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川内村(西)

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1408竹筒に点火

都路の灯まつり

1408竹筒

 うちの村のお隣に、都路村という村があった。今は田村市といっしょになって、田村市都路となっている。そこで竹筒に灯をともす灯まつりがあって、お友だち仲間が屋台を出すのでお手伝いかたがた、見に行ってきました。お手伝いとは名ばかり、ぼくは見物していただけですけど。

 お隣の村なのだけど、川内村は行政的に浜通に属していて、都路村は中通に属している。だから中通の田村市に吸収合併されたんだった。会場は都路村からもさらに山に入った牧草地の跡地につくった生産物直販施設、都路グリーンパークというところ。都路牛のバーベキューなどを目玉に売り出したかった施設なんだけど、こういうのはたいへん思ったようには進まない。
 そこに現れた救世主が、吉田敏八さんだった。敏八さんは都路で竹炭細工の工房を営んでいて、地域おこしにも熱心な実力者だった。竹ってのはなかなかやっかいものだから、竹やぶを切らせてくれといえばたいていのところは大歓迎だったということで、多いときには1年にトラック150台分くらいの竹を切り出してきて、毎日焼いていたという。
 そんな敏八さんが、都路グリーンパークのてこ入れのために始めたのが、灯まつりだった。竹炭屋さんらしいイベントだ。

1408敏八さん食ってみろ、とさしだされたしそ巻を食べている敏八さん

 灯まつりが始まったのは10年前らしい。敏八さんはよく覚えてなくて、テレビや新聞の取材で10年になりますが、と問いかけられて10年になるのかと思ったと話してくれた。でもうち4年は原発事故がからんでいるから、灯まつりの歴史は、意外に短いことになる。その間に都路村が消滅するなどということもあって、なかなか波乱万丈だ。
 2011年はお休みになり、2012年、2013年は都路の中心街の運動公園での開催となった。
 竹筒は1万本。細いのや太いの、ひとつひとつ手で切って、中にロウソクをいれて、時間が来たらひとつひとつ人間がつけていく。なかなか気が遠い作業だけど、来場者も手伝って作業していて、楽しそう。ひとりでやったら気絶しますね。
 ちなみに竹ってやつは、秋に切ったやつを、濡らさずにしっかり乾燥させると、日もちがいいそうだ。竹筒でコップとか作ると、すぐにカビが生えてしまったりして残念なのだけど、切る時期と切ったあとの処理の問題で、だいぶちがうらしい。

1408会場風景

 今回は天気予報でも雨が予想されていたんだけど、やっぱり降った。それも雷まじりのすさまじいの。そのときにはすでにロウソクには灯がともっていたんだけど、全部消えてしまって、風で倒れているのもあるし、もう1回やり直したから、都合、2万本の竹筒に灯をともしたことになる。ほんとに1万本あるのかどうかは、数えてないからわかんないけど。
 関係ないけど、カミナリがドカンドカン落ちているときにはみんなテントの下とかに逃げ込んでいて、もうそろそろカミナリも終わりかなという頃に建物の中への避難指示が出た。いったん指示が出ると、解除指示が出るまでは「建物の中に避難してください」とアナウンスしなきゃいけなくなるから、公の指示はオオカミ少年になってしまうんですね。指示があってもなくても、あぶないところからはちゃんと逃げられるようにするのが教育だと思う。これも関係ない話だった。

1408竹筒に点火

 2度目に着火したときには、二重の虹が出て、きれいだった。ステージ関係はイベント会社がしきっているだろうけれど、灯まつりの灯まつりたるところは灯まつりを知る人の手作りのまんまで、それがすばらしい。
 震災以降、復興関係のイベントは数多いけれど、地元に根づいていたものを支援しようという動きはあんまりなくて、たいてい東京のオフィスで企画されたイベントが鳴り物入りでやってきて、閑古鳥とともに去っていく。
 都路で生まれたお祭りに田村市の市長がやってきて挨拶するなんてのもとんびに油揚げの感じがしないでもないんだけど、まぁそれでも、隣村の住民は隣の芝生は青く見えて、うらやましかった。

1408テレビに映る敏八さん

 最後に、草原から花火が打ち上げられて、それを見ながらお祭りはお開きになった。テレビカメラにつかまってお話をしている敏八さんを見かけた。いつもみたいに、もっと明るく話せばいいのにと思ったけれど、実は敏八さんは原発事故のあと、長野県上田市に転居した。そこには複雑な思いがある。家族への思いが、都路での竹炭細工の存続を断念することになったのだった。上田でも竹炭焼きを再開したいといっていた敏八さんだが、さて敏八さんのいない都路で、灯まつりはこれからどうなるのか。
 敏八さんは「都路伝説をつくる会」の会長さんでもあった。都路村の敏八さんは、伝説になるべき人だったのかもしれない。

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