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オリンピックと世界選手権

2005年のセストリエーレ

オリンピックっぽい写真ということで。2005年トライアル・デ・ナシオン会場のセストリエーレは、その半年後にトリノオリンピックの会場になった。泊まった宿から見えた建設中のジャンプ台。

 2020年のオリンピックに向けて、東京都ががんばっている。実現するかなぁ。トルコやマドリッドとの戦い、どうなるかなぁ。
 近ごろはネットワーク経由でマスコミやらなんやらがばしばし映像を送ってくるから、地球の裏側のスポーツイベントの情報もあっという間に手に入る。素晴らしい時代になったものだ。
 この前、東京で、というか日本で夏季オリンピックがあったのは1964年のことだった。その後、冬季オリンピックは札幌と長野であったけど、夏のオリンピックは東京以来やってない。1957年に生まれて東京育ちのぼくは、小学校1年生の時にオリンピックを地元で見た。でもぼくより年少のみんなは、東京オリンピックのことは覚えてないだろうし、いまや、夏季オリンピックをを一度もみてない人は、日本には多そうだ。


 でもでもでも。
 ぼくがへそ曲がりだからか。東京都知事が、東京が、スポーツ選手たちが、テレビが、日本が、みんなでオリンピックよ日本に来いと叫んでいるのを見ると、ほんとか?と心配になってしまう。みんなして、ほんとに日本でオリンピックをやりたいのか。日本でオリンピックを観たいのか。それで、日本の未来が素晴らしいばら色になるのか。
 1964年、東京オリンピックのときは、初めてカラー放送の中継がおこなわれたんだそうだ。世の中は確実に進化していて、ラジオがテレビになりカラーテレビになり、バタバタと呼ばれたオートバイがオート三輪になり自動車になって、世の中の進歩はいつも笑顔を届けてくれた。笑顔の裏側になにがあるかなんて、誰も気にしていなかった。表側しかない、平和な世の中だった。
 オリンピックを開催すると、何兆円もの経済効果があるらしい。東京オリンピックでテレビが売れた、みたいなのが経済効果なのか。それともたくさんの競技場やアクセス道路を作ったりの建築費が経済効果ってことなのか。オリンピックで気分が高揚して、ついお買い物をしてしまう効果が絶大なのか。よくわかんないけど、とにかくオリンピックをやればお金が動く。
 無駄遣いなんじゃないの? という気がしないでもないけど、上向きの経済というのは、無駄遣いの上に成立しているものかもしれない。
 東京オリンピックは、太平洋戦争敗戦20年を目前にして開催された。ぼくの住む町では、それまで残っていた戦前戦中の香りを残す建物やいろんなものが壊され、近代的なものに置き換えられてた。東京オリンピックを境に、戦争を忘れるターニングポイントになったんじゃないかという気がしないでもない。あの時代、小学生のぼくが戦争を感じることはなかったけど、20歳になって、20年という歳月の長さ短さを実感した時、ぼくが生まれた東京オリンピックの20年前には特攻隊が次々に離陸していった時代だったという時間の感覚をあらためて知った。
 今、2020年の東京オリンピックに、近来の日本の暗い過去を洗い流す効能が期待されているとしたら、ちょっと心配だ。
 話がそれました。まぁオリンピックが開催されれば、まわり回って、世の中の人みんなの懐が潤うのかもしれない。大きなイベントというのは、それだけの効果があるもんだ。

2002年のフランスGP

こちらは2002年のフランスGP。ベータに乗る黒山健一のトライを、藤波貴久が見つめている。

 トライアル的にビッグイベントといえば、年に1回の日本GP。初めて日本で世界選手権大会が開催されたのは2000年だったから、なんとすでに、今年で13回目の開催となる。13年間、毎年欠かさず世界選手権が開催されている国は、実はそんなに多くない。スペイン、イタリア、フランスあたり以外の国は、やったりやらなかったり。毎年日本GPが見られるというのは、実はたいへんに幸せなことなんである。
 さらに日本の場合、毎年会場が同じ。これは世界広しといえど、日本だけだ。他の国は、いろんな会場が世界選手権を開催したくて手を上げる。準備は地元のクラブが担当するから、同じ国の世界大会でも、場所によって特徴が出る。セクションの難易度もいろいろだし、パドックの作り方も、バラエティ豊かだ。ときどき、なんじゃこれ、というのもあるけど、それもまた世界選手権の味かもしれない。いや、世界選手権かくあるべしという規則はあるから、バラエティ豊かなのは、その規則から外れていることが多いんですけどね。
 日本のツインリンクもてぎの場合、世界のトライアル大会のお手本にもなっている。トライアルはもともと自然地形を使うものだが、広範囲の自然地形を縦横無尽に走るクラシックなトライアル・スタイルは、環境保全がやかましい昨今、現実的ではなくなってきた。ツインリンクという特定のエリアでの世界選手権は、初開催以来、新しい世界選手権スタイルの指標となった。ホテルやパドック施設が充実している点も評価が高い。
 こういう高度な大会を目の前にしてしまうと、ほかの会場はやりたくても手を上げにくかろうし、手を上げても「あんたのところじゃ無理でしょう」と言われてしまいそうだ。まぁ、やったんさい、とGOサインを出してしまうヨーロッパとは、大きなギャップがあると思うんだけど、ヨーロッパにはヨーロッパなりの問題があるのかもしれないから、そのへんはうらやましがるだけにしておこう。
 ツインリンクでの日本GPは、毎年いろいろ趣向を凝らしている。トライアル大会のセクション設営で、もてぎみたいに岩を運びこんで造成するなんて手の込んだことはまずしない。お金もかかる。それでも、海外の選手からは「もてぎもいいけど、別のところでやんないかなぁ」なんて声が聞こえてくる。世界選手権の楽しみは、もちろん勝負の楽しみもあるけど、旅の楽しみもある。日本も広いんだから、ほかのところにもいってみたいなぁ、という願望だってあるはず。旅の楽しみはトライアルとは関係ないし、セクション設営をいくらがんばったってかなえられないから、それを言っちゃおしまいよ、なんだけども。
 思えば13年前、2000年の開催時には、日本中のトライアル愛好者が一堂に会したもんだった。土曜日の朝、コントロールタワーの外階段に、集まってくるお客さんたちを眺めて感慨深げなSさんの姿があった。Sさんはもてぎでお客さんを集める係だったんだけど、それでも「こんなに来てくれるとは思わなかった」とびっくりだったのだ。
 日本にトライアルが伝わってから30年、ロードレースやモトクロスの世界大会はあったから、トライアル愛好者は、なんだか置いていかれたようなさびしい気持ちでいた。
 そこへやってきた日本で初めての世界選手権、およそ日本中のトライアルファンが、みんなもてぎにやってきた。30年来の愛好者も、きのう始めた人も、みんなだ。
 あんまりお友だちのいないニシマキも、あの日はあっちこっちで声をかけられて、そのうち今挨拶をしたのが誰だかわかんなくなった。最初は、この人は九州の誰それ、この人は東北の誰それ、とちゃんと認識していたのだけど、そのうち北海道のひとと広島のひとがいっしょにやってきたり、トライアルだけじゃなくて、F1のひととかパリダカールのひととかモトクロスのひととか、他のジャンルの人もいっぱいいて、処理能力の小さい脳みそはパンクした。で、みんなトライアル仲間ってことでいいじゃないかということにした。
 あのときの感動は、いったいなんだったんだろう。世界のトップライダーの走りは衝撃的だったけれど、それだけじゃなかった。藤波貴久がもうちょっとでチャンピオンになりそうだったし、応援のしがいもあったのだけど、あのときもてぎに集まったみんなは、特定の誰かをではなくて、トライアル全体を応援してくれた。ライダーだけでなく、お客さんも誰も、主催者もスタッフも、メーカーもインポーターも、みんなの総力が、あの感動を与えてくれたのだと思う。
 でも残念なことに、やっぱり飽きちゃうんですね。最初の年に出会った、全国津々浦々のトライアル愛好者の姿は、その後ちょっとずつ見かけなくなっていった。最近では日本GPの裏番組に草大会とか地方大会とかが入っている。トライアルをやっている人が、みんながみんな日本GPを見に出かけるという熱病のような時期はすぎさって、今は日本GPが、すっかり日常に溶け込んだような印象がある。
 でも主催者としてはもっとたくさんのお客さんに来てほしいと思っている。それで以前は、ときどき相談も受けたりしていた。でも名案はとんと提供できませんでした。ごめんなさい。
 もてぎさんも忙しいので、大きなレースイベントが終わって、さてトライアルの集客をどうしようと悩み始めるのはだいたい日本GPの直前で、それからできることなんて限られている。日本GPが終わったらすぐ来年の日本GPについて考え始めましょう、と提案するんだけど、そんなことができるんだったら苦労はないわいな、というところだったんでしょう。
 その頃聞いたのは、日本GPのお客さんは増えていない、ということだった。ということは減ってはいないのか。コアなトライアルファンの日本GP詣での減少ぶりを考えると、お客さんが減っていないのはたいへん明るい材料だと思った。新しいファンを確実に獲得しているのではないか、と力説したのだけど、主催者としては、やっぱり日本中のトライアルファンに一堂に会してほしいみたいだった。気持ちのすれちがいは残念だけど、しかたがない。
 気持ちのすれちがいといえば、もっとも大きなすれちがいは、大会主催側と参加側のギャップだ。思えば1999年、世界選手権イギリス大会のパドックで、ぼくらはFIMトライアル委員長から「おめでとう、夢がかなったね」と声をかけられた。「うれしいだろう、ハッピーだろう」と畳みかけられたけど、あのときはいろんな思いがあって、単純にうれしいという印象じゃなかった。実際に世界大会が日本で開催された時には大感動だったけど、その感動が今も続いているとは思いにくい。
 参加する側としては、ちょっと疲れてしまっています、というのが正直なところだ。日本GPの準備は、全日本選手権に比べるとお金がかかる。加えてインポーターとしては、海外からやって来る選手の面倒を見るのも仕事になる。マシンの手配から宿、食事、空港からの送り迎えなど、仕事は多岐に渡る。そしてこれが一番問題なんだけど、その費用が全額還元されることはほとんどない。日本GP参戦は大きなプロモーションだから、まるっきり全額持ち出しの大赤字、という計算にはならないけど、大出費なのはまちがいない。
 日本GPが終われば、大会で使った新古車状態のマシンのスムーズな処分も頭が痛い。売れなければたいへんだけど、新古マシンがたくさん売れるということは、新車の売れ行きに影響があるんではないかという懸念もある。
 というか、実際に影響があるようです。新車というのは冬から春までに入荷されて、新しいシーズンに向けてユーザーの元に巣立っていくのだけど、サンデーライダー的には特に春にマシンを買い替えなくてもいいわけで、日本GPが終わってからお買い得のマシンが手に入れば、ずいぶんとお財布にやさしくなれる。てなことが10年も続くと、春一番にマシンを買い替えようという人は、だんだん減ってきてしまっているんですね。
 それでも、もてぎでトライアルを知って、新たにトライアルの世界に飛び込んできてくれる人は確実にいらっしゃる。トライアル界のわがままとしては、そういう人たちが、まだまだ多くないということだ。
「せめて2年に1回くらいにしてくれないかなぁ」という悲壮な声も聞いたことがある。日本GPのせいばかりじゃない、世の中の不景気とか、企業努力とか、いろんな問題があると思うけど、けっこうな負担が生じるのは確かなのだ。
 1999年にうれしいだろうと問いかけられたとき、即座に笑顔を返せなかったけど、今なら即答できる。うれしくもあり、悲しくもあり。
 世の中が、みんながみんな東京オリンピックで沸いているみたいで心配になって、日本GPのいろいろを思い出してみた。オリンピックも、本当にみんなが幸せになれるのか、もうちょっとちゃんと考えた方がいいと思う寒い冬。

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