2021年1月
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マラソン


夕方には、こんなランナーも現れる

 杉谷にびっくりされたりあきれられたりしながら、24時間リレーマラソンってのに参加してきた。
 7月15日朝10時スタート、16日朝10時ゴール。シンプルですね。やることは、走るだけです。場所は富士吉田近くの北麓公園でした。


 北麓公園には立派なトラックがあるんだけど、そこでたすきを渡して、公園を一回り。1.6kmコースには上り坂もあってちょっと(かなり)苦しい。上り坂があれば下り坂もあり。下りは下りで、膝に負担がかかるからまたたいへんなんだけどね。
 チームはそれぞれ10人ほど。靴に赤外線で反応するチェッカーを付けていて、これで周回が計られる。ほんの軽いものなんだけど、よくできてる。ロードレースやモトクロスが初めて機械計測したときには弁当箱みたいな箱をマシンにつけらされたものだけど、これならついているのがぜんぜんわからない。これで、足つきの数を数える装置はできないもんですかね(余談)。
 中には、スーツとかセーラー服着て走ってるやつとか、赤ふん一丁のやつとか際物もいっぱいいる。もちろんまじめに走っている人もいっぱいいる。セーラー服が遅いかというと、これが全速力で走っていたりする。走るほうに自信がなければ、セーラー服なんて着て走れるわけがないのだ。速いほうは際限がなくて、コニカミノルタが冠スポンサーなんで、コニカミノルタの実業団チームも走っている。こいつらに限らず、ちゃんと走っている人たちは性別年齢問わず、とんでもなく速い。
 昔々、サーキット走行ってのをしたことがあったけど(ヤマハTA125のベースとなった市販車改造マシン)、こっちがおっかなびっくりヨタヨタ走っているイン側を、一瞬にして抜き去って消えていくバカッ速い人たちがいた。ヨーロッパ転戦から帰ってきたばかりの根本健さんにもぶち抜かれたことがありました。スピードは桁がちがうけど、正しいランナーにぶち抜かれたニシマキなんちゃってランナーは、そんな昔日の光景を思い出してしまった。もうちょっとわかりやすくいうと、アウトストラーダをフィアット500で走っていて、フェラーリの12気筒にぶち抜かれるような感じです(やっぱりわかりやすくないか)。
 自分でもなんでこんなことになったのかなぞ。学校卒業したての若い娘にメル友になってもらってるうち、すっかりだまされたのが真相なんだけど、公式コメントとしては、次は平谷に出場するし、8月にはベルドン5日間に参加するから、足腰鍛えておくかなという大義名分がある。努力や練習がきらいだから、練習に出かけていってぼけーっとしているより、体力トレーニングしたほうが効き目があるんじゃないかという逃げ口上もあり。
 昔々、中学のときには1.5kmを5分か6分で走ったことがあるなぁという記憶があって、そんなもんかと思っていたけど、そりゃ、当時は膝もちゃんと動いたし腹も出ていなかった。杉谷が昔はTLRの上で逆立ちができたけど、いまじゃ畳の上で逆立ちするのもおぼつかないのといっしょだ。
 ベストタイムは1.6kmを8分20秒ほど。上り下りがけっこうあって、上りでばてて、下りで膝をいたわってだから、タイムが出るわけがない。ひとりで醜態を晒すのはいやだから、慧菜と茅美佳、娘どもをふたり巻き添えにした。仲間は21人もいて、2チームに分かれての参加。娘どもは別のチームで走ってたんだけど、夜中に茅美佳に「いよっ」と肩を叩かれて抜かれたのは軽くショックでした。彼女にはベストタイムで1分ほど差をつけられた。学校で駅伝をやってる芙海は年齢制限にひっかかって参加できなかったんだけど、連れて来たら、もっとぶっちぎられるところだった。でもまぁ、藤波父ちゃんや黒山一郎さんが息子たちと競ったらどうなるかを考えたら上等であると、無理やり納得する。


消防士の卵の丸山さん。
かわいい女の子なのだ

 大学生がいたり、消防隊予備軍の学生がいたり、いろんな仲間がチームにいて、なかなか濃い24時間だった。トライアルは試合の前後では濃ゆいコミュニケーションの時間が流れるけど、リレーは走っている人以外は待ってるしかないので、仲間の輪の作り方もトライアルとはまたちがって新鮮。こういう感覚は、ジャングルで道路工事をしながら荒れ果てた廃道を進んだキャメルトロフィー以来だった。
 キャメルトロフィーでは、数十人の仲間たちが、代わる代わるにスコップを持って作業をする。作業ポイントは全員で作業できるほどには広くないから、順番で仕事するのだ。炎天下で作業するから、そうじゃないとあっというまに死んでしまう。仕事のないときに飯を食ったり川に水浴びをしに行ったり、そういうのも全体的には立派な仕事のうち。24時間マラソンも、人が走っている間にぐぅぐぅ寝ているのは立派な仕事であるわけだ。
 それにしても、参加は200チームにも及んでいた。6人から参加ができるんだけど、12人ほどのチームもあって、参加者だけでざっと2000人、ものすごいビッグイベントだ(エントリーフィーだけで1000万円以上になるなぁと、せこいニシマキは数えてしまった)。スタッフの皆さんは、ランナーが補給するお水を休みなく用意し続け、同じく栄養補給用のバナナを24時間切り続け、そういえば吉田うどん(なかなか絶品でした。今度、あらためて富士吉田にうどん食べに行きたい)のサービスがあったり朝にはおにぎりをもらえたりしたけど、あれも2000食用意したってことだなぁ。すげー(1000万円はすぐなくなっちゃいそうだなと、せこいニシマキはまた計算した)。
 トライアル大会では、だいたいひとつのイベントで200人も集まってしまうと、そろそろ収集がつかなくなってくる。いろんな意味で、手軽なスポーツとそうでないスポーツのちがいを実感させられることになった。というか、トライアルはぜいたくなスポーツなんですね、きっと。
 ニシマキの場合、ジョギングシューズはなんでもいいのだと高をくくって、近所のスーパーで3000円のを買ってきた。それなりにサイズは厳選したつもりなんだけど、ちょっと走ってみたらどうも物足りなくて、トライアルブーツに入れていた中敷きとかを取っ換え引っ換えして試行錯誤した結果、結局何千円か出費して気持ちのいい中敷きを買ってきた。最初から1万円のジョギングシューズは買わないくせに、始めてしまうとトータルで1万円出すのは抵抗がないわけだ。最初に80万円のトライアルマシンを買うのに抵抗がある人が多いのは、当然ですね。
 速い人は速く走ればいい、疲れたら歩いてもいいというのも敷き居が低くてよろしい。ニシマキはアホなので、上り坂をがんばって、その先の平らなところになって歩いたりしていた。レベルをまちがうと手も足も出ないトライアルとちがって、平和です。
 ぼくらの仲間では一番速かったのが山田くんの5分20秒、彼は消防士の卵で、体は商品だからさもありなん。もっとも素晴らしいタイムは15分台で、チームリーダーの西田くん(素性はよくわからない。これから仲よくなろう)が夜中にみんな寝てしまって誰も走らないなら、ぼくが走り続けますとでていったときにマークしたタイム。責任感の結晶の記録でした。
 ちなみにチームの最年長はその西田くんのお父さん(その次の年長者が、ぼくだ)だったんだけど、お父さんは7分ちょっとで回ってきなさる。年齢がいっていても、日ごろの鍛練次第で若者に負けない記録が出せるわけだ。ニシマキみたいに、日ごろからだらだらでれでれ歳を取っていると、気がついてみたらどうしようもなくなっているわけだ。
 トライアルを始めたばっかりの人が大汗かいてオートバイに乗っているのを見ると、トライアルもいい運動かなのかなぁと思うけど、ちょっとずつうまくなってここでも力を抜く術を覚えちゃって、ここでも手抜きをやっている。
 走ってから3日たって、意外に筋肉痛もひどくなくて(もちろん手抜きをしていたからでもありますが)気分もよろしい。世界選手権2日間取材するほうが、よっぽど疲れる。どうやら疲れというのは、動いたから疲れるものでもなくて、動かないから疲れたり、精神的に緊張が続いたりすると疲れたりと、奥が深いものがあるのではないかと気がついた。疲れたからとなにもしないでいると、どんどん疲れてくるのかもしれない。ぼくが疲れているのは、そういうことなのかもしれないなぁ。
 今週末は、平谷のトライアルに行きます。伊那では天竜川があふれそうだというし、平谷の山あいはどうなっているんだろうなぁ。ぼくは第1回の雨の日に走って、敗残兵みたいになって帰ってきた。トライアルは、からだも動かすけど精神的にもつっこまれることが多いんで、平谷ではやっぱり疲れ果ててしまうでしょうね。楽しみでもあり、おそろしくもあり。生きていたら、またお会いしましょう。

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