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板取世界選手権中止
岐阜県板取村で、17年間に渡って開催されてきたバイクトライアル世界選手権。しかし2009年には、開催が見送られることになった。関市板取が10月に開催見送りを正式に表明したものだ。
これまで、板取とバイクトライアルは17年間、一貫してタッグを組んできた。板取の小学校では必須授業としてバイクトライアルがあり、その指導のためにかつてのトップライダー長谷中勇が板取の役場職員ともなっている。2007年にマスタークラスランキング2位となった長屋政佳をはじめ、世界のトップクラスのライダーも数多く輩出している。
日本バイクトライアル連盟は今回の板取の開催見送り表明について「17年間の長きに渡る世界選手権の開催に深い敬意と感謝を表したい」としている。
トライアルの世界選手権といえばツインリンクもてぎのウイダー日本GPがすっかり定着したが、それ以前から開催されている“トライアルの世界選手権”が板取のバイクトライアル世界選手権だ。現在では岐阜県関市板取となっているが、当初世界選手権を開催した自分は岐阜県武儀郡板取村(2005年に関市に合併)だった。関市となって、世界選手権は従前と同じように開催が可能なのか。合併当時、バイクトライアルにはこの心配があったものだが、世界選手権は岐阜県知事が大会の名誉役員に名を連ねるイベント。関市が開催を渋る理由もなかった。
板取ではまた、海外との交流が盛んでもある。アラスカとの人口交流活動は、バイクトライアル世界選手権に先がけておこなわれていて、これが、海外からのバイクトライアルライダーをホームステイで迎える布石ともなった。活動的な山村なのである。
小学校でのバイクトライアル授業は、かつては全学年を通じておこなわれていたが、現在ではクラブ活動と高学年の必須授業として続いているという。あぶないから、という理由で自転車に乗るのも規制が入る学校があると聞くが、板取ではバイクトライアルがスポーツとしてきちんと認められている証である。
今回の開催中止は、2009年の世界選手権カレンダーの調整の最終段階で発表された。BJU(日本バイクトライアル連盟)とBIU(国際バイクトライアル連盟)では、板取に変わる開催地を日本国内外で模索したが、世界的な経済状況もあって、2009年の日本での開催はなしという結論になった。
新聞記事では、日本バイクトライアル連盟と関市板取との開催を巡る確執も取りざたされているが、大きな大会を開催するには多大な労がともなう。17年も世界選手権を開催し続けた板取には多少の疲弊感もあっただろうし、しかし逆に、世界の世界戦選手権状況を見れば、17年もひとつの会場が開催をし続ける例はなく、またスポーツ協会(BIUやBJUなど)が主催の具体的運営について協力をすることもないのがふつうだから、板取とバイクトライアル連盟は、これまでよい関係を続けてきたということになるのだろう。
2010年以降、板取で、あるいは新たな開催地で、バイクトライアル世界選手権が再び開催されることを祈ろう。