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日本のニュース

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トニー・ボウ、日本でもぶっちぎり

1206日本GP土曜日のトニー

 世界選手権第3戦(今年の開幕2戦はともに2日間制だったので、これで5試合目)は日本GP。今回は15セクションがすべてハローウッズの周辺に配置されて、コンパクトな世界選手権となった。観戦は森の中のハイキング気分。お目当てを追いかけるにはなかなかいい運動となった。
 優勝はもう強すぎてどうしようもないトニー・ボウ。1ラップ目はたったの1点、2ラップ目はカードにさわった5点がひとつだけで、トータル6点。ラップを一桁で回ったのが2ラップ目のジェロニ・ファハルドだけだったから、この強さは圧倒的だった。
 ファハルドは1ラップ目の3位から、最後にカベスタニーを下して2位。今シーズン3回目の2位入賞となった。1日目に2位となったのは今回が初めて。
 カベスタニーは1ラップ目も2ラップ目も11点で3位。最終セクションが2ラップともに5点で、これでファハルドに逆転を許すことになった。
 藤波は1ラップ目の5位から4位までポジションを復活させてフィニッシュ。序盤に立て続けに5点となるなど、苦戦を強いられた。
 日本勢では、黒山健一が7位、小川友幸が9位、小川毅士が14位でポイント獲得。野崎史高が17位、柴田暁が18位、齋藤晶夫が19位だった。
 ジュニアはポル・タレス(JTG)がフランチェスク・モレット(モンテッサ)を2点差で下して勝利。ここまで連勝を続けていたアレキサンドレ・フェレール(シェルコ)は3位だった。日本の野本佳章は11位。ノルウェーのハカン・ペダーソンを破っている。
 ユースはスティーブン・コクラン(ガスガス)が4勝目。磯谷玲が6位で日本人最上位。優勝のコクランは6点、磯谷は52点だった。


 金曜日の雨は、ずいぶんと岩や泥を濡らしていて、下見をした時点ではそうとう滑りそうだった。もてぎはいつでも雨。ライダーにも関係者にも、そんな印象が定着している。実はそうそう雨ばっかりというわけでもないのだけど、印象というのはそういうもんだ。
 ただし雨でなくても、もてぎが滑りやすいのは変わらない。岩盤など、この13年間、毎年出てくるセクションとはいえ、簡単なトライアルではない。
 金曜日には下見とくじ引きが行われた。今年は、スタート順をくじ引きで決めることになった。開幕戦は藤波が一番くじを引いてしまった。参加した全員で同じくじを引くから、どんな順番になってもおかしくない。
 くじ引きの結果、トップスタートはロリス グビアン。ジェロニ ファファルドが二番手となった。くじ運の妙で、黒山健一、小川友幸、藤波が並んでいる。10年前の全日本のようでもあり、ちょっと前のデナシオンのようでもある。しかしこのスタート順は、藤波も小川も歓迎していなかった。仲のいい友だちと遊ぶのと世界選手権を走るのとはちがうし、第一、乗り方がちがって参考にもならないんだそうだ。小川も同じく。テストでは藤波号にもボウ号にも乗るが、どちらかというとボウの方が乗り方が近いから、ボウ号の方が乗りやすいと言っている。仲のいい仲間でも、トライアルは三者三様なのだ。

1206motegi1友幸

2セクション以降、1ラップ目は絶好調だった小川友幸

 第1セクション。トップライダーはなにごともなくクリーンしていく。ところがなんと、小川友幸が5点。それも、最後の大丸太を越えたところで竿立ちになって落っこちるというあり得ない失敗。
 スタートからブレーキに違和感があったという。だから兆候はあったのだが、第1セクションの入口の下り坂では、ブレーキはちゃんと効いた。それが、最後のポイントではすっぽ抜けてしまった。
「ブレーキがないのがわかっていれば、ブレーキなしでも問題なかったはず」
 と、小川は語っている。小川はすぐにピットに戻り、藤波と黒山の輪からはいなくなった。修理が終わって戦列に復帰した小川は、時間との戦いになったものの、走りっぷりも素晴らしかった。第8セクションまで、戦列復帰した第2から全部クリーン。これなら、優勝しちゃってもおかしくないんじゃないかという勢いだ。実際、第1セクションの5点を加えても尚、第8セクションでは小川は4位につけていた。
 しかし9セクション、10セクションと続けて5点。クリーンが続いて、欲が出たのだという。足をつけば、少なくとも9セクションはアウトできていたのではないだろうか。
 こうして、第1セクションでの失敗から一直線にスコアを上げていった小川に対して、今回は上がったり落ちたり、順位変動が激しかったのが藤波だった。

1206motegi1フジ

浮き沈み八起き。しかし藤波らしい不屈のトライアルを見せてくれた

 藤波は、第4セクションのオーバーハングで失敗、5点になった。もちろん簡単なポイントではなかったが、オリベラスやブラウンがクリーンしているのを見ると、あがってほしかったと思う。さらに藤波は、次の第5セクションでも5点となった。カードに触れたという判定だ。これまで世界選手権では、ゲートのカードはさわってもよし、動かしたら5点という運用がされていた。しかし今年からは徹底されていて、とにかくさわったら5点だという。ゲートが乱立する今のセクションでは、なんともやりにくいルールだとは思うがルールはルールだ。
 日本GP初開催以来、日本人オブザーバーとヨーロッパのライダーの間には、ルールの解釈についての行き違いがよくあった。ヨーロッパの人の解釈や通念は、ときに日本人には「えっ」と思うようなこともあるんだが、世界選手権という以上、ルールはひとつでなければいけない。日本GPが13年続き、大きく変化したのはルールの解釈だったのではないだろうか。選手からの抗議(はできないから説明を求める、という形式になるけど)は今年はずいぶん少なかったように思う。
 しかし藤波の連続5点は痛い。すでにこの時点でオールクリーンをしているのはトニー・ボウただ一人。ボウは金曜日に、セクションは簡単だから雨が降ってくれてちょうどいい、というようなコメントをしていたが、ボウに限ってはそうかもしれない。ここまでカベスタニーが1点、ラガが2点、黒山が3点と続く。セクションは雨が降っていなくても滑りやすいので、ちょっとしたミスで足は出るし、5点となることもある。第5から第7は、13年間欠かさずに使われている岩盤のだが、毎年走っていても(もちろんラインはちがうにしても)あいかわらずむずかしい。

1206motegi1黒山

黒山健一。必勝プレッシャーのない世界選手権はいかにも楽しそう

 8セクション、9セクションは一転して土の斜面。8セクションは石や岩がない、土の上りばっかり。ここも、スピードがちょっと足りなかったり、ラインがちょっとずれたりすれば、足が出るし登れないことがある。藤波は、ここでも3点となった。ファハルドは5点になっている。
 今年の世界選手権は、ここまでの結果を見る限り、ボウ一人がぶっちぎり。スペイン人3人が拮抗して2位争いをしていて、それになんとかくいこみたいという藤波がいる。内容的には藤波までの5人がひとかたまりで、この5人でさえ大きな失敗をすると、5位以下の中堅に食われてしまう。ボウの順位が固定化しているから動きがないように見えるが、2位以下はいつになくたいへんな接戦だ。

1206もてぎのファハルド

アウトドアシーズンになって好調のファハルド。逆転の2位

 ひとつの勝負どころは10セクションだった。ボウはクリーン、ラガとファハルドが1点、チャロナーが3点のほかは、みな5点。ここも最近の定番セクションだが、いつもの泥々状態から、いくらか乾いたコンディションとなっていた。でも最後にL字型の建築材が置かれていて、これが難所になった。しかもたいていの場合、そこにいきつくまでに1分半の持ち時間を使い果たしてしまうのだ。

1206もてぎのカベスタニー

カベスタニーは最終セクションで逆転された

 13、14セクションは、これも最近の定番となっているハローウッズの玄関セクション。13が岩盤で14が滝の流れる庭園セクションだ。滝の流れる最後の大岩は、藤波の鬼門となることもあったが、1ラップ目はボウ、カベスタニー、藤波とクリーン。ファハルドが1点、ラガが3点をはじめ、多くのライダーが5点にならずに通過していく。ボウがオールクリーン、カベスタニーとラガが一桁減点で最終セクション。
 今回の一番の勝負どころとなったのが、この最終セクションだ。自然の岩を利用した完全な人工セクション。止まるかまっすぐ登るか。止まれば減点を覚悟だが、一気にいって失敗すれば5点を覚悟。ここでカベスタニーとラガが5点、藤波がクリーンして、藤波はようやく3位ラガに4点差まで迫り、5位となった。トップのボウは、最後の上り口で足を出し、ラップオールクリーンはならなかった。
 2ラップ目。優勝はボウでほぼ決まりで、残る興味は1ラップ目にできなかったオールクリーンができるかどうか。そして2位争いがどうなるか。黒山、小川友幸はどんなリザルトを残すのか。
 ところがボウは、オールクリーンができなかった。1ラップ目はクリーンをした10セクション。2ラップ目のボウは、セクション序盤でわずかに失敗して、後半に時間を残せない状況に陥った。それで焦ったのだという。セクション中盤で5点。最後のポイントならともかく、なんでこんなところでと思える失敗があるのが、トライアル。ボウはこれで6点。しかしそのまま6点でゴール。結果的には、またしてもぶっちぎりだった。
 この10セクションでは、多くのライダーが5点となった。2ラップ目にここを抜けたのは、藤波と黒山二人だけ。藤波は、ようやく3位表彰台が照準に入ってきた。
 藤波が順位を上げてきたのには、ラガが2ラップ目に入っておかしくなってしまったこともある。岩盤が終わるまでは1点で抑えていたラガだが、第8で3点、第9で5点、10でも11でも5点と、一気に18点。勝利も表彰台も絶望となった。特に11は、5点となるライダーがわずかのセクションだ。それだけに油断が出たのかもしれないが、トライアルはつくづくやってみなければわからない。
 表彰台が見えてきた藤波は、しかし14セクションで5点。いつも鬼門としている滝の大岩ではなく、その手前のオーバーハングでタイヤを滑らせ失敗した。この5点で、藤波の4位は決まったといっていい。藤波の最終セクションは1点。カベスタニー、ダビル、黒山が5点となったので、ラガが黒山を逆転して6位に滑り込んで、日本GPの1日目は終わった。

1206motegi1ラガ

優勝争いから、あっという間に6位に転落したラガ

 小川友幸は2ラップ目に減点が増えて9位。結果的には本人が言うように「定位置」だが、楽しい戦いができたようだ。序盤のクリーン連発がよかったのだろうと思われる。結果を見ると、今シーズンまったくいいところがないアレックス・ウイグに8点差となっている。今回のウイグは本人も満足の結果だった。
 日本勢では黒山、小川のほかは、14位に小川毅士が入った。このところ、参加者が少なくて出れば選手権ポイントがついているワールドクラスだが、日本に関してはそれはあてはまらず。今年ワールドクラスにデビューしたペレ・ボレラスも16位で無得点、調子が出なかった野崎史高も17位で無得点、柴田暁、斎藤晶夫と続いて、全部で19人の世界選手権だった。
 今年は去年までのジュニアクラスが、オープン・インターナショナルというクラスとの併催となっていて、去年までワールドクラスに参戦していた21歳以上の国内ライダーが、みなオープンクラスに参加した。オープンクラスは、ていねいにトライしていけば上位に入る可能性もある反面、より真剣に走らなければ結果も残らないという一面があるようだ。

1206motegi1ボウ

この男には、ライバルたちも半ばさじを投げている。トニー・ボウ

 土曜日の結果。日曜日のスタート順は、ユース、オープン、ワールドの順で、成績と逆順となります。最初のスタートは9時50分。以降、1分半ごとに一人のスタートとなる。最後のトニー・ボウは11時ちょうどのスタート。

120602ワールド結果
120602オープン結果
120602ユース結果

ジュニアクラスとオープンクラスはセクションは同じで、21歳までのジュニア以外のライダーがオープンクラスとなる。オープンではポイント獲得を逃した藤原慎也が、こちらでは15位でポイントを獲得した。

120602ジュニア結果

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