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GC大会で若手パワー大爆発

11月10日、茨城県真壁トライアルランドで、恒例のトライアル・グランド・チャンピオン大会(グラチャン)が開催された。
グラチャンは、若手の日本一を決める大会で、NB、NAの選手が勝敗を競う。この大会で10位以内に入れば、シリーズ戦の結果のいかんを問わず、国際B級に昇格できる大会。今年は真壁トライアルランドでの開催だが、会場は日本全国、毎年異なる会場が選ばれる。
優勝したのはバイクトライアル世界チャンピオンで、中部選手権NBランキング2位の氏川湧雅。2位に中部選手権チャンピオンにして氏川のライバル、そしてチームメイトの久岡孝二。3位は中学1年生の山崎頌太が入った。

氏川湧雅。右端に田中裕大がいる
氏川は、誰あろう世界チャンピオン藤波貴久の甥にあたる。びしばしと鍛えているのは藤波由隆氏。藤波貴久父で、氏川のおじいさんにあたる。

久岡孝二。中部選手権NBクラスチャンピオン
今シーズンは中部選手権全9戦のうち6戦に出場、2勝をあげてランキング2位。この他、このGC大会を念頭に関東選手権にも参加、今年の氏川は、NBクラスでランキングを争いながらも、NAやIBのラインを走って来シーズンに備えるという虎の穴ぶり。日常のトレーニングメニューも、20年前に貴久少年がやったのと同じようなメニューをこなしているそうだ(練習場から帰ってくる時にはバックで帰ってくる、足をついたらやりなおしというキマリも貴久譲りだそうで、ルールが変わっても関係ない模様)。
しかも今回はアシスタントに田中裕大というチャンピオンマインダーがついて必勝の構え。1ラップ目は緊張からか3点をとったものの、2ラップ目はオールクリーンの快挙。ぶっちぎりで2013年のグランドチャンピオンを手中にした。

3位、山崎頌太
優勝の氏川と2位の久岡はともに14歳。しかもバイクトライアルを卒業してオートバイのトライアルを始めてからまだ1年というから、末恐ろしいというか将来が楽しみ。

4位、岡村佑希
ところが3位の山崎は去年まで小学生だった中学1年生だというからさらにびっくり。若手が確実に育ってきて、頼もしい。
4位に入った岡村は、国際A級岡村将敏ジュニア。こちらはアシスタントはお父さんが務めていた。これで2014年シーズンは親子で全日本選手権出場になるのだが、岡村家にはもうひとり、強靭な選手がいる。岡村敏美さん(敬称のつけ方に不公平がありますが、書いてる人間との年齢の関係だと思ってください)、佑希のじいちゃんで、将敏父ちゃん。現役の国際B級ライダーだ。なのでこちらは、2014年には3世代で全日本選手権挑戦という忙しいことになる。

5位、中村道貴
GC大会では、上位10名までの選手が、それまでの成績と無関係に国際B級に昇格できるキマリになっている。すでに地方選手権などで昇格圏を獲得している選手も少なくないが、2014年国際B級に昇格するのは、氏川湧雅、久岡孝二、山崎頌太、岡村祐希、中村道貴、泉祐大、谷中真一、多田雅志、西本和晃、赤荻雅利の10名となる。この10名は、2014年以降、全日本などに参加することになる。
GC大会では、このほかレディースクラスやオーバー50、クラブ対抗などの各戦いが繰り広げられた。

6位、泉祐大
ところで、真壁トライアルランドは今年はたいへんな1年となった。全日本開幕戦関東大会は中止にせざるをえず、会場そのものの存続も危ぶまれた時期もあった。有志によって、なんとか会場使用は維持ができる状態となり、関東選手権の開催は復活していたが、全国クラスの大会は、今回の大会が初めてとなる。真壁トライアルランドを推進してきた主がいなくなり、これまで脇役だった面々での大会運営はたいへんな苦労だったはずだが、未来あるグランドチャンピオンとそれを追う将来が楽しみな若手が多く輩出されたことは、日本のトライアルの大きな財産になった。
トライアルランドの代表を務める榎本さんによると、苦労は若手の活躍を目の当たりにして報われた。とりわけ氏川選手が表彰台で主催の労についてふれたコメントに力づけられたという。
若い力が、日本のトライアルを推進し始めている。