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2016 SSDT、3日目までの様子

SSDTが始まっている。5月2日月曜日から、5月7日土曜日までの6日間のシックスデイズだ。

今年は天候が荒れているようで、初日には沢が激流となってセクションキャンセルとなったりしている。大雨、雪の中を走るのもSSDTの風物詩だから、それはそれなのかもしれないけれど、日本からの初出場の面々はさぞやきびしい思いをしているにちがいない。今年は7人の日本人ライダーがスコットランドの荒野に挑戦している。

マイケル・ブラウンリーダーゼッケンの黄色いゼッケンプレートをつけるマイケル・ブラウン

3日間を終えて、トップに立つのはマイケル・ブラウン。ブラウンは日本GPにも来日しているが、ポイント獲得には至らず。昨年の日本GPの最終セクションで墜落して足を骨折していて、そのケガはまだ完全には治っていないということだった。それでも、日本GPの1週間後のSSDTに出場するのだから、イギリスのトライアルライダーにとって、SSDTがいかに特別な存在なのかがわかる。

彼らにとって、SSDTのセクションそのものはむずかしいものではない。たとえば3日目にサム・コナーがオールクリーンを達成している。コナーには優勝経験もあるが、世界選手権を走っていた頃はなんとかポイントを獲得するというライダーだった。だから技術的には、SSDTを勝利できるライダーは、イギリス人を中心に100人以上はいるのではないかと思われる。それでも、風雨と寒さに耐えながら、1日30のセクションをすべて完璧に走るのは、技術以上の能力が必要になる。

セクションが簡単、といってもそれは世界選手権のポイントランカーにとって、だから、たいていのライダーにはきわめて難関なセクション続きになる。そして技術のあるライダーにとってもそうでなくても、油断は大敵だ。

ブラウンは1日目3点、2日目6点、3日目1点と、集中力を欠かさずに日々トライを続けている。世界選手権ではリハビリ中だが、イギリス人にとって、SSDTは世界選手権に劣らない重要なイベントだから、今年のブラウンはSSDTにかけているのだろう。

3日目トップ立っているドギー・ランプキン トップ争いをする2日目のドギー・ランプキン

去年、ヴェルティゴをデビューウィンに導いたドギー・ランプキンは、今年も優勝候補の最右翼だ。3日を終えた時点でブラウンに1点差だが、2日目にはオールクリーンしている。

先日、父にして初代世界チャンピオン、マーチン・ランプキンを病気で亡くしたドギーだが、ドギーには弟がいる。それがハリー・ランプキン。兄貴同様にヴェルティゴに乗る。トライアルは才能がないからやってない、とマーチンに聞かされたような気もするが、どうして3日間を終えて40位の好成績だ。

もうひとり、ジェイムス・ランプキンは9位。こちらはドギーの兄弟ではなくていとこになる。マーチンは3兄弟だったが、ドギーとジェイムスと、今はベータUKの仕事に専念しているジョン(世界選手権で1勝の経験がある)の3人が、それぞれの3兄弟の長男になる。ハリーはヴェルティゴに乗るが、ジェイムスはベータに乗る。イギリスはランプキン家とその一族(ヘミングウェイも親戚らしい)の勢力が強力だが、ランプキン家がヴェルティゴとベータを仕切っているのだから、トライアル環境としてはなんとも恵まれているわけだ。

ヴェルティゴはオーナーのマヌエル・ジャネさんも出場している。息子のアレックスもいっしょに参加していて、息子の方が若いだけにちょっと成績がいい。お父さんも1日を100点以下にまとめていて、なかなか立派なライダーぶりだ。

イギリス人のSSDTに対する特別な感情は、当然ながら他の国のライダーにはなかなか理解できない。そんな中、スペインにはカルロス・カサスさんというSSDT名物がいて、毎年のように参戦して、好結果を残している。今年は今現在76位で、30点から50点で1日をまとめてくるから相当なものだ。トライアル雑誌はレポートがへたくそだもんだから、こういう強者を、日本のツートラおじさんと同じように思われてしまうかもしれないけど、世界は広い、上には上がいる、ということだ。

毎年のように参加しているといえば、日本の小林由利子さんがいる。彼女は今年で6回目の出場になる。去年はガス欠でマシンを荒野に置いて歩いて帰ってくるという経験をした。ところが今年、また同じような目に遭って、今度はガス欠の恐怖から、セクションを飛ばしてゴールに帰ってきた。ところがこれが、失格の裁定となってしまった。

SSDTでは、いくつかのセクションがまとまって設けられている。これをヒル(丘)と呼んでいる。セクションをひとつ無視すると50点減点となる(現在は申告5点が認められているから、50点は完全な見落としの場合に課せられる減点)。ところがヒルを丸ごと見落としてしまうと、それは失格の対象となるんだそうだ。

セクションひとつにでも寄って申告5点をもらっていればよかったというのは結果論で、ガス欠の不安から止まる余裕はなかったという。残念だけど、それもまたSSDTの勝負ということになる。

SSDTには40歳以上クラスという賞典がある。現在トップはドギー(小川友幸と同い年なのだが、ドギーの方が少しお兄さんなのかな?)がトップだが、2位にはアモス・ビルバオがいる。アモスはモンテッサ4RTの発展型オフロードスポーツ4Rideを走らせる。2日目6点、3日目7点は見事というしかない。現在、総合でも14位だ。

昔なつかしい人シリーズでは、ジョン・シャート(TY-R用のサイレンサーで名前を覚えている人はいないかしら?)が59位。根っからのヤマハファンで世界選手権でも活躍したナイジェル・バーケットが67位。これらは創世記の頃の世界選手権を知るライダーだ。

81年世界チャンピオン、ジル・ブルガは97位。3回の世界チャンピオン、ティエリー・ミショーの兄にしてやはり世界選手権ライダーだったフレッド・ミショーは150位となっている。

エマ・ブリスト女性ライダー、エマ・ブリストは、3日目終了時点で45位

女性ライダーは今回は8人が参加。この中ではやっぱり世界チャンピオン、エマ・ブリストがぶっちぎりで強い。3日が終わって45位。ハリー・ランプキンに5点差に迫る勢いだ。エマは世界チャンピオンだし、ハリーはチャンピオンの弟だから、あるいはハリーのほうがすごいのかもしれないけれど、もはやエマは女性ライダーの枠ではなくて、強いイギリス人の一角として数えたほうがいいのかもしれない。

女子2位争いはおもしろい。ケティ・サンターは、親父が創成期のトライアルライダーで、いわばドギーやヘミングウェイと同じく2世ライダー。世界選手権などで見る限り、走りはぱっとしない感じだったが、SSDTでは、世界選手権とは別人のような成績をおさめる。そして世界選手権がノーストップルールを採用して以来、成績を上げてきているライダーだ。

そのケティと、サンドラ・ゴメスが同点で女子2位争い。ゴメスは2011年ジュニアチャンピオン(今のトライアル2)のアルフレッド・ゴメスの妹だ。

そのふたりに10点ほど遅れて、ベッキー・クック(タルボットさんと結婚したのだが、リング名はベッキー・クックのまんまになっている)。かつてはライア・サンツ追撃の最右翼だったのだけど、最近はちょっとおとなしくなっている。

女子4位がドンナ・フォックス。トライアルをしている姿を初めて見てからでも15年が経過しているから、なかなかのベテランとなっている。女子5位がジェス・ボウン。この人は知らない人だった。そしてこのジェスと同点で194位につけているのが、日本人最高位波田親男だ。ご存知ナミタレーシングの親分。2日目に8分のタイムオーバーがあったものの、まずまず順調といったところか。

初出場の喜岡さん
初出場の喜岡さん

波ちゃんに続いてやはり初出場の国際A級ライダーが喜岡治。減点にしてたった4点差。ふたりの間では、残りの3日間、熱い戦いが繰り広げられるにちがいない。スコットランドでは、そのへんの1点2点の差はどうでもいいことのように思えるし、実際そういう問題ではないのかもしれないけど、日本に帰ってきたら、最終結果がいいほうがお殿様だから、しばらくは荷物持ちとかさせられてしまうにちがいないのです。

喜岡さんにつづいて日本人3番手は初出場の宮原剛さん。3日目は47分タイムオーバーとあやうかったけれど、244位で挑戦を続けています。その宮原さんに6点差で参加2度目の大西弘晃さん。さらに3点差で3度目の挑戦の河野完次さん。この3人は順位が並んでいる。そして一人置いて248位が杉浦勝好さん(参加2度目)。いまのところ、失格せずにはしっているのが杉浦さんまで、ということになる。

日本人では、残念ながら井之前正輝さん(参加2度目)がリタイヤとなっている。ミッショントラブルで失格、戦列を離れたが、木曜日以降もスタートはしていくということだ。

さぁあと3日。といってももう4日目は終わっているから、あと2日間、みなさんがんばってください。さて、4日目のリザルトはどうなっているかな?

Photos:Trialscentrai.com

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