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新潟の地震に思うこと、考えること

全日本の取材に出かけて、仙台の郊外でトンカツを食べているとき、揺れを感じた。新潟県がたいへんなことになっているのは、そのあとホテルにチェックインしたときに、フロントのおばちゃん(コンセルジュがいるようなホテルではありませんでした)に聞いた。そのあとテレビを見たら、道路は陥没してるし隆起してるし地割れしてるし、とんでもない状況だった。
こういうところを走るのこそ、トライアルの出番だなぁと、原稿書きながら思ったんだけど、走れるというのと、そこでなにをするのかは別問題だと気がついて、少し悩みました。まず、余震が続いているうちは、あぶなくて近寄れない。自分の安全が大事というより、どこかで遭難して、救助されたりしたらかっこ悪いなんてもんじゃない。
神戸の地震のとき、数日間オートバイで走り回った経験あり。最後には、捨てられているゴミの山の中から、あっちの被災者がほしがっているものを物色して届けるという調達師をやってました。テント暮らしで寒がっている人のところに、捨ててあった絨毯を一巻届けたときには喜ばれたなぁ。横幅3メートルだったから、持って走るのはたいへんだった。でも、街角に立っているおまわりさんも、そんなぼくを見て「気ぃつけていけやー」と見送った。こういうことができるのは、災害数日間に限られる。その後は、だんだんふつうの交通道徳が復活してきて、階段を上ったり降りたりして近道をしたりはしにくくなった。だからトライアルバイクの救援は、意味があるとしたら、まさにたった今なんじゃないかと思う。でも、今はちょっといけない。
もうひとつ、神戸のときにはガソリンスタンドが機能していたから、燃料の心配はあまり(豊富に在庫があるわけではなかった)心配なかった。今度は、被災地が山奥だから、そんなところで仕事をしていると、トライアルバイクの燃料タンクでは、あっという間にガス欠になりそうな気もする。
必要なのは、何万食の食料だというのも、気が重い。神戸では、避難所にいかず、そこここに避難している人がいっぱいいて、公共の助けが届かない人がいっぱいいた。そういう人に個別に物資を届けるのは、オートバイでも充分機能するんだけど、それには、公共の物資提供元ではない前線基地と協力体制をとらなきゃいけないから、それもどうなんだろうと思ったりする。行政の支援団体は、トライアルバイクのことなんか知識もなにもないので、その有用性はまったく理解してもらえない。「トライアルバイクを持ってきたんですけど」と説明しても「二輪車ですかぁ?」と渋い顔をされてしまった。忙しいんだから、企画に沿った参加のしかたをしてほしいと、行政の人は思ったことだろう。そのとおりだと思います。すいませんでした。でも、ぼくらにはぼくらの活躍の場があると思うんだけど、へんな気を起こさないで、裸で出かけていって、大きな機関に属して労働力を提供したいうがいいのかもしれない……。
しかし、一番情けないのが、こういうことを考えているばかりで、助けにいこうという動きを起こせない自分自身だ。なんとも歯がゆい。
と思ったら、全日本東北大会と同じ日に、佐渡でトライアル大会を開催した新潟の菊池さんから電話があった(少し酔っぱらっていなすった)。あしたから、被災地へ出向くと言う。菊池さんは災害ボランティアバイクチームの親分もしていらっしゃる。はたして今度の災害に、トライアルバイクは役に立つのか、こういうとき、トライアルライダーにはなにができるのか、菊池さんのアクションには注目したいと思います。
以上、災害以来、なんとなくもんもんとしていて、小林ゆきBIKE.blogを見て、さらにそもんもんとしたときにかかってきた菊池さんの電話で、少しだけ落ち着いたのような気がしています。
ところでトライアルライダーは、悪路を走破するについてはかなりの訓練を積んでいる。自衛隊の通信部隊や白バイ隊員の人がトライアルをしているのを見たことがあるけど、彼らにしても、トライアルはそんなにうまくない。地震の災害地を走るには、トライアルテクニックは絶大な効果を発揮する。
ただ、災害救援となると、目的は点数をまとめて試合を終えることではなくて、誰かを助けるために走る。いつものトレーニングとは別のなにかが必要なんじゃないかと思う。話がぶっ飛ぶけれども、徴兵制を敷いている国では、その制度によって、みんなが共通の命令系統や指示言語を持っている。ぼくらは、さまざまな環境で育ってきたまま現在に至っているから、それぞれの判断能力を活かしつつ団体行動をとるのがとってもむずかしい。徴兵じゃなくても、ボーイスカウトでも消防団でもいいんだけど、そういう活動をやったことがないニシマキとしては、お先真っ暗なものを感じたりするのでした(強いていえば、イギリスの軍隊あがりの教官にフィールドトレーニングを受けたことがあるんだけど、ここで教えてもらった指示方法や言語は日本ではあんまり通じないようだ)。
ともあれ菊池さん、がんばってきてください。

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