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南青山でHondaライダー公開記者会見
4月22日水曜日、午後1時より東京都港区南青山の「Hondaウエルカムプラザ青山」で公開記者会見が行われた。今週末4月25(土)、26(日)にツインリンクもてぎ(栃木県)で開催される「2015 FIMトライアル世界選手権(WCT)第1戦 ストライダー 日本グランプリ」に向けたものだ。
2015トライアル世界選手権は、今週末の日本ラウンドからスタートする。間もなく始まる新シーズンへの意気込みを、レプソル・ホンダ・チームのドニー・ボウ、藤波貴久、そして来シーズンより加わったハイメ・ブストの3選手、そして会見後にデモンストレーションを行う小川友幸、柴田暁選手を加え、5名のホンダライダーが集まった。
はじめに記者会見に現れたのは、世界チャンピオンのトニー・ボウ、藤波貴久、ハイメ・ブスト。レプソルモンテッサチームの3名だ。今シーズンよりチームに入ったブスト選手は弱冠17歳。このような記者会見は不慣れなようで緊張している模様。言葉数は少なかったが「今年は勉強しながら戦う1年になると思います。偉大なチャンピオンと同じチームになれて光栄だ。トップ10をめざしています」と答えた。
英語で進行していた会見だが、英語を話さないブストとスペイン語との通訳役になっていた藤波選手が、ブストについて解説する。「ボウ選手が広めたダニエルのテクニック(後輪だけで飛んで行くスタイル)は、ぼくも含めてみんながそれを真似するようになりましたが、ブスト選手はトライアルをはじめた時点でもうダニエルの時代だったんです。だから彼のダニエルのテクニックはすごいですよ」と藤波選手のお墨付きのテクニシャンなのだ。
8度の世界チャンピオンになっているトニー・ボウ選手は「私にとって、トライアルとはタイトルをとるだけではありません。自分のテクニックを進化させること。常にチャレンジなんです。今までできなかったことが今年はできるようになる。そして今できなくても次にはできるように考えながらトレーニングを重ねる。特に、自転車トライアルのテクニックをもっともっと取り入れていくイメージです。シーズン開幕戦はとても大事です。もてぎでは自分のベストをつくして、ホンダの地元日本大会で優勝したい」と語った。
そのボウ選手について、藤波選手がこう言葉を添えた。「そうなんですよ、ボウ選手はほんとにすごい練習量なんです。チャンピオンをとったからといって、以前とぜんぜん練習量は変わらないんです。そしてやっぱり、常にチャレンジする姿勢が素晴らしいと思っています」と。
そして我らが藤波貴久選手はこのシーズンオフに大きな壁を乗り越えてきたところだ。昨シーズンは膝の負傷に悩まされ、シーズン直後に手術をする。術後はオートバイに乗れずにリハビリと特別メニューのトレーニングを重ねてきた。「昨年のシーズンが終わってすぐ怪我の手術をしました。このシーズンオフはリハビリに集中してオートバイに乗れない辛い期間でした。これはかつてない経験でした。インドアトライアルにも出場できません。会場へ応援には行ってましたが、ライバル達が走っているのに、自分は乗れないことで不安が膨らんでいくんです。こんなセクション僕にはできるのかなあ、やれるのかなあと……。そしてやっとバイクに乗り始めて一週間くらい、ようやく以前のレベルに戻って来た実感は持ちました。これまで世界選手権参戦20年の中でいちばんたいへんなシーズンインです。この開幕戦に向けてベストの状態へ持ってきているので、もてぎではいい結果を残すつもりです。みなさんの顔を見て、声援をいただいて、頑張りますので応援よろしくお願いします」
藤波貴久選手は、今年で世界選手権参戦20周年。隣にいたボウ選手は「私にとってフジナミは、偉大な存在だ。世界選手権で20年の歴史をもつことは、素晴らしいことだ。そして、今も世界のトップライダーとしてポジションを持続させている。まだまだ現役を続けられるはずだ。そしてトライアル以外のプライベートでも付き合いは長い。すばらしい人柄だ」とフジガスを讃えた。
レプソル・ホンダ・チームの会見がひととおり終わったところで、小川友幸、柴田暁選手がライディングウエアーで登場。小川友幸選手の先日の全日本近畿での優勝が報告された拍手が沸いた。「今月のはじめ、にインドア・デナシオンに出場してきました。藤波選手と2人で走りまして、いい経験をしてきたばかりです。今週末は、去年出した6位以上の結果を出せるよう頑張ります」と抱負を語った。
柴田暁選手は「全日本選手権ではまだ小川友幸さんに勝ててません。もてぎの試合会場はチャレンジの場。今日はこのような場所で緊張してますが、今週末の試合会場では緊張せず、こちらに並んでいるみなさんに挑戦する気持ちでがんばります」と答えている。
公開記者会見の後はHondaウエルカムプラザ青山の目の前、野外スペースに設けた人工セクションで二人のトライアルライディングが繰り広げられた。青山通りを通りがかる人も思わず足を止め、テクニックに見入っていた。