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ボウ連勝、ファハルド初表彰台

2011スイスのボウ

圧勝、圧勝のトニー・ボウ。4連勝。

 2月13日、Xトライアル第4戦は、スイスのジュネーブで開催された。ここジュネーブはFIMのオフィスがあるところ。会場は4000人で満員とそんなに大きなものではなかったが、FIMお膝元での開催とあって、FIMの気合いの入りようは半端ではなかった。
 優勝は、またしてもトニー・ボウ。これで開幕4連勝。しかもまったくあぶなげがない。2位争いは、今回はラガとカベスタニーの争いというより、カベスタニーとファハルドの争いだった。結果はカベスタニーがファハルドを下したが、ファハルドはオッサを初めての世界選手権表彰台に導いた。
 藤波貴久は5位。ファイナルへの進出はならなかったが、2位争いを演じての5位で、内容は悲観すべきものではなかった。


2011表彰台

FIM会長、ヴィト・イポリト氏が今回のプレゼンテーターとなった

 ジュネーブには、いつもの6名のノミネートライダーに加えて、ロリス・グビアンとマテオ・グラタローラが招聘された。ノミネートの8名の内訳は、スペイン勢4名(トニー・ボウ、アルベルト・カベスタニー、アダム・ラガ、ジェロニ・ファハルド)、イギリス勢3名(ジェイムス・ダビル、マイケル・ブラウン、ジャック・チャロナー)に日本勢1名(もちろん藤波貴久)だから、FIMとしてはお国のバリエーションを広げるためにも、彼らの参加がほしかったのではないかと思われる。ちなみにグビアンはフランス人、グラタローラはイタリア人だ。
 ただし10名参加でも、ファイナルに残って戦うのが4名、セミファイナル進出が6名というのは、いつもと変わらない。いつもなら、クォリファイで涙を飲むライダーが2名なのに対して、今回は4名がクォリファイ敗退するというシステムとなる。
 最初の関門はクォリファイ。ひとりずつ5つのセクションを連続で走って、その減点数を競う。持ち時間が決められているから、下見時間もほとんどない、忙しいトライアルだ。とうてい不可能なセクションはあっさり入り口で5点になって先へ進んだほうが、トータルのスコアを伸ばせる可能性もある。インドアトライアルは、アウトドアに増して、計算や作戦が必要になったりするものなのだ。
 ここで意外な活躍を見せたのが、フランス人のグビアン。第1セクションこそ、10人中ただひとり1点の減点があったが、第2を2点、第4を1点で抜けたグビアンは、トータル14点と、3つのセクションで5点となったダビルの上位につけ、セミファイナル進出の6名を争う位置まで駒を進めた。
 残念ながら、全員のトライの後におこなわれた同点決勝で、グビアンはチャロナーと対戦して敗退。セミファイナル進出はならなかったが、全戦参加のチャロナーは2010年ジュニアチャンピオン。たいしてグビアンは2008年ジュニアチャンピオン。勢いのいい後輩を野放しにしておくわけにはいかなかったのだろう。
 それにしても、ダビルが不調だ。去年はルーキーらしからぬ大活躍で、表彰台にも上ってランキング4位を獲得している。その活躍の裏には、ちょっとした不運でトップライダーがクォリファイ敗退をしてしまう新しいレギュレーションの影響もあった。そしてそのレギュレーションに翻弄されているのが、ダビルだ。ガスガスからベータに乗り換えて、マシンの特性をつかんでいる時期に不運が続いては、マシンとのいいコンビネーションを築くのもむずかしくなっていくのではないだろうか。
 さて、スペイン勢に藤波を加えたトップ5の動向はというと、クォリファイに関しては4人が大接戦だった。5つのセクションのうち、第3と第5はむずかしかった。藤波はこのふたつで5点、第4で1点を取っている。ラガも、まったく同じ減点のとりかたをした。カベスタニーは、第4はクリーン。だから藤波とラガより、1点少ない。ニューマシン、オッサに乗るファハルドは、トップ5では誰も失点しなかった第2で1点となった反面、ボウも含めて、誰もが5点となった第5セクションを2点で通過した。これは大金星だった。実は、第3セクションでファハルドはエンジンが止まり、すぐ再スタートさせたためにオブザーバーは5点の宣告をしなかったのだが、これがアンダーガードがかかった状態だった。まちがいなく5点だ。第3を走破できたと思ったファハルドと、トライが終わってから5点を宣告したオブザーバーとの間では質疑応酬が始まる。5点になったら、ファハルドはカベスタニーと同点の10点になってしまうのだ。結局折衷案(というのもおかしい話だけど)として、5点は5点。ただ、そこを走破してタイムオーバーになった分は、1点だけおまけしましょう、ということになった。ファハルドの減点8点にタイムオーバー1点で9点。デビュー3戦目にして、ファハルドはオッサをクォリファイ2位に押し上げた。
 クォリファイのトップは誰かというと、最近では、聞かなくてもわかる状態になってきた。ボウだ。ボウは誰もが5点となった第3セクションをクリーン。そのかわり、ファハルドが2点で抜けた第5セクションで5点となったが、この5点だけで5セクションによるクォリファイを走りきってしまった。トニー・ボウ、その強さにまるで死角なし。
 クォリファイで同点だった2組4名、ラガと藤波、チャロナーとグビアンは、同点決勝が行われ、4人ともがクリーン。各々のセクション走破タイムをとって、ラガと藤波はラガ、チャロナーとグビアンはチャロナーが勝利した。ラガと藤波はどちらもセミファイナル進出が決まっているが、この結果で、グビアンはクォリファイ敗退が決まった。

2011スイスのファハルド

初表彰台獲得。クォリファイでは2位のオッサ、ジェロニ・ファハルド
クォリファイ
Place Rider Machine 1 2 3 4 5 Time Total Tie
1 トニー・ボウ モンテッサ 0 0 0 0 5 0 5
2 ジェロニ・ファハルド オッサ 0 1 5 0 2 1 9
3 アルベルト・カベスタニー シェルコ 0 0 5 0 5 0 10
4 アダム・ラガ ガスガス 0 0 5 1 5 0 11 0
5 藤波貴久 モンテッサ 0 0 5 1 5 0 11 0
6 ジャック・チャロナー ベータ 0 1 5 3 5 0 14 0
——————————————-
7 ロリス・グビアン ガスガス 1 2 5 1 5 0 14 0
8 ジェイムス・ダビル ベータ 0 5 5 0 5 0 15
9 マテオ・グラタローラ ガスガス 0 5 5 2 5 0 17
8 マイケル・ブラウン ガスガス 0 5 5 5 5 0 20
2011スイスのチャロナー

ルーキーながら、気がつけばイギリスナンバーワンのジャック・チャロナー

 セミファイナルは、ダブルレーンと4つのセクション。ダブルレーンは、クォリファイの順位に従って、1位と2位、3位と4位、5位と6位が対戦する。5位となった藤波は、6位のチャロナーとの対戦だ。
 前回バルセロナで、藤波はチャロナーとのダブルレーンでの対戦で失敗して5点となった。今回は、そのリベンジだ。スタート直後はチャロナーがリード。それを藤波が逆転して、藤波が勝利。チャロナーに対してのリベンジをとりたいために、藤波はラガとの勝負で無理に勝とうとせず、5位でのセミファイナル進出をのぞんだという。同時に、チャロナーを相手に確実に勝っておけば、セミファイナルでの減点を1点減らせることになる。藤波に勝ったラガはカベスタニーとの勝負に負けて1点減点となっている。スペイン勢の4人とのダブルレーン勝負は、リスクの高い勝負だ。ここでもまた、インドアトライアル特有の計算が必要になってくる。
 セミファイナルでも、藤波を加えたスペイン勢(そしてボウを除く)4人は大接戦だった。ボウはといえば、ひとり足をつくこともなく、ダブルレーンでもファハルドに勝利し、オールクリーンでセミファイナルを終えている。ボウについで好成績だったのは、第2セクションでのみ5点となったカベスタニー。続いてラガとファハルドの7点。このふたりは、ともにダブルレーンで敗れているから、そこで減点1をとっている。藤波は8点だった。クォリファイ5位通過の藤波は、すべてのセクションをチャロナーについて2番目にトライしなければいけない。チャロナーのトライは参考にできるが、入り口で5点になってしまっては、見るべきところもない。主に参考にしたいのは時間配分だったが、藤波は惜しいところで第3、第4とタイムオーバーを喫した。もし、この2セクションでのタイムオーバーがなかったら、藤波の減点は6点。ボウ、カベスタニーに次いで、ファイナルへの進出が果たせていたことになる。しかし結果は結果。藤波はラガとファハルドに1点差で、セミファイナル敗退となった。ちなみにチャロナーは藤波に9点差の17点。難度が高くなると、まだまだルーキーには壁の厚いXトライアルだ。

2011スイスの藤波

好走。しかし表彰台には届かず。セミファイナルどまりの5位。藤波貴久
セミファイナル
Rider ダブルレーン 1 2 3 4 Total
Pt Race Pt time Pt time Pt time Pt time
ボウ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
カベスタニー 0 0 0 0 5 0 0 0 0 0 5
ファハルド 0 1 0 0 5 0 0 0 1 0 7
ラガ 0 1 0 0 5 0 0 0 1 0 7
藤波 0 0 0 0 5 0 0 1 1 1 8
チャロナー 0 1 0 1 5 0 5 0 5 0 17
2011スイスのラガ

ラガの勢いが衰えている。ファイナルでオール5点はちょっとびっくり

 藤波とチャロナーをふるい落として、4名のみとなったセミファイナル。最初は4名の総当たり戦によるダブルレーン。それぞれのライダーが、3人のライバルと競走しあう。合わせて6回のダブルレーン競争が繰り広げられる。
 ここでも、ボウは無敵だった。最初にカベスタニー、次ぎにファハルド、そしてラガと、次々にライバルを下して減点ゼロ。お気の毒(というか自業自得なのだが)なのはファハルドで、ボウとの対戦の時に気合いを入れすぎてラインを外れて落ちてしまった。オッサの大クラッシュ。大事には至らずだが、前回の藤波と同様、ダブルレーンでの5点は痛い。他のライダーがクリーンか1点で争っているときに、ひとりだけ5点のハンディを背負うことになるのだから、これでファハルドの上位はなくなったと見るのがふつうだ。ただしこのダブルレーンで、3回の3回とも負けたライダーがいた。ラガだ。ラガはファハルドにもボウにもカベスタニーにも負けて減点3。大転倒したファハルドとは、わずか2点の点差になっていた。

2011スイスのカベスタニー

2戦続けて2位。しかしボウとのポイント差は開くばかり。カベスタニー
ファイナル・ダブルレーン
Rider RACE 1 RACE 2 RACE 3 RACE 4 RACE 5 RACE 6 Total
Pt Race Pt Race Pt Race Pt Race Pt Race Pt Race
ボウ 0 0 0 0 0 0 0
カベスタニー 0 1 0 0 0 1 2
ラガ 0 1 0 1 0 1 3
ファハルド 0 0 5 0 0 0 5

 インドアは今や圧倒的にボウが強い。インドアの中でも、特にスペインは高さのあるセクションが多く、こういう土俵となるとボウの無敵度もすごいことになる。今回は木やコンクリートなど、インドアの中では比較的自然の地形にあるものが多く素材として使われていたが、それでもボウの強さには変わらない。
 ダブルレーンの総当たり戦を終えて、ボウ0点、カベスタニー2点、ラガ3点、ファハルド5点。このあと、3セクションを走って最終結果が出る。
 ここまで来ると、さすがにボウでも全セクションをクリーンするような芸当はできない。最初のセクションで、ボウは2点。しかしこれにくらいついて、減点2、タイムオーバー(30秒過ぎるごとに1点)1点で抜けてきたのが、オッサのファハルドだった。カベスタニーとラガは5点。これでファハルドはラガと同点になった。
 次のセクションは、ボウも含めて、全員5点。インドアは全体的にレベルが上がってきているから、セクション設定をするほうもたいへんだ。ボウとて、どんなところでも走破できるわけではない。
 そして残るは最終セクションのみ。ここでは、ボウだけが1点プラス2点で走破した。他の3名は全員5点。これで勝負あり。トータルポイントでは、ボウが10点。2位のカベスタニーに12点の大差をつけての勝利だった。そして3位に、ラガとファハルドが同点で並んだ。この場合、Xトライアルではクォリファイの順位を優先する。クォリファイでは、ファハルドが2位。これで、ファハルドの3位表彰台が決まった。
 もしファハルドが、ボウとのダブルレーン対戦で無理をせず、無難に敗退して減点を1点のみでおさめていたら、最終結果よりも4点少ないことになり、そうなるとカベスタニーをも抜いて2位表彰台だったということになる。オッサとファハルド、おそるべし。こんな皮算用をしなくても、彼らがより表彰台の高いところに登る日は、そう遠いことではなさそうだ。

ファイナル
Place Rider 第1セクション 第2セクション 第3セクション 小計 ダブル
レーン
セミ
ファイナル
合計
Pt Time Pt Time Pt Time
1 ボウ 2 0 5 0 1 2 10 0 0 10
2 カベスタニー 5 0 5 0 5 0 15 2 5 22
3 ファハルド 2 1 5 0 5 0 13 5 7 25
4 ラガ 5 0 5 0 5 0 15 3 7 25

 藤波貴久による結果報告はフジガスネットをご覧ください。

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