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2010年ルールに疑問符あり

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マリオ・カンデローネ phoro:todotrial.com

 自然山通信にも記事を送ってきてくれているイタリアのジャーナリスト、マリオ・カンデローネが、2010年のルール変更その他について、深刻な心配をしている。
 彼の提言は世界中のジャーナリストにとりあげられている。自然山通信としては思うこともいろいろあるも、まずは第1戦第2戦を取材してきたマリオの意見をご覧ください。

古くからのトライアル仲間に告ぐ
開幕2戦を取材して、このスポーツの将来にとても不安を持っている。ライダーにとって、主催者にとって、ジャーナリストにとって。それがなぜかを、この3者ごとにご説明する。
ライダーにとって
彼らは2010年の新ルールに納得していない。ポルトガルでは、ライダーがFIMへの提言書に署名をし、改善を求めている。
1.セクション走破タイムが90秒から60秒とされたこと
 セクション持ち時間が短くなったことで、セクションを正しい設定に維持することがとても困難になった。開幕戦のスペインでは、セクションはとてもむずかしく、ポルトガルではとても簡単だった。
 トライアルは、どんどんエンデューロみたいになっている。ライダーはスタート後、あっという間にセクションにトライし、スキルの低いライダーは、みな減点3点でセクションを駆け抜けていく。
2.スタートオーダーが逆順となったこと
 最終ライダーとなる特権は、ナンバー1のライダーである必要がある。これはハンディキャップスポーツではなく、世界選手権なのだ。
 逆順のスタートとなっても、スキルの低いライダーが特典を得ることはない。観客にとっては、これまでなら、最初は多くのクラッシュを目の当たりにし、セクションの困難さを実感し、そしてやってくるトップライダーたちの華麗な妙技に酔いしれるというトライアルの醍醐味を失うことになった。
3.競技当日に、下見ができなくなったこと
 競技当日には、ライダーがセクションに入っての下見ができなくなった。たとえ前日に下見をしていたとしても、夜のうちに天候の急変があったら、岩の表面のグリップを、ライダーはどうやって知ればいいのか。他のライダーが走ることによって、岩が動いてしまったりしたら、セクションがより困難であるばかりか、たいへんな危険な状況になることも考えられる。
主催者にとって
 テレビの放映権料はどんどん高くなっている。主催者であるトライアルクラブは、スポンサー収入が重要だ。テレビ放映によるスポンサーへのアピールは、トライアルクラブにとって大きな収入減となっている。
 今、テレビ放映はすべてFIMが管理している。彼らが放映権を握っていて、FIMを通さないテレビ放映は認められない。ユーロスポーツ以外の放送を見ている者にとっては、テレビ放映でトライアル映像を見るのは簡単ではない。
ジャーナリストにとって
 そして誰もいなくなった。出版社は経費を削減しようとし、それに答える形で、FIMがクォリティの高い写真を出版社に提供する。
 しかし真実は現場にある。競技の詳細を見ずに、正しい報道ができるわけがない。
 トライアルの報道をしている面々は、なによりトライアルが好きで、ライダーやチームと同じフィードで仕事をするのを楽しんでいる人種ばかりである。
 今、我々は動画取材を行うことができず、我々の撮影した動画をYouTubeでご紹介することもできません。
FIMへの要望は、現在は無視されている状況です。
世界経済危機は、トライアル界をも襲っています。よい解決策があれば、お知らせいただきたい。

 マリオの提言はやや攻撃的だが、現場でFIMと衝突したであろう経緯を考えると、これも当然かもしれない。一方、現場に居合わせなかった世界のジャーナリスト仲間は、マリオの意見に耳を傾け、その意見に賛同しながら、FIMとの有効な解決を図ろうとしている。
 多くのジャーナリストの意見は
・トライアルはマイノリティ・スポーツであることをまず認識すべき。
 莫大な放映権料を得られる一部のスポーツと同じように考えてはいけない。
 映像は、いろんな人に発信してもらって、多くのひとに楽しめるようになることが、トライアルの発展につながるはずだ。
ということに集約される。
 やや乱暴な意見では、それならプレスではなく、観客としてビデオカメラを持ち込んで撮影して、YouTubeに流せばいいじゃないかという意見もあった。それは正論だが(かつて全日本で、マインダーによる経過時間の伝達が禁止されたとき、観客としてまぎれこんだ関係者が経過時間をライダーに教える作戦が横行した。当然考える作戦で、そもそもそんな禁止要項を考えるほうが頭が悪かったのだ)、現状ではFIMが権利を持っている以上、あえて違法な映像公開をすることになり、正当とはいえないという大人の意見が出た。つまり現状では、FIM以外のちゃんとしたプロフェッショナルから、世界選手権の映像を見せてもらえることはない、ということになる。
 ルールについて、マリオの主張はその通りという気もするが、一方で変化が必要な時代という思いは強い。セクション走破タイムは、本質的な問題ではなく、作られたセクションとの相対的な問題ではないかという気もする。スタート順も、それならそれというライダーからの意見は聞かれる。ただ、安全面も含め、セクションへの立ち入りがまったく制限されている現状は、ライダーからも疑問視する声が多いということだ。
 正義感に燃える委員会側は、ライダーがラインを造成したり石を運んできたりするのを防止したいのだと思うが、観客としては、ライダーがどのラインを選ぼうとしているのかが見えないし、またすべてのライダーとマインダー、そして取材陣がエンクロージャーエリア(セクションとお客さんの間になる)に集結するので、せめてライダーはセクションの中に入ってくれていたほうが、観戦は見通しがよいのではないかという意見もある。
 いずれにしろ、新ルールの善し悪しは、日本のトライアルファンも、6月になれば自分の目で確認することができる。
 さて、その日本GPや、いかに……。

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