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    2017.08.17

    9/3寅吉カップ

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X最終戦の表彰台はファハルドと藤波と

 2012年Xトライアルが終幕した。最終戦は3月31日、フランスはパリ。パリはXトライアルでは初めての会場で、そしてまた、会場がフランス一大きな屋内競技場ということで話題性はたっぷりだった。すでにチャンピオンはトニー・ボウに決まっているが、ランキング2位争いはアルベルト・カベスタニーとアダム・ラガが同点。さらに後半になってようやくエンジンがかかり始めたジェロニ・ファハルド、今年はファイナル進出率が例年になく高い藤波貴久と千両役者がそろっている。加えて今シーズン常にセミファイナルに残っているロリス・グビアンはフランス人だし、アレッシャンドレ・フェラーとベノ・ダニコートのふたりのフランス人ワイルドカードを迎えて、フランス大会は華麗にスタートしたのだった。

1204Xパリのフェラー
フランス人、アレッシャンドレ・フェラー。正直言って、ダークホースでした

 クォリファイで驚くべきパフォーマンスを見せたのは、フランス人のワイルドカードのアレッシャンドレ・フェラーだった。フェラーはジュニアカップでいいところは走るものの、目立った強さを見せたことはない。フランス人らしい、少し細かい技の器用な、線の細いライダーという見方がこれまでのものだった。
 ところが今回は、セミファイナル進出のひとつの鍵になる第3セクションをぽんぽんとクリアしてしまった。ここでダニコート、チャロナー、ブラウン、そしてグビアンすらも5点。ここをクリーンしたのは6人だから、フェラーがセミファイナル進出の有力候補として、浮かび上がってきた。
 つづく第4セクションで、グビアンが1点。フェラーはクリーンだから、これでフェラー対グビアンはフェラーの勝ちが決まった。仮にフェラーが第5セクションで5点となりグビアンがクリーンしても、グビアンとは1点差でフェラーが勝利する。
 この争いの渦中に、藤波も少しからんでいた。第2で5点となった以外は全部クリーンを続けているのは、藤波とフェラーとラガ(ボウとカベスタニー、ファハルドは第2セクションを抜けている)。トップ6入りはまちがいないが、藤波とラガにとっては、フェラーと競りあうのが本望であるわけがない。
 クォリファイ最後の第5セクションは、フェラーが1点だった。これでフェラーは減点6。ラガは最後のセクションをクリーンして、かろうじて1点差でフェラーに勝って4位でセミファイナルに進出した。 一方藤波は、みんなが5点になった第2セクションをもう少しでいけそう、という走りを見せたのはよかったが、これで時間を使ってしまって最後のセクションでは時間がない中でのトライとなった。そこに焦りが生じて第5セクションは5点。セミファイナル進出には問題ないが、なんとフェラーに4点差の6位でセミファイナル進出となってしまった。

1204Xパリ藤波

藤波貴久、今シーズン6度目のファイナル進出、3度目の表彰台

 セミファイナルでも、フェラーはしぶとかった。というより、勝負がつかなかったといった方がいい。ボウとファハルドの二人が、第2セクションを1点で抜けた(ファハルドはさらにタイムオーバーの2点も加わっていたが)。他の4人は全員5点。第3セクションはボウ以外は全員5点。第4セクションもボウとファハルド以外は全員5点(ファハルドはやはりタイムオーバーの2点が加わっていたが)。
 ボウとファハルドが1位2位で通過したのは明らかだが、他の4人は大混戦。この中で、ただひとり15点減点だったのが、藤波だった。4人ともに3つのセクションで5点だが、これに先がけてのダブルレーンで、藤波だけがフェラーに勝っていた。ラガはファハルドに負け、カベスタニーはボウに負けて、それぞれ1点ずつ減点が課せられている。なのでカベスタニーとラガとフェラーは16点の同点だった。この場合、クォリファイの成績が良かったものから上位になるというきまりだから、ファイナル通過の最後の席は、カベスタニーが獲得した。

1204Xパリのカベスタニー

今回は少し元気のないリザルト。アルベルト・カベスタニー

 ここで、カベスタニーのランキング2位が確定した。カベスタニーとラガは同点でパリに臨んでいたから、ここでの点差がそのまま年間ランキングの点差となる。カベスタニー87点、ラガ84点。カベスタニーとボウの点差は53点。たった7戦なのに、ランキングポイントで1.5倍にもなっている。いかにボウが無敵か、ということだ。

1204Xパリのファハルド

ようやくファハルドらしい切れが出てきた。ジェロニ・ファハルド

 それにしても、今回はファハルドが本領発揮だった。このシーズン、藤波にファイナル進出を阻まれていたばかりか、ときにはグビアンにも順位で負けているという、ファハルドにしてみれば屈辱的なリザルトばかりが残っていたが、今回は実力で勝ち取った2位表彰台だった。
 インドアでは、落ちるか上がるかで結果が決まるというシチュエーションが少なくない。微妙な失点の積み重ねによって勝負がアウトドアと性格がちがうのはそのへんが大きいのだが、それがゆえに、セクションのさじ加減によってはボウ以外はみんな失敗、なんてことも出てきてしまう。しかし今回のファハルドは、ボウだけが走破できたと言わせないだけのパフォーマンスを披露した。オッサで高いステップを上がる感覚を培ってきたファハルドが、今度はベータを高いところまで押し上げるべく、牙を磨いてきている。

1204Xパリの表彰台

いつもとちがうメンバーに囲まれたトニー・ボウ

 ファイナルでは、ボウの走破力の高さだけが際だって終わった。今度はファハルドも際立った力は発揮できず、仲良く5点を取っている。しかしそれでも、ファハルドはついに2位表彰台まで復活してきた。今シーズンはちょっと不運が続いてセミファイナル敗退が続いていたが、これでアウトドアシーズンに向けて勢いがつくのではないだろうか。

1204Xパリのボウ

高く、しかも遠い。ここはラガもカベスタニーも5点になった難所のポイント

 そして藤波は今シーズン3度目の3位表彰台。去年の藤波だと、まずファイナルに残れればバンザイ。表彰台に上れればこれ以上はない、という戦果だったが、今年は常にファイナルを走っている。ようやく、第6戦ミラノでセミファイナル敗退をしたところだ。7戦中6戦でファイナルを走るというのは、過去の藤波のインドアの成績と比べても、ダントツでいい。
 今のXトライアルのルールだと、高いステップを上がる技術も必要だが、スピードレースが勝負に大きなウェイトを占めている。これに勝利することが、Xトライアルを制するポイントにもなってきている。変化するレギュレーションと、どんどんレベルの上がっていくテクニックを吸収しながら、勝負に挑まなければいけない。
 インドアトライアルは、日本メーカーがサポートイベントとして扱うことはないが、もちろん海外では世界選手権のひとつとして扱われている。ボウは2007年から2011年までの5回の世界チャンピオンではなく、今年で合わせて11回の世界チャンピオン。これは堂々たる記録だ。

1204Xパリのラガ

ランキング3位に甘んじた、かつてのインドアの王者、アダム・ラガ

 ボウの登場以前はインドアの申し子と称されたアダム・ラガも、最近はちょっと影が薄い。スピードレースで勝てなくなって、セクションに対する恐怖も出てきたような感じ。それでもテクニックそのものは落ちていないから、まだまだ2番手争いの主力メンバーであることにはまちがいない。再びトップ争いができるかどうかは、微妙なところだ。

1204Xパリのグビアン

ロリス・グビアン。ファハルドに迫るランキング6位

 フランス人ロリス・グビアンも、今シーズンはよくやったと評価されていいと思う。クォリファイで敗退したのは一度だけ。ほとんど常にトップ6に残って戦ったのだから、ずいぶんたくましいライダーになった。グビアンやブラウンら、ユースからジュニアときちんとステップを踏んでトップレベルに到達したライダーは、お行儀のよさや基本テクニックの高さは感じるものの、大胆な走りっぷりに欠ける、小さくまとまった印象がついて回っていたように思う。グビアンが、トップグループに切り込んでいくことによって、その印象を改めざるをえなくなると、うれしい。


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