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川内村(西)

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2009テレビと稲刈り

200911/16

テレビに出た……

2009大塚家の稲

テレビに出た。ほんの数秒出ただけなんだけど、その直後から、何人かの人に「あれはおまえか」とお問い合わせをいただいた。最初は、年に一度しか会わない大先輩からお電話。今日は、3年に一度くらいしかあわない昔の同僚から電話をもらった。読者の方にもお問い合わせをいただいてしまった。

ほんとにしょうもない出演の仕方なんでないしょにしていたんだけど(ないしょにするほどのものでもない)、テレビの影響ってのは大きいんだなぁと痛感した次第です。

テレビといえば、この夏、学生さんたちが村を訪れてやらかしたプロジェクトでは、3日間テレビカメラが張り付いて、あれやこれや取材してってくれた。ぼくもインタビューを受けたんだけど、それはばっさりカットされて、お後ろ姿が映っただけというなさけない出演をしただけだった。でも活動の証としては、これはなかなかよくできた番組だったので、できれば公開してみんなに見てほしいくらいだ(残念ながらそれはできないんで、iPodTouchに入れて持ち歩いている。今度会ったときに見せてあげます)。この件については、ちゃんとこの場でご報告しようと思ってるんだけど、いや、すいません。日記書くのさぼってます。

で、このときの活動をお手伝いしてくれたのが大塚尚幹さん(本名はなおきさん、屋号をショウカンとしている。ぼくらはショウカンと呼んでる)といって、一級建築士の先生だ(お仕事のサイトはこちら。SHOKAN DESIGN・http://www.shokan.jp/)まだ若い。そのショウカンが、秋になって稲刈りに誘ってくれた。

誘ってくれたというと聞こえはいいが、人手を募られたわけだ。春には田植えをやった。田植えも稲刈りも、全部手でやっている。中には農家育ちのベテランもいるのだが、ショウカンの友だちだのぼくだのは(もちろんショウカンも)、農作業は慣れてない。都会人がおっとっとしながら農業をやっている。それはそれで、なかなか楽しい。たいへんだけど。

2009愛ちゃんと尚幹さん

その稲刈りに誘うのに「当日はテレビの取材が入るから、テレビに映るかもしれないよ」といわれたのだった。なんでかといえば、ショウカンの奥さんは愛ちゃんといって、大塚君と結婚したばかりに大塚愛なんていう有名人みたいな名前になっちゃったんだけど、愛ちゃんは川内村ではちょっとした有名人だ。

話をうんとはしょると、自転車でふらりとやってきて電気も電話もない山奥に住みつき、自分で掘っ立て小屋を建てて暮らし始め、地元の大工さんに弟子入りして修業して大工となった。そしてあるとき、建築関係の会合でショウカンに見初められたのだ。

ショウカンは、横浜の人である。偶然だけど、自然山通信本社である杉谷家のすぐ隣町だ。ぼくが以前住んでいたところにも近い。要するに、都会っ子である。はじめてショウカンが愛ちゃんちを訪れたときには、ひとりでいくのがこわいから長年の友人を誘い、それでも途中の山道があまりにも細くて険しいので、帰ろうか、それとも愛ちゃんに会いたさに突き進もうか、その葛藤が手に取るようにわかっておもしろかったという。もっとも、友人氏もそれはあとから気がついたことで、そのときは、友人に会いに行くからいっしょに行こうと言われただけで、そこにショウカンの未来のお嫁さまがいるなんて思いもよらなかったし、まして都会人の彼がそんなところに住むことになるとは予想だにしなかった。

そんなこんなで、彼らは結婚して、この春には二人目の子どももできた。そしてあいかわらず、電気も電話もないところに住んでいる。水道は、もともとこの村にはない。みんな、おいしい井戸水や沢水を使って暮らしている。薪をたいて五右衛門風呂をわかし、田畑を作って楽しい僻地暮らしを実践している。今回は、自給自足を取材する番組で、愛ちゃんがとりあげられることになったのだ。

稲刈りとか田植えは、今や大塚家みたいに手作業でやっている人は、ほとんどいない。合鴨といっしょに専業農家でお米を作っている人がいるけれど、それは特殊。たいていは、ウィークデイは仕事に出て、週末農家だ。時間がないから、田植えも稲刈りも機械を使う。高級乗用車くらいのお値段の機械を、みんな1台ずつ持っているのがすごい。田植えも稲刈りも、週末でやっつけようと思うと、みんな日程が集中する。機械を使い回しなんかできないから、一家に一台になる。その一台は、1年に2日くらいしか稼働しないそうだ。もったいない。

手作業でやれば、そんなムダはない。そのかわり、機械で田んぼ作業をした人がもう機械を手放さないように、いまさら手作業でやる勇気のある人もいない。たいへんだからだ。幸い大塚家の田んぼは、彼らが食べられるくらいの広さしかない。だから素人でも10人も集まれば、作業はてきぱきと進んでいく。

昔は田植えと稲刈りの季節には、近所の農家が助けあって、ぶっ通しで作業をしたもんだとみんな懐かしがる。みんなであぜに座って食べるおにぎりは、えらくおいしいのだそうだ。だからといって、もう一度やろうということにはならないんである。

09稲刈りする尚幹さん

大塚家は、農薬も使わずに米を育てる。雑草は元気に育つから、日々草取りをしなくちゃいけない。農薬を使ったって雑草はちっとは出るのだが、この草取りの作業が、お米づくりではけっこうたいへんらしい。なんせ毎日のことだから。こういう作業は、自分の田んぼを持たないとわかんないのかもしれない。ということで、ぼくはまだそのたいへんさは知らない。日々(といっても月に何度かでいいみたいだけど)草取りをしていると、お米が育っていく様子も如実にわかるだろうし、たいへんなだけでなくておもしろさもつまっているのではないかと思うので、そのうちやってみたいなぁとは思っている。動植物を養うのは向いてないので、なかなか踏ん切れないけどね。

とそんなこんなで稲刈りが終わった。都会からやってきたショウカンの仲間は、ショウカンがこんなところに住まなかったら、泥んこになって米を刈るなんてことはなかっただろう。ふだんはオメガの時計を修理しているとか弁護士をしているとか、およそ長靴が似合わない人ばっかりだ。

ショウカンだってその仲間だから、山奥でお嫁さまをゲットして、横浜のお家につれ帰るつもりでいたらしい。でも愛ちゃんが「あたしはここから離れない」と泣きながら譲らず、しょうがないからショウカンは革靴を履いたまま山奥の住民になった。最初あったときにはアルファロメオに乗っていたけど、最近は軽トラに乗っている。だんだんなじんできたようだ。

稲刈りが終わって団らんが終わって、さぁ帰ろうというとき、次の火曜日に山道に通りかかってくれないかと頼まれた。大丈夫だと思うけど、ぼくは予定が立てられない男なので、どうなるかわからない。ショウカンは何度も何度も確認の電話をしてくる。そのうちテレビ局のディレクターさんからも電話が来た。大事な役らしいので、その火曜日に、ぼくは大塚家へ向かう山道にクルマを乗り入れたのだった。

そしたら、三笑亭夢之助さんがえっちらと歩いていた。夢之助さんは、今日は大塚家を取材に行くレポーターさんなのだ。大塚家は、国道から4kmある。登っておりてまた登るから、2時間くらいかかるかもしれない。ぼくが通りかかったのは、30分も歩いたあたりだったろうか。

事前の打ち合わせはなかった。最近はやらせ問題がうるさいからかな。結局、稲刈りをしているよりも、夢之助さんを乗せて山道を走ったほうが、テレビにはいっぱい映ったことになる。

「お名前は一生忘れません」

と夢之助さんに言われたけど、覚えてくれてなくてもかまわない。でもぼくがどうしても思い出してほしかったら、電気のない大塚家に行くときに乗っけましたといえば、もしかしたら思い出してくれるかもしれない。

と、これだけの取材なんで、誰にも知られずにこっそり出演して、こっそり電波に乗って、それで終わりだと思っていたのに、みんな、テレビをよく見てるもんだなぁ。東京のJOPPAさん、古谷さん、どなたかわかんないけどお問い合わせいただいた読者の方、四十雀ではお世話になりました小酒井さん、夏の天井画はありがとうの長尾くん、それから「見たぞ」といってこずに、実は見ている人もいるかもしれない。

09尚幹さんのお茶

いやー、テレビってのはみんなに見られているもんだね。それだけ全国各地でテレビがついてるってことも、エコが叫ばれているこの時代にすごいと思うけど、少しでも普及を願うトライアル業界人としては、なんでもいいからテレビに出て、トライアルを紹介しなきゃいけないんだろうなぁと思う今日この頃であった。苦手なんだけどね、見るのも出るのも(どうでもいいけど、小学校の時にはNHKの番組に何度か出たことがあった。鉛筆もらって喜んで帰ってきてたけど)。

ちなみに放映されたのはテレビ東京・日曜ビッグバラエティ「2009秋 自給自足物語」(テレビ東京/sun/backnumber/281.html)。福島県にはネットワークがないので、ぼくはもちろん、主役である愛ちゃんも、まだ番組は見ていないのであった(このリンクはすでに切れていました)。

最後の写真は、稲刈りを手伝ってくれた人たちにお茶を振る舞うショウカン。不思議な人なのだ。

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