毎日新聞の四十雀
毎日新聞愛知版10月18日
先月開催された四十雀トライアルが、毎日新聞(愛知版)を飾った。なんと、堂々ほぼ1ページ独占。
トライアンフと格闘しながら参加したついでの取材のニシマキ写真に比べて、新聞社の筋金入りカメラマンの写真はすてき。トライ写真も、一息ついてる写真も、すてきです。
この毎日新聞記事は、郡上トライアルクラブの小酒井さんから送っていただきました。こんなふうに、どかんとトライアルが掲載されることがあって、全国の皆さんに見せびらかしたいと思ったら、みなさんもぜひご報告ください。
<Posted in 09.11.02 18:16(
10.03.05 12:38 Modified)>
どうなるかXispa
Xispaの2010年モデル
スペインの新興メーカーXispa(チスパ)。その動きにはいろいろと興味深いものがあるが、このほど、2010年モデルを発表したというニュースが届いた。と同時に、XispaとShercoの間での訴訟問題などもあって、国内での販売については、まだ不透明部分も多い。
2010年モデルが発表されたのを機に、Xispaと現在のトライアルメーカーの位置関係を、簡単に整理しておきたい。
Xispaは、もともと子ども用の電気バイクなどをつくっていたメーカーで、このマシンとともに本格的トライアルシーンに参入した。
ところが登場したマシンは、誰が見てもShercoにそっくり。外観が似ているのと構造設計的に模倣があるのとは必ずしも一致しないが、Shercoはこれについて訴訟を起こしたようだ。
裁判はしばらく時間を要し、この間にXispaは日本ではアルプスヴァンが実験輸入を開始した(正規販売代理店とはなっていないとのこと。販売台数の問題もあって、MFJの公認申請もしておらず、現状ではNA、NBの公認大会には参加できない)。トップレベルの性能を徹底的なコスト削減でつくりあげたマシンは、価格的に大きな魅力だった。
しかしその後、裁判が結審した。裁判はフランスでのものだそうだが、これでXispaは敗訴した。事実はどうあれ、判決がXispaはShercoの模倣であると認めたわけだ。Xispaはこのマシンを売っていくためには、Shercoに対して損害賠償なり意匠使用料なりを支払う必要が生じた。
これでXispaの将来は閉ざされたかと思いきや、2010年モデルが登場した。Xispaには、Shercoへの支払いをおこなってもなお生産販売を続けていく力があったということかもしれない。
以上がXispaとShercoの関係だが、これが全世界的に見ると、話はもっと複雑になる。この判決の少し舞え、ShercoはScorpaの権利を買った。ScorpaはShercoのブランドとなって生き残ることになったのだが、前記、日本のアルプスヴァンをはじめ、Xispaを販売している代理店は、全世界的にScorpaの正規代理店というケースが多々あった。Scorpaの行く末が見えなくなったタイミングで、ScorpaのインポーターはXispaに食指をのばしたということらしい。
ところが今度は、ShercoとScorpaが同じ会社のブランドとなって、さらにXispaはその会社から訴えられる立場となった。全世界的に、Xispaの代理店は扱いを見直さざるを得ないのが実情だ。
今、世界的にはShercoとScorpaが同じ会社となった。Scorpaの経営が危うくなったときには、GasGasが出資するという話もあって、事実、SY250F用のWR250Fエンジンは、GasGasが引き取った。しかし裁判では、GasGasによる再建計画を不十分と判断されて、GasGasとScorpaの資本縁組はなくなった。
一方、日本では、GasGasの輸入元である亜路欧と、Shercoの輸入元であるカシックが一体化した。どちらも輸入元は亜路欧となったわけだが、こうなってくると、ブランド存続で落ち着いたScopraはどこが扱うことになるかなど、まだ現在のところは明らかになっていないことも多い。
来週には、イタリアでミラノショーが開催される。この会場で、トライアル界の世界的再編の青写真が示されるという情報もあるが、さて、現実のところはどうなるのか。今持っているマシンのパーツ供給の心配をされている方も、ぜひご注目あれ。
<Posted in 09.10.31 10:53(
10.03.05 12:38 Modified)>
黒山パーフェクトチャンピオン
黒山健一が、2009年全日本選手権最終戦で勝利、同時に2009年全日本チャンピオンを決定した。チャンピオン争いのライバル小川友幸は3位。両者の間には、最終的に20ポイントの差が残った。
2位は野崎史高。SUGOで2勝を挙げている野崎だが、序盤こそ黒山をリードしたものの、中盤以降、追い上げが聞かず、逆に点差を離されての2位となった。
国際A級は野本佳章が2連勝。しかしポイントリーダーの藤巻耕太もしっかり2位に入ってタイトルを決定した。
国際B級は山本直樹がシリーズ全勝優勝で前回決定したチャンピオンに花を添えた。
エキシビション125は、中部の磯谷玲と関東の大上和輝の2名が参加。若者による125ccでの切磋琢磨は、まだ全国的ムーブメントにはなっていないが、歩みは遅いながら、一歩ずつ進化していると思いたい。
ずらり並んだIASのマインダーたち。左からそれぞれ、
黒山、柴田、斎藤、渋谷、小川毅士、田中、小川友幸、
西元、尾西、野崎選手のマインダーさん
黒山健一は、今シーズン幾度も見せつけられた圧勝ぶりで、最終戦も見事な勝利を飾ってタイトル獲得に色を添えた。
しかし今回の黒山は、圧勝の中でも圧勝。数値的に見ても、黒山の4点に対し、2位の野崎は21点。その差、5倍にもなる圧倒ぶりだ。走りを見ていても、落ち着き払ったライディングといい、他を圧倒していたといっていい。
結果表を見れば、黒山の他には野崎が、全セクションをクリーンした実績を持っている(1ラップめに唯一5点となった第7セクションは3ラップ目にクリーンした)。しかしその余裕はといえば、数値以上に大きな差が見てとれた。
黒山の減点は、1ラップ目に2点、2ラップ目3ラップ目はそれぞれ1点。1ラップ目の2点は、わずかに焦ってしまって足を出してしまっての第6セクションでの2点。長くてドロドロ、どこで足が出てもおかしくないセクションだったから、失敗して2点というのはそれだけで黒山の調子のよさを現しているともいえた。
この第6セクションまでは、黒山と野崎がふたりだけすべてクリーンしてきていた。ここで野崎がクリーンして、トップは野崎、2点差で黒山が追う展開となったのだが、それもつかの間、次の第7セクションで野崎が絶壁を登りそこねて黒山がクリーン。これで1ラップ目の流れは黒山のものとなった。ここではまだ3点差だったけれど、戦いぶりを見ると、この3点差は限りなく大きな点差に思えた。黒山はほんの少し注意深く第6を走ればクリーンができそうだし、野崎が第7をクリーンできるかどうか、さらにいえば5点にならないかどうかは、2ラップ目を走ってみなければわからない……。
過去、黒山がこんな風に強そうに試合を進めたことは何度もある。そのまま勝利することもあったし、しかし途中からペースを崩して勝ちそこねることもあった。黒山といえど、完璧にミスを殺すことはできないし、そんなミスが出たときに、精神状態などを含めて、自分のペースを元に戻すのは並大抵のことではないようだ。
ところが今年は、そんなそぶりをまったく見せない黒山だった。開幕戦で小川に勝利を譲り、第2戦九州ではマシントラブルで薄氷の勝利だったが、第3戦近畿大会が中止になり、世界選手権もてぎへ出場して好結果をあげてから、黒山の走りが変わった。
「もてぎを走ってから、前半の調子悪さが吹っ切れた」
と黒山は振り返る。結果、ぎりぎりの勝利だった第2戦以降、最終戦まで負け知らずとなったが、特に最終戦の圧勝ぶりは見事だった。
最終戦の黒山は、10位に入って6ポイント獲得すれば、タイトルを獲得できる。黒山が全日本で10位に入ったことなどないから、多少調子が悪くてもふつうに走っていればそこまで順位が落ちることもないから、黒山にはタイトル獲得についての不安はなにもないということになる。しかし最終戦に向けての黒山は、どうしても勝ちたいという思いで臨んでいた。
「シリーズの1戦は、万が一負けると次の戦いまで悔しい思いをしなければいけない。でもそれが最終戦だと、シーズンオフの間、ずっと悔しい思いをしていなければいけない。シーズンオフを気分よく過ごすために、最終戦は絶対に勝ちたいと思った」
黒山は、最終戦SUGOで野崎に負けたことが2回ある。そこで負けても、タイトルは黒山のものとなり、失うものはほとんどなかったはずだが、しかしそこで、最終戦で負けることを充分に学習した黒山だった。
黒山を追撃すべきは、SUGOではやはり野崎。SUGOでの野崎は、やはりするどい走りが光っている。第5や第6など、みんなが5点をとり始めた難セクションも、持ち前のていねいな走りでクリーンをたたき出していった。しかし今回は、1ラップ目に唯一5点となった第6セクションが鬼門となった。結局ここは、3ラップ中2回まで5点となった。2ラップ目は、ほとんどクリーンで登りきったのだが、わずかに登る勢いが足りなかった。ダニエルで修正したところが、そこにはすでに足場がなく、一気に下まで叩き付けられてしまった。これで野崎は打撲傷も負ってしまって、痛みと戦いながら残るセクションを戦うことになってしまった。
さらに野崎にはトラブルも襲った。といっても野崎本人ではなく、マインダーのマシンにだった。マインダーのマシンが不調に陥っても、野崎のトライには影響がないかに思えるが、しかしマインダーがいなければ、トライはできない。マインダー号をなおしたり、不調で迅速に動けなくなったマインダーを待ったりして、持ち時間がなくなるという不運もあった。しかもこんな中、2ラップ目の第1セクションで5点となって、追撃も万事休すとなった。
しかしそれでも、野崎が黒山に次ぐ2位をキープするには充分だった。3位以下は野崎を追撃するどころではなく、誰が3位になるかで熾烈な戦いとなっていた。
序盤は、第1セクションで1点となった以降クリーンを続けた渋谷勲が好調だった。小川友幸は1点3点1点と、なかなかクリーンが出せないまま試合を進めている。前々回中国大会の前日に指を致命的に痛めてしまって、以後苦しい戦いを強いられている小川だが、この滑り出しの悪さは、必ずしも指の故障とは関係がないのではないかということだ。やはりトライアルにはメンタル面の影響が大きい。ここでなんとかもう1勝をという気負いが、あるいは逆の結果を導いていたのかもしれなかった。
「むしろ、ウォーミングアップでは乗れていて、それで期待してしまったところもあった」
と小川もちぐはぐな試合を振り返る。黒山が3回ともクリーンし、野崎が2回5点となった第6セクションでは、小川はクリーン3点5点と走るほどに調子を落としていった。ここは小川にすれば、絶対的な自信があるセクションだったという。それだけに、なんでこういうことになったか、シーズンオフにはじっくり対策を練りたいという。
小川友幸に4点差で表彰台を逃したのが渋谷勲。
「表彰台というか、もっと上を狙っていたので、4位という成績ではうれしくもなんともないです」
スコアを見れば、第5セクション以降の難セクション群で減点を増やしている。しかし本人はどのセクションもいける確証のあるセクションばかりで、ようやく少し納得いく走りができたのが、3ラップ目だった。
「マシンが300ccとなっていいセッティングも出てきた。もっといいところを狙っていたのに残念。ぼくはトライアルをしていたいから、来年走れるようだったらこのへんを課題としたい」
という渋谷だった。
このトップ4に置いていかれてしまった小川毅士は、この渋谷にさらに16点もの点差をつけられた。2ラップ目は10点だったからまずまずではあったが、3ラップ目にまた減点を増やして、表彰台争いからも遠い結果となった。
「いつもの課題ではあるが、実力をちゃんと発揮できずに結果を悪くしているというところが問題。真壁でいいところに行けたその流れで今年を戦いたかったが、いい流れで戦えなかったのは残念」
6位は田中善弘。2ストロークベータに乗ってから、国際A級デビュー時代の元気を取り戻して、さらに円熟したライディングを見せてくれている。
7位は尾西和博。尾西も、もっと上位が目指せていいライダーの一人。上位勢の壁は厚いし、若いライダーはどんどんあがってくるし、中堅クラスもうかうかしてはいらさない。
8位は今シーズン最上位。西元良太。9位柴田暁とはわずか1点差での8位だった。ポイントをもらえる最後の順位である10位は斎藤晶夫。ノーポイントの11位に三谷英明が入った。11人参加だと、毎回ひとりだけがノーポイントとなるのが、お気の毒(IASに限って、出場台数に関わらず10位にまでポイントが与えられる)。
■国際A級
優勝の野本佳章
野本佳章が2連勝。抜群にうまいのに、自ら崩れてしまって勝利を逃すことが多かった野本だが、これでいよいよ強さも本物になってきたか。
野本はIAクラスに昇格した緒戦で6位に入ってさっそく才能を知らしめたが、その後は思うように入賞ならず、しかし昨年は第2戦九州大会で初勝利をあげた。ところがその次の大会ではポイントすら獲得できないという浮き沈みの激しい戦いぶり。それがまた、野本のペースとして定着してしまう危惧すらあった。
今年も、5位4位とはじまったが、北海道で2位となると、中部大会で2勝目、さらに最終戦で3勝目。今シーズンは、ここまで毎回勝利者が異なっていて、2勝を挙げたのは野本ただ一人ということになる。
野本は、中部大会での勝利で、一躍チャンピオン争いのチャレンジャーに名乗りを上げていたが、最終的には5点差でランキング2位となった。野本は来シーズンの国際A級スーパークラス入りを決めている。国際B級もまたランキング2位で卒業した野本だが、本人はチャンピオンを逃した悔しさはあまり感じていないようで、それよりより高いステップに挑戦することの方が楽しみな様子だ。
チャンピオンを決めた藤巻耕太
その野本と同郷、群馬県の藤巻耕太は、2回続けて2位。今シーズンは優勝1回、2位3回で見事チャンピオンとなった。
B級デビューウィンを果たしたものの、けがで全戦を戦うことができずタイトルを獲得できないままA級昇格。2年目の挑戦でタイトルを獲得した。
チャンピオンとして、2勝目がぜひほしかったところだが、聞けば先週はインフルエンザで自宅隔離にあっていたという。練習不足でこの結果だから、まずまずの最終戦だった。藤巻の場合、タイトル争い的にはもっとも接戦で、この戦いで4位以内に入らなければタイトルを逃す可能性もあった。実際、その仮想敵である野本が優勝したので、5位に沈んでいたら土壇場での逆転劇を演出してしまうところだった。5位にはちょうど5点差。優勝とも5位とも5点差という、厳しい戦いの中で得たチャンピオンだった。藤巻も、来シーズンは国際A級スーパークラスに昇格する。
年間ランキング上位3人
3位は来シーズンも国際A級での戦いを宣言したベテラン本多元治。そして4位には、若い滝口輝が入った。滝口はIA昇格が藤巻と同期。2年目の今年に、少しずつ本領を発揮し始めて、この最終戦では1ラップ目にトップという結果を残した。5位に小野貴史がはいり、小野はこれでシリーズランキング3位を獲得した。北海道での勝利、中国大会での3位と好調だった頃は、チャンピオンの可能性もあったのだが、中部で8位となったところで勢いも失速してしまったのが残念。8位には、青森の高橋由が入っている。高橋はIA初入賞だ。
■国際B級
中部大会でチャンピオンを決めていた山本直樹が、最終戦も勝利して有終の美を飾った。
とはいえ、けっして楽な勝利ではなく、2ラップ目までは今日は優勝は危ないという感じの戦い方だった。1ラップ目7位、2ラップ目6位、この時点で山本の減点は12点。1ラップ目のトップは紺野賢司の3点で、2ラップ目までのトップは藤原竜の7点だった。
とはいっても、勝負は1点2点を争う展開。2ラップ目の時点でトップに5点差。6位といっても、上位5人に対して5点以上点差を縮められれば、あるいは勝利のチャンスもある山本だった。
「クリーンできているのに、簡単なところでぽろぽろ足が出ている」
と、父親で往年のトップライダーである山本弘行さんは唇をかむ。調子が悪いときは、排気音を聞いているだけでわかるんだそうだが、そういう指摘をすると当のライダーが機嫌を壊すから、黙っているのだという。
本人に調子を聞くと「悪いです」とだけ答える。若いライダーから感想を聞くのは、とてもむずかしい。
さて3ラップ目、山本はなんとオールクリーンで帰ってきた。
「オールクリーンができたので、もしかしたら勝てたかなとは思ったけど、自信はなかったです」
という山本だが、しっかり勝利して、全勝優勝でチャンピオンという偉業を達成した。
■エキジビション125
左は磯谷玲、右が大上和輝
エキジビション125クラスは2名の参加を得て、いつもの倍の盛り上がり。結果は磯谷が大神を5点引き離して勝利したが、結果を国際B級クラスにあてはめると、ふたりともまだまだポイント圏には遠い。国内A級ライダーだからそれでいいという見方もあるが、若手は一気にベテラン勢を突き抜けて、先のステップへ進んでほしい。
さて、来年のE125クラスは、どんな才能が現れるだろうか?
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自然山モバイル速報
<Posted in 09.10.27 23:00(
11.01.12 19:04 Modified)>
黒山健一、またまた勝利
全日本選手権第6戦中部大会は、10月11日に愛知県岡崎市キョウセイドライバーランドで開催された。
通常の12セクション2ラップを終えたあと、3セクションのスペシャルセクション(IASのみ)を催すなど、大会主催の意欲が強い中部地区。告知や動員も順調で、公式発表2400人のお客さんでにぎわった。
国際A級スーパークラスは黒山健一があぶなげない勝利。2位には指の不調をひきずる小川友幸。3位には復調傾向の渋谷勲が入った。
国際A級は野本佳章が自身2勝目。タイトル争いでリードする藤巻耕太は2位となった。3位は岡村将敏。
国際B級は山本直樹が順当勝ち。しかし試合終盤までは松岡一樹がトップを守っていて、薄氷の勝利だった。山本はこれでデビュー以来5連勝。
■国際A級スーパークラス
12セクションを2ラップ、そして国際A級スーパークラスのみ、その後に3セクションのスペシャルセクションをおこなうという中部大会ならではの取り組み。スペシャルセクションは、見た目にダイナミックな設定が特徴で、しかしここで逆転劇が起きることもある。まずは12セクション2ラップの、通常の競技が選手たちの最初の腕の見せどころとなる。
第1セクション、第2セクションと、どちらかというと細かいテクニックが必要な設定。野崎史高が第1で1点をつけば、黒山健一は第2で1点。渋谷勲はその両方で1点と、序盤は混戦模様が予想された。
こんな中、小川友幸とルーキー柴田暁は黒山とともに第1をクリーンした数少ないライダーだったが、第2で柴田は3点、小川は5点をとってしまった。第2セクションまでの時点では、黒山と野崎が1点、渋谷が2点、柴田が3点と小川友幸が5点で上位5人を占めていた。いつもとはちょっと並び順がちがう。
小川友幸は、前回中国大会の練習中に痛めている指に致命的なダメージをうけ、そればかりか、これまでも苦しいシーズンを送っていたことが明らかになった。中部大会、東北大会は大事をとって欠場する可能性も否定しなかった小川だが、テーピングを施してこの大会に参加。もちろん支障はあるが、トライには影響のない状態で大会に臨めたという。それでも、第2、第4で5点となるなど、やはり小川本来の走りとはなにかがちがうようだった。
一方、これでもかというほどに調子に乗れないのが小川毅士。調子は悪くなく、応援団もかけつけているというのに、スコアカードには5点と3点と1点が並び、9セクションを追えてクリーンがゼロ。ルーキーの柴田にこの時点では11点差と大差をつけられていた。
野崎史高も、また波に乗れない。第2セクションでは、ただ一人クリーンをたたき出して気を吐いたが、次の第3で5点をとると、2点5点と減点し始めて、黒山を楽にさせてしまった。
こんな中で、さすがに黒山は横綱相撲を見せる。しかし序盤は、本人にいわせれば集中ができていなくて、クリーンをしながらもいやな戦いだったと言う。1ラップ目の終盤あたりからはいきなり本来の走りができるようになって気分よいトライが戻ってきたという。ただし見ている限りは、前半から圧倒的強さを見せつけていた。傍から見える圧勝ぶりにもっていくために、黒山には黒山の苦労があるということなのだろう。
2ラップ目に入って、黒山の強さはますますきわだった。12セクションをたったの2点。2ラップあわせて10点は、2位小川友幸の1ラップの減点よりも少ない。完全なワンサイドゲームだった。黒山の12セクションでの5点は一つだけ。ヒルクライムの第9セクションで、スピードをのせられずにあがりきれなかったものだ。「完全にミス。2ラップ目にクリーンをしたので、まぁよしとします」とその失敗を認めている。試合結果に影響がなかったから、一つ二つの失敗は起こりうると余裕だ。
黒山のスペシャルセクションは、ひとつ5点があった。テープの外に飛び出して、本人も苦笑いの5点だった。実はひとつめのスペシャルセクションを終えたところで、黒山と小川友幸の点差は17点に広がっていた。残り二つを連続5点としたところで、黒山の勝利は確定している。どこかに、そんな安心感があったのかもしれない。「でも、恥ずかしかったですね」と、黒山は振り返った。
苦戦の2位、小川友幸
小川友幸は、序盤はともかく、最後は思うように動かない腕との戦いだった。痛めているのは指だが、その指をかばって動くから、腕が全体的に疲労してくる。「腕をつったりするのは今までにもあったが、いうことをきかないというのは初めての経験だった」と苦しい戦いを振り返る。2ラップ目後半から苦しくなり、スペシャルセクションのひとつめは、その最たる状況で迎えたのだという。
チャンピオンシップでの黒山とのポイント差は15点。黒山が10位でポイントを獲得すれば、小川が勝利してもタイトルは黒山へ渡る。ほぼ事実上、タイトル争いは決着したといっていい。
その小川友幸に、前回4ポイント差まで詰め寄ったのが野崎だった。しかし今回の野崎は4位。それも、5位の小川毅士と減点7点差まで迫られての4位だった。「キョウセイは苦手ですね。なにが苦手なのかわからないけど、結果を見ても、どうも苦手です」と、今回の野崎は、舞台を早く最終戦SUGOに移したいかの様子。SUGOは、野崎がこれまでに2度勝利した“特異な”会場だ。
小川友幸と野崎の選手権ポイント差は再び7点となった。7点という点差は、開幕戦で小川友幸が勝利し、野崎が4位になったときのポイント差そのまま。以後の4戦は、このふたりは完全にシーソーゲームをしているということになる。
連続3位、渋谷勲
小川友幸と野崎の間に割って入ったのが、渋谷勲だった。第6セクションまでは黒山に1点差で好調を維持していたから、あるいは勝利争いをする期待もあったのだが、ヒルクライムセクションで連続5点となってやや失速。小川友幸に2位の座を奪われてしまった。
それでも渋谷は「練習通りの走りができているし、マシンも自分にあったものができあがっている。いつも同じ顔ぶれを勝たせるのじゃなく、ぼくらがもっとがんばらないとね」と確実に感触をつかんでいる。
5位に入った小川毅士は、今回はさんざんだった。2ラップを終えた時点では、柴田暁と同点(手元の集計では、5点負けていると伝えられていたらしい)。柴田はチームメイトではあるが、ここで負けては具合が悪い。それで奮起したのがスペシャルセクションだった。この3セクションをクリーンしたのは、小川毅士、ひとりだけだった。時間ギリギリでみんながトライするスペシャルセクションでは、小川毅士は3分のタイムオーバーをもらってしまったが、それでも柴田を逆転するには充分な活躍だった。
毅士に負けはしたが、今回の柴田は見事だった。渋谷が登れなかったヒルクライムの第7セクションを登りきり、2ラップめにはクリーンすらした。トップライダーが足をついたり5点になっているところを抜けているというパターンは、今回の柴谷は珍しくなかった。
結局スペシャルセクションの派手な設定の前に6位となったが、IAS最年少のこのライダーは、もっとのびてくる可能性ありだ。
7位に尾西和博、8位に今回は(地元なのに)いつもの走破力を発揮できなかった田中善弘、9位に斎藤晶夫(勉強しすぎらしい)、10位に猛烈な早まわりだった三谷英明、11位に西元良太となった。
表彰台、左から優勝黒山、2位小川、3位渋谷
IASでは、10位までポイントが獲得。次回黒山は、5点とればタイトル確定。5点とは11位相当のポイントだが、11位ではポイントが与えられないから、完走しただけではタイトルはとれず、10位以上に入る必要があるということになる。もちろん黒山本人は、そんな低いレベルの目標については、まったく計算していないにちがいない。
■国際A級
国際A級優勝の野本佳章
いつも神経戦の国際A級。今回も優勝は2ラップを通じてたったの6点だった。勝ったのは野本佳章。1点が4つと2点が一つというパーフェクトな勝利だった。
野本は、どちらかというと、難セクションを独特のラインで駆け抜けていくというパターンが印象的だ。今回のセクションは、点数的には野本向きとはいえないのだが、それでも「ダイナミックでもあり、トライアルらしいむずかしいところもちゃんとあり、いいセクションでした」というとおり、結果的には、野本が楽しんで走れる設定になっていたようだ。
「本人はまったくそう思っていないんですけど、2ラップ目や3ラップ目になると、セクションをなめてしまうみたいな感じがあって、それで失敗することが多いんです。だから毎回新しいセクションに挑むような新鮮な気持ちで走れるようにすればいいんです」。そういう点では、2ラップという試合形態は、野本向きなのかもしれない。「今日は最初から、というかきのうのうちから勝ちを意識していました」と自信もあったようだ。これで2勝目。「ちょっと少ないですね」と3勝目に向けて思いを新たにする。
国際A級表彰台。左から優勝の野本、2位藤巻、3位岡村
ランキングトップの藤巻耕太は今回は2位。順調にポイントを積み上げていて、最終戦SUGOで4位に入ればライバルの動向に関わらずタイトルを決定する。ただ、第2戦で勝利して以降、4位5位2位と勝利に逃げられているのがくやしいところだ。
優勝、そして2位と、前回まで藤巻を猛追していた小野貴史は、今回は8位と低迷してしまった。これで小野のタイトル獲得は絶望的に。かわって、ランキング3位には1戦を欠場し、今回も発熱と戦いながら走りきった小森文彦がランキング3位に浮上している。
若手の滝口輝が久々に11位で、九州の西和陽も九州以来、ベテラン村田慎示は開幕戦以来、そして藤原慎也は自身初のポイントを獲得している。
■国際B級
国際B級優勝の山本直樹
開幕戦から負け知らず。山本直樹はまたしても勝利した。
とはいえ、楽な試合ではなかった。1ラップ目に3点3つとほんの少し減点が多かった山本は、2位で試合を折り返した。いつものペースなら、2ラップ目に確実に減点を減らして勝利を呼び込むのだが、第2、第4と5点となってしまって万事休す。チームミタニのチームメイト、関東の松岡一樹にリードをとられたまま、試合は終盤戦を迎えた。
ここで松岡が痛恨のミス。第9で5点となってしまったのだった。山本はここをクリーン。これで試合はひっくり返り、たった2点差ではあるが、山本の勝利が決まった。
国際B級の表彰台。左から山本、2位松岡、3位佐藤
それにしても、山本の落ち着きは目を瞠るものがある。途中でひっかかり、セクションの持ち時間が残り少なくなる中、マインダーのお父さん(山本弘之さん、かつてのトップライダー)が焦りを殺して10秒9秒と指示を出しても、ゆっくり確実にマシンを引き出し、残りコンマ何秒でセクションアウトしていく。「見ているこっちがあわててしまう。もっとあせろと言いたくなる」とお父さんもぼやき節。
山本と松岡、ふたりの若手ライダーは、しかしその乗り方のスタイルはまったくちがう。今風のライディングの松岡に対し、山本はクラシックなスタイルだ。お父さんの弘之選手は当時とすれば新しいタイプのライディングをしたもので、しかも山本は自転車トライアル出身なのだが、ライダーのスタイルの誕生は、なかなか秘密めいている。
3位は関東の佐藤優樹が初表彰台となった。前回初出場で3位となった宮本竜馬は(山本に輪をかけてクラシックなスタイルで走る)今回は9位となった。
■エキシビジョン125
E125磯谷玲
13歳、磯谷玲が中国大会に続いて2回目の出場。前回は国際B級22位相当で、あとひとふんばりで国際B級のポイント獲得ができるところまできていた。今回は地元での大会とあって期待されたが、結果は54位相当とだいぶ落っこちてしまった(ちなみに、中国の大ベテラン河野選手にクリーン差で負け、唯一の女性ライダー長谷山選手に4点差で勝っている)。
まだまだ将来が楽しみな選手だから、今のうちに国際B級にもまれてほしいところ。
それにつけても、このクラスへの参加者がいつまでたってもたったひとりであること、それに対してのサポートがほとんど見られないことなど、日本の将来はどうなってしまうのだと、このクラスを見るといつも思います。よいコンセプトなんだから、しっかり育ててください。お願いします。
<Posted in 09.10.13 13:04(
10.03.05 12:38 Modified)>
トリッカーでトライアル
東京のトライアル拠点YSP京葉から、ヤマハトリッカーをベースとしたコンプリートのマシンが登場した。
改造はいたってシンプルだが、トライアル歴の長いYSP京葉のノウハウがたっぷり注ぎ込まれていて、トライアルマシンとしてのポテンシャルもなかなか高い。もちろん、純然たるトライアルマシンとの差はいろいろな点で明らかだが、それにもましてトリッカー改の商品的魅力は小さくない。
なんといっても、このマシンは入手が簡単で、ベースマシンのトリッカーは厳しい規制にもパスした日本製モーターサイクルだからだ。
ホイール改造など、交換パーツ代は安価ではないが、それでもヨーロッパ製トライアルマシンの価格よりは安価におさまっているのも魅力だ。
この、トリッカーSPは、ヤマハの個性派オフロードマシンであるトリッカーに、前後ホイールを交換してトライアルタイヤを履いて武装したものだ。
トリッカーとセローは、エンジンや車体まわりに共通部品が多い兄弟車種。セローにはもともと21インチ/18インチの、トライアルタイヤがはいるホイールがついているから、セローならそのままトライアルが楽しめるのではないかと思いがちだが、あえてトリッカーがベースマシンとして選ばれたのは、理由がある。
同じように見えるセローとトリッカーのフレームだが、実は両者では、フロントフォークのつきかたがちがう。キャスターやトレールなど、トライアルに重要なこれらのアライメントが、トリッカーのほうが、より適切な値となっているのだ。
印象としては、またがってハンドルを左右に操作してみると、このトライアル向きのアライメントがなんとなく察することができると思う。トリッカーは、ハンドルから先の前の部分がとても軽い感じ。トライアルでは、チョッパーのような(極端なたとえだが)遠隔操作のハンドリングは不向き。このハンドリングがほしいがために、ベースマシンにトリッカーが選ばれているのだった。その他にも、セローとトリッカーでは、装着されているパーツが異なっていて、トリッカーの方がより軽快感が強い。加えて、スイングアームの長さもちがう。トライアルに使うなら、どちらが適しているかは、一目瞭然だ。
ということで、この秋、YSP京葉の大月信和さんが、宮城県スポーツランドSUGOの深山トライアルにトリッカーSPで参加した。深山トライアルは、本来トライアルマシン限定の大会なのだが、主催の藤原氏曰く「(ヤマハ契約ライダーのボス的存在の)大月さんとの力関係で」参加を認めたものだという。大月さんは、もちろんYSP京葉の代表者だが、誰あろう、今は昔、TY125(ツインショックの)をデビューさせたヤマハ契約ライダーの大御所でもある。モトクロス、トライアル、そしてスノーモビルで大活躍した経歴は、伊達ではない(トライアル以外は、すべてのクラスでチャンピオンを獲得しているという。トライアル以外で、というのは残念だった)。
さすがに大月さんのライディングにより、トリッカーSPはよく走った。しかし同時に、その位置づけも明らかになってきている。まず重たい。こつこつと軽量化することは可能ではあるが、それでもカタログスペックで125kgという堂々たるウェイトである。70kgをめぐる1kg2kgのところで勝負するトライアルマシンとは、少し次元がちがう。
まっすぐ走っているときにはなんら問題がなくても、少し傾くと支えられない。好調にセクションを回り始めた大月さんも、少しずつ減点を重ねていって、やはりトライアルマシンとの方向性の差は明らかというところだ。
ただ、トリッカーにはトリッカーの長所がある。まずは、1年中いつでも、新車のマシンが入手できるということだ。トライアルマシンは、春頃にどっと日本にはいってきて、その後の追加はケースバイケースで、ほしいマシンが即座に手に入らないことも多い。中には、あちらの会社の事情もあって、何ヶ月も待たなければいけないこともある。その点トリッカーは日本製のマシンだから、すんなり手に入る。
しかもトリッカーは、もともと日本の道を自由自在に走り回ることを目的に作られたマシンだから、トライアルマシンのように、シートがなかったりヘッドライトが暗かったりといった不便さがない。通勤にも通学にも、ツーリングにだって使えるポテンシャルを持っている。そのうえ、トライアルだってできるという位置づけだ。
昔々のトライアルマシンは、トリッカーほどではないが、どれも厚手のシートとある程度大きなタンクを持っていて、山の中の長距離移動ができるようになっていた。そんなマシンをベースに、より性能を求めたいライダーは、シートを削ったりタンクを小さくしたり、いろんな改造をしてポテンシャルアップに努めたものだった。最近のトライアルマシンは、輸入された状態で非のない状態のパーフェクトな性能を持っているが、逆に性能アップを図るという楽しみはいささか少ない。このトリッカーは、購入後の、そんな楽しみも与えられているようだ。
YSP京葉では、2009年11月いっぱいは、自賠責や登録代までを含んだ「乗り出し価格」で60万円ぽっきりというセールをやっている。トリッカーに前後フルサイズのタイヤを履かせるプロジェクトは、このところいろいろのショップで手がけているが、多くの人にトライアル的なオフロード走行の楽しさを味わってもらいたいというYSP京葉の取り組み。トライアルに興味はあれど、専用のトライアルマシンを用意するのに踏み切れない人は、ぜひこちらにご注目あれ。
●YSP京葉WEBサイト
●YSP京葉オリジナルコンプリート・トリッカーSP
| YSP京葉 オリジナルスペシャルトリッカー250 |
| 車両メーカー希望小売価格 | 457,800円 |
| ◎前後ホイール組み換え(部品代) | 108,628円 |
| ◎ホイール組み換え作業工賃 | 42,000円 |
| ◎登録諸費用 | 18,900円 |
| *東京都23区以外の登録は別途 |
| ◎納車準備費用 | 23,100円 |
| ◎G防犯登録 | 1,050円 |
| ◎自賠責保険(1年間) | 8,620円 |
| ◎重量税 | 6,300円 |
| ◎ナンバー代 | 520円 |
| 合計金額 | 666,918円 |
| 値引き | -42,000円 |
| 総合計金額 | 624,918円 |
<Posted in 09.10.08 16:26(
10.03.05 12:38 Modified)>
四十雀にも世代交替?
毎年高齢もとい、毎年恒例の「全日本」四十雀トライアルミーティングは、9月27日岐阜県郡上の鷲が岳スキー場で開催された。
今回の(今回も)最高齢は堀内浩太郎さんで82歳。しかし堀内さんは、腰痛のため大事を取って今回は見物のみ。70歳以上のライダーをさして呼ばれる神様の中でも格上の神様の欠場で、若い神様たちに勝利のチャンスがめぐってきた。
結果、減点3、ハンディ7(堀内さんよりもまだ7歳も若い)の伊藤静男さん(75歳)が、人生ではじめて四十雀トライアル優勝の栄誉に輝いた。
四十雀トライアルでは、最高齢のライダーのハンディをゼロとして、年齢が一つ若くなるごとにハンディを1点ずつ与えていく。セクションは、どこを通ってもいい共通ライン。国の宝であるお年寄りをけがさせてはいけないから、セクションは極力危険がないように配慮されて作られている(もちろん、それでも転倒はあるし、痛い思いをしてリタイヤされる方もいらっしゃる。不慮の事故はどんなことをしても起こりうるが、配慮がなければもっとあぶない)。
このセクションに物足りない若者(といっても50代とか60代とか)ライダーは、セクションの中を右往左往して自分なりのラインを見つけていく。失敗して減点を重ねれば成績は悪くなるが、もともと50代ならなにもしなくても30点からのハンディかついてくる。オールクリーンをしたところで勝てやしないのだった。
今、四十雀には大きく分けて3つの人種がいらっしゃる。まず70代以上の大御所たち。彼らこそが27回の四十雀を脈々と続けてきた原動力。そんな彼らは、しかし全日本選手権で活躍したとか、地方選手権で名だたるライダーだったという肩書きはほとんどない。第1回から欠かさず参加している蓮池光志さん(66歳)は、第1回大会のときにはちょうど40歳だった。その時分、40歳でトライアルをやっているライダーは、完全におっさんライダーだった。四十雀という名は、創設者でコピーライターの長尾藤三さんのセンスあふれるネーミングだが「40から」トライアルを始めた平民ライダーのミーティングという大事な隠しテーマも含まれている。
しかし中には、若い当時はばりばりにトライアルに励んでいた人もいらっしゃる。これが第2の人種。彼らも、時間が流れれば歳を取る。4回の全日本チャンピオン、近藤博志さん(61歳)やチームミタニの尊師、三谷正次さん(61歳)をはじめ、昔取った杵柄とともにやってくる人もいる。今でも現役ライダーとしてオートバイにはよく乗っている三谷さんはTLR200Rでちょっと自己ハンディを課し、肘の具合がいまいちよろしくない近藤さんは(去年は、一度も転んでいないのに四十雀のあとしばらく、腕を吊って暮らしていたそうだ)、最新型ばりばりのモンテッサ・コタに乗る。現役当時の戦い方走りっぷりと、歳を取ってからのそれは、人それぞれいろいろなのである。
今回主催の実行部隊となった郡上トライアルクラブの面々も、昔とった杵柄の人たちばっかりだ。小酒井紀夫さん(54歳)はTY250Jワークスマシン(どこから手に入れたんだろう)を走らせ、久しぶりに中部選手権を走ってNBチャンピオンとなった志津野勉さん(55歳)ははじめて買ったマシンだというバイアルスでのエントリー。ものもちがいいというか、この日のためにせっせとマシンを整備してきたにちがいない。
全日本チャンピオンといえば、初代全日本チャンピオンは木村治男さん(55歳)。今のところ、全日本チャンピオンで四十雀に出場したのは、近藤さんと木村さんのふたりだけである。しかし木村さんの場合、ただ出場するだけではない、いろんなミッションを携えて四十雀にやってくる。
ひとつが、御大堀内さんをお連れすることだ。堀内さんはボートが専門だが、ヤマハ発動機の重役さんだった。現役のヤマハマンである木村さんにとっては、まさに神様のような存在なのだ。
もうひとつ、今年の木村さんが担った大仕事は、四十雀の新入りをリクルートすることだった。不肖ニシマキは今年52歳にもなってしまったが、しかし長いこと四十雀の最年少だった。トライアル界全般の問題にも似て、ここでもまた、新人の出現が少ないのだ。今回は、ヤマハモータースポーツのバスにTY-S125Fをぽこぽこと積み込み、40代ライダーを大量動員させてくれた。
こういう層が、四十雀第三の人種になる。最近トライアルを始めたはいいけれど、世のトライアル大会はどこもむずかしい。そんなニューカマー(といってもみんな40代以上だけど)にとって、四十雀の雰囲気とセクション設定は、これ以上ない舞台となっている。
さらに四十雀には「うぐいす」という女性部門がある。うぐいすは四十雀クラスとちがって年齢ハンディがない。女性はみな20歳でまちがいないというのが、長尾さんのすてきな思い込みだった。こちらのクラスにも、木村さんは若い20歳ライダーをふたり投入してきた。
そしてもうひとつ、十姉妹クラスというのがあるジュウシマツだから、14歳以下限定。今回は宮地健太くん(14歳)がお父さんの由夫さん(49歳)とともに参加。健太くんはこれを最後に、あと26年間、四十雀には出られない。いつでもどこでも、女性は優遇されているのである。
まだまだ、紹介すれば枚挙にいとまがない濃ゆいじいさまたちが大集合。このじいさまたちの熱戦を一目見ておくのは、いかにあなたが若造であっても、きっとよい冥土の土産になるにちがいない。来年の四十雀の開催地は未定だが、ぜひ一度四十雀にやってくるべし、なのである。
堀内浩太郎さん
そんなこんなで、堀内さんが泣く泣く見学組に回ったことで、伊藤静男さんの初優勝が決まった。伊藤さんの減点はハンディ込みで10点だから、ハンディのない堀内さんが走っていれば、やはり手強い相手だったのだ。
日頃伊藤さんはじめ、70歳代の入門間近の神様たちはぼやいていたものだ。「おれたち若造はいくらがんばっても、堀内さんがいる限り、勝ち目がない」。70代は、まだまだ若造だったのだ。
そんな若造が、日の目を見る日がやってきた。これでいよいよ、神様の代替わりかと思いきや、どうもそういうわけではないらしい。
聞けば堀内さん、オートバイの「全日本」大会の前に、ボートの「世界大会」に出場の予定があった。こちらはかつてオリンピックで活躍したような選手がずらりと並ぶ強力なマスターレース。東京オリンピックではボートの監督の務めた堀内さんのこと、こちらも簡単に勝利するのかと思いきや、なんとアメリカには手強い80歳がいるんだそうだ。そしてその80歳に勝つべくトレーニングに励んだ堀内さんは、ちょっとやりすぎてしまって腰痛を患ってしまったのだった。
「自分で走らないで、外から眺めていたら、また別の楽しみが発見できた。来年、体調を整えて戻ってきます」
とは堀内大神様の玉音。若造たちは、まだまだ年老いているわけにはいかないみたいなのだ。
<Posted in 09.09.29 11:36(
10.03.05 12:38 Modified)>
最後の多摩テック
9月26日、東京都内にあつて貴重な存在だったモータースポーツランド、多摩テックでの最後の届トライアルフェスティバルが開催された。
これまで、藤波貴久が来訪してデモやスクールなどをおこなってきたが、今回は小川友幸、本多元治、小林直樹の3人によるパフォーマンスが披露された。
多摩テックは、閉園が決まって以来、連日たくさんのお客さんで賑わっているという。多摩地区で育ったお父さんお母さんの多くが、多摩テックで遊んだ思い出を持っているにちがいない。当日も、各アトラクションではそうとうの待ち時間を覚悟してほしい旨の案内がされていた。
そんな中、今年のトライアル・フェスティバルはこれまでの2年間とは趣向を少し変えて、多摩テック園内を巡業してのデモ走行というイベントとなった。これまではトライアルスクールやトークショーなどもあり、どちらかというとトライアルファンがふだん会えない生の藤波貴久に出会うチャンスとして企画されていた印象があるが、今回は閉園を惜しむトライアルファンのみならず、一般来場者にもその華麗なライディングを見てもらえるかっこうのデモンストレーション・イベントとなった。
今回、閉園特需をうけてお客さんの殺到が予想されることから、イベントの告知はぎりぎりまで見送られたものの、ほんの数日前に発表されたイベント告知を聞きつけてやってきたトライアルファンは、それでも100人を超えた。もちろん園内のデモンストレーションは遊園地に来場した誰もが楽しめたので、今までにもまして多くのお客さんがトライアルの魅力に接することとなった。
多摩テックは、開設が1961年。今でこそ子どもたちの遊ぶ立派な遊園地だが、解説当時はモータースポーツ文化の起点としての位置づけがされていて、アトラクションの乗り物も実車のモンキーを改造したものなどが用意されていた。モータリゼーションの黎明期の日本で、エンジンつきの乗り物の楽しさを一般に知らしめようという壮大なポリシーを持っていたのが、多摩テックだ。
その後モトクロスの開催などを経て、徐々にレジャーパークとしての色合いを強めていって、今年9月30日の閉園を迎えることになった。その間、1982年にはエディ・ルジャーンが来日してのスタジアムトライアルも開催、東京近郊の希有な存在のトライアルパークとしても、トライアルファンの間には大事な拠点として愛されてきた。
多摩テックトライアルパークは、実は自然山通信杉谷真が創設整備のお手伝いをさせていただいた。杉谷は当時、新進気鋭の国際B級ライダーで、前年のジュニア(今の国内A級)チャンピオンだった。岩を配置して、実際に走ってみてバークを作っていったのも、今は昔のお話だ。当時はモーターレクリエーション本部といったホンダのモータースポーツ普及課からいただいたお仕事で、その縁で、杉谷は日本初のスタジアムトライアルのセクションの試走役にもなった。お客さんが誰もいない設営時のことだから、その走りを見た人はほんの一握りだが、本番では名だたる国際A級ライダーがみなそろってたいへんな思いをしたのだから、杉谷はそれに輪をかけてそうとうに悲惨な状態だった。
今回のトライアル・フェスティバルの4日後、多摩テックは48年の歴史に幕を下ろす。この広大な土地がこれからどう利用されるのかはまだ決まっていない。また同時に、東京地区のトライアルライダーに愛されてきたトライアルパークの今後についても、まだ決まっていない。ライダーからはなんらかの形での存続を求める署名活動などがされたが、もちろんこちらのほうも今後は未定となっている。
○写真提供:二輪車新聞・福原廣昌さん
<Posted in 09.09.29 10:06(
10.03.05 12:38 Modified)>
テレビ東京に藤波
テレビ東京の「世界を変える百人の日本人!」に、藤波貴久が登場する。
放送日は9月25日金曜日。午後7時から午後9時までの放送だが、藤波が登場するのは午後7時頃だという。放送時間は約10分少々ということだ。
藤波のタイトルは「絶壁バイクで爆走男」となっている。お見逃しなく。
<Posted in 09.09.23 16:55(
10.03.05 12:38 Modified)>
モータースポーツ切手発行
郵便局東海支社は18日から、「モータースポーツ都市」宣言をしている鈴鹿市をPRするオリジナルフレーム切手「MOTOR SPORTS CITY SUZUKA」を、市内など地域限定で発売する。1シート(80円切手10枚)1200円で、2000シート発行予定。
ごらんの通り、トライアルも仲間に入っている。
シートの台紙は、今年4月に新装なった鈴鹿サーキットの航空写真。各モータースポーツシーンは、鈴鹿モータースポーツ市民の会(神谷誠二郎会長)が、鈴鹿市内でレースマシンを製作する会社や、鈴鹿を拠点として活動する著名チームなどから画像を提供してもらって監修したものという。
発売は、鈴鹿市や亀山市、津市(旧久居市・香良洲町・一志町・白山町・美杉村区域は除く)の郵便局となっている。
この切手の発行に伴い、9月16日には鈴鹿市役所で郵便局株式会社東海支社長武富靖直氏から鈴鹿市長川岸光男氏へ、贈呈式がおこなわれた。
切手の発行は9月18日より。
*さて、切手になったライダーは、誰でしょう?
<Posted in 09.09.18 15:05(
10.03.05 12:38 Modified)>
全日本の環境保護活動
全日本選手権第5戦中国大会は、猛暑の9月6日に無事開催された。
この際、自然環境保護を訴える植樹セレモニーが催されていた。MFJトライアル委員長西英樹氏よりのご報告。今回植樹したのは、地元ならではのオリーブの木だという。もともとは、以前は斜面だったエリアを駐車場として拡張したので、山林に対してそのお礼の意を表すための植樹活動という。原瀧山トライアルパークでは、今回だけでなく、今後いろいろな木を植えて、潤いのあるトライアル会場にしていきたいということだ。
●西トライアル委員長よりのご報告
9月6日岡山県原瀧山TRパークで開催された全日本トライアル第5戦で、オリーブの樹を会場に植え、自然と共存するトライアル競技ならではの環境保護活動を行った。
これは駐車場を拡張したことに伴うもの。今後、順次いろいろな樹木を植える予定。
植樹式には(写真左から)遠藤MFJ中国会長、西トライアル委員長、小谷選手会長、原滝山TRパークを代表して前原喜一氏、高野MFJ会長が出席した。
<Posted in 09.09.10 09:06(
10.03.05 12:38 Modified)>
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