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ボウ2連覇を勝利で決める

08スペインのボウ

 世界選手権最終戦は、スペインのバルセロナ北西、カステローリのパルクモトル・サーキットで開催された。最終戦までタイトル争いがもつれたのは世界選手権クラスのみ。ほとんどタイトル決定同然に持ち込んでいたトニー・ボウは、この大会をぶっちぎりの勝利で飾り、2007年に続いて2連覇を決めた。
 藤波貴久は、1ラップめには2位につけていたが、2位争いはアダム・ラガ、ジェロニ・ファハルドとの間で熾烈なものとなった。2ラップめにややミスが多かった藤波は、わずかの差で表彰台を逃して4位となった。
 ジュニアクラスはアルフレッド・ゴメス、ユースクラスはフランチェスコ・モレットがそれぞれ勝利した。2008年チャンピオン不在の両クラスだったが、新チャンピオンはクラスをステップアップして、それぞれ好成績を挙げている。

08スペイン表彰

 世界選手権のスタートは、前の大会の結果に準じて決まる。最終スタートはトニー・ボウ、藤波は前回4位だったので、アルベルト・カベスタニーについで、最後から4番目のスタートとなった。
 山の中のサーキットで、周囲の山もなかなかけわしい。高低差がある上に、ぬれれば滑りやすいし、乾けばぱさぱさでやっぱり滑りやすい。攻略は手強そうに見えたが、しかし意外に、トップグループも含めて、進行は早い。藤波も、4番スタートを不利に感じるどころか、ときにはカベスタニーより先にトライするなど、自分のペースを守って試合を進めていた。ラインに悩んでているならともかく、下見を長くしたところで、粘り始めたらあとからスタートした連中が藤波より先にトライすることはない。つまり彼らのラインを参考にはできないということになる。だったら、なまじいっしょに走ってラインを盗まれるよりは、カベスタニーやランプキンのトライを参考にして、ライバルには自分の走りを見せないでおくほうがいい。もちろんそれは、自分の走りが組み立てられているからこそできることで、今日の藤波の好調ぶりがうかがえた。
 はたして1ラップめ、藤波はボウに1点差、ファハルドに2点差をつけた。1ラップめが好調なのは藤波のパターンだが、まずまずではある。
 しかしそれ以上に、ぶっちぎりの好調ぶりを見せたのが、トニー・ボウだ。前日の練習でも、マシンに悩む藤波や、練習場の岩がどうしても攻略できないラガを尻目に、ひとりでどんどん先へ進んでいった。登れるか登れないかのポイントを、ボウはダニエルでフロントをあげたまま攻略しようとして苦労している。まったく、別格といった感じだ。
 しかしこれだけボウの実力が突出しているといっても、実際に試合になると、実力分だけ成績がいいかというと、そんなこともない。トライアルが、いかにメンタルの及ぼす影響が大きいスポーツかを証明するかのような事象ではある。
 しかし今日のボウは、実力差そのまま、抜群の強さを発揮した。ここは、ボウの家からほんの10分ほどの距離にある。いつもはホテル住まいで世界選手権を転戦するボウだが、この日ばかりは家から直接会場入りをした。地元での開催ということは、応援団もいっぱいやってくる。子どもの頃に一緒に遊んだ仲間たちも「おらがトニーが世界チャンピオンになるのを見にいこう」ってわけで、大挙してやってきた。ボウの気分がいつもより、はるかに高揚していたのもうなづける。
 1ラップめ、藤波が15点でまとめたところを、ボウはたったの3点で帰ってきた。これは、よっぽどのことがない限り、ボウの勝利は揺るがない。もともと、今回の最終戦でタイトルに王手をかけているボウは、今回10位に入ればラガが勝ってもチャンピオンを決められる計算だった。10位というのは、ボウにとっては走ってさえいれば手に入る結果だから、あとはゴールさえすればいいということになる。ただしかし、そのために安全をとってセクションを回るなんて計算は、ボウにはできない。友人や地元の知り合いが多数いる前でタイトルを決めるのだ。勝たないでどうする。

08ボウのチーム

タイトル獲得の記念写真。
藤波も含む、モンテッサチームのみんな

 実はボウは、タイトル決定の瞬間を迎えるのは初めてだ。2007年に世界チャンピオンになったボウだが、去年は最終戦ベルギー大会が突然中止になって、次でタイトルを決めるぞと意気込んでいたら、知らない間にチャンピオンになっていた。もちろんうれしくないわけはないが、自力で勝ち取ったという実感はない。今回は、タイトル獲得の瞬間を、去年の分まで味わわなければいけない。そのためには、勝利が絶対に必要だ。
 2ラップめに入っても、ボウの勢いは衰えない。結局30セクションにわたって5点はひとつもなし。合わせて10点で試合をまとめてしまった。つまり、2ラップめにほかの誰かがオールクリーンをしたとしても、ボウの勝利を脅かすことはできなかったという計算になる。地元で、世界チャンピオンを決定する一戦で、ボウは完璧な勝利を演出した。
 手のつけられないボウはほうっておいて、熾烈なのは2位争いだ。今回は最後から2番手スタートのファハルドが、なかなか調子がいい。1ラップめは4位だったが、2位に2点差だし、1ラップめに失敗したポイントを、2ラップめは確実に攻略してきた。
 ラガは、あいかわらず後半が強い。しかしそれでも、14セクションでは1ラップ同様に5点となるなど、ボウを追撃するには、あと一歩勢いが足りなかった。
 藤波は、全体的にはクリーンを連発して悪くはないのだが、いくつかの5点が戦況を厳しくしていった。そして最後の最後、ジョルディ・タレスが作った人工セクションで5点。この5点がなかったら、2ラップめの減点はラガとファハルドと藤波、3人がそろって10点となるところだった。
 最終セクションで失敗した藤波は、怒りをあらわにした。もちろん自分自身に対してのくやしさと怒りだ。ゼッケンを引きちぎり、ついでに大事なスコアカードまで放り投げてしまい、すでにゴールしていたイタリアのマウリノが拾って、おそるおそる藤波に差し出していた。こみあげるものを抑えられない藤波は、きっとなかなか近寄りがたかったにちがいない。
 これで藤波は、最終戦でも4位。終盤の2戦で表彰台を逃す結果となった。うまさはまだまだ世界のトップクラスなのだが、トライアルで成績を出すというのは、本当にむずかしいことだ。
 なおこの大会、ポルトガルでジュニアのタイトルを決定したロリス・グビアンが世界選手権クラスを初めて走り、同じシェルコながら4ストロークに乗るダニエル・オリベラスに1点差の9位となった。うまいけれど、気の弱いところが多かったグビアンだが、チャンピオン獲得は精神的にも大きな収穫となったことだろう。
 対してオリベラスは、この大会を最後に世界選手権から撤退するという話が流れている。
 ジュニアクラスでは、ユースチャンピオンのジャック・チャロナーほか、ダビッド・ミランやポウ・ボテラなど、多くのユース選手が参加した。チャンピオンのチャロナーは、ジュニアクラスでも4位となって、2009年に向けて早くも幸先がいい。
 対して締めくくりもイマイチだったのは、開幕ダッシュをしたにも関わらず、終盤追い上げられてグビアンにタイトルを奪われたアレックス・ウイグ。ウイグは今回も同点クリーン差で勝利を逃し、表彰台でも終始くやしさに舌をかんでいた。ウイグは、来シーズンは再びガスガスに乗るという。
 ユースクラスでは、フランチェスコ・モレットが4勝目。ポルトガルとスペインは2連勝で、これも2009年に期待できる最終戦となった。モレットはタレスチームのエースで、ボウのあとをになう次世代のトップライダーとしての成長が期待されている。
RESULTS

Photo Pla. Rider/Machine/Nat. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 計+TP 合計 C
1 Toni Bou 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 3+0 10 23
Montesa SPA 0 2 0 1 0 3 0 0 0 0 0 1 0 0 0 7+0
08スペインラガ 2 Adam Raga 0 5 0 0 1 3 0 0 0 0 1 1 0 5 0 16+0 26 19
GasGas SPA 0 1 0 0 0 0 0 0 2 0 1 1 0 5 0 10+0
09スペインファハルド 3 Jeroni Fajardo 0 2 0 5 3 1 0 0 0 0 0 1 0 0 5 17+0 27 19
Beta SPA 0 1 0 0 0 2 5 0 0 0 1 0 0 1 0 10+0
08スペイン藤波 4 藤波 貴久 0 1 0 1 0 3 2 0 0 0 1 1 0 5 1 15+0 32 17
Montesa JPN 0 5 0 0 0 5 0 0 0 1 0 0 0 1 5 17+0
L1+L2+T/O C
5 Albert Cabestany Sh SPA 32+11+0 43 17
6 Dougie Lampkin Be GBR 35+25+0 60 9
7 Marc Freixa Ga SPA 56+25+0 81 11
8 James Dabill Mo GBR 47+44+0 91 9
9 Daniel Oliveras Sh SPA 57+41+0 98 8
10 Loris Gubian Sh FRA 54+45+0 99 5
11 Daniele Maurino Ga ITA 56+60+0 126 0
12 Nicolas Gontard Ga FRA 69+75+0 144 0
R Henri Himmanen Be FIN
R Francesco Iolitta Sc ITA
FIMジュニアチャンピオンシップ
L1+L2+T/O C
1 Alfredo Gomez Mo SPA 19+4+0 23 20
2 Alex Wigg Mo GBR 9+14+0 23 19
3 Matteo Grattarola Sh ITA 25+15+0 40 12
4 Jack Challoner Be GBR 28+17+0 45 11
5 Guillaume Laniel Ga FRA 33+18+0 51 11
6 Ross Danby Ga GBR 38+24+0 62 9
7 Sam Haslam Ga GBR 31+34+0 65 4
8 David Millan Sh SPA 40+28+0 68 6
9 Adrian Pastoriza Ga SPA 34+35+0 69 12
10 Laia Sanz Mo SPA 39+35+0 74 6
11 Pau Botella Ga SPA 44+33+0 77 6
12 Fredrik Johansson Be SWE 48+33+0 81 8
13 Alexis Cervantes Sh FRA 44+43+0 87 4
14 Japn Junklewitz Sh GER 47+40+0 87 2
15 Jan Peters Be GER 63+63+0 126 0
16 Kyle Middleton Ga AUS 65+62+0 127 0
17 Jean Philippe Lerda Sc FRA 67+67+0 134 0
18 Marijan Griebel Mo GER 71+64+0 135 0
19 Ewoud Lalkens Ga NED 69+71+0 140 0
Neil Price Be AUS 68+68+0 136 0
Jochen Schafer Mo GER  タイムオーバー
R Christian Kregeloh Sh GER
R Ivan Peydro Ga SPA
R Thibault Martel Ga FRA
FIMユースカップ125cc
L1+L2+T/O C
1 Francesc Moret Ga SPA 13+4+0 17 21
2 Alexandre Ferrer Sh FRA 20+1+0 21 22
3 Benoit Dabnicourt Be FRA 20+16+0 36 14
4 Luca Cotone Sh ITA 21+22+0 43 11
5 Marc Horrach Ga SPA 25+19+0 44 13
6 Tanguy Mottin Ga FRA 29+24+0 53 13
7 Pere Borrellas Ga SPA 31+25+0 56 10
8 Francesc Ciurana Be SPA 31+27+0 58 11
9 Janathan Richardson Sh GBR 38+20+0 58 11
10 Simone Staltari Ga ITA 35+25+0 60 9
11 Hakon Pedersen Sh NOR 39+26+0 65 6
12 Jake Whitaker HM NZE 38+31+0 69 9
13 Marcos Mendez Sh SPA 41+32+0 73 5
14 Guillaume Pot Sh FRA 43+32+0 75 9
15 Jonathan Walker Sh GBR 44+36+0 80 5
16 Romain Tessariol Ga FRA 42+39+0 81 5
17 Timothy Coleman Be AUS 48+34+0 82 6
18 Seoung Won An Sh KOR 50+36+0 86 6
19 Jiri Fikejz Sh CZE 43+44+0 87 3
20 Guillaume Jean Be FRA 56+39+0 95 3
21 Scott Owen Sh AUS 61+46+1 108 4
22 Marc Cabre Ga SPA 56+50+9 115 2
23 Aaro Castells Sh SPA 65+51+0 116 3
24 Pedro Sousa Ga GBR 65+55+0 120 2
R Oscar Gerboles Be SPA
R Maxime Warenghien Sh BEL
Rebekah Cook Ga GBR

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