないまま戦列を去ってしまった。マシンが壊れたのがいけないといえばそれまでだが、そういったミスが結果に直結し、しかもお客さんの興味までそいでしまっているのではないかというのが、今年のインドア世界選手権のむずかしいところだ。
| Last Chance |
| Pos. | Name | Double Lane | Sec1 | Sec2 | Total |
| 5 | James Dabill | 0+0 | 0+0 | 1+0 | 1 |
| 6 | Loris Gubian | 0+1 | 0+0 | 1+0 | 2 |
| x | Adam Raga | 0+0 | 0+0 | 5+0 | 5 |
| x | Alexz Wigg | 5+0 | 0+1 | 5+0 | 11 |
今回のセミファイナルは、国籍が豊かになった。3名のスペイン人に、日本人とイギリス人とフランス人が一人ずつ。だいたい、今の世界選手権の勢力図を現しているともいえるが、藤波は孤軍奮闘だ。イギリスはもうすっかり世代交替して、そのうえでダビルがさらに上位を標的に定めているのだから、あなどれない。
ボウは、ここでもオールクリーン。ボウがずば抜けているのは今に始まったことではないが、試合になればいろんな要素がからんで、トップライダーの接戦になるのが今までの戦いの常だったが、どうも今年あたりはボウ一人だけが抜け出てしまっている感じがする。今年のこのルールは、ひとつにはいつも同じ顔ぶれが勝っている戦況を改善し、いろんなライダーが活躍できるようにしたいというFIM側の思惑があったという。そういう点では、ボウはここまで1勝1敗だし、開幕戦でダビルが表彰台を獲得するなど、思惑はぴたりとあたっているようにも思える。しかし同時に、それでも強い者は強く、藤波やラガ、ファハルドなど、この強い者になんとかくらいつこうとするトップグループが、たびたびルールの餌食になっている。ダビル以下のグループはトップグループにやや近づいたかもしれないが、トップグループの上に、ボウという単独峰ができあがってしまったのかもしれない。
セミファイナルの3つのセクションでは、カベスタニー、藤波、ファハルド、グビアンの4人がオール5点となった。実は、このセクション自体はクォリファイで使ったものそのままなのだが、クォリファイとセミファイナルの間にはエンデューロのレースが開催されていた。タデウス・ブラズシアク(なんとチャンピオンを獲得した)、ドギー・ランプキン(ランプキンは、エンデューロはまだ修業中で、そんなに成績が出ていない)、ロバート・クロフォードなど、トライアルでもなじみのある名前が多く走っている。もちろんトライアルセクションを走るわけではないのだが、すぐ隣で砂ぼこりを上げて走り回るので、セクションは全面的にホコリがかぶった状態になっていた。これが、ものすごくすべる。もともとバルセロナのセクションは上がるか落ちるかの設定が多いのだが、上がったのは結局ボウだけだったというわけだ。
そんな中、最後のセクションで、実力なのかたまたまなのか、ダビルが上がった。1点。タイムオーバーの1点を加算しても、ボウ以外のライバルよりも3点のアドバンテージを獲得した。これは大きい。
続くダブルレーンでは、まずボウとファハルドが対戦。ボウが大事を取って敗退し、ボウに初めて減点1がついた。次はカベスタニーとダビル。これはカベスタニーの勝利。ダビルのアドバンテージは2点に減った。最後が藤波とグビアン。これも順当に藤波。グビアンはレースに負けた上に3回足つきで、グビアンのファイナル進出は絶望的だ(もっともクォリファイがオール5点なのだから、セミファイナルを走っているだけでも奇跡といえる)。
さてこの結果、セミファイナルトップはボウで1点。2位がダビルで13点。3位は藤波とカベスタニー、ファハルドが15点で横一線ということになった。この場合、結果はクォリファイの順位を持って決定するというのが規則だ。クォリファイ2位だったカベスタニー、3位だった藤波がファイナルに進出。ファハルドはここで涙の敗退となった。
| Semi Final |
| Pos. | Name | Sec3 | Sec4 | Sec5 | Double Lane | Total |
| 1 | Toni Bou | 0+0 | 0+0 | 0+0 | 0+1 | 1 |
| 2 | James Dabill | 5+0 | 5+0 | 1+1 | 0+1 | 13 |
| 3 | Albert Cabestany | 5+0 | 5+0 | 5+0 | 0+0 | 15 |
| 4 | Takahisa Fujinami | 5+0 | 5+0 | 5+0 | 0+0 | 15 |
| x | Jeroni Fajardo | 5+0 | 5+0 | 5+0 | 0+0 | 15 |
| x | Loris Gubian | 5+0 | 5+0 | 5+0 | 3+1 | 19 |
そしていよいよ、今年初めて藤波が走るファイナル。4つのセクションで勝敗を決する。ボウはここまでに2位グビアンに対して12点のリードをとっているから、さすがに勝利は揺るぎない。逆に2位以降はまったく予想がつかない。
最初のセクションは全員クリーン。しかしここで、藤波にトラブルが発生した。リヤブレーキのトラブルだ。次のセクションにトライするまで、約3分のインターバル(ほかの3人がトライしている間)がある。この間に修理ができれば、藤波は自分のマシンでトライを続けられる。しかし修理は間に合わなかった。
藤波がスペアとして持っているのは、2008年型の藤波号。2009年型とは、同じように見えて仕様が大きくちがう。もちろん現在の藤波は、2009年型に絶対の信頼を置いている(ちなみに、2010年型のワークスマシンの登場はないようだ)。藤波は、2009年型を1台しか持っていないのだ。一方ボウは、2009年型を2台持っていて、1台をスペアとしている。藤波は、ボウのマシンを借用してセクションを走った。
しかし結果は5点。エンジンのマッピングもボウと藤波では仕様がちがう。もちろんライディングポジションも異なる。2008年型の藤波号だったらどうだったかというのはあまりにも仮定の話となるが、少なくとも、本来の自分の本番車との間には、大きな隔たりがあったにちがいない。
二つ目のセクションで5点になったのは、藤波とダビルの二人。ボウとカベスタニーはクリーンした。ここで、カベスタニーは2位に向けて加速し始めた(といっても、勝利の目はもはや絶望的)。
三つ目のセクション。藤波の本番車は修理を終えて帰ってきた。しかしやはり5点だった。このセクション、ダビルも5点。藤波とダビルの2点差は、変わらない。
最後のセクション。ほかの三つのセクションはインにはいったとたんに大きな障害があって、それを登れずにおしまいだったが、三つ目については木で構成されたセクションで、トライアル的難易度もあった。藤波は、ここをクリーンした。ダビルがここで2点つけば、クォリファイで上位につける藤波が表彰台を獲得できる。しかしダビルはクリーン。タイムオーバーで1点を課せられたが、ぎりぎり、セミファイナルでのアドバンテージを守って、藤波の追撃を許さなかった。藤波は、今年初めてファイナルを走ったという点では大きな収穫があったが、あと1点のところで表彰台を逃したという点で、なんとも悔しいバルセロナ大会となった。
その後、カベスタニーはクリーンで、ファイナルをオールクリーン。ただしタイムオーバーの1点があったので、トータルは16点。カベスタニーにとっては、2位になるのはまず順当で、勝利はまずムリというファイナルの戦いになった。
そして最後にトライしたのがボウ。ところがなんと、ボウはセクションインしていきなり大転倒。藤波貴久証言によると「ボウは絶対になにかやらかそうとしたのだと思う。一番神経を使わなくてもいけないはずの木を使ったセクションだったけれど、あの失敗は、なにかやってやろうとおもっていたにちがいない」とのこと。うまくいっていればバルセロナのお客さんは大喜びだったろうが、残念でしたという結末になった。
3戦が終わって、残るはマドリッドとマヨルカの2戦になった。正式発表はまだないが、これ以外に組まれていた戦いはキャンセルとなるようだ。ランキング1位はボウ、2位はカベスタニーだが、今回でランキング3位はダビルが進出。ダビルとイギリス人とFIMにしてみたらしてやったりだが、これはつまり、ラガがタイトル争いにからんでくる可能性が絶望的になったということだ。
| Final |
| Pos. | Name | Sec6 | Sec7 | Sec8 | Sec9 | Total |
| 1 | Toni Bou | 0+0 | 0+0 | 0+0 | 5+0 | 6 |
| 2 | Albert Cabestany | 0+0 | 0+0 | 0+0 | 0+1 | 16 |
| 3 | James Dabill | 0+0 | 5+0 | 5+0 | 0+1 | 24 |
| 4 | Takahisa Fujinami | 0+0 | 5+0 | 5+0 | 0+0 | 25 |
世界戦ルールその後
ノーストップだ、いや従来通りだ、はたまたなんだかえらく計算がむずかしそうな新ルールだと、すぐ先に開幕する今年の世界選手権のルールがはっきりしない毎日だが、どうやらFIMの世界選手権に関しては、2010年のルールは2009年同様となるようだ。
その一方、例の計算がむずかしいルールが、スペイン選手権で採用になることは決定した。スペイン選手権では、2009年にはトップクラスのトライ順を従来とはまったく変えて開催するという大胆な方策を施していて、その柔軟性には驚かされる。
<Posted in 10.01.27(
10.01.27 Mod.)>
まず、計算がむずかしそうな新ルール(当方が算数が苦手なのでこんな呼び方になっているが、どう呼んだらいいのかもわからないのが正直なところ)についての補足。
ひとつのセクションに、あちこちに加算方式のゲートマーカーがある。そこを通過すると、マーカーの点数に応じてポイントが加算される。いかなる場合でも減点はない。
もし、ゲートマーカーをひとつも通過できなかった場合はどうなるのかという疑問があったが、セクションを完走すると、完走ポイントが加算されるという。たとえば完走ポイントが10点(従来ルールの草大会式で言うと,テープ内ライン自由で3点減点の感じ)とすると、2点減点のケースだと15点ポイント獲得、1点減点だったら20点ポイント獲得、クリーンしたら30点ポイント獲得となっている。つまりどこのゲートも通過しなくても、セクション出口までたどり着けば、この場合だと30点は獲得できる、というルールだ。
このルールの一番の懸案は、ゲートのポイントを何点に設定するかで、試合のおもしろさが激変してしまう。やっていくうちにまとまっていく部分もあると思うが、むずかしそうだ。
もうひとつは、5点になった場合の評価。ゲートをひとつも通過せず入り口で転倒した場合は獲得ポイントなし、0点(クリーンではない)となる。でもひとつでもゲートを通過して転倒した場合は、通過したゲートのポイントはきちんと加算される。10点のゲートを3つ通過して、4つ目のゲートで転倒した場合は、10点のポイントが与えられる。セクションアウトしていなくても、だ。
このあたり、イギリスの伝統トライアルにこだわる人たちにとっては、最後まで走っていないのに有効ポイントが与えられるとはなにごとだと怒り出すにちがいない。それも一理ありそうな気がするが、この実験は、そんな古くさいことを言っている場合ではないというところが出発点になっているようだ。
このルールを採用するというスペイン選手権では、2009年に試合システムの大改革が行われた。日本では、全日本選手権の中部大会と中国大会で、それぞれスペシャルセクション導入とタイムスケジュールの新たな試みがなされているが、これが全国的に普及しないのは、日本では従来通りの手法にこだわる意見が多いからという。しかしスペイン選手権の試みは、そんな小さなもんじゃないのだ。こういうところでも、日本はスペインにかなわない(どっちが正しいか、ではなく、大胆な実験をする大きな気持ちがあるかどうかという点において。正しいかどうかについては、日本的考えの方が正しいことの方が多い気もする)。
スペイン選手権にもいくつかクラスがあるが、トップクラス以外(日本でいえば国際B級とか)は従来通りのスタートをする。そしてトップクラス(日本でいえばIAS。IAもこの中に入るかもしれない)のスタートは遅め。全日本中国大会と、この点ではそっくりだ。
でもこれだけじゃない。下見は前日のうちに終わらせてもらって、セクションに到着したらすぐに走っていただく。下見しちゃいけないシステムだそうな。で、1回走ったら、同じところをもう一度走る。日本風に言うと、連続トライということだ。そうやって、15セクションを1ラップ、2回ずつ走って、結果表には15セクションの2ラップとして表示される。
さらにコースのいたるところ(だいたい5セクションごと)にタイムコントロールがあって、試合の流れがコントロールされている。第1セクションで1時間身動きせずにじっとしているなんて、このルールでは不可能だ。
スペインの選手は、オーガナイズへの不満をよく口に出す。昔(確か2002年のことだった)、スペイン協会の姿勢が気に入らないといって、スペイン勢のほとんど全員がスペイン選手権をボイコット、ライセンス停止の処分を受けたことがあったけど、先日のインドア世界選手権開幕戦でも、こんなルールではボイコットだという声が出ていたという。そんなうるさいスペイン勢でも、このルールにはとりあえず従順に参加している。彼らの問題意識は伝統がどうのこうのではなく、ルールとして公平にできるのか、技術の高い者が不利をこうむるようなことがないのか、という、そのへんについて意見することが多いようだ。
というわけで、まずはスペイン選手権がいったいどんなことになるのかが注目。このスペイン選手権には、藤波貴久も出場する。世界選手権とはルールがまるでちがうから、練習という意味ではちょっと首をかしげるところもあるが、セクションにはいれば条件は同じだからと肩慣らしに出場することになっているという。機会があったら、ルールについても感想を聞いてみたいと思っている。