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川内村(西)

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201111/11

放射能を考えてみたりして

オープンガイガーのラドスキャン

オープンガイガープロジェクトの線量計。レゴみたいなので、試しにレゴのブロックを乗っけたら、ぴったりはまった。基板だけ9,800円だった。

 夏休みの課題提出期限はとっくの昔にすぎてしまったけれど、ぼくたちの放射能についての自由研究はまだまだ続いている。この自由研究の奥が深いのは、科学の研究だと思っていると医学の研究だったりするし、もうさっぱりなんだかわかんない。人によっては「はっきり言ってちょうだい」と声を荒げるけれども、たぶんみんなはっきりわかんないんだと思う。
 まぁいいやと、ぼくは思いました。キューリー夫人みたいに、死ぬほど研究に没頭したくはないけれど、自由研究というのは、それはそれなりにおもしろいものだからね。

村から借りてきたシンチレーター

役場が貸し出ししているシンチレーター測定器。アマゾンで、15万円で売っている!

写真は、燃やした灰のバケツに近づけたところ。1.5μSv/hほどがでている

 ひとつだけはっきりしているのは、どんな安全も絶対でないということだと思う。そして自転車もオートバイも刃物も火も、すべてあぶない。しかして、便利だったりおもしろいから、ぼくたちは危ない道具を使っている。痛い思いもしている。
 放射能というもの、役に立つかどうかは意見のわかれるところだと思うけど、けがしてるのに痛くない痛くないとだまされていたから、今初めてその痛みに接している。もしかしたら歩いてて小石にけつまずくくらいの危険かもしれないし、命の危険があるかもしれないけど、いずれにしてもあぶない。ぼくはオートバイはあぶないものだとよく知っているけど(痛い思いもした)楽しいから乗っている。原子力の場合は、どうなのかな?
 ともあれ、今回は評論家みたいなことを言うのはやめて、この半年にやったことを報告してみようと思う。

煙突を測る

煙突に近づけてみる。0.45。このへんの空気線量が0.4くらいだから、測定誤差を考えると、まぁ変わらないといっていいと思う

 最近やったこと。屋根に上って線量計測をした。屋根は雨に含まれた放射能が多数落ちているから、汚染が大きいとされている。しかし、うちのトタン屋根は周囲の空気線量と大差なかった。具体的には、どちらも0.4μSv/h弱。
 ちなみに、ぼくは線量計の数字は、あんまり信じていない。安い線量計だから自信を持って正しいといえないという懐事情もあるんだけど、計測のシステムを考えても、μSv/hで出てくる数字が絶対的に正しいもののような気がしない(この単位は、人間がどれだけダメージを受けるかという尺度で、計算によって出されるものだから)。目安として、ここより高い、ここより低い、という計測ができればいいと思ってる。
 てなわけで、薪を焚いているストーブの出口も測ってみた。煙突出口は0.5μSv/h。ちょっと高いかもしれないし、計測のぶれかもしれない。大差ないとということで理解することにした。対して、雨樋にたまった枯れ葉や落ち葉のあたりは1.5μSv/h強を出している。これはちょっと高いけど、ただちに健康に影響のある数値でもないので、次に屋根に上がるときに、少し武装して(マスクと手袋くらいだけど)収集しようと思う。

雨樋を測る

煙突のすぐ横の雨樋を測ってみた。数字がよく見えないけど、1.5ほどの数字が出ている。これはあんまりさわりたくない数字。ビニールに入っているのは、こうしないと「放射性物質で汚染された測定器で測るインチキやろう」という烙印を押されるから。インターネットこわい。ちなみに役場の線量計は裸で貸してくれたから、裸で測っている。

 次なるは薪ストーブ本体だ。燃やしている薪は、3月以前に収穫してきたものもあるし、3月以降のものもある。いずれにしても、多少なりとも雨に濡れたりしながら現在に至っている。薪に線量計を近づけると、0.4μSv/h。室内に置いたものでも同じくらい。室内は0.35μSv/hくらいなので、誤差の範囲とも言えるけど、薪の方がちょっと高いとも言える。

オープンガイガーで灰を測る

薪を燃やした灰。0.86くらいが出ている。ちょっと高い。けど、絶望的に高いという気もしない。慣れちゃったからかもしれないけど

 この薪を燃やしてみる。いまだ、火付けは上手でないので、点火時にはけっこうな煙が出る。この煙を測ってみると、0.3μSv/hから0.4μSv/hくらいが出る。室内と同じ、もしくは薪と同じくらいという感じ。以前、草刈りした草を燃やしてみたところ(公式には、刈った草は処分の方法が決まっていないからなにもしてはならないことになっている。処分が問題になっているあちこちの瓦礫と同じ扱いかと)、これも空気線量と変わらない値だったから、どうやら煙については、放射能はほとんど(もしくはあんまり)含まれていないと評価していいんじゃないかと思う。
 で、燃えた薪は灰になる。灰はバケツにためておいて、畑にまいて肥料にするのが通例だったけど、3月以降はそれではあんまり具合がよろしくない。放射能は灰に凝縮されるっていうんだね。凝縮というか、総量が小さくなっちゃうから必然の結果。でも灰が高いということは、煙には含まれていないかもしれないという裏づけにはなる。
 問題は残った灰。今までも灰の始末は厄介だったけど、それは手が汚れるからであって、健康被害を考えたことはない。むしろ、なんか健康になれそうな気もしていた。今はマスクをして手袋をして扱う健康被害の厄介者になってしまった。かわいそうに。
 そうやってバケツにまとめた灰は、2μSv/hくらいを出している。けっして低くはない。ただし2μSv/hという数値が、どれほど健康に影響を与えるものなのかという判断は微妙だとは思う。
 そのバケツに、線量計を近づけてみる。ぴったりくっつけると、2μSv/hちょっとの数字が出る。灰の中に埋め込んでやったらどうなるかという興味もあるが、後始末がめんどくさいのでやらない。2μSv/hの数字を出している線量計を15cm離してみる。数字はすっと0.5くらいまで下がる。3月の事故当時、放射能は離れれば離れるほど安全、としきりと言われていた。そのとおりのようだ。30cmも離れると、0.3前後になってしまって、ふつうの室内の数字と変わらない。
 こういう結果から、今うちの灰からでているのは(ほとんど)ガンマ線ではなくてベータ線であることがわかるんだそうだけど、そのへんの話はぼくもあんまり理解していないから、ふれないでおきます。

オープンガイガーとシンチその1
オープンガイガーとシンチその2

測定器は、それぞれ測定の傾向もあるし、空気中の放射線も一定しているわけじゃないから、2台で測定すると、こんなこともある。上の写真を見るとでたらめな感じもするし、下の写真を見るときれいにそろっている。測定器の数字なんて、それ自体をあんまり信じるべきでないと実感する

 ちょいと昔のことになるけど、水の測り方を教えてくれた人がいる。放射線の専門家で、ちょっと信頼が置ける。水は、もちろんしかるべきところに出して測ってもらえばいいのだけど、手元に安価なガイガーカウンター(ガイガーミューラー管=GM管を使った計測器)がある場合の測り方。GM管はごく低線量を測るのが苦手な特性がある。生きるか死ぬかの判断には使えるけど、食べても大丈夫かどうかを測るには、出てくる数字が大ざっぱすぎる。なので水なんか測れない。
 したら、水は煮詰めてしまえばいいのだと教えてもらった。GM管が、こちらがほしい10倍の粗っぽい感度しかないのなら、検体を10倍濃くしてしまえばいいということだ。灰と同じく、水の場合も放射能は濃縮される。それで、いかにも汚染されていそうなたまり水をくんできて、捨ててもいい空き缶に入れてぐつぐつと煮詰めた。家のやかんとかでやるのはこわかったので、外でやったのだけど、けっこう時間がかかって、たいがい燃料を消費して水が全部飛んだところで測ってみた。
 結果は、そのへんの空気と変わんなかった。もともと水が汚染されていなかったのか、このやりかたがうまくなかったのか、わかんない。1時間ばかり格闘した実験は、失敗でした。

超純水のハングリーウォーター

超純水のハングリーウォーターで洗ったけど、いい結果は出せなかった

 うちには、事故当時の1ヶ月間ほど、富岡(原発6kmほど)の自動車工場にいて被曝したクルマがあります。これの線量が、なかなか落ちない。そしたら、お友だちがハングリーウォーターという水を送ってくれた。2リットルで5000円くらいする高価なものであります。
 ハングリーウォーターというのは、なんでも取り込みたがる性質を持っているという意味でハングリーと名付けられているけど、ただの水です。でもいっさいの不純物がない、純粋な水。ふつうの水は、塩素やらミネラルやら、いろんな不純物がまぎれこんでいる。これがいっさいないのですね。水素原子がふたつと酸素原子がひとつだけでできている。純粋な水は、たいへん不安定で、なにかにすがろうと必死なんだそうです。だから目の前に汚れとかがあると、これ幸いと取り込んでくれる。つまり汚れが除去できる。
 では放射能もこれで除去できるのではないかってんで、送ってきてくれました。
 この水、ものすごい威力。半導体を洗浄するのに使っているというのはあとで知ったのですが、洗剤をつけてこするより、はるかにきれいになります。洗剤使わないから、あとで洗剤流さなくていいし、洗剤で素材が傷むこともない。期待をこめて、クルマをごしごしこすりました。
 でもだめだった。クルマから出ている放射能は、屋根からの雨水がたまる、ボディの奥の方が元凶でした。奥に向かってハングリーウォーターを振りかけてみたけど、流さなければ物体はそこにとどまっているわけです。
 放射能そのものも、消滅させることはできない、洗うというのは、右にあったものを左に移動させるか、うすめて一見なんでもないようにしちゃうか、そっどっちかでしかないんですね。
 あと、放射能を根こそぎなくしちゃうという大発見を教えてくれた人もいて、だめもとでやってみたりもしました。糖蜜と焼塩をごにょごにょしてやるんだけど、これもまるで効果でずでした。簡単になくなりゃ、苦労はないわけでね。
 本当に不幸中の幸い、ぼくの住む川内村は、この周辺の中では(原発から20kmから30kmのエリア)奇跡的に放射線量が低い地域です。これ、大きな声で言うとその地方の人に申し訳ない気がするんだけど、福島市よりも低いし、川内村役場が避難している郡山市よりも低いか、少なくともどっこいくらいです。
 これくらいだったら、知らん顔して住めるという気もします。もともと低い線量をさらに低くするというのは、こりゃまたけっこうたいへんみたいですし。
 ツイッターとかで、首都圏に住む友人たちの動向を見ると、放射能はひとつもあってはいけない、見たいな感じで神経質に取り組んでおられるように見えるのですが、こちとら、そんな白黒つけるようなはっきりしたことはやっていられない。かなうものなのかどうかわかんないけど、放射能との共存をするしかないのだと思います。福島浜通りの人間としても首都圏出身の人間としても、原発をつくって容認してきた責任もあると思うんだけど、どんなもんでしょうね。

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