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仮面ライダークウガのいまさらのお話
「仮面ライダークウガ Blu-ray BOX」が、2016年早々から順次発売になることになった。BOX 1は2016年1月6日、BOX 2は3月9日、BOX 3は5月11日に発売。価格はそれぞれ22,800円(+税)となっている。
という宣伝をしたいわけではなくて、クウガといえばぼくたちトライアル仲間にとっては、思い入れの深い仮面ライダーだった。その思い入れの思い入れたるのが、クウガ本人と、クウガが乗るトライチェーサー2000という高性能モーターサイクルだ。
子どもたちの夢をこわしてはならぬので、トライチェーサーはあくまでトライチェーサー、クウガはあくまで改造人間ということで通させていただくが、トライチェーサーの装備品を外して裸にすると、ガスガス・パンペーラ(初期の頃の)のシルエットが現れる。パンペーラは、今でこそひとつのカテゴリーができ上がりつつあるが、トライアルのパフォーマンスを発揮できるオフロードモデル。航続距離の長い燃料タンクやしっかりしたシートを持っていつつ、基本構成はトライアルマシンのままという、その外観から受ける一般オフロードマシンの印象とは裏腹、中身はとんがったトライアルマシンだった。
中には勘違いをして、パンペーラで快適に高速道路を走り出して、エンジンを焼き付かせたりするトラブルなどもあったというが、トライアルバイクの常識から逸脱した使い方をすれば当然の結果。でもトライアル自体が世間の常識からは逸脱しているところもあるので、画期的な先駆マシンが招いた不幸ではあった。
その先進マシンに目をつけたのが長野県警で、先進的な白バイとして開発された。なぜかこの高性能白バイは長野県警から冒険家の五代雄介に託され、怪人たちとの戦いに奔走する。廃虚となったビルの階段を匠に、もとい巧みに上ったり、前輪キックや後輪キックを駆使して敵をやっつけていくなど、そのテクニカルなライディングは、仮面ライダーシリーズの中でも唯一で、その後のシリーズでは肥大化したマシンを駆ることになった後輩仮面ライダーとは次元のちがう魅力を発散している。
長野県警の開発段階では、各種装備を装着したはいいが、サスペンションストロークを無視した設計だったりして、まるっきり乗れない代物になったりしていたそうだが、五代雄介らの高い開発能力で、戦闘力のある白バイに仕上がっていった。ストーリーが進むにつれて、このトライチェーサーは金属疲労で引退ということになっているのも、含みを感じられて感慨深い。
仮面ライダークウガの放送開始は2000年。ちょうどツインリンクもてぎでトライアル世界選手権の開催が決まった頃の放送開始で、泊まり込みで準備を行なう世界選手権のスタッフは、日曜日の朝にこの番組を見てから世界選手権のセクションを作りに出かけていたものだった。
なお仮面ライダーといえば、石ノ森章太郎原作で有名だが、その一部はすがやみつる作画となっている。すがやさんは自他共に認めるモータースポーツファンで、2輪・4輪ともに深い造詣をお持ちだ。
調べてみたら、トライチェーサー2000はバンダイからフィギュアが発売されていて、まだ手に入るようだ。ベースマシンのエンジンやデロルト製キャブレターも忠実に再現されているようなので、興味のある方は検索してみてください。
実車のトライチェーサーやパンペーラは、いくらほしくても、手に入らない。