© トライアル自然山通信 All rights reserved.

トライアンフ・タイガーカブ
長いこと放っておいたトライアンフのタイガーカブを、ようやく動かして遊びました。
四十雀トライアルに参加したのだけど、これがとっても素晴らしいマシンだった。四十雀に参加するまでは、重たいし乗りにくいだろうけど、かっこいいからすべて許すという気持ちだったけど、乗ってみたら脱帽。今のトライアルとはまるで方向がちがうけど、トライアルってのは、本来こんなマシンでやっていたスポーツなんだなぁという感触を感じました。
基本テクニックしか必要がないマシン。基本テクニックがないと走れないマシンって感じ。
とにかく、フライホイールがずっしり重たい。エンジンのパワーとかではなく、フライホイールがひとりで走っていって、ひとりで丘を越えてくれる感じです。だからクラッチなんか使ったって、間に合わないから使わない。アクセルも、へたなことをしてフライホイールのきげんをそこねるくらいなら、そのままじっとしていたほうがまし。
と、ニシマキレベルで会得したトライアンフの乗り方は、なにもしない、でした。ブレーキペダルは左についているので、慣れない左足は動かないから使えない。リヤブレーキが使えないから、ほとんどの場合、フロントブレーキもこわくて使う気になれない。公道を走れるレシオを注文したので、セクションではローしか使えないから、シフトもしない。
本当になにもしないで四十雀トライアルが終わりました。でも、これがとっても楽しかったんだなぁ。
上は、四十雀にいく途中にお仕事で寄った妙楽寺でのひとコマ。左足の慣らしをしていたら、ちょっと乗せてくれと寄ってきた人がいて、乗せてあげたらこんなところを越えていました。
この人は、昔セローでツートラ荒らしをしていたことがあったけど、たぶんセローよりこっちの方が重量は軽いし、こわさないという約束をしなければ、けっこうなところを走ってしまうかもしれません。
感想は「ぜんぜん問題なく走る」でした。ぼくが乗ってもぜんぜん問題ないのだけど、ぼくはこんな丸太を越えていこうとは思いません。
ちなみに、このマシンはトライアンフのタイガーカブ。タイガーカブってのは虎の子と訳してあるのもあるけど、不肖の息子ってな意味もあるんだってね。
「これは4ストロークですか? 2ストロークですか?」という質問もときどきうけるけど、れっきとした4ストです。OHVだから、カムシャフトがシリンダーヘッドにはありません。縦に通っているパイプの中を、プッシュロッドという棒が入っていて、クランクケースの中にあるカムの動きをバルブに伝えます。だからプッシュロッドとバルブがあたるタペット音はかちゃかちゃいうけど、シャリシャリというカムチェーンの音はしません。イギリス製マシンだから、チェンジペダルは右側に。これはお約束です。キャブレターは、純正はアマル製がついてますが、これはデロルトで、だいぶずぼらな扱いができる感じです。点火もトランジスタに改造されてます。
このマシン、フレームはおそらくノーマル。フロントフォークはもしかしたらノーマル。タンクはBSAのオフロード用。シートは手作り。リヤのハブも手作りでした。ガスガスのによく似たフットペグも手作り。イギリスのおじさんは、手作りでものを作るのが本当に好きです。