消えかける命は隣人が救う
ひょんな出会いがあって「ライダー救急法」ってのの講習会にいってきました。けっこうすごい講習会だった。一度講習を受けただけでは人に教えるようほどの技術を身につけたとはいえないけど、講習中、キーワードとなるようなことばがいくつかあった。ライダーに限らず、人間として知っておいたほうがいいと思うんで、ぜひみんなにも知ってもらいたいと思います。
トライアル場で、あるいはおうちで、知っている人、知らない人、だれかが生死をさまよう事態になったとき、はたして見ているだけでいいのでしょうか、という問題提起です。

倒れている人がいた場合の処置の実演
救命レスキューの講習会はよくあるけど(MFJでは、競技役員を中心に、この講習を受けるように呼びかけている。MFJ主導で開催される講習会では、受講料の支援などもあるようだ)、この講習会は、そういうのとはちょっとちがうとのことだった。講師は埼玉医科大学病院救急部の根本学助教授と国士舘大学スポーツ医科学科田中秀治教授。さらに消防庁の救急隊のみなさんがインストラクターでやってくるという、とってもぜいたくな講習会だった。こんな体制は、救命ドクターや救命士に対するおこなうのが一般的で、まだまだ、一般市民を相手に講習できるほど、この世界も普及していないようだ。
今、日本では外因死(事故などのケガが原因の死亡)は死亡原因ランキング5位で、30歳以下に絞ると第1位らしい。しかし病院には心臓外科や脳外科などの専門医はいるけど、外傷の専門はない。これがまず現実の一つ目。

首を保護しつつ、人工呼吸と
心臓マッサージを一人でやっているところ
次に、2001年の調査では、外傷が原因で死亡した人のうち4割の人は、適切な救命処置をされていたら、助かっていたという。これは、アメリカでは1970年の数値で、この数字に危機感を覚えたアメリカでは、80年代後半にはその数値を半減させたという。日本は2001年以前はデータすらないというあんばいで、減っている兆しはない。
では事故は減らせるかというと、事故はある意味確率的なもので、人がクルマやバイクを走らせれば、2600万kmに1回は死亡事故が起きるという統計があるらしい(ちなみに3km走るうちに何らかの判断を必要とすることが40件ほどあって、1件は判断をまちがえるらしい。絶対クリーンできるセクションも、40回やると1回くらいは足をついたりするのは、こういうことだったのかもしれない)。
そして、こうして亡くなっていく人を助けるにはどうすべきだったか。外傷事故が起きた場合、傷を負ってから1時間が生死を分ける境目で、さらに最初の10分にどんな処置をするかが、なにより重要とのこと。そして大事なのは、この10分間、ケガをした友人のそばにいるのは、遊び仲間のぼくらであり、外科医や救急隊ではないってことだ。
ここから先は、あまり中途半端な形でお伝えしないほうがいいと思うのだが、道具もない、知識もない状態では、完璧な処置はしようがない。しかし、ひとつでもふたつでも、自分にできることをすることで、命が救われるかもしれない。命を落とさないまでも、その後の後遺症が変わってくるかもしれない。そのことを、みんなにまず知ってほしいと、根本先生はおっしゃる。

これも首を保護しつつ、
安全なところまで移動している図
患者を発見したら、まず確認するのは、意識と意識と呼吸と循環。どれかひとつがなかったら、その人は重症も重症だ。意識があっても安心してはいけない。救急車が到着したときには、意識がなくなっている患者もいる。意識があるうちに、聞けることは聞いておけ。最後に食事をとったのがいつだったのかも、その後の処置に大きなちがいがあるから、聞いておくように。大きなエネルギーを受けたと思われる人に対しては、首の保護を重視しなさい等々。
続いて講習は、ミネソタ大学の頚椎保護セミナーに移った。ひとりしかいなくて、人工呼吸と心臓蘇生を一度にやらなきゃいけなくて、なおかつ首も保護したい場合、従来の心肺蘇生法ではなす術がないらしい。その他、うつぶせの人を“首を保護しながら”仰向けにする方法など、みんなでせっせと学習して、講習を終えたのだった。
この講習を受けて、ではあした道端で生死をさまよう人を見つけたら、すぐに処置ができるかというと、正直、ぜんぜん自信がない。なんでもそうだけど、こういうのは、知識も大切だけど、次には訓練がなにより必要なんじゃないか。隣人を助けるための、それが第一歩だし、なんたって、ぼくも隣人に助けてほしいから。トライアルだって、例外じゃない。
*講師の根本先生は、腕利きの救命医だけど、同時にというかそれ以上にというか、ライダーである。根本先生を中心とするオートバイクラブVOCAZIONESは救命に携わるライダーが集まって活動している。
<Posted in 05.01.27 19:23(
10.03.05 12:35 Modified)>
川越リバーサイド物語
埼玉県のほぼ真ん中、上尾市のはずれに、平方ってところがある。ここに10年ほど前から、小さなトライアルパークがある。地主さんにお願いして、年にいくばかの会費をおさめて、近郊の仲間うちに愛されてきたパークだ。
ここに、この年末、ちょっとしたできごとがあった。地主さんの跡取りがやってきて、パークの閉鎖を含めて、これまでの利用形態を見直したいという提案をされた。小さな小さなパークだし、いつかはこういう日がくるのを覚悟していたトライアル仲間ではあったが、みんなの憩いの場でもあったし、願わくば存続させたい。地主の新井さんと、トライアル仲間との話し合いが始まった。
このパークは荒川の河川敷にある。新井さんによると、河川敷でも、トライアル場は雑地という区分になるらしくて、税金も相続税も宅地並なんだそうだ。これまでの、気持ち程度の利用者負担では、とてもまかないきれない。トライアル仲間の求めに応じて、新井さんが算出したのは、会員が50人ほどだった場合で、ひとり1ヶ月3000円だった。
一同びっくり。これは払えないなぁということになった。これでパークは閉鎖の道をたどると、みんな思った。トライアル仲間の方にも、いまひとつみんなで連絡をとりあうだけの団結体制もできていなかった。
でも、やっぱりさびしい。トライアルパークは真壁も白井もあるけれど、さいたま市から20分ほどの地の利はかえがたいし、ここでしか会わない友人も多い。それに……。
このあたり、駐車場を借りたって1ヶ月3000円じゃどうにもならない。もちろん小さくたってパークの敷地は、駐車場の比ではなく広い。スポーツジムに通っても、こんな金額じゃおさまらない。それにここに集まるトライアル仲間は、スポーツジムに熱心に通うのは、ちょっと似合わない。払っただけで有効利用してないジムの会員権なんてのもある。月3000円は、ほんとに高いのか……。

新井さんの手により整備が続くパーク
トライアル仲間が月3000円をどう評価したか、たぶんひとりひとり、その価値観はちがうのだろうけれど、みんな、お金を払ってこの小さなトライアルパークを存続させる気になりはじめた。いっぽう、新井さんのほうにも、ちょっと心境の変化があった。閉鎖しちゃおうかとも思ったけど、閉鎖しても、これといって利用するあてのない場所でもある。「どうせやるなら、ちゃんとしたトライアルパークに成長させたいじゃないか」と、新井さんは思った。
まず、敷地の一部分を雑地であるトライアルパークから農地に戻す作業をおこないながら、新井さんはセクション作りもやってみた。家業は土木業だから、重機を使っての造成はお手のものなのだ。でも、どんなものを作ったらいいのかは、みんなに聞きながらでないと、手も足も出ない。新井さんにすれば、ちょっとくやしい。じゃ、おれもやってみるか、と考えた。

新井さんが、はじめてトライアルをした日。
キルスイッチがOFFになっているのに気がつかず
足が痛くなるまでキックをしました。
「おれ用の、トライアルバイクを見つけてきてくれないかな」
ある日新井さんは、パークに集うトライアル仲間にお願いした。ほどなくして、新井さんのもとに、TLM260Rがやってきた。新井敬一さん45歳。トライアルパークの地主として、2005年初春に、トライアル仲間となった。
小さなトライアルパークの地主である新井さんの夢は大きい。設備の整ったスポーツジムとは勝負にはならないけれど、あるいはスポーツジムと同じように、運動不足の現代人たちが、ちょっと汗を流せるような、そんな場所にしたいという。そうそう、新井さんは、いつの間にか、パークの地主の跡取りから、パークのオーナーにして管理人になっていた。世話人と呼べる人はこれまでにもいたけれど、管理人たる職務の人ができたのは、このパークの歴史上、はじめてのことだ。
年末からお正月にかけて、新井さんにはお休みはなかった。正確には、仕事を休んでトライアルパークの仕事にかかりっきりだった。土地を整備し、ゴミを片づけながら、やって来る人にトライアルパークの変身を説明し、メンバーになることをお願いし続けた。メンバーの名簿でもあれば話は早いのだろうが、連絡先のわからない人が多かったから、現地で待っているしか、接触のチャンスがない。

この方が
オーナーの新井さん。
よろしくね。
同時に新井さんは、ホームページの開設の準備をしたり、パークの名前にも一工夫しようと思っている。一工夫といっても、なに、あるべきものをあるべきようにしようというだけだ。冒頭でも書いたけど、このパークは通称「平方」と呼ばれている。でも、ここは上尾市平方じゃなくて、川越市だった。なぜかメンバーには、上尾や大宮の人は多いけれど、川越の人はほとんどいないという。だからパークの名前を「川越リバーサイドトライアルパーク」にして、川越の人にももっと来てもらおうと思っている。川越に、トライアル愛好者はどれだけいるのか。いなかったら、どんどん誘って、仲間を増やそうと、新井さんは考えている。
もしかしたら、この小さなトライアルパークは、これから日本のトライアルが動きだす、その出発点になるのかもしれない。「トライアル場はただで走れるもの」という過去の認識も変わっていくべきだけど、それ以上に、新井さんの今後が、ちょっと楽しみである。
川越リバーサイドトライアルパークの場所はこのあたり
マップファンサイトの地図にリンク
東経139度32分31.2/北緯35度55分46.6(Tokyo)
連絡はパーク管理人(新井敬一さん)まで。電話:080-1981-4324
<Posted in 05.01.07 01:05(
07.09.28 15:55 Modified)>
MFJの表彰式
12月25日、東京永田町で、MFJランキング認定表彰式がおこなわれた。
全日本選手権シリーズなどのランキング上位獲得者を表彰するこの認定表彰式。すべてのカテゴリーの選手が一堂に会する、年に一度の珍しい場面でもある。
記念写真は特別賞を含んで、表彰を受けた全員とMFJ鈴木会長の全員集合。最前列はキッズモトクロスの面々(見ればわかるか)だけど、トライアルのみなさんがどこにいるのかおわかりでしょうか? ちょっと写真が見にくいかもしれないけど、探してみてください。
表彰を受けたのは全日本IASクラス上位3名、黒山健一(欠席)、小川友幸、田中太一。IAクラス上位3名、田中善弘、白神孝之(欠席)、尾西和博。IBクラス上位3名、川村義仁、野本佳章、本田洋晴。世界選手権(アウトドア)チャンピオン、インドア世界選手権ランキング2位、藤波貴久(欠席)。トライアル・デ・ナシオン(女性部門)2位、萩原真理子(欠席)、西村亜弥、高橋摩耶。トライアル・デ・ナシオン(男性部門)3位、藤波貴久、黒山健一(欠席)、小川友幸、田中太一。
トライアルの選手は9名が並んでいることになります。各表彰のプレゼンテーターには、西英樹さん(トライアル委員長)と伊藤敦志さん(3回の全日本チャンピオン)が担当された。
またプレス賞として、藤田秀二さんより世界チャンピオンとなった藤波貴久にパネルが贈呈された。さらに今年は、プレス賞にも特別賞が設けられ、デ・ナシオン・女性部門で2位を獲得した日本チームの3名の女性ライダーにやはりパネルが贈呈された。
藤波はすでにスペインに戻っていて今回は欠席だったが、会場には藤波のあいさつがビデオ映像として流れ、多くの関係者に2004年の報告と来シーズンへの抱負を語ってくれた。
会場にはモトクロスV9記録保持者、東福寺保雄さん、モトクロス125世界チャンピオン、渡辺明さん、82年全日本チャンピオンにしていまだ現役で走り続ける水谷勝さんら、往年の名選手や、年初めにパリダカールで事故に遭って療養中の風間深志さんも姿を見せた。
午後2時から始まってお開きが5時。今年は藤波をはじめ選手も大活躍だったし、中越地震の際の救援に埼玉県トライアル部会の面々が駆けつけたこともあって、会場にトライアルのことがアナウンスされることも多かった。いつもお話するチャンスがない別のジャンルの人たちと情報交換をしていると、あっという間に時間がすぎてしまった。土曜の晩にしてクリスマスだったけど、こういう夜も、悪くない。
<Posted in 04.12.25 23:01(
09.03.20 18:41 Modified)>
藤波のシーズンオフ
世界チャンピオンを獲得した藤波貴久は、このシーズンオフ、日本でライディング以外のトライアル活動に忙しかった。
最も大きなエポックは、文部科学大臣からスポーツ功労賞顕彰をいただいたことだ。これが12月10日、文部科学省には藤波のチャンピオンマシンRTL250Rが運び込まれ、大臣応接室にもトライアルマシンが登場した。その後このマシンは、しばし文部科学省の正面玄関に展示されるという、トライアルと日本の官庁との、大きな融合が果たされた。
これに先立って、藤波は自由民主党本部も表敬訪問。スポーツ功労賞についても尽力いただいたモータースポーツ振興議連のメンバーの方へのご挨拶。政治の中心地で、モータースポーツやトライアルとは縁遠い環境の中、もともとモータースポーツが大好きな議連の方々と、藤波もしばしトライアル談義を楽しんでいた。
その他、2月に放送というNHKの「トップランナー」出演のためのロケもあったし、東南アジア向けというコマーシャルの撮影もおこなった模様。さらにツインリンクもてぎでの「HRCファン感謝デー」への参加、そしてジャーナリストの試乗イベントに飛び入り参加して、MotoGPマシンであるRC211Vのライディングも経験した。
ロードサーキットを走る藤浪貴久はなかなかの走りだったようで、ロードレースに転向かというような冗談も出そうな勢い。日本では新型マシンの開発も、根を詰めた練習のスケジュールも入っていなかった藤波だったが、つかの間の日本滞在を終えてスペインに帰国すると、2005年シーズン用のスペシャルマシンの開発に大忙しの模様だ。
藤波が2005年に乗るのは、もちろん4ストロークのRTL250Fとなるが、2ストローク時代と同様、藤波に合わせての徹底的なチューニング、セッティングが行われている。シーズンの幕開けは1月8日、イギリスはシェフィールドでのインドア世界選手権第1戦となる。ただし藤波によれば、藤波スペシャルのワークスマシンは、アウトドアの開幕戦に合わせて調整をおこなっているので、インドア選手権は、市販車ベースのマシンで参加することが多くなりそうだという。インドアではスペアマシンが必須(規則で決められている)なこととスケジュール的な問題で、数多くのマシンが必要。開発中のワークスマシンは、まだそこまで数がそろわないからだ。
いずれにしても、あと半月後には、4ストロークに乗った藤波ら、モンテッサチームの面々の活躍の報告が届くはず。
ではみなさん、よいお年を。
<Posted in 04.12.23 13:34(
06.12.25 00:08 Modified)>
藤波貴久、スポーツ功労賞
チャンピオンマシンを囲んで
トライアルについて語り合う
中山大臣(右)と藤波、MFJ鈴木会長(左)
藤波貴久が、ついにスポーツ功労者顕彰を受賞した。12月10日、文部科学省9階の大臣応接室にて、ちょっと緊張気味の藤波だったが、大臣の質問にもてきぱきと応対して、走るばかりではない成長を見せていた(本人はこういうのは苦手中の苦手というが、なかなかどうして堂に入ったものだった)。
応接室には藤波のチャンピオンマシンも運び込まれ、大臣もあらかじめトライアルについて研究をしてきた模様で、受賞のあとの懇談も話が弾んだ。
翌日にはヨーロッパに向けて出発するという藤波だが、さすがに世界チャンピオンともあると、休む間なくスケジュールが組まれ、日本滞在もあっという間に過ぎ去ってしまった。この間に、テレビの収録もコマーシャルの収録もしたという藤波(コマーシャルのほうは、残念ながら日本向けではないようだ)、来年も、この顕彰をもらえるよう、いよいよ2005年に向けてのスタートだ。
ところでスポーツ功労者顕彰といえば、過去には加藤大治郎が受賞している。去年鈴鹿で亡くなった250ccクラスのチャンピオンにして藤波の大親友だったその人だ。
MFJが文部科学省の管轄団体なって数年となるが、大ちゃん(ニシマキは加藤選手とはほとんど接触はないんだけど、藤波からその名を聞いていると、故加藤選手と表記するよりやっぱり大ちゃんと呼びたい)は最初にスポーツ功労者顕彰をいただいたMFJのライダーだった。今年、イタリア大会の日曜日で藤波は序盤の失敗から見事に立ち直って優勝したが、その日は大ちゃんの誕生日。地球の裏側では玉田選手も優勝した。今シーズンの藤波を見ていると、大ちゃんは藤波をちゃんと見守ってくれているという気がする。
そうそう、話は戻って、文部科学省の正面玄関には、今、藤波のチャンピオンマシンが展示されている。丸の内の、しかも文部科学省の入り口だから、そのインパクトも大きい。もしこれをご覧の方の中に、丸の内界隈にお勤めの方がいらしたら、展示が終わるまでに、一度眺めてみてください。チャンピオンマシンはこれからも見るチャンスはあるだろうけど、文部科学省の玄関においてあるトライアルマシンを見るチャンスは、そんなに多くないはずだから。
<Posted in 04.12.11 00:05(
09.03.20 18:36 Modified)>
野崎史高、初優勝!
全日本トライアル選手権第8戦東北大会
10月24日(日)/宮城県・スポーツランドSUGO
1ラップ目をオールクリーン!
初優勝した野崎史高
全日本選手権も最終戦。ここ数年、最終戦は宮城県スポーツランドSUGOが定例となっている。今年も、全日本の終幕は、同じくSUGOでの開催となった。IAS、IBはそれぞれ黒山健一と川村義仁のタイトルが決まっているが、それぞれが有終の美を飾れるのか、またタイトル争いが決着していないIAクラスの結末はいかに。秋の趣きの濃い、気持ちのいい好天のもと、最終戦のトライが始まった。
IASクラス、この日、最初からクリーンを連発してライバルに脅威を与えたのは、世界選手権帰りの野崎史高だった。野崎は前戦中部大会と最終戦のみの参戦。ランキングの下位に位置するので、スタート順はトップになる。通常はこのスタート順は大きなハンディとなるのだが、野崎はほとんどのセクションをライバルに先がけてトライ、クリーンを見せつけるという試合運びを見せる。
黒山は野崎らのクリーンの後、テープ切断による5点で大きなハンディを負っての追撃となった。その後も、1mほどの助走からのオーバーハングの岩登りの第3セクションで、黒山、渋谷勲、小川友幸がことごとく5点。ここでも先頭を切ってトライし、そして唯一クリーンしたのが、野崎だった。
野崎は1ラップめのすべてのセクションをクリーン。この時点で、2位の田中太一が9点、小川が10点、黒山と渋谷が11点。野崎だけが、異次元の好調ぶりを発揮していた。
これまでの野崎なら、2ラップめ以降にペースを乱して自ら勝利を逃すパターンが多かったのだが、この日はそれもない。最初の勝負所となった第3セクションでは2ラップめ3ラップめに5点となったが、その失敗を引きずることなく、3ラップトータルの減点は11点。クリーン27(全30セクション)という、圧倒的な勝利で、自信の初優勝をものにした。
黒山は、失敗をしてもきっちり追い上げるいつもの試合運びを忠実に再現したが、しかし野崎には7点差で追いつけず。この日のセクション設定では、7点差は大差ともいえた。世界選手権参戦3年目を迎える野崎は、自分の成長を日本のファンの前に、遺憾なく披露して、2004年シーズンを終了した。
小川、田中、渋谷のあいだで繰り広げられていたランキングの2位争いは、それでも小川が逃げ切りに成功。3点差で田中、渋谷が4位に落ち着いた。ゼッケン1から4番までは、来シーズンも今年と同じ顔ぶれが並ぶことになる。
IAクラスは、チャンピオン候補最右翼の白神孝之が大失速の7位。九州大会を欠席した田中善弘が優勝したため、ランキングもひっくり返って、田中がチャンピオン獲得となった。終盤のどんでん返しだった。
優勝の田中と、2位の尾西和博が一桁減点。3位の村田慎示が3ラップ通じて10点。IAもまた、かなりの神経戦となったようだが、勝利をしたのは「今日は楽しく走れました」とあっけらかんと笑う田中だった。
IBクラスは川村義仁が6勝目。圧倒的に強かった、IBチャンピオンだった。今回も終盤にきちんと追い上げて勝利を得た。
IA昇格の八つの指定席を手中にしたのは川村、野本佳章、本田洋晴、粕谷直樹、粕谷弘樹、西村尚己、佐々木一晃、伊藤賢。このうち6名が関東勢で、5名が十代のライダー。IB一年目のルーキーがふたりと、若いライダーの台頭が目立った2004年のIBクラスだった。
●自然山速報は携帯電話(i-mode等)でもご覧いただけます。
http://shizenyama.com/i
●リザルト詳細はMFJサイトへ http://mfj.or.jp/
トライアル全日本選手権第8戦東北大会(最終戦)結果(10月24日)
1位 野崎史高 11点
2位 黒山健一 18点(C25)
3位 田中太一 18点(C22)
4位 渋谷 勲 25点
5位 小川友幸 26点
6位 井内 将太郎 47点
<Posted in 04.10.25 14:59(
10.03.05 12:35 Modified)>
黒山健一、全日本五連覇
全日本トライアル選手権第7戦中部大会
10月10日(日)/坂内バイクランド
黒山健一は最終戦の前に
タイトルを決定した
今回の注目は、全日本に今年初出場となる野崎史高。序盤の負傷があったものの、最終的にはランキング12位を得た野崎は、世界戦のスケジュールを終了し、全日本2戦に出場する(世界チャンピオン藤波貴久は、世界戦のスケジュールは終わっているが、来シーズン用のニューマシンのテストなどヨーロッパでの仕事が多いうえ、スペインをベースとする藤波のマシンは日本には1台もなく、全日本で勝利する体制が整わないということで、今シーズンの全日本は不参加となっている)。もうひとつの注目は、黒山健一のタイトルの行方だ。第7戦が終了した時点で、ランキング2位の小川とのポイント差は25点。小川が今大会で黒山とのポイント差を5点以上縮められなければ、黒山のタイトルが決定する。
台風が日本を襲い、同じ日に開催された鈴鹿のF1は土曜日の予選が中止になる異常事態。しかしトライアルは、どこ吹く風でスケジュール通りに日程が進行する。坂内の会場はパドックが河川敷であり、トライアルのセクションは天候の影響を受けやすいので、台風との戦いは関係者には大きな試練だったが、トライアルのたくましさの一環ともいえる。
良好な天候に恵まれた日曜日、小川は今シーズン一番のパフォーマンスを発揮した。1ラップめの第8での5点は痛かったが、今回はこれで崩れることなく、後半の難セクションもスムーズに消化した。さらに2ラップめには、難セクション群の11〜15をたった1点で通過した。2ラップめの減点は3点。この日のベストスコアだ。
しかし黒山も、今シーズン最も好調なトライを続けていた。2ラップめの終盤は減点を増やすも、黒山の場合は1ラップめにベストスコアの3点をたたき出している。本人も「全日本ではかつてないほどの好調。世界選手権のペースで走れた」と自己評価している。
好不調の波はあれど、黒山が調子を落としたときには小川も調子を落とし、小川が調子がいいときには黒山も調子がいいという巡り合わせで、結局黒山は今シーズン6勝をあげた。小川とのポイント差は3点増えて28点。これで黒山は、最終戦に無得点(今のIASの状況では、完走すればポイントがつく)でもチャンピオンということになった。
野崎は1ラップめに小川をしのぐ好減点をたたき出したが、小川の2ラップめの追い上げに2位を譲ることになった。しかし世界のトップランカーとしての存在感はたっぷりだ。
渋谷勲は、田中太一に1点差で4位を得たが、初勝利目前といわれ続けているここ数戦の勢いは見られず、田中も第2戦での勝利以降、勢いを落としている感があるのは残念だ。
国際A級は白神孝之が今シーズン2勝目。シーズン3勝をあげている田中善弘にランキングポイントで8点差をつけた。白神は、最終戦で4位以内に入れば、チャンピオン決定となる。
国際B級は表彰台の常連でありながら勝利のなかった本田洋晴が待望の初勝利。川村義仁は今シーズン2敗目を喫したが、今回3位の野本佳章にランキングポイントで20点差を付け、こちらも最終戦を前にタイトルを決定した。
トライアル全日本選手権第7戦中部大会結果(10月10日)
1位 黒山健一 11点
2位 小川友幸 18点
3位 野崎史高 22点
4位 渋谷 勲 34点
5位 田中太一 42点
6位 小川毅士 56点
○全日本選手権シリーズポイントランキング
1-黒山 健一 137/2-小川 友幸 109/3-渋谷 勲 103/4-田中 太一 102/5 小川 毅士 70-/6- 成田 匠 68/7- 井内 将太郎 67/8- 佃 大輔 54/9- 三谷 英明 30/10- 野崎史高 15
全日本選手権第6戦中国大会は、初めての会場、鳥取県鹿野町のヒロスポーツランドでの開催となった。この会場は往年のトップライダー、山本弘之がこつこつと整備してきたトライアルパーク。彼の長年の努力が実って、鹿野町の強力なバックアップのもと、地元と密着した大会の開催となった。
IASのトップ争いはし烈。マシンが完全に自分仕様にならなかった田中太一が2ラップめに脱落をするが、黒山健一、小川友幸、渋谷勲の3人は、最後の最後まで、1点を争う三つ巴の争いとなった。わずかなミスが、そのまま順位を入れ替え、最後の最後まで、誰が勝つかわからない接戦。トライアルは、勝負の展開がギャラリーにわかりにくい宿命をもっているが、ライダーの減点が逐一伝わっていたら、地元の人を含む、詰めかけた1700人全員が、手に汗握りながら試合を見守ることになったにちがいない。
小川友幸
この日、トップは黒山、小川、黒山、渋谷と入れ替わり、最後に同点に並んだのが黒山健一。黒山は小川に同点クリーン差で勝利したが、さらにだめ押しに、黒山1点、小川2点、渋谷6点のタイムオーバーがあった。結局黒山と小川は、タイムオーバーの差である1点差で、勝負の決着がつくことになった。
しかし「今日は負けました」と黒山。1週間前に世界選手権最終戦を終えたばかりで、かつてない時差ぼけに悩んでいたという黒山は、試合中に集中力を欠き、あり得ない5点をとってしまうなどして、自らを苦戦に追い込んだ。なんとか勝てたのは「運がよかったから」だと告白する。
小川は「ここ一番に弱い……」と自己分析しながら、悔しがることしきり。レディースの高橋摩耶のサポートを含め、大挙してデ・ナシオンのために渡欧するチームのメンバーも、あと少しで勝利を逃したことに悔しさも募るばかりだった。
渋谷勲
「なかなかトップになれない。あと2戦しかないですね」と、全日本勝利が、悲願となり始めた渋谷。トップ4の中で勝利がないのは渋谷だけだから、後半戦の奮起が期待される。
国際A級は田中善弘がまたまた本領発揮。今シーズン3勝目。ランキングトップの白神孝之は序盤7位とまさかの低迷をしたが、最終的には4位まで盛り返した。チャンピオン争いは、今回3位の尾西和博と田中、白神の、三者ががっぷり四つに組んだ争いとなりそうだ。このほか、岡村将敏、本多元治、田中裕人の追撃も楽しく、見所の多いIAクラスである。
国際B級は、今シーズン4勝目、すでにチャンピオンも目前なのが川村義仁。前回北海道大会で初優勝した野本佳章はわずか1点差で2位に甘んじた。今回はふたりとも試合序盤には低迷したが、後半しっかり盛り返してくるあたり、試合運びも堂に入ってきた感がある。
全日本選手権第6戦中国大会結果
1 黒山 健一 32
2 小川 友幸 33
3 渋谷 勲 40
4 田中 太一 52
5 井内 将太郎 90
6 小川 毅士 93
7 成田 匠 108
8 三谷 英明 125(クリーン1)
9 佃 大輔 125(クリーン0)
渋谷勲
夏の北海道大会といえば、ここ数年すっかりおなじみになったわっさむサーキット。北海道というイメージよりはだいぶ暑いが、つかの間の夏休みを北海道大会観戦にあてるトライアルファンも少なくないようで、各地のトライアル場で見かける熱心なファンの姿をここでも見ることができた。観客自体は、まだまだ多いとはいえないが、それでも地元の人など、トライアルを初めて見るような新鮮なギャラリーもあって、ゆるやかではあるが、なにがしかの変化が起こっている気配はあった。
その北海道でのIASの勝負はし烈な神経戦だった。序盤こそ、トップライダーがかわるがわるに5点をとるというシーソーゲームだったが、1ラップめ中盤からは、一転してクリーン合戦。足をついたものが負けという感じの、とてつもない神経質なゲームとなった。小川友幸は今回はどうにもマシンとライダーとがうまく噛み合ず、4セクションまでトップだった後は減点を増やす一方。今回は勝利の権利から遠いポジションに甘んじてしまった。残るは、黒山健一、渋谷勲、田中太一の3人だ。
そんな中で、2ラップめにテープを切るという失敗をおかしてしまったのが黒山健一。1点を争う試合で5点減点だから、致命傷ともいえる失点だった。渋谷は1ラップめにクリーンしたところで1点ずつの減点を喫したが、1ラップめに5点だった第3セクションは見事にクリーンして、黒山を突き放しにかかる。さらに絶好調ぶりを見せたのが、太一だった。1ラップ3位から、2ラップめはすべてのセクションをクリーンして一気にトップへ。九州に続いて2勝目も夢じゃない戦況だった。強豪黒山は、3ラップに入ったばかりの第1セクションで2点を加え、いよいよ勝利は絶望的かに思われた。
ところが、勝負はやはりなにがあるかわからない。3ラップめ、トップにとってはほぼクリーンセクションの第2セクションで、太一がカードを飛ばして5点。第1セクションでも1点取っていた太一は、トップから黒山と同点2位に後退してしまった。
これでトップは渋谷。初優勝に向けて、一気に突き進みたい渋谷は「勝てると思った」とたんに、前のラップで黒山がやったのと同じ第5セクションでテープを切り万事休す。トップ3人がまったく同点になってしまった。
田中太一
これ以上、1点も減点することができない究極のがまん大会の中、こぼれを見せてしまったのが太一だった。といっても、激しく崩れるようなものではなく、誰かが落としていたに違いない不安定な石に乗ったとたんにそれが崩れ落ち、足をつかざるをえなかったという不運もあった。さすがにその1点の後、ちょんちょんと惜しい足付きをしてしまったが、負けたにしろ、黒山を追いつめ、最後まで勝利が視点にある戦いができたのは、大きな収穫だったにちがいない。
太一以上に収穫だったと思われるのが渋谷だ。第5セクションのテープは、さわれば切れるような状態で、ちょっと不運な5点だった。ところがこんな不運にも、渋谷はまったく崩れることなく、最終セクションまできっちりとクリーンをし続けた。今回は黒山と同点で破れることになったが、渋谷の成長を見せつけられた一戦になった。
国際A級では好調の白神孝之が3ラップめに崩れ、着実に点数をまとめていた尾西和博がA級初優勝。ダンロップの新製品D803をデビューウィンさせることに成功した。
国際B級は、川村義仁の5連勝ならず。昇格組の筆頭株、野本佳章が初優勝を飾った。
全日本選手権第5戦北海道大会結果
1 黒山健一 13点(クリーン26)
2 渋谷 勲 13点(クリーン25)
3 田中 太一 16点
4 小川 友幸 38点
5 小川 毅士 71点
6 井内 将太郎 95点
7 成田 匠 97点
8 佃 大輔 117点
全日本選手権第4戦近畿大会が兵庫県の猪名川サーキットで開催された。天候は快晴。3週間前にツインリンクもてぎで行われた世界選手権日本大会で負傷した肋骨の骨折が完治してない黒山健一。先週の世界選手権アメリカ大会は療養のために参加を見送り、今回の全日本選手権から復活した。折れた肋骨が肺に刺さり、肺に血がたまり手術をしたという黒山。痛みはまだひかず苦しい参戦状態だった。
1ラップ目、黒山はわずか2点の減点でトップに。そして小川友幸が9点で続く。もてぎでは4ストロークマシンで参戦した小川だが、全日本シリーズは2ストロークマシンに戻っての参戦だ。合計12セクションを持ち時間6時間で3ラップする。やや易しめの設定に見えるが、「それぞれに難しいポイントがあって、ちょっとでもミスをすると即5点につながるから、結果的には難しいセクションです」とIASの選手はみなそう表現している。
激痛に顔を歪める黒山は、2ラップ目に入ると集中力を欠きだした。大会後に語ったが「痛いどころではないんです。2ラップ目は気が遠くなってきましたよ。『深呼吸をしてはいけない』と医者に強く言われていたんです。くっつきはじめた骨がまた外れてしまうそうなんです」ということだ。黒山は2ラップ目の第3セクションで5点、続く第4セクションで2点と本来の黒山にはない失敗が続く。そこで小川が猛烈な勢いで黒山を追い上げた。小川は2ラップ目をずか3点で終了。2ラップ目が終わったところで、黒山と小川は12点の同点で並んだ。
3ラップ目も黒山のミスが続き、クリーンを連発する小川はついに黒山をかわし逆転。そのまま一気に優勝にかける。ところが、1ラップ目から続いたセクション渋滞の影響で、IASクラスのトップライダー達の残り時間は限られていた。本部前の第11、12セクションをトライする頃にはすでにゴール時間をオーバー。1分1点のタイムペナルティーが課せられる状況である。選手達は慌ててセクションに入って行く。
慌ただしいトライで、小川は第11セクションを失敗し5点に。さらに最終セクションで1点。そして3分のタイムオーバーでゴール。対する黒山は小川が失敗した第11セクションは1点、最終セクションをクリーン、1分のタイムオーバーでまとめ黒山の総減点が16点。小川が21点へ。ゴール目前にしてさらに逆転の結果になった。
素晴らしい走りを見せた
田中太一は4位
4ストローク125ccエンジン
話題の成田匠
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http://mfj.or.jp/
全日本選手権第4戦近畿大会結果
1 黒山健一 15点
2 小川 友幸 21点
3 渋谷 勲 24点
4 田中 太一 26点
5 成田 匠 77点
6 井内 将太郎 87点
7 小川 毅士 88点
8 三谷 英明 106点
9 佃 大輔 135点
ゴール後に倒れてしまった
黒山健一
○全日本選手権シリーズポイントランキング
1-黒山 健一 77/2-田中 太一 63/3-小川 友幸 62/4-渋谷 勲 58/5 成田 匠 41/6 小川 毅士 39/7- 井内 将太郎 38/8- 佃 大輔 32/9- 三谷 英明 16