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自分で判断するという難儀

凍結路をあるく犬

オートバイに限らずだけど、ひとりでやる作業は、どんなものでも孤独です。でも特に、オートバイは原則として一人で乗るものだし、原則として人とお話しながら走ることはありません(タンデムという選択肢もあるし、最近のトライアル選手権では会話しながら競技をするし、あるいは無線とかもあるけど、そんなことを考えていると話が進まないので、知らなかったことにします)。しかしふと考えてみると、世の中、そんなふうな自己責任の世界は、どんどん少なくなっている気がします。

多くのひとにとってはもうすっかり過去のことになっているかもしれないけど、ぼくんちの25km先にある福島第一原発は、まだぶっこわれたまんまで、多くの危険をはらんだまま作業がおこなわれています(今やっている作業は廃炉作業でも復旧作業でもないと思います。ではなんなんだろう。もがき、じゃないかと思います)。作業は大なり小なり放射線量の高いところで行われて、それでなくても危険が伴う中、暑い日も寒い日も日本のために働く皆さんには頭が上がりません。自民党は自衛隊を国防軍に改名しようとしているけど、今、本当に国を守っているのは、作業員の人たちじゃないかと思います(自衛隊にももちろん感謝です。この前、身内が凍結路で滑ってクルマが埋まっちゃったのを助けてくれたのは、通勤途中の自衛隊員さんたちでした)。

そうそう。凍結路で車が滑って思い出しました。いまどきの自動車には、ABSというすてきな装置がついている。なんたることか、ポンコツのぼくのクルマにはこれがついてなくて、へたなブレーキングをすると横を向きます。それがたまたま、ABSつきの自動車を借りたら、なんだ、すごいラクチン。とにかくもかくにも、ブレーキをどかんと踏めばそれでよろしいのね。クルマが上手に制動をコントロールしてくれて、姿勢を安定させたまま停止する。安全で安心。すばらしい。

しかしぼくはへそ曲がりだから、この装置をあんまり手放しで称賛できずにいます。こんなものを使っていたら、右足がどんどん下手になってしまうのではないか。全車がABS装備になって絶対故障しいならいいけれど、たまに乗ったクルマにABSがついてなかったら、その瞬間に事故るんじゃないか、なーんてね。

それにしてもあらためて思うのは、圧雪路や凍結路を走る時ってのは、一瞬一瞬、いろんな情報を集めて、いろんな判断をしてる。人間ってすごいってことです。凍っているのか濡れているのか、雪に覆われているだけか、どこでブレーキングをすれば滑らずにスピードを落とせるか、次のカーブではどんな滑り方をして、クルマはどっちに持っていかれるだろうか、対向車とはどんなふうにすれちがおうか、なーんて、へたくそなりにいろんなことを考えています。ブレーキをどかんと踏んだらクルマは横を向くし、ハンドルを切っても曲がらなかったりする。タイヤと路面と相談しながら、だましだまし、そしてときには大胆に操作したりして。スピードも、ゆっくり走ればけがも少ないけど、坂道を上れないほどゆっくりではしょうがない。運転って、けっこう複雑なことをやっているもんです。

たいへんだけれど、おもしろい。失敗したらつっこんじゃったり落っこちたりもするけど、もともと人生なんてリスクがあるもんだと思うので、これくらいでびびっていてはいけないのだと思うのであります。

そしてさらに思うに、トライアルとは、なんとリスキーで楽しいモータースポーツでしょう。まず、たいていのトライアルマシンは、始動がたいへん。最近はボタン一発始動のトライアルバイクもあって、これがトライアル人口の(ちょっとだけでも)拡大になるかという期待もあるけれど、それはそれとして、キック始動の儀式は、ノスタルジーだけじゃなくて、機械との対話じゃないかと思うのですね。

キックそのものもけっしてラクチンではない。ふつう(日本人に売る日本製のバイクなら、という意味)キック始動のオートバイは、簡単に、軽くキックができるように設計されているけど、トライアルの場合はいかに軽いキックシステムをライディングのじゃまにならないようにくっつけるかが大事で「エンジンがかけられないやつは乗らんでもいい」くらいのもんです。始動に苦労して泣いたひとは少なくないはずです。

いまやキック始動のオートバイを探すのはむずかしい世の中だから、キックペダルを知らない世代にトライアルを勧めるのはたいへんだけど、ここはトライアルは最後のとりでとして、がんばってほしいです。

ライディングも推して知るべしで、トライアルマシンにはABSもトラクションコントロールもなんにもない。アクセルを開けたら開けただけ、こちらの恐怖心や崩れたバランスとは関係なくパワーを発揮して、いっさいのフェイルセーフがない。それでも最近は、フューエルインジェクションのRTLには転倒するとエンジンが止まる装置がついていたり、キルスイッチを手首とつないだり、ディスクやスプロケットをカバーで覆うなどの安全対策が進んでいるけど、それはそれとして、守られるのが当然という意識になっちゃいけないのではないかと思うのです。

リスクはパワーにもなる。へたをすると痛い思いをさせられるエンジンの力をうまく使ってマシンを走らせて難所を越えていくのがトライアル。滑らないと思ったところが滑ったりするから、思った通りにマシンを走らせられた時の喜びが大きいんだと思います。

セシウムの薪で寝るうさぎ

薪を鼻で移動させて、快適な睡眠空間をつくって寝ているうさぎ。この薪を燃やすと、何万ベクレル/kgという汚染物質ができ上がります。捨てられないので、大事に持っています

ところで、我が福島県はというか東日本では、この2年ほど放射能ブームが続いてます。狂牛病でも口蹄疫でも、一部のひとを除けばだいたい75日もすぎれば話題に出さなくなって、平気な顔をして食べ始めるものだけど、放射能ばっかりはちがいました。福島に住んでいると早晩死んでしまうと思われているし、福島県で農作物を作るのは毒薬を作るようなもんだと思う人がいる。勝手にさらせと思うけれども、それに対して確固たる反論ができないのが正直なところです。

原発を日本に作ってから50年、これまで放射能教育なんて、おそらくまともにやってこなかったはず。お医者さんとかレントゲン技師、原発作業従事者とか原子物理学者とか、ほんの一部のひとがお勉強しておしまい。一般民間人は、中途半端に知識を得るとおっかなくなっちゃうから「まぁ細かいことはどうでもいいけど、安全なのか、あぶないのか、どっちなんだ? わしらの暮らしはよくなるのか、どれくらい変わるのか?」って問い詰めて、絶対安全、暮らしは快適という答えをもらって納得していました。その絶対安全が安全でなくなっちゃった今「絶対じゃなかったけどそれでもおおむね安全です」なんて言ったって、信じてもらえるわけがございません。

福島県は放射線管理区域に相当する汚染度だから、人が住むなんてとんでもないというご意見があります。中にはういうところもあるのは確かでしょう。でもさ、その管理区域というのも、人間が決めたもんで、住民のことをどこまで考えて決めたもんだかわかんない。あぶないあぶないという人も、けっこう自分の都合のいいデータばっかり集めてくるから、信用できない気がします。

絶対安全、をぶちあげるために、昔のえらい人は考えたんじゃないでしょうか。放射能はちっとも漏れません、ちょっとでも放射能があるところは、厳重に管理します、だからあんたたちは心配しないで、ばんばん電気を使って幸せを謳歌してなさいって。

おかげで、今自分たちが住んでいるところが、どれくらい汚染されていて、それはどれくらいのものなのか、住めるのか住めないのか、育った野菜は食えるのか、産まれてくる子どもは大丈夫なのか、冷静に考えられる人はほとんどいません。おっかないから福島には二度と住まない、東日本には二度と住まない、海外に逃げてやる、という人と、行くところないから住み続ける、放射能は不安だけど知らないことにするという両極端になってしまいました。まじめに調べものをしたって「低線量被曝の実態については、いまだなんのデータもないのだ」とか言われちゃうと、大丈夫だから住み続けましょう!とあげたこぶしをしゅるしゅるとおろしてこざるをえなくなるわけで。

放射能はおっかないですよ。それは事実。そんなもの、世の中にまき散らしたやつがいたら、それはいくらちょっとであろうと、百叩きの刑にしてやりたい。でも現実問題、そこで暮らしを組み立てている人のことを考えれば、これくらいの数値だとどうなる、これくらいだとこうなる、ときちんと教えてあげて、そのうえで暮らすべき人は暮らして、逃げたい人は逃げるべきだと思う。

でもできないんですね。どうなるかわかんないんだもの。そして住民側は、かつて絶対安全と言われたのと同じように、今でも絶対安全というお墨付きを待っている。遠くまで逃げて福島県の動向を見守っている人には信じられないでしょうけど、代々その地で育った人の気持ちは、そんなものです。

土地への愛着はもちろん大きい。でも愛着というのは、夢の中で思うのではなくて、日々そこで生活しているうちに、知らず知らずのうちに絶対的なものとして形成されていくものじゃないかと思います。だから、避難をして地元から離れていった人の中には、意外と簡単に故郷離れする人がいるじゃないかしらん。

今福島に住むということは、多かれ少なかれ、自分の置かれた環境放射線(空気も水も土も食物も、全部)を把握して、それが安全なのかどうかを判断して生きていくということです。原発で収束作業に従事する人は、それに輪をかけてシビアな線量把握をしなきゃいけません。

めんどくさい時代になったものだと嘆くひとは多いけれど、ぼくはこう思います。そういう時代は、今初めてやってきたのではなくて、この50年間、ずっとその危機をはらんでいた。すっとぼけて知らないふりをしていたのは、ぼくら自身ではないか。放射能測定器なんて、2年前までは見たこともなかったけど、目と鼻の先に原発のあるお国柄、みんながみんな、持っていてもおかしくなかったのではないかって。

自分で判断をして行動するってむずかしい。原発事故が起こって、そりゃえらいことで、こんな状況になるのを放置していた国やら電力会社のこんこんちきはどうしようもないのだけど、その国や電力に、指示を出せ、指針を示せ、安全宣言をしろ、危険宣言をしろ、とつめよる住民や小さな自治体も(しょうがないんだけど)なさけないなぁと思う。

いや、もちろんぼくはそんな大それた判断はできないけどね。だから人にはなんにもお勧めしません。でもぼく自身は自分で判断して生きていきたいと思います。

ぼくらが楽しんでいるトライアルが、そうであるようにね。

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