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かわうちトライアルの被爆リスク

1106外国からのメッセージ

川内村と富岡町が役場五と避難している郡山のビックパレットにて。南米からの応援メッセージ。ブラジルと書いてあるけど、国旗はメキシコ。

 かわうちトライアルミーティングは、原発25kmの緊急時避難準備区域で開催します。原発事故の影響が絶対にないとはいえませんので、放射能について、おさらいします。
 川内村は、東京電力福島第一原発のほぼ真西にあって、距離、一番近いところで11kmくらい。会場となる草地は22kmくらいのところにあります。20km圏内のエリアは避難区域になっていて、現在立ち入りができません。その外側のエリアは、緊急時避難準備区域になっています。緊急時避難準備区域とは、緊急時(原発が大爆発を起こすなど?)にすぐに避難するか、屋内に退避できるよう準備をしておけ、というエリアです。外での活動などは制限されていませんが、その観点から、一人で逃げられない子どもやからだに障碍がある人などは安全な場所に避難するように推奨されています。
 ここまでは、お国が定めたところです。ここから先は、現地で生活することに決めちゃった、ニシマキがこれまでにお勉強したことです。


 ニシマキの解説なんて聞いたってしょうがないという人も多いかと思います。でもね、この3ヶ月間、いろんな学者先生が、原発と放射能について安全だ、危険だというのを聞いてきました。これがまぁ、みなさんいろんなことをおっしゃる。福島県に近づいただけで死んじゃうんじゃないかという説から、福島市に来て裸で日光浴をしていれば、放射能を吸って元気になれる、なんてのまである。いんちきなトライアル雑誌の意見ではなく、大学の教授あたりがいうんだから、いよいよさっぱりわけがわからない。
 きっとそれぞれ、誰かからお金をもらってて、それで言うことがちがうんだろうと思ったけど、どうやらそれだけでなくて、放射線被害については、まだまだ未解明のことが多いんですね。つまりどの大学の先生の言うことも、本当かもしれないし、うそかもしれない。ガリレオの時代には、太陽が地球のまわりを回っていると偉い学者の先生が信じていたわけだから、そうであってもしかたありません。
 ということで、事故以来、必要に迫られて勉強してしまったニシマキの一応の結論としては、誰の言うことも信じません、信じられるのは、自分だけ、ということでした。なのでみなさんも、ご自分を信じて、川内トライアルミーティングに来るかどうかを、決めてください。いえ、川内に来るかどうかだけじゃなくて、きっとこれから、日本に住み続けるということは、程度の差こそあれ、こういうことを考えていかなければいけないんじゃないかと思うのです。
■放射線は、すべからく危険だ
 放射線には、安全なものなどないと思ってます。安全な放射線など、ひとつもない。ラドン温泉やレントゲンは人の役に立っているかもしれないけど、それが安全の証明ではないと思います。
 たとえばぼくらが好きなオートバイは、とても楽しいものだし人生を豊かにしてくれるけど、まちがいなくあぶない。命を落とすことになるのか体中あざだらけになるのか、それはそれぞれだけど、絶対安全といえないものであることは確かです。若い頃は、オートバイは楽しいし、ちゃんと乗ってれば安全、というように思ってましたけど、今、もうちょっとジジイになって思うには、オートバイはしっかり危ないというのを告知した上で、だからちゃんと乗ろう、と伝えていくべきだと思っています。トライアルが安全だとも思いません。小さなケガが絶えないのは、みなさんもご存知ですものね。
 放射能もおんなじ。場合によってはレントゲンとかで人の役に立つこともあるけど、だからといって、安全ということはありません。この安全に、数字がいくつ以下だったら安全とか、いくつ以上は危険とかいうこともありません。50ccだって1000ccだってあぶないときはあぶないし、レース中に200km/hから転んでぴんぴんしているひともいるし、逆のケースだって見聞きしてきました。「年間何ミリシーベルトなら安全なのか」と問いただしたくなる気持ちは分かるし、ぼくもそこに答えがあれば安心するけど、そんなものはないんだと思います。ちょっとでもあぶないんだから。
■年間1ミリシーベルト?
 日本では、1ミリシーベルトを安全な被曝量としてきて、それを原発事故の後、20ミリシーベルトに引き上げました。こんな泥縄なことをやるから、みんなが不安になったりするわけだけど、放射線がすべからくあぶないという点からすると、1ミリでもあぶないということになります。しかし、そんなことをいっていると、地球で生きていけない。どこかであきらめちゃうしかないわけです。まず、自然界から受ける放射線があって、これが世界平均で年間2.4ミリシーベルト、日本はもう少し低くて、福島県では1ミリシーベルトもあるんだそうな。それじゃ1ミリなんてはなから越えてるじゃんかと思うけど、1ミリというのはその2.4ミリなり1ミリを除いて考えるんだそうで。いやー、めんどくさい。
 川内村の年間被曝量は(今この瞬間の状況が1年間続くとして)4ミリシーベルトちょっとになります。1ミリと1ミリ足して、その倍ほど被爆することになります。1ミリの数字は、原発が事故など起こすわけがないという前提でつくられた基準値だから、今の川内村は、わりと低い線量でがまんしているといえます。川内村でも、10kmちょっと山の上のあたりでは年間被曝量で10ミリ近くになります。風向きや地形によって、距離が同じでもいろいろ、今、川内村は比較的低いなんて書いちゃったけど、川内でもいろいろあるわけです。ほんとうは、お家一軒一軒調べないと、ほんとうのところはわかりません。
■自然放射線と人工放射線
 先の、世界平均で年間2.4ミリシーベルトというのは、自然放射線被曝量です。岩に含まれたり食べ物から摂取したり、今までも被曝量はまるでゼロだということはありません。そもそも自然界にウランなんてものがあったから、原子力利用ができるようになったわけで、放射線自体は自然の産物でもあります。なんでもイランでは平均で年間10ミリシーベルトの自然放射線量の出てる地域もあるんだそうで。すごいですねー。これでふつうに生活している人がいるってんだから、今の放射線量なんてどーってことない、という意見もなるほどと思ってしまいます。
 でもね、自然放射線というのはもともと自然界にあったものなんで、あぶないものながら、人間も本能的にその危険性を知っているらしく、体内にため込まないようにできてるらしい。ところが人工放射線ってのは、この60年くらいで出てきたものが多いから、人間の体も対処方法を知らない。
 最初に原発から飛び散ったヨウ素131にしても、自然界にあるほうのヨウ素は体に必須の元素で、消毒液などの材料にもなっている。そのくせに自分では作り出せないので、人間は大事に体内にためこもうとする習性がある。でも原発から飛んできたヨウ素131は核分裂でできた放射線を出すヨウ素の皮をかぶった狼で、これが人間には自然界のヨウ素と見分けがつかないもんだから同じようにため込んでよろしくないことになる。一口に放射線といっても、自然のものと人間が作ったものをいっしょにしちゃいけないんじゃないかと思うんだけど、学者先生もはっきりしたこと言わないんで、よくわかんないというのが結論です。
■大人と子ども
 ひとつだけはっきりしていること。放射線被害は、子どものほうが圧倒的に被害が甚大ということです。新陳代謝がよくて、まだまだ細胞分裂を盛んにやってるからなのか、どうしてかはわかんないけど、チェルノブイリの事故の時も、悲しい目にあったのは子どもたちだった。
 だいたい40歳をすぎて、45歳以上になると、残念ながら放射性物質による被害はどかんと少なくなるらしいです。だいたい、20年後、30年後になにか被害が出たとしても、その頃には別の理由で死んじゃってたりしますから、わかんない。実は被害がないのではなくて、統計に現れていないだけかもしれないんだけど、わかんないも結果なしも、同じことのようです。結果を出せなかったのとゼロ点がぜんぜん同じでないトライアル界から見ると、不思議ですねー。
 というわけで、かわうちトライアルミーティングは、原則45歳以上の子作りの予定のない方に来てもらいたい。将来を担う(子孫を増やしてくれる)若者や、特に子どもは、今は呼ぶべきではないと思います。線量は低いけど、それが安全だという確証は、まだまだもてていませんから。
■放射線量の計測
 最近、福島県のひとは、ガイガーカウンターを購入して、家のまわりを計測するのがふつうになってきています。よけいな出費とよけいな手間ですが、毎日続けているのは楽しくないでもない。調べた数値を見て、近所のひとが自分の生活の目安にしてもらえたら、人の役に立っている気にもなれる。
 計測については、正しい計測方法とか、いろいろ勉強もしました。シーベルトという単位で放射線量を示す場合は、ガンマ線だけ計測してベータ線は測っちゃいけないってのもその一説。ベータ線だって出てるんだから、出てるものを測らないのはおかしいだろうと思ったけど、夏の気温を測るのにエアコンの吹きだし口に温度計を持っていってはいけないのと同じ(たとえが悪い?)。ベータ線を測るときには、それはまた別のやり方をするんだそうです。
 空気線量を測るのに、地面に近づけたりするのも反則。子どもの視線に立って、一度低いところの線量を測ってみるのはデータになるだろうけど、地面に近けりゃ数値が高いのは当然なんで、そんな数字をそのエリアのデータだと言われても困ってしまいます。
 政府発表はガンマ線だけを発表してベータ線のデータを隠しているとおっしゃる方もいる(どこかの携帯電話会社に社長さんもそう。そうそう。会場ではSoftBankは通じません。アンテナ建ててくれないから。携帯事業より放射線被害の方が急務ですか。そうですか)。政府の意図はわかんないけど、みんながガンマ線だけ測っているなら、それで統一しないと比較にならないと思うから、とりあえずガンマ線だけ測っています。
 高い数字を示して人をびびらせるのは簡単で、ぼくんちのそばでも、雨水がぼたぼた落ちてたまっているあたりでは、そのへんの空気線量の30倍もの数値を出したところがあります(その後、ずいぶんましになった)。放射線を除去するツボでも売ってる商売をしてるなら、そういうところを測って「おたくは呪われている」と口説いてツボを売りつければいいのだと気がついたのですが、みんなもそんな商売には引っかからないでね。
 ぼくらは今、3万円から10万円くらいの線量計を使ってますが、県や文科省なんかが測ってるのは、何千万円もする機械らしい。安いのでいいかげんな数字を測ってもしょうがないとも思われるかもしれないけど、人を説得する材料にはならなくても、毎日計測して変化を見ていると、それぞれの目安にはなってきます。なので、原発とつきあい続けていく限り、計測は続けたいと思います。
■ということで
 目に見えない放射能。おっかないし、気持ち悪いから、できたら近寄りたくないという思いもあります。でももう、第一原発は爆発しちゃったんだし、あらためて思えば、日本のどこでもがこういう被害を被る可能性はある。狭い日本で、しかも地震の多発地帯で、こんなにたくさん原発作っちゃったんだから、その責任は負わなきゃいけないのだと思います。ぼくは原発を作った覚えも推進した覚えもないけど、止めようとしたこともなかった。選挙権のある日本人としての責任で、原発や放射能と接し、受け入れていかなければいけないのだと思っています。
 もちろんだからといって、みんな川内村に来いとは言いません。川内村の放射線リスクを知っていただいて、それで納得いただいた方だけいらしていただいて、いっしょに遊びたいと思っています。
 みなさんがどんな顔をして川内村に集まっていただけるのか、ちょっと楽しみにしながら、毎日8マイクロシーベルトくらいずつ浴びながらお待ちしています。

1106外国からのメッセージ

こちらはタイから送られてきたメッセージ。一生懸命日本語を書いてくれているのがうれしい

*今現在、ニシマキが住んでいるところは村役場より少し線量が高くて、毎時0.4マイクロシーベルトほど。かわうちトライアルのパドックとなるエリアは、標高が高いのと見晴らしがいいのが影響してか、さらに少し高めの毎時0.7マイクロシーベルトとなっています。放射線量については、定期的にお知らせしていきます。

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