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岡村将敏、2速だけで勝利
注目のルーキー、氏川湧雅が2連勝し、ランキングでも開幕戦で勝利した岡村将敏を逆転してトップとなっている国際A級。この1戦が天王山といいたいところだが、舞台が雨の原瀧山とあっては、どうなるかわからない。
朝のウォーミングアップで、ミッションが壊れるという大打撃を受けたのが岡村だった。2速に入ったギヤが、そこから抜けなくなった。ローにも入らないし3速にも入らない。ニュートラルも出ない。不幸中の幸いだったのは、2速に入りっぱなしだから、走れる、ということだった。
原瀧山は高低差の大きいセクションが多い。コースも思い切りよく上ってこなければ生還ができない。
「ほんとは3速とか、めちゃめちゃ使いたかった」
ということだが、それでもないものはしかたがない。がまんのトライというか、開き直りのトライが続いた。
6セクション以降は、ほとんど全員が5点ばかり。結果表を見ると、優勝した岡村が1ラップ目に第6セクションを3点で抜けているのと、1ラップ目の平田雅裕が第9セクションを3点で抜けているが、それ以外はきれいにみんながみんな5点になっている。1ラップ目のトップから15位までがちょうど10点におさまっているのは、今日のセクションが誰にとってもむずかしく、可能性が薄いものだったという証明でもある。
大会主催者は、セクションの設定を1ラップ目と2ラップ目の間で変更する権限がある。ただしそれは、全員が2ラップ目に入っていない条件に限られる。誰か一人でも2ラップ目に入ってしまったら、もうセクションは変更するわけにはいかない(セクション変更を公式通知で出すチャンスを失うから)。
そこには、雨が止んでしまったことも理由もあった。IASのすぐ前、スタートが比較的遅かったIAの面々は、1ラップ目前半こそ雨がひどく、泥が洗い流され、グリップは悪い状態ではなかったのだが、2ラップ目に入る頃には雨が止み始めて、滑る泥はかたまり始めて年度のようにタイヤにまとわりつくようになってしまった。
1ラップ目、ふたつのクリーンを出した岡村も、2ラップ目はクリーンがなし。第2セクションと第3セクションの二つをアウトしただけで、ほかの10セクションは全部5点だった。
ちなみに2ラップ目のトップは伏見裕貴。岡村より5点少ない50点で12セクションを回ってきた。これで伏見は1ラップ目の26位から、一気に7位までポジションをアップさせている。その伏見でも、1点が一つ、3点が3つというスコア。クリーンはなかった。
ひとつでもクリーンを出したライダーが8人だけ。全クリーン数は10個だった。
「2速だけだったのがよかったのかな?」
終わってみれば、岡村は笑顔だった。百戦錬磨のベテランは、トラブルにも負けじと、今シーズン2勝目を飾った。
3連勝をして、一気にタイトルをひきよせんとする氏川湧雅は、あと3点で勝利を逃した。クリーンは第1セクションでの一つのみだった。それでも1ラップ目の5位からは挽回して2位に入っているから、安定感を増してきたといえそうだ。
3位には、このところ氏川をおいつめて上位入賞を続けているのが村田慎示。今回は氏川に1点差まで詰めよっての3位だった。
氏川は藤波貴久の甥っ子だが(藤波姉さんの長男)実は村田は、藤波の世界選手権挑戦2年目に藤波のマインダーを務めていた。1997年のことだから、氏川が生まれる前のことだ。97年に藤波は初優勝をしているが、そのとき、村田はマインダーをやっていない。ライダーの練習時間に自分もせっせと練習していたところ大転倒。大けがをして日本に帰されてたのだが、今となってはみんな忘れているかもしれない思い出話でした。
3戦連続の表彰台で、村田はランキング3位に浮上した。