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ギャロップを見る

07ギャロップFのスタート

 連休いろいろその2はギャロップの巻。
 福島県双葉郡川内村。前の日にロードレースの舞台に中にいたぼくは、一夜を置いて山深い村にやってきた。福島県といっても、茨城県に近い、東北圏内にあっては、関東地方にもっとも近い位置にあるんだけど、そうはいっても、やっぱり近くはない。
 現地では、ようやく桜が散りはじめた頃だった。
ギャロップX


 川内のエンデューロは、今回で5年目だか6年目。今回やったのは初心者向けのやつで、秋にはうまい人たちが飛んでいく上級者向けのやつもある。
 牧草地の跡地や山林をコースにしていていて、気持ちがいい。たぶん走ったらとても気持ちがいいと思う。でもぼくはまだ、ここを走ったことがない。
 というのも、ここはレース開催日以外は、オートバイの走行を厳禁しているからだ。ふつうの大会だったら、レースの準備かなんかをやるときには、スタッフはオートバイを足に使って、それなりにオートバイ遊びも楽しむもんだけど、ここではオートバイが走っていいとお許しをもらっている日以外はこれっぽっちも走らない。そこまでしなくてもと思わんでもないけれども、けじめというのは破りはじめたらきりがないんだろうなぁ。
 もうひとつ、山をオートバイで走ると、少なからず荒れてしまう。坂の途中でスタックしたりして、脱出にもがけばもがくほど、わだちは深くなる。こういうのを放置しておくと、山の地形ががらりと変わってしまってものすごいことになる。このエンデューロは、イベントが終わったあと、ボランティアを募って、コースの改修をやっている。一部のツーリングトライアルでは、すでに当然のようにやっているし、エンデューロでも今はどこもやっているのかもしれないけど、オートバイ好きが山林に集まって、でもオートバイには乗らずに(改修をする日にはオートバイを走るお許しはもらってませんから)スコップを片手にのしのし歩いている姿は、珍しい光景ではある。
 広いコースは重機がはいれるから作業は簡単なのだが、山の奥は手作業しかできない。人間の手が、まだまだ必要とされている場面は多いのである。
 前置きが長くなっちゃったけど、今回のレースは、初めての人や女の人なんかを集めて、全部で216名の参加があったらしい。最初にちょっと速い初心者、次ぎにふつうの初心者、ミニ、初心者中の初心者、女の人たち(男組に混ざって走る人だってもちろんいる)、今日が初めての人たちといろんなクラスに分かれて、それぞれが一斉にスタートする。
 レース時間は3時間。トライアルは5〜6時間やっているから、それに比べるとあっという間かもしれないけど、ライダーはずっと走っているから、どっちがたいへんなのかは比較の問題ではないんだろう。1周は、今回は10km。速い人で15分。ふつうの人で20分。初めての人とか、途中でへこたれた人は1時間近くかかって回ってくることもある。平和だ。

森の中のコース

 森の中へいくと、10cmばかりの丸太を越えられずに地面を掘り続けている人とか、木の根っこが出てくるたびに転んでいる人とか、ほほ笑ましい人がいっぱいいた。こういう人が、トライアルやモトクロスの底辺を支えているのだと、ぼくはいつも思う。トップライダーばかりでは、世界は成り立たない。トライアルには、本物のライダーが(相対的に)多すぎるんじゃないか。だもんで、トップの数人のライダーを、ランキング10位くらいのライダーが支えるというみたいな、小さな世界になってしまうのではないかしらん。
 と、そんなことを考えながら、森の中でレースを眺める。森の中には、妖精が住んでいる。妖精とお話していると、向こうの方からかすかに排気音が聞こえてきて、そのうち目の前を通過する。さっそうと走り去っているつもりの人、できれば助けてほしい、見たいな顔をしている人、いろいろ。平和だ。
 それでも、このレースはきっちりすべきときころはきっちりしている。レースが終わったら、自分の個別のタイムが発表されたりする。エンデューロやモトクロスでは当然のことかもしれないけど、車検もちゃんとおこなわれる。車検ってのはめんどくさいし、壊れるようなバイクを持ってきてクラッシュしても、それは自己責任なのだけど、競技となると、いらぬ迷惑を他人にかけることになるから、やっぱり必要な儀式なんだろう。草トライアルに車検が必要なのかはともかく、なんとなく最近のトライアルは、けじめがなくなっている気がしないでもない。気のせいかな?
 レースを最後まで見ていたかったけど、夕方遅くなって新潟のパドックに到着するのも具合が悪いなと思い、スタートして1時間ちょっとしたところで現場をあとにする。太平洋側から日本海側までの移動。磐越自動車道はほとんど一車線で、フルコースコーションがでたままのインディレースのようだ。高速道路は追い越しがスムーズにできるからこそ高速道路なのだと思うのだけど、日本の高速道路は、そもそもの設計もおかしいし、そこを走る運転者の常識もおかしいから、なぜか追い越し車線から混んでくる。こんな走り方をしていたらドイツだったら殺されても文句はいえないんだけど、そもそも片側一車線の高速道路を見せたら、ドイツ人はどんな反応を示すだろうか。
 なんて、ぜんぜん関係ないことを思いつつたどりついた、全日本会場の新潟県阿賀野市大日が原も、まだ桜のシーズンだった。

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