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ドギーのオールクリーン続く

 SSDT2日目は5月6日火曜日。ドギー・ランプキンは唯一2日間オールクリーンで全体のトップに。2位はマイケル・ブラウンの1点。
 齋藤晶夫はこの日49点でトータル93点。タイムオーバーはなし。あと2点で、女性ライダーエマ・ブリストウに追いつく。女性のトップはマリア・コンウェイでトータル79点。この日はたった26点で帰ってきた。
 齋藤はニューカマーでは13位。猪倉誠治はこの日193点でトータル339点。264位とリザルトには表示されている。すでにリタイヤや失格者もでている。


 火曜日、オールクリーンをしたのは4人いた。ランプキン、ブラウン、マクドナルド、ジャービス。ブラウンとマクドナルドは月曜日に1点計上しているし、ジャービスは3点とった。だから火曜日までのトータルでオールクリーンでリザルトにのったのは、ドギー・ランプキンただひとりだ。
 今年は世界選手権100勝の記録にあと一つを目標にがんばっているが(可能性は薄そうだが、ドギーの精神力を持ってすれば、コンディションによれば、まったく不可能ではないはず)30年前のトライアル界では、SSDTでの勝利は世界選手権の勝利と同じか、それ以上に大きく名誉なものだった。ドギーのトライアルへの取り組みは、昨年までとは明らかに異なっている。それに、もしオールクリーンで6日間を走りきってしまったりしたら、それはそれは大記録となって後世に残ることだろう。ただし、まだまだ2日目だから、どうなるかは神のみぞ知る。ドギーに質問したら「オールクリーンは狙ってできるものではない」と言うでしょうね。ひとつひとつのセクションをこつこつクリーンし続けていくことが、SSDTの勝利への道でもあり、オールクリーンへの道でもあります。
 ドギーがオールクリーンしているというと、最近の世界選手権でのドギーの走りと比較して、セクションが簡単なのだなと想像すると思うけれど、SSDTの難易度は、いわゆるセクションの難易度のものさしでは計れないものがある。全日本九州大会で7位に入った齋藤晶夫のリザルトを見ると25点。火曜日の彼のスコアは49点。数字だけ見ると、SSDTは全日本国際A級の倍むずかしいということになるんだけど、SSDTではトシ西山に次ぐ出場回数を誇る(出場回数は狙って出せる記録だからと杉谷はがんばっている。今年は腰痛に悩んで出場断念)杉谷は、経験にものをいわせて(ベストなコンディションの時には)齋藤くらいのスコアを出すことがある。でも杉谷がA級で上位に入るとは思えない。単純な比較は意味がないという説明をしたくて、単純比較をしてしまった。ごめん。
 若いサム・ハスラムは、この日2テントってトータル2点、4位となっている。1日2点だと、よくある減点の範疇。疲れてきたり集中力が乱れたりすると、山の中であっという間に10点ほどを失うことがあるから、まだがまんをしていると思う。といっても、10点で終えるのが失敗の人もいるけど、圧倒的多数の人にとっては、30点くらいがひとつの壁で、成田亮や日下達也がSSDTを走って言うには「この30セクションを3点やそこらで帰ってくるなんて、あいつらはどんな生物なんだ」ということになる。日本人がSSDTでトップ争いをするのは、世界選手権でチャンピオンをとるのとどっこいくらいにむずかしいことかもしれない。
 日本人で、といわず、だいたいイギリス人以外にトップに顔を出しているライダーがほとんどいない。今、非イギリス人で最上位にいるのが8位のパスケット。これはベータ4ストローク(300cc)の耐久テストも兼ねての参加だから、意義が深い。そういえば、シェルコ4ストロークがSSDTにデビューしたときは、トラブルで全滅した。それでも、今年の活躍を見れば、全車リタイヤはよいテストになっていたわけだから、テストとしてのSSDTはやっぱり意味があるわけだ。
 テストとしてのSSDTというのは、もともとを考えるとおかしな話で、トライアルというのは、もともとテスト(試験)である。産業革命で生まれたモーターサイクルがどれほど耐久性があるものか、一発テストしようじゃないか、テストの場としては、ちょいと過酷な場所を選んでみようじゃないかと始まったのがSSDTだ。トライアルは足をつかないことを競う競技といわれるけど、その根幹は人車の信頼性と性能をテストするスポーツってのが本当だ。SSDTに魅せられた人が何度でも通うようになるのは、そのトライアルの根幹が、SSDTに脈々と息づいているからだ。
 すいません、話が横道にそれました。それついでに思い出した。少し前に発表されたエントリーリストには、なぞのニューブランド「チスパ」が登場することになっていた。しかし最終発表されたリストには「チスパ」はいなかった。完走するリタイヤする以前に、チスパはまだSSDTに出てこれないということなんでしょうか。真相は不明です。
 さてドギーのマインダー経験者ベン・ヘミングウェイはこの日4点でトータル7点、12位。優勝経験者のサム・コナーはこの日6点でトータル8点、13位。ベンの兄貴のダンはこの日4点で21位に浮上している。
 非イギリス人での優勝経験者アモス・ビルバオはこの日5点でトータル17点。上位からはちょっと離されている。去年はとても元気だったアレックス・ウイグはこの日6点でトータル17点。このふたりだったら、もうちょっと上位に来れると思うけど、どうなるかな? 今、ニューカマー(新人)でトップを走っているのがジャック・シャロナーだけど、シャロナーはこの日8点でトータルはやっぱり17点。ロス・ダンビーも17点で並んでいる。
 ところで、今SSDTのリザルトには順位が表示されているけど、過去には順位は表示されていなかった。何位というより、何点ということが大事で、表彰も1等賞を表彰するのではなく、ベストパフォーマンスを表彰する。で、杉谷などは最初は100位目標なんて目標を定めていたけど(クリアしたことは、確か一度もない)現地へ行ってみると順位がでないので、目標を具体的なものにすることになった。それが、リザルトの何枚目か、である。ドギー・ランプキンから始まって、84位のみケール・バーゼル(スペイン人)までがリザルトの1枚目に掲載されている。それ以降、2枚目、3枚目とスコアが増えていくわけで、杉谷は確か3枚目と4枚目のはざまにいて「今年は4枚目をキープする」というのが目標になっていた。
 ということでリザルトの2枚目にいきます。
 このへんになると、世界的に有名なひとはぐっと減って、イギリスの名選手、イギリスでもそんなに有名じゃないけどSSDTではよいリザルトを残す人などが幅を利かせてくる。だから日本のみなさんに紹介すべき人もぐっと減ってしまうのだけど、この中では75位にいるナイジェル・バーケットさんとミケーレ・ボシさんがトータル57点。
 バーケットは木村治男さんと同世代くらいだと思うけど、ヤマハの大ファンで、日本人を見ると「木村に伝えてくれ。おれはヤマハエンジンでこんなバイクを作っている。でも本当は、木村の作るバイクに乗りたいんだ」なんて伝言を押し付けてきて、木村さんを涙させていたものだけど、スコルパSYの登場以来、夢かなってスコルパインポーターをやっている。ヤマハトライアルに夢をかけている男は、こうして毎年スコットランドの荒野を駆け巡るのであった。
 ミケーレは、きのうは親父がタレスの名メカニックだったと説明したけど、その後ベータチームに入った黒山健一がお世話になったメカニックでもある。その親父の横で、ちょろちょろ遊んでいた子どもがミケーレで、お古の健一ヘルメットを大事にかぶってオートバイに乗り出して、世界選手権にも出てきたが、第1セクションの入り口の岩ではじき返されて足を骨折してリタイヤというシーンを目撃したことがある。ヨーロッパ選手権で走っているのをみたけど、走っているときの印象より下見中に「ここはどこを走ろうか、あっちのほうが簡単じゃないか、キミの調子はどうなんだい?」とライダー仲間に声をかける、その声の大きさが印象深い。なので今、トップトライアルチームの番頭として、またマインダーとして世界選手権のパドックにいるのはとても似合っているのだった。同じイタリアで同じマシンを使っているけど、本家のベータチームより、ミケーレ率いるトップトライアルチームの方が、チームとしてはしっかり動いているように見える。イギリスやチェコのライダーをよく受け入れているから、ベータに乗ってる野本佳章とか、日本の若い連中はどんと飛び込んでいって「ぼくにマシンを貸してくれ」と言ってみたらどうかな。もてぎにも来るから、杉谷と黒山一郎さんとかに紹介してもらうといいと思う。
 さて3枚目。85位から126位までには、いろんな人がいる。2枚目の真ん中あたりに、ジェイク・ミラー。世界選手権のプレスルームでは、ぼくらのボスになる。ちょっと赤ら顔の丸い体系で、スポーツなんかしそうにない。試合が終わると、怒濤のように(一本指で)コンピュータのキーを叩き、ドギーやモンテッサのプレスリリースをまとめている。でも走らせれば、すごかったんだね。この日43点でトータル75点。杉谷は、以前に世界選手権の前日にプレス仲間のトライアル大会というので優勝したことがあるけど、舞台がスコットランドだったら勝てなかったかもしれない。
 そしてこの日26点で大躍進、トータル79点はマリア・コンウェイ。女性クラスのトップにでた。コンウェイはトライアルだけでなく、他のスポーツでもそれなりに有名らしいから、万能スポーツウーマンなんだろうけど、26点はすごいなぁ。初日に女性トップだったエマ・ブリストウはこの日は53点で91位。これだってすごいリザルトだ。エマは今回が初出場のニューカマーだ。
 エマとはニューカマー同士のライバルでもある齋藤晶夫が、トータル92点。この日は49点。エマには追いついてきたけど、なんとかスコットランドの荒野を走る経験を積んで、もう一声減点を減らしたいところ。高望みしてしまうけど。
 リザルトの3枚目の最後には、イリス・クラマー。女子クラスといえばこの人で決まりだったけど、この日は48点トータル97点、ちょっと出遅れている。でも6日間は長いから、最後はどうなっているか、まだまだこの人はあなどれない。
 リザルトの4枚目の上のほうには、ドンナ・フォックスがいる。43点でトータル99点。コンウェイからフォックスまで、女性ライダーはけっこうし烈な争いをしていて、齋藤晶夫は、そのど真ん中にいるという感じ。去年ジュニアカップに参戦したときにはライア・サンツに離されたのがショックだった日本男子諸君だけど、世界のオンナは、ライアじゃなくてもすごいのがいっぱいいるということだ。男の子よ、トライアルもオンナも、もっと世界に目を向けようではないか。4枚目のちょっと下のほうには、この日55点トータル118点のケティー・サンターもいる。
 5枚目以降はあまりにも無名人ばかりでよくわからない。無名人のひとりであるはずの、ぼくらが愛すべきボイタ・クレッカはこの日99点でトータル187点。234位で6枚目の人。猪倉さんは7枚目。リザルトの最後にいる。この日193点トータル339点。タイムオーバー57点。月曜日も、猪倉さんのスコアには、17点のタイムオーバーがあった。タイムオーバー57点ということは確か57分タイムオーバーのはずで、1時間を超えたら失格だから、ぎりぎりであしたにつながっているという感じ。
 と、こんな感じで、水曜日木曜日あたりはSSDTのなかでももっとも厳しいとされている行程となるから、日本では大型連休が終わりましたが、スコットランドのみなさんはがんばってください。
SSDT関係やその周辺の映像はこんなのがあります(宣伝です。よろしく!)。

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