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川内村(西)

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放射能の季節

2013年草地

乳牛用の草を刈る。しかしお隣の草地から100Bq/kgを少し上回るセシウムが検出されたため、この草もまた牛には食べさせられない。牛乳組合は草の規制値を30Bq/kgと自主規制している。使えなかった草の補償は出るが、むなしい作業は続く

放射能被害を受けた自治体に住みつつ、なにかを発信していくというのはたいへん意義深いことですが、それはときに、とてもしんどい。うさぎがひっくり返ったとか、トライアルが下手になったとか、そういう話題の方がラクチンだし、読んでいる方も肩ひじを張らなくていいはずだと思います。

でもときどき「読んでる」という声をいただきます。そうするとやっぱり、何ヶ月も更新していないのは申し訳ないと思います。

今日は、とある人とやりとりをしたので、その返事をご紹介したいと思います。福島のためになにかしたいと、ぼくに言わせると、少し過激に考えておられる方です。あなたはなぜ怒らないのか、立ち上がらないのか、と叱られました。そういう正義への、ぼくの言い訳です。


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全体の構造はなかなか変えられないので、仮に無事脱原発となっても、巨大な利権に世の中が左右されるという構造はなかなか変わっていかないと思います。今の被災地では、まずそれが露骨に見えている気がします。

住んでいるひとにお金を使うべきというのはまったく正論で異論の余地はありません。しかしこれも極論ですが、人口3000人の我が村に義援金が3千万円集まった時、村長は村人一人ずつに1万円配りました。1万円もらっても、飲んで食べたら終わります。ぼくはそのとき、みんなに配らず、正しい事業に使ってくれればいいのにと思いました。しかし正しい事業がなんなのか、結論を出すのはむずかしいです。

低線量とひとくくりにいっても、それはいったいどんな数字なのか、国際的な原子力機関は一定の数字を定めていますが、そういった権威に信頼を失っている人たちは数字を信用しません。そうすると、もうものさしがない。放射能ゼロならこれはもう安心。しかしイランやブラジルの例を出すまでもなく、地球上に元からあるさまざまな放射性物質の存在を考えると、放射能ゼロは机上の空論です。では、なんとかシーベルトまでは安全という基準を出したとして、そしてその数値で生活をしていても、白血病になったり甲状腺癌になったり異常妊娠をする人は、一定量います。それは福島に住んでいたからかもしれないし、住んでいるところと関係なかったかもしれない。

自分の家に帰るのに、許可証を申請して監視されながら帰らなければいけないという経験は、多くのひとにとって初めてでした。そして日本の多くのひとにとっては、こういう経験をしていない人がたいへんに多い。安全のために福島から避難してほしいと願っているみなさんのお気持ちはありがたいと思う一方、それは原発事故が、国家が住民に対しておこなったある意味の虐待行為を、再び繰り返すことにもなるわけです。

福島のひとには、補償うんぬんはともかくとして(それが政治的にはとても重要なところではありますが)避難する権利も住む権利もあります。そして福島のみんなは、専門家ではありませんが、2年もここで暮らすうち、どの程度で安全を見切るのか、自分自身の判断基準を確立しています。もちろんそれはまちがっているのかもしれない。数年たって、被害が出てくるのかもしれない。出てこないのかもしれない。因果関係が分からないのかもしれない。しかしそれは、福島のひとにとっての、運命なのだと思うのです。

遠くへ避難した人、すぐ近くにいて時々自宅に通っている人、安全を確信して住んでいる人、なにも考えていない人、除染の仕事をしている人、第一原発の事故処理従事に通っている人、いろんなひとが、ここには住んでいます。社会というのは、そういうところだと思います。複雑な社会を複雑なままうまく回すのが、正しい政治だと思いますが、その機能が停止している、あるいはもとからなかったという現実が、今回の事故でもっとも顕著に現れているところではないかと思うのです。

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