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日本のニュース

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IA平田兄弟、初優勝は弟の貴裕から

2017年6月11日、全日本選手権第4戦中国大会、激戦の国際A級を制したのは、平田貴裕だった。国際A級昇格10年目。平田は、ランキングでもトップの氏川政哉に次ぐ2位ながら、その差はたったの1点差となった。

2017鳥取大会の平田貴裕22ラップ目最終セクション。平田貴裕

平田貴裕は、国際A級のトップグループの一角をなす平田兄弟の弟になる。兄は雅裕。兄弟そろって、国際B級チャンピオンとなって、IAに昇格してきた。兄の雅裕が2006年、そして貴裕が2007年のIBチャンピオンだ。ふたりは年子で、IBチャンピオンとなったのも1年を置いていた。仲がいい。

初めてこの兄弟の存在を知ったとき、ふたりは自転車に乗る少年だった。自然山通信創刊の時代で、名古屋市のスポーツプラザイトーさんにご挨拶かたがたおじゃましたら、グローブを買いに来た兄弟がいた。それが平田兄弟だった。

父親の篤さんもIBライダー。愛知県の(そしてイトーさんのところを本拠地にしている)チームパイレーツで活動していて、最近(といってもこの20年くらい)では元全日本チャンピオン伊藤敦志さん(このあたり、伊藤さんとあつしさんがいっぱいいてややこしい)の主催するサンデーファミリー平谷のバックマーカー役で、平谷出場者にはおなじみだ。平谷大会に参加していて、平田篤さんの顔を見てしまったら、それは時間切れだからあきらめなさい、ということだ(一度だけ、3分待ってやるからその間に逃げろと言われて逃げ切ったことがある。あの頃は若かったから)。

バックマーカーの話でもおやじの話でもなくて、息子たちの話だった。自転車に乗っていた少年たちは、その後にオートバイに乗り始めて、すくすくとうまくなって、IBチャンピオンとなった。兄弟そろって連続でチャンピオンになるなんて、黒山健一、二郎の兄弟でも果たせていない。

その後、ふたりは進学とか就職があって、IA昇格後はなかなか頭角を現さずにいた。貴裕が初めてIAでポイントをとったのは2011年の中国大会だった。それ以降、貴裕は毎年、年に1度くらいはポイントを獲得する全日本のポイントランカーになった。仕事に忙殺される雅裕は、2012年に初めてポイントを獲得。2012年は、中部大会で貴裕が13位、最終戦で雅裕が12位と、雅裕がランキング上位につけた。でも移行は、だいたい貴裕の方が成績がいい。

ふたりが、なんとなく全戦に渡ってポイントを獲得できるライダーとなったのは、2015年、まだ3年前のことだ。6位、7位、8位、9位となかなか安定して順位を残せるライダーになってきた貴裕、雅裕も5位、6位、9位、10位と貴裕を追う。この頃から、ふたりのトライアル的仲のよさが際立ってくるようになってきた。

2016年、ここで再び、ランキングは雅裕が上位に出た。雅裕がランキング7位、貴裕がランキング8位。ポイント差は雅裕が4点上回っているが、先に表彰台を獲得したのは貴裕だった。第2戦近畿大会で2位表彰台に上り、次いで第6戦中部大会では雅裕が3位表彰台に上った。

ふたりは、いつでも同じようなスコアで大会を回り、同じような順位を残している。そうそう、2016年北海道大会では、同ポイントでクリーン数も1点も何もみんな同じ、タイム差で貴裕が5位、雅裕が6位となった。このときも二人はほぼ一緒のペースでセクションを回っていた。最終セクションを前に、そのままセクションインした貴裕に対し、持ち時間に余裕があった雅裕はちょっと休憩してからトライをした。それが結果に表れてしまった。仲がいいのもここまでくるとネタに思えてくる。

本人たちも、ペースや成績が似通っているのは認めている。ただ、だからといって、ふたりの乗り方や性格が似ているというわけではない。

「乗り方も得意なところ苦手なところもちがうのに、終わってみるとおんなじような成績になっているから、不思議だねぇ」

兄弟は自分たちのトライアルを、楽しそうに振り返る。トライアルの点数なんて、いいほうも悪いほうも、思い通りになるものでもない。それなのにこの兄弟ときたら、打ち合わせもしていないのに同じようなスコアで試合をまとめてくる。どうしてそうなるのかは、わからない。

2017鳥取大会の平田雅裕2こちらは、#8平田雅裕。お兄さん
2017鳥取大会の平田貴裕1そしてこちらは、#9平田貴裕。今回優勝した弟さん

以前は、兄弟にはそれぞれアシスタントがついていた。今は、お父さんが貴裕について、すぐ近くを走っている雅裕のこともいっしょに見る。なぜ貴裕にだけアシスタントがいるのかと問うと、雅裕は言うことを聞かないからだとお父さんは言う。ふたりとも、30歳になろうという大人だから、お父さんの言うことをはいはいと聞かなければいけないお年ごろではないけれど、たぶん貴裕と雅裕のトライアルがちがうように、お父さんの考えるトライアルと雅裕のトライアルもきっとちがうのだろう。そして、きっと雅裕はちょっぴり頑固だ。

ふたりは、ずっとスコルパに乗っている。もともと、お父さんはヤマハTYに乗るライダーで、アシスタントに使うマシンもヤマハTY-Zを長いこと愛用していた。それは平谷のバックマーカーマシンでもある。兄弟がスコルパSY-Rに乗っていた時代は、TY-Zもエンジンは共通だからスペアマシンとしての機能がちょっぴりあったが、やがて兄弟のマシンはシェルコエンジンのSRとなり、去年のTwentyから今年モデルのSCとなった。

1706鳥取の平田貴裕2017年型スコルパとの相性がいいという平田貴裕

これが貴裕にとってよい転機となったようだ。成績が兄弟そろっているのはあいかわらずだが、今年は成績も上向いた。開幕戦で3位表彰台、第2戦は6位とちょっと低迷したが(去年ならこれでふつうだったけど)、第3戦でまた3位表彰台。14歳の注目ライダー氏川政哉に次いで、ランキング2位に躍り出た。

とはいえ、第2戦までランキング2位につけていたのは兄の雅裕で、しかも第2戦まではランキングトップの氏川と同点だった。ゆっくりと成長していく兄弟は、今年になってIAクラスのトップを牛耳る存在に仕上がっていたのだった。

かわりばんこに表彰台に乗る二人。こうなると、どちらが先に表彰台の真ん中に立つのかが興味の焦点となってくる。それでも、脂ぎった闘志があんまり感じられないこの二人。はたして勝利は遠いのか近いのか、まったく想像がつかない。

そして中国鳥取大会。中国大会は2年ごとに会場を変えて開催するのを常としているが、今回の鳥取県HIROスポーツは、2011年に貴裕が初めてIAでポイントを獲得した会場だった。

「勝ち負けとか考えたことがないです。目の前のセクション、走っているだけ」

優勝したというのに、貴裕のコメントはあんまり抑揚のない、いつものまんまだった。いつものように、結果を知らずに試合を終えて、掲示板をちらりと確認すると、1ラップ目3位となっていた。

「優勝はうれしいですけど、最近気にしているのはランキングなんで、こんなこというといけないのかもしれないけど、そっちのほうが気になってました」

兄弟そろって、ランキング5番以内に入ってスーパーに昇格するのが、今年の兄弟の目標だそうだ。そのひょうひょうとした取り組み方が、さわやかだ。

「まさくん(雅裕)は今日は8位でした。ぼくはマシンが新しくなったからものすごく調子がいいんです。ダイヤフラムクラッチもいいです。けど、まさくんは最近ちょっと結果が出てないですね。ぼくはぴったり合ってます」

兄貴のことを心配する勝利者。その兄貴は前回6位、今回8位で、それでもランキング4位をキープしている。

弟の方はといえば、1位2位3位が1回ずつで、これはランキングトップの氏川政哉と同じ。氏川は5位が1回あり、貴裕には6位が1回ある。この差が、ランキング1位と2位の1点差となって現れている。

次も優勝を狙ってくださいと言うと、いえいえ安全パイでいきますと、笑顔が返ってきた。

2017鳥取大会のiAシャンペン表彰台。左から1位平田貴裕、2位大ベテランの本多元治、14歳氏川政哉

【メモ】2011年以降のランキング(国際A級)

年次 平田貴裕 平田雅裕
2010 ノーポイント ノーポイント
2011 22 ノーポイント
2012 25 24
2013 15 25
2014 15 22
2015 10 12
2016
2017

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