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ソニーぎらいのソニー賛歌

ソニーα99

ヨドバシカメラへ行って、買いもしないのにカタログをもらってきた。クリスマスだから街はにぎにぎしていたけど、ぼくの用事はプリンタのインクを買うこととか、撮りためてある原発事故以降の村の写真とかを整理するアルバムを買うこととか、ぜんぜん色気がないです。色気の前に金気がないのだから、しかたない。

もらってきたカタログは、ソニーのα99という、ソニーのフラッグシップカメラです。

むかーしむかし、ミノルタがα700とかというカメラを出した時、講談社の今はなきペントハウスって雑誌にお仕事をもらって、オートフォーカスでレースを撮るってのをやったことがあった。正面から来るのをとれる自信はなかったから(自信がないと言うより、メカニズムを信用してなかった)、筑波のヘアピンの内側から横っ走りを撮ってページにしてもらいました。これだったら、オートフォーカスでもなんでもおんなじなんですけどね。見開きを飾ったのは、ゼッケン1番時代の平忠彦さんだったと思う。

それから時代は流れて、今はミノルタもカメラは作っていない。かわってソニーが、ミノルタの技術を買い取ってカメラ開発をしている。これまた少し昔、コンタックスを持って自動車を撮りにいったら「女の子を撮るようなカメラでうちのメカを撮ってほしくないなぁ」と言われたことがあった。冗談か本気なのか、どっちだったろう? でもわかります。命がないものは、キヤノンの白いレンズで撮るのがいいです。でもコンタックスは、そのへんの枯れススキを撮っても美しいのを知ってしまって、その頃はぞっこんだったのでした。

コンタックスの話じゃなくて、カメラには、そういう、向いてない向いている、というのがあります。というか、ソニーというロゴが入ったカメラで、写真が撮れるとは思えないと言うのが、ニコンやキヤノンで育ったぼくの感覚です。偏見だから、修正しようがない。

ところが今のソニーは、ミノルタの技術をすっかり買い取って、おまけにぼくがほれこんだカール・ツァイスレンズまで抱き込んでいる。なかなかあなどれない。一時、近所にソニーユーザーがいて、彼が持っていたひとつ前のフラッグシップ機α900というのをさわらせてもらって、そのデキのよさにひっくりかえって、真剣にソニーを買おうかと悩んだのだけど、やっぱりソニーを使う気にはなりませんでした。ソニーの皆さん、ごめんなさい。

もらってきたカタログを開くと、そこにはカメラの好きな人が、自分の作品をきちんと見てほしいという思いがなんとなく伝わってくるような気がした。最近のカメラのカタログって、ムーディなものが多くて、機械としてのカメラが好きな人にはどうもおもしろくないんだけど、このα99のカタログは久しぶりに機械のカタログというおもむきがあって楽しかった。

α99というカメラはさわったことがないけど、α900について思ったのは、ソニーとミノルタの技術が、ガチに合体すると、こんなものができるのだなぁという感激だった。ミノルタって、昔々はきちんとしたいいカメラをじゃんじゃん作っていて、ライカの一眼レフなんて、ついこの前までミノルタが設計したものを売っていたりした。一時、次のライカMはミノルタ製の自動露出カメラだ、なんてうわさもあったし(ライカに技術提供をしていたからいいカメラメーカーなのだ、ということでもないのかもしれないけど)。

そのミノルタがカメラをやめちゃって、技術者はさぞくやしかったんじゃないかな。α900には、そんな技術者の思いが結集していたように思う。シャッター音とか、特にファインダーのチューニングとか、最高だった。コンタックスRTSIIIのファインダーも美しかったけど、あれは美しいだけでピントが合わせづらかった。キヤノンの初期型のF1はピントは合わせやすかったけど、お世辞にも美しいファインダーではなかった。ソニーのファインダーはいいとこどりだった。

それだけなら、ミノルタがミノルタとしてカメラを作ってりゃいいじゃんということなんだけど、電子カメラとしてもよくできていた。今じゃどのデジタルカメラもあたり前に装備しているけど、一発バッファに入れておいて、お気に入りのモードのものをメモリにセーブするなんて機構は、たぶんカメラ屋の思考ではなくて、電気屋の発送なんじゃないかと思う。デジタルカメラはしょせん電気製品なんだから、電気屋の自由な発想でつくったほうがいいものができるということを、α900は主張していたように思う。それに比べりゃ、ニコンやキヤノンのデジタルカメラなんて、フィルム入れるところにCCDを押し込んでそれきり、みたいな雑な作りだったなぁ。今はずいぶんよくなったけども、カメラとしての完成度はともかく、デジタルカメラとはどうあるべきか、という点では、ニコンやキヤノンがソニーに学ぶところはまだまだ多い気がする。えらそうですけどね。

そういう意味では、最近ライカMってデジタルカメラが出た。これは1954年に世に出たライカM3のシルエットを(おおむね)そのまま使いながら、ついに動画が撮れるようになっちゃった。で、ライブビュー撮影もできるらしい。要するに、いまどきのミラーレス一眼になっちゃったわけだ。それなら、レンジファインダーのピント合わせの制約がなくなるから、ライカMに一眼レフ用の望遠レンズをつければ、300mmでも500mmでもばっちり(かどうかわかんないけど)ピントが合わせられるってことになる。

ライカがこういう効能を目指したのかどうかはわかんないけど、古い設計がそのまんま、オセロの目を変えるように最新型になるのはおもしろかった。でもまぁ、ソニーは買わないけど、たぶんライカMも買わないと思う。高いんだもん(誰かがくれるというなら、全然拒みません。よろしくお願いします)。

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