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日本のニュース

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全日本第1戦詳報

黒山
今年も強い。
黒山の快進撃がスタートか?

 3月13日、全日本選手権第1戦は、例年の通り、真壁トライアルランドで開催された。
 国際A級スーパークラスの戦いは、厳しい神経戦に打ち勝った黒山健一が勝利。わずか数cmのミスに泣いた野崎史高が2位となった。


 真壁は岩盤の会場で、土の斜面のセクションがひとつだけ設けられていた。セクションは11セクションでこれを3ラップ。第5セクションが国際A級と国際A級スーパークラスのみの設定で、国際B級は10セクション3ラップとなる。観客数は1800人。参加人数は国際A級スーパークラスが10人、国際A級が44名、国際B級が55人。トータル109名で争われた。

■国際A級スーパークラス■
 今年も世界と日本をまたにかけて、全日本チャンピオンをねらう黒山健一、世界選手権に的を絞りながらも、世界選手権の開幕前の時間を利用してこの開幕戦に参戦する野崎史高、打倒黒山を目指す小川友幸は、今シーズンから4ストロークマシンでの参戦を開始する。田中太一はマシンを280から300に替えて参戦、渋谷は、初優勝を切望しつつ、世界選手権への参戦も視野に入れているという。ルーキー小川毅士のシーズンオフの負傷というアクシデントもあった。昨年TYS125Fで異質の活躍をした成田匠は、今年は再びTYS250でトップクラスに返り咲こうともくろんでいる。それぞれのシーズンインが、真壁に集まっていた。
 気合いの入った走りは、黒山、渋谷、そして野崎。もちろん、参加した者みんなが気合いがこもった走りを展開しているのだが、マシンを変えて、まだ慣熟が充分にできていない小川や田中が、序盤の5点をとってしまって優勝戦線から脱落。クリーン合戦は第1セクションにして、黒山、渋谷、野崎の3人に絞られた。
 ゼッケンの逆順でスタートした今回、スポット参戦だけの野崎は少しだけライバルよりスタート時間が早い。結果、早まわりの成田匠とともに後から走るライダーの見本となって試合を進めることになった。それが裏目となったのが第3セクション。冷たい突風にあおられて止まるべきところでぴたりと止まれず、惜しい1点を献上してしまった。もちろんこれを見たライバルたちは、野崎の失敗を糧としてクリーンする。
 次に試合が動いたのは、1ラップ目終盤。第10セクションで渋谷が乱れた。大岩の連続するこのセクションで、渋谷はらしくないばたばたと足をつく走りを見せた。しかも岩から飛び降りた際、セクションテープを固定する杭の上を通過したというジャッジで5点。あるいは、5点の判定を聞いたのち、動揺して足がバタバタと出たのかもしれないが、結果として、このセクションを境にこの日の渋谷のトップ争いが終止符を打ったのはまちがいない。この後渋谷は、どんどん減点を増やし、3ラップ目の最終セクションでは前転して落下、燃料タンクを岩にたたきつけて割ってしまうというアクシデントとともに試合を終えた。優勝争いから一転、結果は4位となった。

田中

1ラップ目にふたつの5点。
しかし試合を投げず、
しっかり走った結果が出た

 渋谷を逆転したのは田中太一。序盤の第1セクションで5点、さらに渋谷の敗因となった1ラップ目の第10セクションでも岩に登れず5点。どちらもガスガス300のエンジン特性を自分のものにしきれていない不安がもろに的中した結果だ。しかし田中は、ここで崩れず、ひたむきにがんばった。2ラップ目1点、3ラップ目1点と終盤の追い上げは見事で、その活躍が渋谷を逆転して3位獲得につながったのだった。
 さてトップ争い。1ラップ目にオールクリーンした黒山は有利な戦況のまま試合を進めるが、野崎の粘りもすばらしかった。1ラップ目は風にあおられた1点の減点のみ。2ラップ目は、黒山も野崎もそれぞれ1点ずつの減点だった。黒山の減点は第9セクション、野崎の減点は第2だった。今回のセクションは、IASのライダーなら、何度かトライすれば必ずクリーンが出せる設定だった。しかし逆に、3ラップを通じて、確実にトライをするのはかなりの至難になる。その結果が、試合に正直に現れている。黒山と野崎は、我慢大会のような、息のつまる神経戦を演じている。
 3ラップ目、ミスを犯したのは、野崎だった。国際B級ラインのない思い切った設定の第5セクション。上り口のライン上にあった小石に走路を乱されて、登った上で1回足をついた。乱れたというのも、ほんの数cmのことだという。ほんの2cm、3cmの乱れが、勝敗を決定づけるのが、全日本のトップ争いだ。

野崎

昨年最終戦に優勝して、
全日本での勝ち方を覚えたか
野崎のトライアルに「強い戦い方」が
加わっていた

 黒山と野崎の勝負を決定的にしたのは、しかしこの1点ではない。乱れたまま次のラインを選ぼうとして、さらにバランスを崩した。ここでもう1点足をつけば、傷も最小限で済んだのかもしれない。しかし野崎は、黒山との神経戦を重んじて、これ以上1点を減点を増やせないと考えた。その結果、マシンがわずかに後退して、バック5点となってしまった。黒山との勝負で、5点のひとつは決定的だった。
 試合後の野崎は、試合の結果にはくやしいが、納得のいく試合運びができたという満足げな表情だった。黒山に対して、一歩も引かぬ戦いができたことが、野崎の収穫だ。
 これに対して、まったく不本意な試合を進めてしまったのが、小川友幸だった。小川はニューモデルRTL250Fをもてぎの世界選手権でデビューさせ、驚異的な成績を収めた功労者だったが、小川の本来の舞台である全日本選手権では、まったく本領が発揮されないという悲劇が、小川を襲った。
 2ストロークから4ストロークへの根本的なマシンスイッチに対する順応性もあるだろう、乗り方を変えるべき点に悩んでいるのかもしれない、さらに、小川の好みに合わせたマシンを作るセッティングのノウハウの問題もある。マシンが手元に届いたのが、年が明けてからだったという立ち後れもあった。それらのハンディの上で真壁にやってきた小川に、決定的なトラブルが襲った。ようやく仕上げたリヤショックが、当日の朝のウォーミングアップで壊れて使えなくなってしまったのだ。1本しかないリヤショックで、替わりはない。標準仕様のリヤショックを装着して挑んだ第1戦は、やはり思い通りにはならなかった。
 悩む小川を破って5位を得たのは、成田匠だった。成田は125ccマシンから勝つためのマシンを選びなおして、真剣に上位を狙った。それでも、成田の選ぶラインは他のライダーとは大きくちがっていて、成田ファンの期待にたがわぬ走りを見せた。成田自身は、もっと好成績を目指して走ったと残念そうだったが、トップ争いを目指す土俵に復帰した新生成田の緒戦としては、まずまずの結果だった。
 去年のルーキーの二人、井内将太郎と小川毅士の争いは、今回は井内の勝ち。しかし井内は、トップとの圧倒的な点差をなんとかすべく、課題を模索中。井内の当面の努力目標は、体力の増強らしい。一方の小川は、今回は出場したのが不思議という状態だった。シーズンオフの負傷は背骨がつぶれているという重症で、無理をすれば選手生命はおろか、この先大きな障碍を残すことにもなりかねない。本来なら安静にすべきところだったが、背中に強いストレスがかかるセクションをエスケープして走りきった結果が今回の最下位だった。昨年のこの大会ではマシントラブルを起こして散々だったが、今年もつらい開幕戦となってしまった。
 このクラスルーキーの二人、田中善弘と尾西和博は、こちらも対照的な1日をすごした。なんと田中もまた、ウォーミングアップでミッショントラブルを起こし、修理に2時間近くを要した。その間田中は下見に専念し、マシンがなおるや一気にセクショントライをして1ラップ目の制限時間3時間半に1分遅れとしたが、もちろん、その実力をまともに発揮できるような状態ではなかった。次回以降、その爆発力が遺憾なく発揮されるにちがいない。
 尾西和博は、16歳で自転車トライアルのチャンピオンを獲得してから、ゆっくりとオートバイのトライアルでステップアップしてきた。ようやく最高峰クラスに上り詰めた。序盤の走りは、スーパークラスのセクションに対して一歩も負けていない印象だったが、終わってみると、1年生としてのポジションに落ち着いていた。1日の試合を通して、スーパークラスを戦えるようになるには、少し時間が必要かもしれない。

■国際A級■
 ライダーの入れ替わりがあって、結末が占えないという点では、もっとも魅力的なのがこのクラス。今回は三谷英明、佃大輔らがスーパークラスから降格してきた。このほかにも田中裕人、本多元治、岡村将敏など、スーパークラスの経験者は多い。ステップアップを狙う新人層は、これらベテラン勢を踏み越えていかなければいけないのだから、たんへんだ。しかしそれが試練として有効なのかもしれない。

英明

RTLにパソコンをつないで
セットアップ中の三谷英明。
「これをやるより乗ったほうが結果はいい」とは
三谷英明から一般ライダーへのアドバイスだった

 1ラップ目からトップに立ったのは、やはり三谷英明だった。三谷は、しかしこのところ、自分の練習時間がほとんどない。自分のRTL250Fに乗るのは、今回が2回目だという。藤波貴久らの乗るワークスマシンの開発で、テストやヨーロッパ行きを繰り返す三谷だが、やはり自分の練習ができないというのは大会に臨むにあたっては不安があった。
 三谷にとって、スーパークラスでの戦いは「クラッシュしたらどうしようという不安との戦い」だったという。スーパークラスの険しいセクションに対しての練習が足りなければ、そういった不安はいよいよ大きくなっていく。しかし一方、スーパークラスから国際A級に降格したら「勝ってあたりまえだろう」といわれるにちがいないと、みんなの反応も心配だった。
 三谷の目には、国際A級のセクションは、やはり少しやさしいと感じたという。しかし三谷は同時に、国際A級のレベルの開きも知っているから、今のセクションレベルが適切なものであることも認める。しかし反面、なめてかかってクリーンができるか、優勝できるかというと、そういうセクションではない。きっちり走って、ミスなくセクションを走破し続けなければ、勝利はない。それは、誰にとっても、そんなに簡単にできることではない。三谷にとって、スーパークラスはひたすら攻め続けるクラスで、国際A級でトライアルをするのとは、ニュアンスのちがうものだったということだ。
 今回は、三谷には敵が現れなかった。しかし今後は、すべての国際A級ライダーが打倒三谷を目指してくる。三谷とて、楽勝ではない。そして。
「A級で勝っても楽しくないでしょ、みたいなことを言う人もいたけど、やっぱり勝ってうれしかったし、勝ってよかった。ぼく、なんでか優勝に恵まれてなくて、今日の優勝は、33歳にして、初優勝なんですよ」
 勝利者は、やっぱりきちんと称賛してあげなければ、スポーツに明日はない。おめでとう! 三谷英明。
 三谷に続いて2位に入ったのは、1年間のブランクを経てトライアルに復活した小森文彦。ラップごとに減点を減らして、3ラップ目にはラップオールクリーンした。試合勘が戻っていなかったということだったのだろうか。とすると、次戦は楽しみだ。
 そして3位は坂田匠太。三谷、小森がスーパークラスからの降格組なら、坂田は国際A級3年目のルーキーだ。まだ若い坂田のこと、これからどんどん成長するにちがいないが、今回の表彰台は、大きなステップとなるにちがいない。
 そして今回6位に入ったのは、野本佳章。B級ランキング2位から今年昇格した1年生A級ライダーだ。ここ数年、B級から昇格した若手が、いきなりポイントをゲットするような活躍をすることはない。真壁は野本にとって地元とはいえ、持ち前の明るく前向きな性格が、国際A級の試合にばっちりフィットした結果が、今回の金字塔を打ち立てた。今シーズン、本当の実力を証明することになる。

■国際B級■
 今シーズンを占う意味で、観戦する側からしても貴重な1戦。優勝は岩手の高橋由。2004年は全8戦のうち4戦のみに出場し、国際A級の昇格切符をあと一歩でとりのがした才能の持ち主。今年は全日本を追うことになったらしいので、注目すべきB級ライダーの一人となった。
 その高橋と勝利を争ったのは小倉昌也。去年国際B級1年目で、惜しくもA級昇格を逃している。でも小倉は、堅実にステップアップしていくタイプと見受けられるので、今シーズンの成長が見物となった。今回は、1ラップ目も2ラップ目も高橋と小倉は同点で、勝負の行方はまったくわからなかった。3ラップ目に小倉が1点多く減点し決着した。息の抜けないB級の争いも、おもしろい。
 紅一点、デ・ナシオン2位入賞に貢献した高橋摩耶も、今年から国際B級に出場。緒戦は49位。ポイント獲得にはまだ少し距離があるようだが、高い走破力という長所と、ひとつのセクションを通じて自分のレベルを維持できないという弱点がそれぞれはっきり出ていたような気がする。今シーズン終わり頃には、きっと大きく変身しているはず。

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