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川内村(西)

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201410/17

2014川内村自由大学

1408自由大学集合

 大昔の話になってしまいましたが、8月のある週末(もういつだかも覚えていない)、川内村自由大学ってやつが開催されました。文科省とか教育特区とかとなんの関係もない、名ばかりの大学です。主宰は小説家の田口ランディさん。今回で3回目、3年目の集いとなります。
 ランディさんはダイアローグ研究会という、話し合いをすることが目的の研究会をやってます。結論を出すのではなく、意見のちがう相手の言うことを聞く集い。今回来てくれた皆々は、大半がその研究会のメンバーです。
 集合は郡山駅。東京から来る人も青森から来る人も、新幹線で来る人も高速バスで来る人もいるので、ここで待ち合わせをして、レンタカーを借りていざ川内村へ。

1408自由大学迎えに行く

 ぼくは近くの駅まで出かけていって、駅前(無料)駐車場に車を停めて、みんなを出迎えに生きます。今回は田口ランディ大ファンだという娘がやってきたので、いっしょに。実は彼女は、赤ん坊の時にランディさんに抱っこされたことがあるんだけど、そんなことを覚えているわけがない。
 それにしても、躾けと優しさを教える鉄道というのはどういう鉄道なんだろうと不思議だったので、この写真を撮ったのだと、今思い出したところです。

1408自由大学弁当争奪戦

 さて、郡山駅では参加費の徴収などがありまして、といってもレンタカー代とメシ代飲み代などを合わせたくらい。2万円集めて、余ったらお返ししますというおおらかなシステムです。この儀式のため、郡山駅前のバス乗り場の付近では、1万円札が飛び交う光景が繰り広げられました。
 次なる儀式は、弁当争奪戦です。集合がお昼だったため、どこかで飯を食わなければいけないけど、20人からが食事をするというのはけっこう大事件なので、弁当を用意しました。お昼少し前の郡山駅前で23人分のお弁当をそろえるのはちょっとした一仕事でした。だから娘を連れていったのだけど、おかげさまで、500円より安いのから1000円ちょっとのまで、バリエーションに富んだお弁当がそろいました。これをみんなで取り合うというのが、お弁当争奪戦です。
 1万円札の次は、郡山駅前に弁当が飛び交うことになったのですが、そういえばその頃にはそのあたりには我々しかいなくなってました。みんな、逃げちゃったのかなぁ。
 さて、参加費も集まった。弁当も配った。ではいよいよ出発です。
 冒頭で、対話のための研究会と説明いたしましたが、今回の自由大学では、まず入水鍾乳洞に行きたいという要望がありました。ここは知る人ぞ知るアドベンチャラスな鍾乳洞で、そのへんの観光鍾乳洞に行く気で立ち入るとえらいことになるのだけど、参加者の半分くらいは実態を知らずに連れていかれたという感じでした。お気の毒に。

1408自由大学鍾乳洞

 この鍾乳洞、入口がAコース、途中からBコースに入ると電気と道板がなくなり、冷たい(冬はあたたかいはず)水に足を入れ、懐中電灯なりロウソクなりで足下を照らして前進することになります。途中、水の中でほふく前進しなければいけないようなところもあって、根をあげてしまう方もいらっしゃる。そういえば、行きたいと言い出したランディさんも、なんだか途中から姿をみなくなったような気がしたけれど、無事に外には出てきていたから、途中をどうしていたのかは問いつめないことにしました。
 ほんとうは、一番奥のCコースまで突入してみたいところですが、こちらは5人さま単位でガイドをつけるべしというお約束なので、20人からの団体では残念ながら、ということにあいなりました。入水鍾乳洞はお隣の田村市滝根の観光名所ですが、ありていの観光地に行きあきちゃった人はぜひ行ってみてください。今回の20人の中で、5人ほどは大喜び、5人ほどは途中で帰っちゃって、5人ほどは「こんなのありえない」と怒り出し、5人ほどは泣きべそをかきながら歩き続けるという、そんな感じの観光地です。
 ではいよいよ川内村に向かいましょう。途中、絶品の馬刺しを売っているお店があるので、ちょっと調達していきます。買い物は使いっ走りの娘の担当ですが、その間、ふと今回のゲストのハッピーさんに、なにかお土産を作れないかなと思ったのでした。ハッピーさんというのは、2011年の震災当時から原発の状況についてTwitterで報告を続けている原発作業員の方です。ぼくらが思う原発作業員よりは、もう少しえらいというか、監督さんのような立場のようなのですが、詳しいことを聞けないし話せないし、もし詳細に教えてもらっても、原発内部のことをさっぱり知らないぼくらにはピンとこないのではないかと思います。ともあれ、ほとんどの人が素顔を知らないなぞの人が、ハッピーさんです。
 ハッピーさんを呼んだのはランディさんで、ふたりは辻仁成さんを通じて知りあったのだとかで、ぼくは去年の自由大学の帰りに、郡山でお昼ご飯を食べながらランディさんとのお話に加わらせていただきました。今回のメンバーで、ハッピーさんの素顔を知っているのは、ランディさんとぼくとふたりだけ、ということになります。
 馬刺し屋さん(まぁ肉屋さんですが)の隣には、文房具屋さんがありました。急きょそこへ走って、ノートとマジックペンを購入。みんなに、ハッピーさんの似顔絵を描いてもらうことにしたのでありました。ハッピーさんは(たぶん)みんながTwitterを見ているだろうし、本を読んだ人もいるだろうけど、どんな顔した、どんな人なのかはわからない。それを想像しながら似顔絵を描いてもらえば、きっとおもしろいと思ったのでした。

1408自由大学踊り

 ということで、髪の毛を(鍾乳洞で)濡らし、馬刺しをしこたま買い付け、似顔絵を描きつつ村はずれの目的地に到着すると、ハッピーさんはもう到着されていた。ここは村外れの高田島という集落です。村の中心からはクルマで10分くらい。ここだけ、村からは切り離されたような地理関係にあって、だから地名に島なんてついているのかもしれません。ただし現在、高田島という地名は地図にものってません。カーナビに入力しても出てこないし、島なのに船ではいけない、そんな島が、我が高田島です。
 ぼくはここが好きで住み着かせてもらっていますが、ここがすてきなのは、なにより住人がすてきなことです。すてきな人はどこにでもいるだろうし、もしかするとここにもちょっとすてきでない人もいるんでしょうけど、少なくとも酒飲んで笑っているときには、みんなすてき。なので川内村自由大学のテーマとしては、高田島のじじばばを講師として、すてきな酒の飲み方を勉強する、ということにしました。ここではハッピーさんは原発の今を語る特別講師ではなくて、一介の酒飲み見習いです。

1408自由大学宴会全景

 あとで聞いたら、馬刺しが食べたい馬刺しが食べたいと懇願していたランディさんは、ついぞ一切れの馬刺しも食べずに終わったらしい。それほど酒飲み講習が忙しかったということみたいです。
 みんな、それぞれ自分のお気に入りの場所を見つけて、それぞれの話をしています。もともと知り合いだったという人はほとんどいない仲間ですから、人見知りなんかしている場合ではない。その点、村人の方が知り合いが多いだけに人見知りをしやすい状況なんだけど、これまたすてきなことに、このへんの奥ゆかしい村人たちは、自分から出ていくことはしないけれど、飛び込んでくる人にはあたたかかったり鋭かったり、ちょっときつかったり、いろんな対応を見せてくれます。ないしょだけど、ぼくは村人みんなの、こんな対応を観察するのが、好きです。

1408自由大学焚き火

 いったい、なにがあるんだ?と村人には聞かれます。でも、いまいちじょうずに答えられない。いったい、なにが起きるのかは、始まってみないとわかんないからです。自由大学の皆さんにも、いったいどんな集いなのかと聞かれても、いまいち答えようがない。そのとき集まった人と人の対話がぶつかり合って、どっちに向いて宴会が流れていくのかが決まっていきます。こんなどんぶりな集いだから、それを許してくれる人が相手でないとやっていられない。ここでなければ、川内村自由大学でなければできない集いなのかもしれないと思います。

1408自由大学宴会

 自由大学も3年目ですから、中には村人とすっかりツーカーの方もいらっしゃる。だいたい、酔っ払い同士がいい関係を築いていることが多いです。
 村人は、たいていは子も孫もいる世代の方が多いですが、だんだん時代が流れてきて、じいちゃーん、ばあちゃーんと飛んできて抱きついてくるような再会は少なくなっています。ここに集う者どもは子でも孫でもないけれど、一夜のアバンチュールじゃないな、あとくされのない感動の再会ができるわけです。
 ぼくが縁もゆかりもない土地に住まわせて楽しませてもらっているように、こうやって、赤の他人にこの地をふるさとみたいに通ってもらえるようになったら、それはまたたいへんすてきなことだと思います。

1408自由大学宴たけなわ

 こうして、夜はどんどん更けていきます。どこで誰がどんな話をしているのかはさっぱりわからないけど、みんなが元気で楽しく飲んでいるなら、なにがあってもけっこうだと思います。酒と踊りは、世の中を元気にします。最近は、酒を飲まない人も増えました。善し悪しはともかく、酔っ払い運転をしなくなったので、酒のつき合いがすっかり希薄になってしまいました。地域の崩壊は、案外こんな簡単なところから起こっているのかもしれないと思ったりもしています。
 ならば、都会の集合住宅で夜な夜な酒飲み宴会を開催すればいいような気もするけど、マンションの隣近所との宴会はなんだかぞっとしませんね。ぼくはこの田舎の村の、酒でつながっている関係が好きです。ぼくが好きなそんな空気を、みんなが少しだけでも味わってくれればいいなと思っているわけです。まぁ本音は、ぼくの好きな、すてきな村人を、都会の皆さんに自慢したいというところですけど。えへへ。

1408自由大学踊り

 翌日、ゆっくり朝ご飯など食べ、草刈りの奉仕活動をするという昨晩の飲み仲間を見送り(おまえらはやらんのかと言われたけど、しっかり酔っぱらった翌朝、早くから草刈り活動をする村人パワーはすごいです。都会人にはちょっとまねできない)感がえる知ろう館でダイアローグ(対話)をおこないます。
 ハッピーさんの事故当時の話を聞きつつ、飯舘村から避難することになった麻里さんや川内村で暮らしているぼくの話を組み合わせ、さらに事故当時に霞が関で対応に追われていた方の証言などもあって、話は多角的につながっていきます。いろんな人の話を聞くのは、大事だなぁと痛感した次第です。
 その一方で、自由大学に参加した面々は、みんながみんな、原発について一家言を持っている方ではなくて、こういう話を初めて聞いた感想を語っておられる人も何人かいらっしゃいました。それもまた、原発を考えるうえでは大事な要素だと思ったりします。みんながみんな、原発問題を自分のこととして考え続けているわけではないのですから。

1408自由大学ダイアローグ

 さて、いつにも増して長いダイアローグが終わって、ハッピーさんの似顔絵の結果発表をおこなうことにしました。似顔絵ったって、実物を知らずに描いたのだから似ているわけがない。なのに調子に乗って、似顔絵には年齢とか星座も想像して書いてもらうことにした。これでなぞの人物ハッピーさんの実物像が浮かび上がるかもしれない……。

1408自由大学ハッピーさんの似顔絵

 この写真は、みんなの力作の一部。こりゃないだろうというものから、なんだかほんとにそれっぽいのまであって、いろいろです。それでハッピーさんご本人に「ふざけるな賞」と「まぁいいだろう賞」を選んでいただきました。まぁいいだろう賞が、本人に似ているというわけではありません。ご本人が気に入ったということです。
 考えてみれば、けっこう知名度のある人で、でも誰も顔を知らない、という人は世の中にそうそう多くいるわけではないので、こんな似顔絵企画はなかなかできないわけで、それだけでも今回の自由大学の存在価値はあったと自画自賛している次第です。

1408自由大学ハッピーさんの似顔絵

 ハッピーさんは、この場のぬるい宴会の空気を気に入ってくれたみたいで、来年もまた来たいといってくれました。あれから原発は、1号機のカバーをとるのとらないのとか、あいかわらず汚染水が漏れてるんじゃないかとか、状況は厳しいまんま続いています。
 ハッピーさんにはぜひがんばってほしいですが、でもおからだをお大事に。土地柄、原発で働く知りあいはひとりやふたりや三人ではないので、自分がやっているわけではないけれど、原発収束作業はよその地域の人よりは身近です。みなさん、どうぞおからだに気をつけて、よろしくお願いします。お国がコントロールしていようが手抜きをしていようが、ハッピーさんをはじめとする作業員のみなさんがいなければ、双葉郡の将来も福島県も日本も、未来を失うことになるのはまずまちがいないのですから。

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