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1点差、黒山勝利の九州

1205全日本九州表彰式

 全日本選手権第3戦九州大会は、5月13日、佐賀県大和町のオフロードパーク、フィールド佐賀大和で開催された。
 国際A級は黒山健一に小川毅士が激しく迫りトップ争い。小川友幸と野崎史高はやや遅れてふたりについていくという展開となった。
 午前中の2ラップを予選とし午後に8セクションによる決勝がおこなわれたが、ここで急展開。終わってみれば、黒山がたった1点差で勝利し、2位は小川友幸となっていた。3位は野崎史高。
 国際A級は前回優勝の加賀国光を決勝で逆転した成田亮が勝利。国際B級は武井誠也が開幕戦に次いで2勝目を挙げた。


 九州大会は、2010年の熊本大会から、予選・決勝方式で大会が運営されている。午前中に2ラップの予選が行われ、午後に1ラップの決勝。国際A級と国際B級は、予選に通過した15名の選手が決勝に進出できる(エキジビジョン125は2ラップの予選のみ)。逆に言えば、予選を通過すれば15位以下にはならないということになる。
 今回は、予選を12セクション2ラップ、決勝は8セクション。決勝は大会本部に近いところのセクションでまとめられ、観戦がしやすい配慮がされていた。そのかわりといってはなんだが、最初のスタートは7時半と、いつもに比べると朝が早い。午後からの決勝だけでも充分に楽しめるということだと思われるが、ライダーの朝は早かった。
【1ラップ目】
 今回はセクションが簡単め。といっても、砂の斜面や沢、泥々の岩と、コンディションがいろいろなので、単純に勝負がつかないということはなさそう。ライダーにとっては、ちょっとしたミスが順位に大きな影響を与えるという点では、むずかしい大会となることが想像できた。
 第1セクションは、上位6名がクリーン。前回近畿大会に続いて、スムーズに試合が始まった。次の第2セクションは沢のセクションで、最後の斜め岩がつるつる。ちょっとばかり難セクションだった。ここで小川毅士と柴田暁が1点。田中善弘が2点。上位3名がクリーンした。
 第3セクションも水のあるセクション。ここでも小川毅士、柴田、田中が1点とって、上位3名はクリーン。この時点では、トップ争いはゼッケンの小さい3名によって争われるものと思われてた。
 そして第4セクション。齋藤晶夫がクリーンして、トップライダーはさらに華麗にクリーンしていくかと思いきや、柴田が3点と苦しみ、田中が1点。小川毅士は、ここでも1点減点して、3セクション連続で1点。さらに小川友幸、黒山健一も1点を失った。けっしてむずかしいポイントには見えないのだが、上りでちょっと勢いが足らず、落ちるのを防ぐために足が出たという感じ。ここは野崎がクリーンして、野崎はここまでただひとりオールクリーンをしている。
 野崎の快進撃は、このあと第6セクションまで続いた。第6セクションでは小川毅士がさらにもう1点。第6を終えたところで、野崎がオールクリーンでトップ、黒山と小川友幸が1点。小川毅士が4点で続いている。5位は田中善弘の7点だ。今日はやはり細かい減点を競う神経戦だ。
 そして第7セクション。日陰の湿った岩場。ここで野崎が失敗。5点となってしまった。この日のようなセクションコンディションだと、ひとつのミスが大きく響く。ここは小川友幸も足を出したが、その減点は1点。黒山と小川毅士はクリーンをしたから、トップは黒山の1点に。小川友幸が2点で小川毅士が4点。野崎は5点で一気に4位となってしまった。

1205小川友幸

途中はかんばしくなかったが、最後はきっちりまとめた小川友幸だった

 下見をしたライダーには、ラップの後半が少し難かしいと見られていた。第8セクションはごろごろの岩を走り抜ける設定。黒山、小川毅士、野崎がクリーンをする中、途中で引っかかった小川友幸が3点。「ここが勝負どころになりそうですね」と黒山マインダーの二郎氏。難易度的には3点で抜けるのは簡単そうだが、セクションが長いので、タイムオーバーで5点となるおそれはある。小川友幸の3点は、ちょっと手痛い3点となった。これでクリーン数の多い野崎に逆転されて、小川友幸は4位後退だ。
 続く第9セクションは、砂の斜面の岩を越えていくもので、これも難易度はそんなに高くない。しかしちょっと不注意を誘うワナは、そこここにしかけてある。そこで足が出てしまったのが、またしても小川友幸だった。
 12セクションはほぼ全員がクリーンして、トップは黒山の1点! それほどの難関ではない第4で足をついたのを見た時には黒山の調子を心配したが、1ラップが終わってみれば確実なリードを確保していた。2位は小川毅士。前半、細かい減点で気をもませたが、後半をばっちりクリーンして、前半の4点のままで1ラップを終了。野崎が第7セクションの5点のみで3位。小川友幸は6点を取って4位。しかしトップの4人が5点以内におさまっているわけで、まだまだ勝負はわからない。5位は田中で14点。柴田が17点で続いたが、優勝争いというには、ちょっと点差が開いてしまったようだ。
【2ラップ目】
 このままのペースで試合が進めば、僅差の勝負のまま黒山の勝利となるか。試合はなにが起きるかわからないが、今回のセクションだと、あまり大きな動きもなさそうに思えた。
 最初の失敗は野崎だった。1ラップ目は、点数こそ多かったものの、黒山と同じく11セクションをクリーンした野崎だったが、2ラップ目に入ってそうそう、第2セクションで5点になっている。
「ラインが、ほんの数センチずれて、登れず滑ってしまった」
 野崎は言う。角度30度ほどのつるっつるの岩盤を登っていくところだが、登れなければこらえるまもなく滑り落ちていく。この岩盤以外はそれほどの難所ではなかったから、野崎のここでの5点は痛かった。この第2セクションでは、小川友幸も1点ついていて、黒山1点、小川毅士4点、小川友幸7点、そして野崎が10点と、4人が均等に減点してその差が広がってきた。その後、第3で小川毅士が1点、第6で黒山と野崎が1点。ちょっとしたことで減点をさそうセクション設定でもあるが、5点をとっては取り返しがつかないので、少し早めに足を出しているという結果でもある。
 そして第7セクション。小川毅士が1点をつくと、野崎が1ラップ目と同様に5点。さらに小川友幸までも5点となった。細かい減点の勝負だが、ここへきて黒山の独走態勢が顕著になってきた。第7セクションが終わって、黒山2点、小川毅士が6点、小川友幸が12点、野崎は16点となった。小川毅士はまだ黒山を射程に置いているが、黒山がそうそう崩れるとも思えない。
 しかし黒山も失敗するのだった。第9セクション、小川友幸と野崎がクリーンをし、小川毅士が1点をついてトータルを7点としたところで、黒山はなんとゲートマーカーに触ってしまって5点となってしまった。クリーン数の差でトップはトップだが、減点は7点。小川毅士と同点となった。

1205小川毅士

黒山健一に迫る小川毅士

 このままトップ4人は残る3セクションをクリーンして予選終了。黒山が7点(クリーン21)、小川毅士も7点(クリーン17)。小川友幸12点、野崎16点は7セクションの時点から変わらず。トップ争いが一転熾烈になった。
【決勝】
 予選が終わって、1時間のインターバル。野崎は一度すっかり普段着に着替えて気持ちを切り替え、一方黒山はウェアを着たまま1時間後の決勝に気持ちを合わせる。いつもとちがう予選と決勝方式、そしてインターバルのある大会。観客もオブザーバーも、ゆっくり昼食をとる時間ができた。ただしライダーには、じっくりご飯を食べている余裕はない。集中が切れてしまうのが、なによりこわい。
 決勝は12時から。国際B級が15名(1分置きに2台ずつスタート)、国際A級が15名、国際A級スーパーが9名(宮崎航が7セクションでクラッシュ。クラッシュした際にマシンとからみ首を痛めてリタイヤとなった。病院で検査して、戻ってきて決勝は観戦できていた。痛そうではあったが、軽傷でなにより)。B級のスタートのあと、8分のインターバルを置いて1分置きに1台ずつスタートする。持ち時間は1時間。1、3、4、6セクションを省いて8セクションで行われる。本部の近くの、比較的移動距離の短い(ライダーにはそこそこの移動コースがあった。なので歩いていっても、次のトライにぎりぎり間に合うタイミング)セクションが決勝に選ばれていた。セクションの手直しはされなったから、ライダーから見れば決勝というより3ラップ目という取り組みになる。
 予選の間、どのライダーにもミスはあったが、トップ4にとっては決定的な鬼門はなかった。なので全員が全セクションをクリーンするのも、けっしてありえないことではない。

1205野崎史高

出だしと最後は完璧だった。1ラップ目後半から2ラップ目が惜しかった野崎史高

 唯一、第7セクションの野崎は、予選の2回とも5点になっている。野崎の黒山に対してのビハインドは、ここだけといっていい。ここを、決勝の野崎はついにクリーンで抜けた。セクションのレベルが野崎の実力より高かったわけではないから、これで当然なのだ。
 第7セクションまでの3つのセクション、トップ4人はすべてのセクションをクリーンした。トップ争いは完全に膠着状態だ。持ち時間も多くはないので、試合はてきぱきと進む。もうちょっとゆっくりしたペースなら、トップ争いの緊張感も伝わりやすいのかもしれないと思い始めた第8セクション。残りはここを含めて、あと4セクションしかない。ここで、終盤の異変が起こった。
 大岩の連続を走破してくる長いセクション。それでも、1ラップ目に小川友幸が3点になった以外、トップ4人はみなクリーンだ。ところがここで、小川毅士がわずかなミスをした。いったんミスをすると、抜け出すのに手間がかかって、時間がなくなってくる。出口の岩にアプローチにする直前、1分間を示す笛が鳴った。5点だ。これで小川毅士と小川友幸が、12点で並ぶ計算となった。黒山一人が、7点でトップに出る。
 ところが次の第8セクション。今度は黒山がミスをした。黒山は、2ラップ目のここでカードに触れて5点となっている。これが黒山の走りを必要以上に慎重にした。もちろんトップ争いの緊張感がライディングに与えた影響も大きかった。
 1ラップ目には、発進でリヤタイヤを滑らせ、一度止まって別のラインからアプローチして、それでもしっかりクリーンをした黒山が、その同じセクションでもがくことになった。斜面で転倒をしたようにも、動きを止めて後退したようにも見えた。しかし5点ではなかった。なんとか3点で持ちこたえて、再び小川毅士と同点となるのを回避した黒山だったが、実はライバルは小川毅士一人でなくなっていた。小川友幸も決勝でオールクリーンを続け、いまや黒山に2点差まで迫っていた。
 黒山のあとにトライした小川毅士は、なんということか、岩を登れず、一目瞭然の5点となった。1ラップ目4点、2ラップ目3点とよく点数をまとめていた毅士が、2セクションをやる間に10点を取ってしまった。トップ争いの緊張感、第7で5点となった気持ちの動揺、それがそのまま、トライに現れてしまった。

1205黒山健一

黒山の最後の減点。1回の足つきを最大限に使って切り抜けた

 そういった動揺は、毅士だけのものではなかった。次の第9セクション、黒山がまた上りでミスをした。ほんのわずか、勢いが足りない。ここで落ちたりすれば、優勝は夢と消える。なんとか踏ん張って、1点でここを切り抜けた。
 そしてそのまま試合は終わった。優勝は黒山。決勝でふたつのミスがあったが、ぎりぎりでの勝利だった。2位は小川毅士ではなく小川友幸。黒山とは、1点差だった。決勝の8セクションは、小川友幸と野崎の二人が、すべてクリーンした。予選の2ラップではいまひとつ本領発揮には至らなかった二人だが、決勝はきっちり走りきった。逆に予選の2ラップで言い走りを見せたふたりが、決勝は乱れてしまった。トライアルはメンタルスポーツだとよく言われるが、この日の展開ほど、その影響が見るものに伝わってきたことは、そう多くないのではないだろうか。
 小川毅士は、今シーズンの台風の目だ。今年のトップ争いには、小川毅士が確実にからんできている。去年までの毅士とは明らかにちがう成長ぶり。しかし結果を見ると、毅士の指定席は4位。これでは去年までと変わらない。毅士本人も、そこが今もっとも歯がゆい課題となっている。
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【国際A級】

1205成田亮

 ベテランライダーと若手ライダーがぶつかりあう国際A級。今年はカムバックライダーの活躍がめだっている。
 第2戦で勝利した加賀国光は、今回も好調。予選をトップで通過する。これにぴったりついたのが、成田亮だった。成田も今年は久々の復帰戦で、開幕戦2位、第2戦4位とトップグループを走っている。
 国際A級の鬼門となったのは第8セクション。大岩を走破していくセクションで、時間のコントロールもむずかしい。予選での成田はここを2ラップとも3点。加賀は1ラップ目に5点、2ラップ目に3点となっている。その他のライダーを見れば、岡村将敏が両ラップ1点、セル付きのガスガス・ランドネに乗る成田匠が1ラップ目に1点で抜けているが、全体には3点と5点が多いむずかしいセクションだった。
 成田亮は、ここが勝負どころと考えて、インターバルの間にしっかりと攻略法を組み立てた。それが功を奏して、クリーンはできなかったものの1点で通過。優勝争いのライバル加賀は予選同様の3点だった。この2点差が生きて、成田は加賀に1点差で勝利。ランキングでも、加賀を抑えてトップに立っている。
 予選でベストラップを出した岡村は6位、決勝のベストラップは3点の吉良祐哉で、吉良は10位となっている。
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【国際B級】

1205武井誠也

 開幕戦で勝利した武井誠也が予選からぶっちぎりで勝利した。とはいえ、2ラップ目の第4セクションでマシンを水没させてしまい、この影響から2ラップ目には22点とこのラップでは7位に相当する乱調となった。
 しかし決勝で気持ちを立て直し、再び2位以下を大きく引き離して勝利した。予選でもトップ通過だったから、結果的には水没の影響は結果には出なかったことになる。
 武井はランキングでも、2位の岩田に早くも23点をつけて独走態勢だ。
その他の皆さんはFacebookのアルバムをご覧ください。
【エキジビジョン125】

1205第3戦米本

 前回近畿大会に続いて、米本一葉一人が参加。今回はこのクラスには決勝はなく、予選の2ラップのみが戦いとなった。
 米本は減点89点で、国際B級の予選結果に照らし合わせると40位となる。まだ、全日本の舞台に立つ緊張感と戦っている段階だというが、吸収するものは多いはず。このクラスには、もっと多くのライダーの参加がほしい。

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