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1604ミショーさん

SSDTを勝利したミショーさんのファンティック

ツインリンクもてぎでの日本GPは大興奮で終了したが、その金曜日、パドックでの一コマです。

セクションコーディネーターを務めた成田匠さんと、そのお父さんで日本のトライアルの牽引役だった成田省造さんが、FIMトライアル委員長のティエリー・ミショーさんを呼び出しました。なにやら画策している模様。

1604日本GPでのミショーさん

あらまぁ、皆さんおそろいで、なにが始まるのかしらとなにも聞かされずにやってきたミショーさん。

申し遅れましたが、ティエリー・ミショーさんは、今はFIMのトライアル委員長ですが、昔はライダーでした。それもただのライダーではない。1985年、1986年、1988年、3回の世界チャンピオン。エディ・ルジャーンを破り、ジョルディ・タレスとの死闘を繰り広げたフランスのビッグネームだ。

1985年のミショー1985年9月8日スイス大会にて

今でこそ、頭つるつるのおっさんになっているが、その昔は熱い闘志が全身からオーラになって伝わってきた。西村亜弥さんはその当時、ミショーの写真をトライアルジャーナルから切り抜いてしたじきにはさんで、学校へ通っていたそうだ。

1985年のミショーの走り1985年9月15日、西ドイツ大会にて。マシンは生産型の301

ここで若い人にはまた知らない名前が出てきた。ファンティック。最近、エンデューロマシンを復活させたけれど、その昔はトライアルのビッグメーカーだった。日本で外国製トライアルマシンが定着したのは、ファンティックの普及のおかげといってもいい。

そのファンティックが、モノショックを採用してデビューさせたときのお話が、今回の画策のテーマだった。

1604日本GP成田匠と301

やってきたミショーさんを前に、成田匠さんがベールに包まれていたお宝を披露する。すると中から出てきたのは、ファンティック301プロトタイプ。

このマシン、1985年のSSDTで登場して、デビューウィンをしたファンティック初めてのモノショックマシンだった。

製品化されたファンティック301は赤白のストライプが入った角のあるタンクが印象的だったが、このプロトタイプはそれ以前のクラシックなラインのものを装着している。

1604日本GP成田親子と301

ベールを脱いだ昔日のマシンを、くいいるように見入るミショーさん。ミショーさんは3度の世界選手権王者ですが、3度のSSDT勝者でもあります。外国勢がSSDTを勝利するというのは至難で、そんななか3度の勝利を得ているミショーさんはやっぱり別格の王者っぷり。ミショーさんの勝利は1984年から3年連続で、このマシンで勝利したのは2度目ということになります。

1604日本GPミショーと301

このチェーンケースはオリジナルとちがうな、このリンクはオリジナルのファクトリーの特別製だ、マグネシウムのクランクケースカバーもファクトリーの特別製だ、とマシンを前に解説するミショーさん。一緒にマシンをのぞいているのはレプソルHondaチームの監督、ミゲール・シレラさんと、ガスガスファクトリーのアルベルト・カサノバさん。このマシンがデビューした当時、シレラさんも世界選手権を走っていたライダーだったそうだ。カサノバさんは、長くガスガスで仕事をしていて、今回の倒産騒ぎの中でもずっと社内に残っていた数少ないコアメンバー。みんな、仕事を離れてトライアルとオートバイが好きなんだというのがわかる。

1604日本GPミショーと301

このマシン、当時のファンティック輸入元だった旺文社インターナショナルの赤尾文夫さんが、ファンティック本社から入手したものではないかと思われているが、その後、成田さんの店に流れつき、そのまま長いこと眠ったままになっていた。今回、ミショーさんに往年のマシンを見てもらおうと、エンジンに火を入れ、リヤショックのオーバーホールを施し(この作業は成田亮さんが手がけたそうだ)オリジナルパーツを損なわないようにお化粧をして、もてぎにやってきたというわけだ。

省造さんによると、このマシンがさて、ティエリーがSSDTに勝利したそのものなのか、あるいはティエリーの兄フレッド(フレッドは今年のSSDTにも参加している)のものなのか、あるいはイタリアのファンティックナンバーワンライダーだったレナト・キャベルトのものなのかは不明だということだった。ミショーさんに聞いてみるも、ミショーさんもはっきりしたところはわからないみたい。キャベルトはイタリア選手権、世界選手権とSSDTは私が乗った、フレッドは乗ってなかったんじゃないか、のようなことを言っていた(キャベルトはイタリアで2回のチャンピオン、世界選手権とSSDTはミショーが3回チャンピオンになった、という意味だったかもしれない)。兄のフレッドも、世界選手権では最高6位に入るトップライダーだったが、日本ではジョン・マリー・ルジャーンとともに今に至るマインダー業の走りとして知られている。

1604日本GP成田親子とミショー

日本GP開催中は、イーハトーブトライアルのブースに展示されていたから、見かけた人も少なくないと思うけれど、このマシンには、こんな歴史秘話があったのでした。

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