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今度はラガに惜敗の藤波

0906イタリアの表彰台

 6月21日、イタリアで世界選手権が開催された。この大会、トニー・ボウが失速して3位。アダム・ラガが優勝で、藤波貴久は日本大会に続いて2位入賞した。

09イタリアのラガ

 イタリアはいまやもっともトライアルに適したお国といえる。ここ何年も、イタリア大会は北イタリアを舞台に開催されている。アルプスの山麓を舞台とする世界選手権は、自然のロケーションを最大限に利用した、過激な設定が数多い。アルプスの反対側のスイスでは、環境への配慮が厳しく自由度がほとんどないだけに、イタリアは貴重な存在だ(といって、環境へのダメージが決定的だとは、どうしても思えない)。今回のイタリア大会は、ミラノの近郊での開催。大都市から近いとあって、実数として1万人を超えるギャラリーが詰めかけて盛況だった。
 日本大会の日曜日、納得のいかない5点の採点で調子を崩したトニー・ボウだったが、悪夢は再び起こった。日本では第7セクション、今回は第8セクションだった。ボウが犯した失敗は、またしてもカードを動かしたこと。怒りにまかせず、オブザーバーにていねいな質問をして判定を見直してもらうようにお願いするボウ。しかし採点はくつがえらず、ボウの精神状態は乱れたまま、続くセクションに挑むことになった。それがいけなかった。
 第9、第10と立て続けに5点。この3セクション、トップ3は(2ラップ目のボウも含めて)ほとんど1点かクリーンだから、ここで一気に10点以上のハンディをかかえこんだことになる。
 勝負は、藤波とラガの一騎討ちになった。1ラップ後半、時間がない。この日、ジュニアとユースには多くのライダーが参戦していた。そのほとんどが、前日のヨーロッパ選手権に参戦している。セクションはほとんど同じ。いきおい、下見が短く、ペースが早い。この日が初めてのトライアルとなる世界選手権組は、彼らの2ラップ目に完全に飲み込まれることになった。リザルトを見ても、世界選手権組の1ラップ目には軒並みタイムオーバー減点がある。それは、こういう事情からだった。
 1ラップ目後半、急ぎセクションをこなして、軒並み減点を増やしていくライダーたち。セクションもむずかしかったが、それは前半も同じだった。時間がないことが、ライダーの集中力を微妙に奪い、押さえられるはずの減点を蓄積させていく。

09イタリアの藤波

 日本で2位となった藤波は、今回はラガより後からスタートした。しかし時間との戦いになることを読んで、ラガに先行して2ラップ目に入った。足つきの減点は2点差で遅れていたが、タイムオーバーが4分少なかった。トータルでは、藤波が2点差のトップ。
 2ラップ目、ボウが逆襲を試みる。藤波とラガはがまん大会だ。よりがまん強かったのは、ラガだった。ラガは、ボウが3点で抜けた以外全員が5点となった14セクションでの5点以外、1点がふたつというすばらしいスコアで、藤波を振り切って今シーズン2勝目にたどりついた。
 藤波は、13セクションでの3点が致命的だったと振り返る。1ラップ目に時間がない中で5点になっているから2ラップ目は集中してのぞんだ。しかしちょっとした乱れでばたばたと足をついてしまった。
「やってしまったなぁ、という感じ。今日は、あれが決定だった」
 14セクションも、けっして不可能という設定ではなかったから、あれがいっていれば流れも変わったと、くやしさはつのる。
 しかしそれでも、今大会は楽しく走れたという藤波。シーズン序盤に苦しみながらセクションをこなしていた日々に比べると、ここへきて一気に本来のフジガスっぷりを取り戻している藤波だった。

09イタリアのボウ

今回は3位のトニー・ボウ

 藤波はこの2位入賞でランキングも3位まで復活した。日本大会とこのイタリア大会で、標的のアルベルト・カベスタニーの調子がよろしくなかったのも幸いしたが、20点差をわずか3戦で逆転したのだから、その強さもホンモノだ。ただしここから上はなかなかけわしい。藤波とランキング2位のラガの間には38点、ラガとランキングトップのボウの間には14点の差がついている。残り3戦、ボウが次の大会で8位に入れば藤波のチャンピオンの目はなくなる計算になる。現実的には、トップ3のフォーメーションは、よほどのことがないかぎり、動きそうにはない。
■ジュニア
 母国イタリアで、マテオ・グラタローラが勝利。自身、2年ぶり2回目の勝利となった。チャンピオン候補アレックス・ウイグは2ラップ目に1点の好スコアをマークしたが1ラップ目の10点がきいて勝利を逃した。前日のヨーロッパ選手権でも、優勝のロリス・グビアンに続いてグラタローラ、ウイグの順だったから、今回はグラタローラのためのイタリア大会だったのかもしれない。グラタローラはこの勝利で、チャンピオンシップでもアルフレッド・ゴメスに2点差と詰め寄った。
 今回、お休みしていたライア・サンツが久しぶりに参戦してきた。しかしその結果は17位。一時は表彰台に乗る勢いで、ジュニアのトップライダーの一員だった彼女も、全体のレベルが上がってすっかり押し流されてしまったかっこうだ。彼女のポテンシャルもあがっているのだが、それ以上にジュニアの枠内での切磋琢磨が激しくなっている。
 今回のエントリーリストには、韓国やマレーシアからの参戦もあった。彼らは母国から遠征してきているのではなく、ジョアン・ポンスのトライアルスクールの生徒たち。ノルウェーやチェコのライダーも、このクラスに参加し始めている。名実共にジュニアクラスが世界の若者たちの登竜門となりつつあるきざしである。
 もうひとり、リザルトの最後に名を連ねているのは、世界選手権に参戦していたマーチン・クロウステック。チェコのトップライダーで、イタリアのトップトライアルチーム(ベータのサポートチーム)から参戦している。今回は年齢制限を飛び越して、ゲストとしてこのクラスに参戦。しかしその結果は17位相当で、やはり、今のジュニアカップのレベルが相当に高いことをうかがわさせる。
■ユース
 スペイン人、カルロス・トラビエッサが同点クリーン差でマキシム・マレンハインをくだして勝利。もてぎで2連勝したジョナサン・リチャードソンは今回は3位に甘んじた。トラビエッサはイギリスでの2連勝に続いて今シーズン3勝目。今シーズン勝利しているのはリチャードソンとトラビエッサの二人だけだが、トラビエッサは負け方が派手なので(優勝以外の表彰台が一度もない)、ランキングではリチャードソンに40点の大差を付けられている。
RESULTS

Pos. Rider/Machine 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Lap TP Toral Clean
1 Adam RaGasGas 0 0 2 0 0 1 1 0 0 2 0 3 0 5 5 19 8 32 20
GasGas SPA 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 5 1 7 0
2 藤波 貴久 0 0 1 0 0 1 1 1 0 0 5 2 5 5 0 21 4 40 16
Montesa JPN 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 2 2 3 5 2 15 0
3 Toni Bou 0 0 0 0 0 1 0 5 5 5 0 5 5 3 3 32 6 48 18
Montesa SPA 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 5 0 3 0 10 0
4位以下
Pos. Rider Machine Nation L1 L2 T/O C
4 Dougie Lampkin Beta GBR 26 18 6 50 15
5 Albert Cabestany Sherco SPA 32 15 4 51 14
6 Jeroni Fajardo Beta SPA 37 11 7 55 14
7 James Dabill GasGas GBR 43 29 0 72 10
8 Marc Freixa GasGas SPA 37 30 9 76 9
9 Daniele Maurino GasGas ITA 52 49 0 101 3
10 Michael Brown Sherco GBR 58 45 1 104 4
11 Loris Gubian GasGas FRA 53 52 3 108 4
12 Daniel Oliveras GasGas SPA 57 48 7 112 5
13 Fabio Lenzi Montesa ITA 69 62 0 131 2
14 Henri Himmanen Beta SWE 67 66 0 133 2
15 Francesco Iolitta Scorpa ITA 73 73 0 146 0
ジュニア
Pos. Rider Machine Nation L1 L2 T/O C
1 Matteo Grattarola Sherco ITA 4 5 0 9 24
2 Alex Wigg Beta GBR 10 1 0 11 23
3 Alfredo Gomez Montesa SPA 8 16 0 24 23
4 Jack Challoner Beta GBR 14 10 0 24 19
5 Francesc Moret GasGas SPA 24 8 0 32 18
6 Jochen Schafer GasGas GER 20 15 0 35 16
7 Guillaume Laniel GasGas FRA 23 13 0 36 16
8 Emil Gyllenhammar GasGas SWE 23 14 0 37 14
9 George Morton Beta GBR 19 19 0 38 15
10 Benoit Dabnicourt Beta FRA 17 23 0 40 13
11 Ross Danby GasGas GBR 19 22 0 41 14
12 Simone Staltari GasGas ITA 28 15 0 43 13
13 Andrea Vaccaretti Montesa ITA 31 20 0 51 13
14 Alexandre Ferrer Sherco FRA 35 24 0 59 15
15 James Fry Sherco GBR 35 27 0 62 9
16 Mardon Moi Beta NOR 35 32 0 67 10
17 Laia Sanz Montesa SPA 34 36 1 71 10
18 Jan Junklewitz Sherco GER 35 39 0 74 7
19 Jan Peters Beta GER 40 41 0 81 6
20 Jiri Fikejz Sherco CZE 44 41 0 85 4
21 Guillaume Jean Beta FRA 46 40 0 86 4
22 Martin Hemmer Beta NOR 52 45 0 97 5
23 Markus Schutte Montesa GER 52 48 0 100 3
24 Maxime Mathy GasGas BEL 48 54 0 102 1
25 Seoung Won An Sherco KOR 53 50 0 103 3
26 Jean Philippe Lerda GasGas FRA 47 57 0 104 4
27 Ewoud Lalkens GasGas NED 58 52 4 114 1
28 Lewis Nolan Sherco MAL 62 55 0 117 3
29 Harry Harvey GasGas GBR 65 63 0 128 0
TO Thierry Graber GasGas SUI 71
R Marc Graver GasGas SUI 71
R Ivan Peydro GasGas SPA
R Johannes Gschaider Beta AUS
G Martin Kroustek Beta CZE 28 41 0
ユース
Pos. Rider Machine Nation L1 L2 T/O C
1 Carlos Traviesa GasGas SPA 5 1 0 6 27
2 Maxime Warenghien Sherco BEL 3 3 0 6 26
3 Janathan Richardson Sherco GBR 5 4 0 9 24
4 Pere Borrellas GasGas SPA 8 4 0 12 23
5 Hakon Pedersen Sherco NOR 11 5 0 16 23
6 Tanguy Mottin GasGas FRA 12 5 0 17 23
7 Ben Morphett Beta GBR 9 9 0 18 21
8 Luca Cotone Beta ITA 6 12 0 18 21
9 Jonathan Walker GasGas GBR 8 11 0 19 22
10 Dennis Stetter GasGas GER 7 14 0 21 18
11 Matteo Poli Beta ITA 10 15 0 25 19
12 Matteo Cominoli Beta ITA 20 10 0 30 18
13 Francesc Ciurana Beta SPA 12 18 0 30 14
14 Gianluca Tournour GasGas ITA 12 21 0 33 18
15 Marc Horrach GasGas SPA 9 26 0 35 14
16 Jan Schafer HM Future GER 26 10 0 36 15
17 Ismael Catalin GasGas ITA 19 18 0 37 17
18 Roman Tessariol GasGas FRA 21 16 0 37 15
19 IB Andersen GasGas NOR 18 20 0 38 16
20 Kristoffer Leirvaag Sherco NOR 19 20 0 39 14
21 Federico Rembado GasGas ITA 36 22 0 58 9
22 Federico Corti Beta ITA 34 28 0 62 8
23 Gabriel Marcinow GasGas POL 30 36 0 66 8
24 Aaro Castells GasGas SPA 32 35 0 67 7
25 Martin Lagergren GasGas SWE 32 38 0 70 9
26 Eric Storz Sherco USA 38 38 0 76 6
27 Vaclav Bruj Sherco CZE 42 48 0 90 2
28 Antonio de Iuliis Beta ITA 44 47 0 91 2

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