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藤波が開幕戦で2位

09シェフィールド表彰

 2009年のインドア世界選手権が始まった。開幕戦はイギリス・シェフィールド大会。今回からインドアの試合ルールが変更になり、決勝ラップを6人で戦うことになった。
 藤波は予選ラップを5位で通過したが、決勝で実力を発揮。最終セクションまでトップを狙う位置につけた。最終セクションでボウがクリーン、3年連続タイトルに向けて幸先のいいスタートを切った。
 1点差でボウを追っていたラガが最終セクションで3点を失い、ラガに1点差で3位につけていた藤波が最終セクションを1点でまとめたことにより、藤波が2位、ラガが3位となった。ゲストライダーのドギー・ランプキンは4位と存在感を示した。
Photo:Jake Miller


 シーズンのはじまりはイギリスのシェフィールド。ドギー・ランプキンの地元でもあり、セクションコーディネイトをマーチン・ランプキンがおこなうことでも知られている。
 そのドギーは、今年はインドアのノミネートライダーからはずれている。インドアのトップライダー、アウトドアのトップライダーというノミネートの条件からはずれてしまったためだ。今回は主催者の推薦枠でゲストとして参加したが、ドギーがインドアを走るのはこれが最後になるのではないかということで、集まったファンも声援に熱が入った。

09シェフィールドのラガ

アダム・ラガ

 インドアトライアルは、今年大きな制度変更を迎えた。一番の大変化は、ユーロスポーツ(ヨーロッパの衛星放送)がインドアトライアル全戦を中継すると決めたことだ。これにより、まず中継に適したタイムスケジュールがとれるよう、試合のスケジュールの見直しがおこなわれた。
 これまで、ファイナルラップ(決勝)を走るのは3人だった。しかし3人では少なすぎるという番組サイドからのアピールがあったとかで、今年からはファイナルを6人全員で走ることになった。
 全戦に参加するノミネートライダーは6人。インドアの上位、アウトドアの上位(どちらもほとんど同じ顔ぶれだが)から選抜されたのは、トニー・ボウ、アダム・ラガ、藤波貴久、アルベルト・カベスタニー、ジェロニ・ファハルドの5人。これに、マイケル・ブラウンが加わって6人となっている。ノミネートライダーを誰にしようという論議では、当然5人の次に来るべきライダーの名が挙がったが、それはマルク・フレイシャ。藤波以外の5人がずらりとスペイン勢となってしまうこともあって、イギリスの若手ライダーが投入された(なぜダビルではなかったんだろう?)。
 従来、クォリファイラップ(予選)はライダーがひとりずつ出てきて、持ち時間の中でクォリファイラップのすべてのセクションを一気に走るシステムがとられていた。ひとりずつの走りをじっくり見られるのも利点だし、一気に走ることで、ライダーにとっても体が冷えたり温まったりということがない点で利点だった。

09シェフィールドのランプキン

主役級の活躍、ランプキン

 今年はこれが一新。複数あるセクションに、全員がそれぞれトライするという方式になった。ヨーロッパのトライアルではなじみが薄いが、日本の草大会などでよくある“同時オープン”だと思えばいい。誰がどこのセクションからトライするかは、主催者によって決められていて、好きなセクションからトライできるわけではない。
 ただし、クォリファイラップをどう運営するかは、それぞれの主催者に一任されているということなので、次回以降もこのルールでおこなわれるかどうかは不明。中継されるファイナルラップの時間が決まっているから、クォリファイラップの消化時間が不確定では困るという点からも、今回のこの形式は現実的なものではないかという気はする。
 そしてファイナルラップ。クォリファイラップで出た順位に基づいてスタート順が決まり、今度は1セクションずつ6人がトライしていく(今回のように6人以上の参加者があった場合も、ファイナルラップには6人のみが出場する)。
 このまま最後まで走るかと思いきや、半分ほど走ったところで、ファイナルラップのそこまでの順位でスタート順の変更。その順で、最後までトライが続く。

09シェフィールドのボウ

トニー・ボウ

 ルールでもうひとつ変更があったのは、ダブルレーン(よーいどんで二人で平行して走るトライアル競走)で負けたほうの減点数。これまでは1点だけだったが、今回からは2点となった。重労働のダブルレーンに勝利して、えられるアドバンテージが1点だけというのは、ちょっと少ないご褒美だとは、前から感じさせられていたことだから、これは納得いく変更だった。
 さてクォリファイラップ、ゲストライダーゆえ、第1セクションを真っ先にトライしたドギーが、なかなかよい走りを見せる。ドギーといえばシェフィールドの長年のスターだったから、この活躍にはお客さんも大喜び。声援を浴びて、ドギーの走りも往年の輝きを取り戻してくる。
 冷めた見方をすれば、今回のインドアはスペイン勢がよく走っているスペインの素材ではなく、切り出した丸太なども含まれるイギリス風味のインドアセクション。セクション製作もマーチン・ランプキンだから、イギリス人の好みのセクション設定に味つけられていたともいえる。スペイン勢は年末ぎりぎりまでスペイン選手権でインドアトライアルをやっていたから、インドアはもう慣れっこ。これに対してそんなチャンスのない藤波やドギーは大きなハンディを持つわけだが、シェフィールドはスペイン勢以外のライダーが気勢を上げるチャンスの大会なのかもしれない。
 一方、ボウはがちがちに緊張していて絶不調。らしくない失点もあって、クォリファイトップの座はアダム・ラガに明け渡してしまった。
 ラガに続いて、3位に入ってくるべきが藤波だった。しかし藤波は、この日頭からフロアに落っこちるという大クラッシュを経験。激しいむち打ちのような症状となり、ライディングにも影響が出るダメージを負った。
 ところが、ボウ同様に緊張でライディングに輝きがなかった藤波にすれば、この事故で緊張がほぐれて、よい感じでセクションを回れるようになった。首が回らないのは確かに大きなハンディだが、それ以上に自分の緊張が勝負に影響をもたらすというところに、メンタルスポーツとしてのトライアルの特質がある。

Qualificarion Lap(予選)
1位 アダム・ラガ ガスガス 6
2位 トニー・ボウ モンテッサ 9
3位 ドギー・ランプキン ベータ 11
4位 ジェロニ・ファハルド ベータ 11
5位 藤波貴久 モンテッサ 12
6位 アルベルト・カベスタニー シェルコ 17
7位 マイケル・ブラウン シェルコ 20

 これで藤波は、ダブルレーンを残して3位のポジションをキープしていた。10点。ドギーが1点差まで迫ってきているが、ボウとも1点差と悪くない位置だ。ところが最後のダブルレーンで、藤波は負けた。ダブルレーンの相手は、ドギーだった。
 藤波がダブルレーンで負けることはめったにないのだが、やはり首の影響か、それとも地元で気合いの入ったドギーが速かったのか、これでドギーは、ファハルドと同点ながら3位でクォリファイを通過し、藤波は5位ということにあいなった。去年までなら、5位となったところでインドアの戦いは終了する。“なんともくやしいダブルレーン”なんていうタイトルが浮かぶところだが、今年は5位でもファイナルに進出する。
 そしてファイナルラップ。ボウの緊張はまだ続いている。ラガとのダブルレーンでは勝利したものの、ボウ以外の全員がクリーンした第3セクションで5点をとるなど、本調子とはほど遠い。とはいえラガもラガで、ダブルレーンでボウに負けたり、第1セクションで5点をとったり(第1セクションはそれなりにむずかしかった)失点があり、第4セクションを終えたところで、ボウとラガは7点で同点だった。

ファイナルナップ
名前 ダブルレーン 2 3 4 小計


5 6 7 合計
1 ボウ 0 1+1 5 0 7 0 0 0 7
2 藤波 2 5 0 0+1 8 0+1 0 0+1 10
3 ラガ 2 5 0 0 7 0+1 0 2+1 11
4 ランプキン 0 5 0 0+1 6 5 0 5 16
5 カベスタニー 0 5 0 5 10 5 0 5 20
6 ファハルド 2 5 0 5 12 5 2+1 3+2 25

 ここに伏兵がいた。ボウとラガを脅かした伏兵は、残念ながら藤波ではなく、なんと引退興行でもあったドギー・ランプキンだった。ドギーはダブルレーンでファハルドに勝利し、5点ひとつ1点ひとつで6点。なんとここまででトップである。
 4セクションを終えたところでスタート順の組み替え。ドギーが一番最後からトライするという、イギリスファンの溜飲を下げる展開となった。
 しかし、ここでようやくエンジンに火が入ったのがボウだ。最初の4セクションを3位で終えたボウは、藤波に次ぐ4番手でスタート。最初にトライしたファハルドが5点、続くカベスタニーも5点。3番手の藤波はクリーンをしたものの1点のタイムオーバー減点。さらに続くボウはクリーン、ラガがクリーンのタイムオーバー1点で、最後にトライしたドギーが5点。
 勝負は、いつものトップ3に絞られてきた感があった。続くセクションでは、ファハルドが3点をとった以外はみなクリーン。勝負は最終セクションにもつれ込んだ。

09シェフィールドの藤波

藤波貴久

 最終セクションは水のセクション。ファハルド、カベスタニーが5点。これで5位、6位が決定だ。続いて藤波はタイムオーバーをしながらもクリーンで、減点は1。トータルの減点は10点となった。この時点で、藤波の3位以上げ決定した。
 次はボウ。後半2セクションを連続クリーンしたボウは、最後のこのセクションも見事にクリーン。トータル減点は7点。この時点でラガは8点をとっていたから、ボウの勝利が決まった。
 続いてラガのトライ。すでに勝利はなく、1点なら問題なく2位が確定するラガだったが、どうしたことか走りが乱れた。2点減点の上にタイムオーバーで、あわせて3点。トータルでも11点の減点となり、なんと最後の最後に、優勝争いから3位にまで転落することになった。
 この大会のフィナーレを飾ったのは、地元のスター、ドギー・ランプキン。最後は5点だったが、インドア世界選手権での4位入賞は、ドギーにとってもイギリスのファンにとっても、印象深いものとなったにちがいない。
 ランキングは、これも今年から変更になったようで、1位から6位までに、8、6、5、4、3、2点と与えられる。次回は1月24日のマルセイユ大会となる。

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